障害者雇用枠の面接マニュアル|中途採用によくある質問・回答例と好印象を与えるコツ

障害者雇用の面接

採用面接は、就活の選考過程で必ずあるプロセスです。障害者雇用枠の求人に応募する際にも面接はあるのか、どのようなことを聞かれるのかが気になっている方もいるでしょう。

この記事では、障害者雇用枠の求人における採用面接での受け答えのコツや注意点を紹介します。事前準備に使えるチェックシートや就活・面接対策をサポートするサービスの情報も掲載しているので、ぜひチェックしてみてください。

障害者雇用枠における採用面接の特徴

障害者雇用枠の求人に応募した場合、一般雇用枠と同じく、2回以上の採用面接があるケースが大半です。一般的に、まず人事担当者による面接を受けた後、配属予定の部署の責任者との面談を行うという流れで行われます。以前の採用面接は対面が基本でしたが、ビジネスのリモート化が進む近年はWeb面接も増え、より幅広い企業へ応募できるようになりました。

そもそも、企業が採用活動で面接を実施する目的は、応募者のことを深く理解するためです。応募者の経歴や身につけているスキル、受け答えの様子などから、各社とのマッチングと適性が判断されます。

特に障害者雇用においては、個々の障害特性の把握とそれに必要な配慮の検討のためにも面接が欠かせません。

障害者雇用枠の中途採用面接でよく聞かれる5つの質問と回答のポイント

障害者雇用の面接の様子

面接で質問者から聞かれることを想定し、事前に受け答えの内容を分かりやすくまとめておけば、印象アップにつながるでしょう。以下では、障害者雇用枠の採用面接でよくある質問例と、回答のポイントを解説します。

なお、新卒の方が障害者雇用枠の面接を受ける際の対策方法は、こちらの記事を参考にしてください。 【新卒向け】障害者雇用枠の就活面接の対策マニュアル

自己紹介・自己PR

自己紹介と自己PRは、一般雇用枠か障害者雇用枠かを問わず、すべての採用面接の基本項目です。エントリーシートの内容と本人の雰囲気を照らし合わせ、応募者の人となり・人柄がチェックされます。

一般的に、簡単な自己紹介から始め、質疑応答でその内容を深掘りし、最後に自己PRで締めくくるのが主な流れです。既卒・転職・再就職の場合は、上記に加え、保有する資格・スキルやこれまでに達成した実績が問われるケースも多い傾向にあります。

ただし、自己紹介・自己PRは時間制限が短く設定されている場合が多く、意気込んで長く話し過ぎるとくどい印象を与えかねません。そのため、要点を押さえて数分程度で説明できる量にまとめておくことが大切です。

志望動機

志望動機は、すべての採用面接で必ず聞かれる質問項目の一つです。主に、人事担当との面接の際に尋ねられるケースが多い傾向にあります。

志望動機でチェックされる内容は、就業意欲や仕事に対する適性、企業とのマッチングです。そのため、志望動機を考える際は、企業および業界分析が重要となります。

これまでの経歴や特技などを絡めたり、アピールポイントをより強く印象づけるエピソードを添えたりすることで、志望動機の説得力が増すでしょう。

障害の種類・特性と適切な対処法

障害に関することは、雇用する側、特に配属先の上司が詳しく知りたい情報です。そのため、障害者雇用枠の就職面接ではほとんどの場合、自分にある障害の種類とその特性について尋ねられます。

したがって、面接を受けることが決まったら、障害特性とできること・できないことなどを踏まえ、適切な対処法を簡潔にまとめておくとよいでしょう。また、現在の状態や生活・仕事上で気をつけることなども併せて伝えることで、問題なくはたらけることが伝わりやすくなります。

会社側へ求める対応

障害者雇用枠に応募した際の面接では、多くの場合、会社にどのような配慮を求めるのかが尋ねられます。合理的配慮や環境調整、残業の可否などは、本人およびその身近な従業員だけではなく、会社全体の方針に関わる内容だからです。

自ら申告するのはためらいを感じるかもしれませんが、採用後のミスマッチやトラブルを防ぐためにも、正直に伝えることをおすすめします。困難を感じる状況や通院の頻度、服薬およびその副作用の有無といった明確な理由と組み合わせて説明すれば、理解されやすくなるはずです。

