スマートフォン版で表示

現在、お知らせはありません。

コラム・事例・インタビュー

連載5分で分かる!転職成功ノウハウ

「雇用契約書」とは?「労働条件通知書」との違いや必ず確認するべきポイントを解説

更新日:2023/1/30

このエントリーをはてなブックマークに追加
画像:こんなはずじゃなかった!を防ぐ、入社前に確認したい5つの労働条件

内定や入社時に渡されることの多い雇用契約書。正しく雇用契約を交わす上で大切な書類だからこそ扱いを間違えたくないですよね。今回はそんな雇用契約書に焦点を当てて、労働条件通知書との違いや記載項目、チェックすべき項目について解説します。条件を変更したい場合や、転職先からもらえない場合の対処法もご紹介するのであわせてご覧ください。

雇用契約書とは

雇用契約書とは、雇用主(企業側)と被雇用者(労働者側)の間で、労働契約の内容を明らかにするために交わす契約書です。書面には、給与・就業場所・勤務時間・業務内容・昇給・退職などの労働条件に関する重要事項が記載されています。企業側と労働者側の双方が確認した後に、両者が署名押印をして締結します。

民法上は当事者の合意があれば口頭での契約も成立するため、雇用者側に雇用契約書の法的な作成義務はありません。しかし、労働契約法上は「文書として作成するのが望ましい」とされており、実際、トラブル防止のためにも作成されることが一般的です。

雇用契約書と労働条件通知書の違い

雇用契約書に似た書類として、労働条件通知書があります。労働条件通知書とは、雇用契約書と同様に、給与・就業場所・勤務時間・業務内容・昇給・退職などの労働条件が記載された書類です。内定時に渡されるのが一般的ですが、入社日に渡されることもあります。

雇用契約書と労働条件通知書は、記載内容が非常に似ているため、混同されがちです。しかし、雇用契約書は企業に法的な作成義務がないのに対し、労働条件通知書は書面として労働者に交付することが法律上義務付けられている点が大きな違いです。

なお企業には、採用した人に対して労働条件を通知する義務がありますが、「労働条件通知書」として独立した書類である必要はありません。労働条件通知書に記載すべき項目を、雇用契約書の中に記載する形式も認められているため、実務上は雇用契約書が労働条件通知書を兼ねているケースも多いです。もし、労働条件通知書をもらっていない、という場合は、雇用契約書の内容を確認してみましょう。

あなたの適正年収を dodaの年収査定で知ろう
年収査定をする

雇用契約書をもらうタイミングは?

雇用契約書が発行される場合、内定時や入社時にもらうケースが多いようです。その後、内容を確認して雇用契約を締結します。
ただし雇用契約書は法的な義務がないため、作成されないこともあります。

入社初日まで雇用契約書も労働条件通知書ももらえない場合は、労働条件を事前にメール等文書で提示してもらいましょう。もし、条件面等で気になる点があれば、雇用契約書や労働条件通知書が発行されるまで交渉を先延ばしにするべきではありません。採用通知や内定をもらったら、お礼とともに、条件について相談したいと伝え、交渉の結果を改めて書面にしてもらいましょう。

雇用契約書(労働条件通知書)の記載項目

ここでは一般的に見られる「労働条件通知書を兼ねた雇用契約書」の記載項目について解説します。

労働条件通知書では、法律上、記載しなければならない項目が決まっています。具体的には、「絶対的明示事項」と「相対的明示事項」の2種類です。

・絶対的明示事項

労働条件通知書において、必ず入社者に対して書面で伝えなければならない項目です。

(参照:労働基準法施行規則第5条 明示すべき労働条件

  • 労働契約の期間
  • 就業の場所と業務内容
  • 賃金(※)の決定、計算および支払いの方法
  • 賃金の締め切りと支払いの時期
  • 昇給に関する内容
  • 始業・終業の時刻
  • 所定労働時間を超える労働の有無
  • 休憩時間、休日、休暇について
  • 交代制で就業する場合の就業時転換について
  • 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

※退職手当および臨時の賃金は除く

絶対的明示事項を省略することは認められません。

また2019年4月から、労働者が希望した場合にはFAX・メール・SNS等での明示も可能となりました。ただし、メール等であっても明示すべき事項に変更はないため、絶対的明示事項は必ず記載が必要です。