なお、求める対応や配慮は、自己紹介や障害特性を伝える際に、自ら申告しても構いません。面接を複数回行う中で面接官が変わった場合は、情報伝達に食い違いが生じないよう、そのたびに伝えておくとよいでしょう。

これまでの経歴と前職の退職理由

転職や再就職で中途採用の面接を受ける場合は、前職の退職理由もよく聞かれる質問です。人事担当者から、転職活動を始めた理由も併せて聞かれるケースが多い傾向にあります。

経歴や前職の退職理由に関する質問は、本人の実績やスキルのほか、長期的に勤務できるかどうかがチェックされる項目です。退職理由を話すことに不安を感じる方もいるかもしれませんが、整合性や一貫性のあるポジティブな内容であれば、むしろ好印象を与えることにもつながります。

障害者雇用枠の最終面接で通過率アップにつながる逆質問

障害者雇用の人事担当

面接中、担当者から「何か質問はありませんか」と尋ねられることも多いでしょう。その際に尋ねる行為を「逆質問」といい、必ずしも実行する必要はないものの、内容によっては選考の通過率アップにつながる可能性があります。ここでは、障害者雇用枠の採用面接におすすめの逆質問をご紹介します。

障害者雇用の実績について

応募先の企業で実際にどのような障害のある人がはたらいているのかを聞くことで、就業後のワークスタイルがイメージしやすくなります。自分と似たような障害のある方が活躍している会社に就職すれば、活き活きとはたらけるほか、今後のキャリアアップの道が開ける可能性も高いでしょう。

ただし、すべての企業に必ずしも障害者雇用の実績があるとは限りません。障害者雇用の実績も含めて事前にきちんと研究しておくことで、業界の動向が探れるほか、応募先の企業に深い興味を持つ姿勢が示せるでしょう。

企業研究の際は、障害者専門の転職・就職エージェントの利用がおすすめです。企業ごとの障害者雇用の実績や取り組み、姿勢が手軽に分かるので、安心して就活が進められます。

入社までにやっておくべきこと

面接中に、入社までにやっておくべきことを事前に尋ねておくことで、就業の熱意や意欲がより強調できます。

また就業開始までに指示された内容を実践しておけば、業務や職場へスムーズに馴染みやすくなるため、一石二鳥です。

対策の必要ナシ!障害者雇用枠の面接で聞いてはいけない内容

障害者雇用枠の採用面接では、各種法律の規定により、差別的な発言や不当な扱いは禁止です。したがって、次のような内容は、基本的に対策する必要はありません。

  • 本籍や現住所
  • 親や家族構成といった自らのルーツ
  • 宗教や思想
  • ジェンダーに関わる質問(結婚、出産など)

上記の質問は、業務に関わる範囲を超えており、人権・プライバシー保護の観点から尋ねてはいけないルールになっています。そのほか、面接中に万が一、不快に感じる発言・態度があった場合には、各種就活支援サービスに相談するとよいでしょう。

障害者雇用枠の面接を成功へ導く5つのポイント

障害者雇用の面接の様子

障害者雇用枠の求人に応募し、面接が決まった際には、次の5つのポイントに留意して準備を進めてください。

  • 事前準備を徹底する
  • 服装・身だしなみや立ち振る舞いに注意する
  • 質問には正直に答える
  • ポジティブな表現に変換する
  • 障害者専門の転職・就職エージェントでアドバイスを受ける

事前準備を徹底する

採用面接の成功は、事前準備がきちんとできているかどうかにかかっているといっても過言ではありません。自己分析や業界・企業分析のほか、障害特性への理解も深め、想定した質問にスムーズな受け答えができるよう準備しておくとよいでしょう。

面接準備の際は、やることがたくさんあるため、項目をリストアップしておくと効率よく進められるはずです。以下に、障害者雇用枠での面接準備のチェック項目を実地・Webの2つのケースに分けて掲載しているので、確認の際にぜひお役立てください。

【障害者向け】面接準備チェックシート

障害者雇用枠の求人への応募段階では、履歴書対策として経歴の整理や自己分析を進め、それを自己PRや志望動機に落とし込む作業が必要です。また、面接時の持ち物・服装などもあらかじめ整えておかなければなりません。

面接の前日には、日時・場所やスケジュール、当日の流れを再確認してください。当日は、面接までの動きやマナーをおさらいしておくことで、落ち着いて対応できるでしょう。

障害者雇用枠の面接準備チェックリストおよびその詳細は、こちらの記事をご参照ください。
障害者転職で面接までにチェックしておきたいポイントとマナー【チェックリストつき】

Web面接の場合の事前準備

面接の形式がWebの場合は、必要な事前準備も通常とは異なります。

基本的に自宅で面接を受ける流れとなるため、ツールの動作環境を整えることが必要です。機器の動作チェックはもちろん、プロフィール写真や背景など、先方に開示される内容に問題ないかどうかも確認しておくとよいでしょう。くわえて、通信トラブルによる中断時の対処法や、その際の先方への連絡方法も確認しておいてください。

なお、Web上であっても採用面接であることに変わりないので、スーツもしくはオフィスカジュアルの服装で本番に臨めるよう準備しておきましょう。

Web面接およびその確認事項の詳細は、こちらの記事に掲載しています。ぜひ併せてチェックしてください。
障害者の転職ガイド|Web面接(オンライン面接)の基本マニュアルと準備

服装・身だしなみや立ち振る舞いに注意する

面接では話す内容だけではなく、応募者の身だしなみもチェックされます。清潔感があり、企業の雰囲気に応じた服装・髪型を心がけてください。

また面接での立ち振る舞いは、それがそのままビジネスシーンの応対だと判断されます。言葉遣いや身振り・手振りのほか、話すテンポやタイミング、目線や歩き方などにも注意しなければなりません。

身だしなみや受け答えの態度は自分では分かりにくい部分なので、主観だけではなく、身近な人やキャリアアドバイザーにチェックしてもらうと安心です。

質問には正直に答える

障害者雇用枠の採用面接で聞かれたことには、できる限り正直に答えてください。むやみに嘘をついたり、ごまかしたりすると、ミスマッチの原因になりかねません。

自らの障害に関することや、ネガティブなエピソードを話すと、悪い印象を与えそうで不安に感じる方もいるでしょう。しかし、障害者雇用枠は障害があることを前提とする求人のため、過剰な心配は不要です。

仮に、嘘やごまかした内容で採用された場合、通勤・就業上でさまざまな問題が発生し、定着の妨げとなります。ミスマッチやトラブルを未然に防ぐためにも、自らの障害特性およびそれに必要な配慮を正直に伝えておくことが重要です。

ポジティブな表現に変換する

たとえ事実だとしても、ネガティブな内容や他者への批判、責任転嫁のようにみえる発言はマイナスの印象を与えます。また、話すときの言葉選びだけではなく、口調や態度にも注意してください。

面接官の質問の意図を理解し、ネガティブに聞こえる内容でもポジティブに変換して伝えることで、好印象が与えられるはずです。

障害者専門の転職・就職エージェントでアドバイスを受ける

障害のある方が就活を始めるときは、障害者専門の転職・就職エージェントの利用をおすすめします。自らの障害特性に合わせてはたらける仕事が探せるうえ、専門的な知識・ノウハウを有するキャリアアドバイザーと一緒に面接の準備が進められるので、通過率がぐっと上がるでしょう。

さらに、定着支援付きの転職・就職エージェントなら、長期的により良くはたらける可能性が高まります。ハローワークといった公的機関と同じく、登録・利用料無料で相談できるサービスも多いため、気軽に利用できるのも大きなメリットです。

障害者雇用枠への応募と面接対策なら「dodaチャレンジ」へ!

障害者雇用枠の求人の採用面接でも、基本的な質問および回答は大きく変わりません。ただし、適切な配慮のある職場で活き活きとはたらくには、自身のアピールポイントだけではなく、障害特性まで正直に伝えることが必要です。また、事前準備には客観的な意見も重要となるため、障害者雇用のプロである転職・就職エージェントのサポートを受けることをおすすめします。

障害者雇用枠での就業を検討している方は、障害がある方のための転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」へご相談ください。非公開求人を含む豊富な求人からあなたに合う仕事を紹介するほか、応募書類作成・面接の指導から就業後の定着まで徹底的にサポートします。登録・利用はすべて無料です。ぜひお気軽にご登録ください。

公開日:2025/2/27

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア開発支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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