・相対的明示事項

書面で伝える必要はありませんが、定めている場合には口頭で明示する必要がある事項です。

  • 退職手当に関すること
  • 臨時の賃金に関すること
  • 労働者が負担する食費や作業用品に関すること
  • 安全衛生に関すること
  • 職業訓練に関すること
  • 災害補償や業務外の傷病扶助に関すること
  • 表彰や制裁に関すること
  • 求職に関すること

相対的明示事項は、雇用契約書(労働条件通知書)には記載されないことも多いですが、説明自体を省略することは認められていません。

また、相対的明示事項も絶対的明示事項と同様、2019年4月から労働者が希望した場合には、FAX・メール・SNS等での明示も可能となりました。

雇用契約書(労働条件通知書)で必ずチェックするべき5つの項目

雇用契約書(労働条件通知書)は、必要最低限のみ記載されるケースもあれば、入社後の処遇まで詳細に記載されているケースもあり、企業によってさまざまです。入社前に労働条件を最終確認できる大切な書類なので、疑問点はこのタイミングで必ずクリアにしておきましょう。

まず確認すべきは、「求人票や面接時の情報と相違がないか」です。ここでは、そのほか雇用契約書(労働条件通知書)でチェックすべき項目をご紹介します。
具体的には、以下の5つです。

・契約期間(入社日)

入社日は特にトラブルにつながりやすいポイントです。在職中の人は現職での引き継ぎなどの関係で、希望日どおりに退職できないこともあります。現職の就業規則も確認し、提示された入社日までの退職が難しい場合には、早めに転職先に相談しましょう。入社日の変更は、直前になればなるほど迷惑がかかるため、必ず確認しましょう。

・就業場所

転勤の可能性があるポジションの場合、面接の段階でも話が出ている可能性が高いですが、労働条件通知書にも「転勤の可能性あり」と記されます。記載がある場合は、転勤の頻度・期間の目安や入社後すぐの転勤の可能性について事前に確認しましょう。

・賃金

月給制の場合は月給の内訳が、年俸制の場合は月々いくら支払われるかなどが明示されます。歩合やインセンティブがある場合には、支給条件等を確認しておきましょう。また、企業によっては、通勤手当が不支給もしくは満額支給されないケースもあるため、確認が必要です。

賞与は、支給の有無についての記載は義務付けられていますが、その詳細までは書かれないケースもあります。支給要件や業績との連動性などを事前に確認しておくと安心でしょう。

・想定残業時間

雇用契約書(労働条件通知書)に記載が必要なのは、残業の有無のみです。残業がある場合は、残業時間の目安や繁忙期などを確認しましょう。原則として、残業時間は「月45時間・年360時間」が上限ですが、36協定の特別条項が結ばれていれば、それを超える残業が発生するケースもあるのでご注意ください。

また、併せて残業代の取り扱いについても、確認しましょう。固定残業代(みなし残業代)を採用している企業であれば、固定の残業代が毎月の給与に含まれるため、みなし残業時間の超過分のみ残業代は支給となります。

みなし残業代(固定残業代)とは?

・休日

「週休2日制」と記載がある場合、毎週2日休みがあるとは限りません。法律上、年間を通して1カ月に1回以上、週2日の休みがあれば「週休2日制」となるからです。毎週2日の休みが約束されるのは、「完全週休2日制」と記載があるケース限定です。ただし土日休みとは限らないため、事前に確認しておきましょう。また、祝日が休日になるかどうかも企業によって異なります。

雇用契約書(労働条件通知書)に記載された条件を変更したい場合

ここでは、雇用契約書に記載された条件を変更したい場合の対処法についてご紹介します。

前提として、雇用契約書は雇用主(企業側)と被雇用者(労働者側)の双方合意のもとで作成されているため、変更する場合も双方の合意が必要です。

・契約期間((入社日)

まずはどちらの希望による変更なのかを確認しましょう。

応募時の条件と契約書が一致している場合は自己都合の変更に当たるため、企業が納得する理由を考えて申し出る必要があります。具体的には、「親族に不幸があった」「前職での引き継ぎが間に合わない」など、やむを得ない理由が必要です。入社日を変更すると、企業側の受け入れ準備やプロジェクトの計画に狂いが生じることを踏まえて、慎重に交渉しましょう。

応募時の条件と異なるなど企業都合の場合は、希望を再度伝えましょう。

就業場所

契約期間(入社日)の変更と同じく、応募時の募集条件を確認し、どちらの希望による変更なのかを確認する必要があります。自己都合で変更を依頼する場合は、育児や介護といった企業も納得する理由を伝えましょう。

昨今はテレワークを導入する企業も増えているため、「リモートワーク時:自宅」などと記載されているケースもあります。リモートワークの条件や上限日数などは企業によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

・賃金

特に慎重な対応が必要なポイントです。
提示された給与額にはあなたに対する評価だけでなく、企業側の給与体系や既存社員とのバランスなども加味されています。どうしても給与額が承諾できないものであれば交渉することも可能ですが、最悪の場合、内定取り消しのリスクを負う覚悟を持って交渉しましょう。

何の根拠もなしに、ただ「上げてほしい」とお願いするだけでは交渉が失敗に終わるだけでなく、あなた自身の評価を下げる可能性もあるため注意が必要です。交渉する際は、入社意欲が高いことを強調した上で、入社後に貢献できる点を明確に示しましょう。

また、企業によっては勤務形態がリモートワークの場合に、賃金体系や計算方法に変更が生じるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。

・休日

応募時の募集条件を確認し、どちらの希望による変更なのかを確認しましょう。昨今は働き方改革が進んでおり、ライフスタイルに合わせて休日を変更できる会社も増えているようです。転職先でどのような働き方ができるか、事前に確認しておきましょう。

ただし、休日の変更によって勤務日数が少なくなる場合は、賃金にも影響する可能性があるので注意しましょう。

転職先から「雇用契約書はない」と言われたら

企業に雇用契約書の法的な作成義務はないため、転職先から「ない」と言われる可能性もないわけではありません。その場合は、労働条件通知書で条件を確認しましょう。労働条件通知書の交付も拒む企業であれば、入社には注意が必要です。

なお、労働条件は内定が出たタイミングで提示されるのが一般的です。メールの場合は、内定通知の文面に記載されていたり、添付ファイルで送られたりするケースも多いですが、必ず印刷して保管しておきましょう。入社前には口頭だけで労働条件を伝えて、書面は入社日に渡す企業もありますが、トラブルにつながりやすいため、必ず採用の連絡をもらったタイミングで書面に残せる形でもらいましょう。

雇用契約書はしっかりチェックしておこう

雇用契約書と労働条件通知書の記載内容は、入社後の働き方に関わる事項なので、非常に重要です。不明点は必ず事前に確認し、面接時と相違があったり自分の希望とかけ離れていたりする場合は交渉が必要です。

内定承諾後は、よほどの事情がない限り条件の変更は難しいです。条件に不満を残したまま入社すると、その後のモチベーションにも影響します。結果的に早期退職につながってしまうと、企業側もまた人材を募集しなければならず、両者にメリットはありません。お互いのミスマッチを防ぐためにも、必要なタイミングでは気後れせずに交渉しましょう。

転職活動の一連のプロセスの中では、内定も通過点でしかありません。労働条件の提示を受けたら、自分が今回の転職で何を大切にしていたかを思い出して、希望する働き方ができるかどうかをイメージしながら、しっかり確認しましょう。

もし自身の希望する働き方が分からなくなってきたら、dodaの「キャリアタイプ診断」がおすすめです。所要時間10分、無料であなたに適した働き方や企業風土などが分かるため、この機会に利用してみてはいかがでしょうか。

転職先を選ぶ参考に、今の自分の適正年収を知っておこう
年収査定をする
内定後、スムーズに入社できるよう退職手続きのアドバイスもします
エージェントサービスに申し込む(無料)

この記事の監修

このエントリーをはてなブックマークに追加

バックナンバー

doda年収査定サービス
ハイクラス転職サービスdodaX

  • 転職時の自己分析のやり方