うつ病がある方の就活はどうする?よくある悩みと就職へ向けた最適解
うつ病になると、気分のひどい落ち込みや意欲減退、疲れやすさなどにより、就活に支障をきたすことがあります。無理してはたらいていると、心身の不調で継続が困難になり、定着につながらないケースも珍しくありません。
この記事では、うつ病がある方の就活の進め方と注意点、支援サービスについて解説します。
目次
うつ病があっても就活はできる!
うつ病があるからといって、就活を諦める必要はありません。雇用主には一定の法定雇用率以上の障害者を雇用する義務があるほか、障害を理由とする採用上の不当な差別が禁止されているからです。特に近年は、精神障害のある方を対象とする就活支援が充実しています。就職活動のオンライン化が進んでいることもあり、うまく活用することで無理なくはたらける仕事が見つかるはずです。
ただし、就活の目的は選考に通過することではありません。大切なのは、今後安定してはたらき続けられる仕事を見つけ、その場で自分らしく活躍することです。就業による自己実現のためには、障害特性への理解を深めるとともに、それを踏まえた適切な配慮が得られる仕事を見つけることが求められます。
うつ病のある方が思うように就活ができない要因
うつ病があっても、状態によっては就活は十分可能です。しかし、うつ病の特性を理由とする次のような困り事が、活動の妨げとなることがあります。
- 心身の調子が不安定になる
- 些細なことでひどく落ち込んでしまう
- 不安や焦りを感じやすい
- よく眠れない
- 発症したことを人に言いづらい
- 通院との両立が難しい
心身の調子が不安定になる
うつ病のある方は、心身に不調を覚えやすい傾向にあります。非常に疲れやすいほか、あらゆることに対する意欲が減退してしまうため、就活のモチベーションを保つのは容易ではありません。特に体調不良や気分の落ち込みがひどいときは、外出はおろか身体を動かすことすら難しくなり、就活どころではなくなってしまうでしょう。
些細なことでひどく落ち込んでしまう
うつ病になると、些細な失敗や出来事に思い悩んでしまいやすくなります。そもそも就活中は「就活うつ」という言葉があるほどストレスが溜まりやすい状況です。就職面接でミスや嫌なことがあったり、不採用の通知が来たりするたびに落ち込んで精神的に参ってしまい、症状が悪化しかねません。
不安や焦りを感じやすい
就活は、ただでさえ不安や焦りを感じやすいイベントです。うつ病があると、漠然とした不安感や焦燥感がさらに強まります。うつ病によって強調された気持ちの落ち込みや焦りが症状を悪化させ、就活が続けられなくなることも珍しくありません。
よく眠れない
うつ病のある方は、夜に眠れなくなりがちです。十分な睡眠がとれていないと、日中のパフォーマンスが低下し、本来の実力が発揮できなくなります。また突発的な眠気が起きやすいほか、朝起きられず面接に遅刻してしまう原因にもなりかねません。
発症したことを人に言いづらい
うつ病には「怠けている」「我慢が足りないだけ」といった偏見や差別的な誤解があり、それを恐れて開示せずに就活する方もいます。しかし、開示しないまま就活した場合、自身の病気が発覚する恐怖や不安から、精神的に大きな負担を感じる方もいるでしょう。自信を無くしてしまい、就職の可能性を自ら狭めてしまうことになるかもしれません。
通院との両立が難しい
うつ病の治療には、継続が肝心です。しかし就活中は、先方の都合に合わせなければならないシーンも多く、それが通院の妨げとなることがあります。また就活の際は、交通費や宿泊費などで出費もかさむため、経済的な理由から通院が難しくなる方もいるでしょう。しかし治療を中断してしまうと、うつ病の悪化を招き、就活がさらにうまくいかなくなるという悪循環に陥ってしまいかねません。
うつ病がある方は就活の前に職業準備性を高めよう
うつ病がある方の就活の基盤となるのは「職業準備性」です。障害者雇用における職業準備性とは、健康・習慣の管理といった就業の前提となる生活力を指します。職業準備性を高めるには、次の3つのポイントを意識してみてください。
- 生活リズムを整える
- 治療を継続する
- 公的支援サービスを活用する
生活リズムを整える
うつ病のある方が就活するにあたって、まずやるべきことは意識的に生活リズムを整えることです。うつ病になると、心身の不調や不眠から、生活が不規則になりやすいといえます。不規則な生活は、就活を妨げるほか、うつ病の悪化リスクを高める要因です。就寝・起床を一定のリズムに整えるほか、栄養バランスのとれた食事や適度な運動を心がけ、症状改善および就職後のスムーズな定着を促す生活基盤をつくりましょう。
治療を継続する
うつ病のある方が就活を始める場合は、医師の指導に従って通院と治療を続け、体調に注意しながら慎重に進めてください。また、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら徐々に回復していくため、一時的に好調になったからといって無理は禁物です。無理して就活を進めると、反動で症状が悪化したり、せっかく採用になってもはたらけなくなったりしかねません。不調時にはいったん就活をストップし、体調を整えてから再開するなど、長期的な視点で焦らず就活を進めることが大切です。
公的支援サービスを活用する
現在、国内ではうつ病などの障害がある方の生活や社会的自立、就業を支援する各種制度が整備されています。なお、うつ病のある方が利用できる代表的な支援サービスの例は以下のとおりです。
障害者向け公的支援サービスの種類 | 概要 |
---|---|
ハローワークの障害者関連窓口 | 障害者雇用の求人紹介および就活支援に特化したサービスを提供する |
地域障害者職業センター | ハローワークと連携した職業リハビリテーションを提供する |
障害者就業・生活支援センター | 障害がある方の就業・生活上のアドバイスや関連機関との連絡調整を行う |
就労移行支援事業所 | 一般就労を目指す障害者の方の就業訓練や就活のアドバイスを提供する |
自立支援医療制度(精神通院) | 精神障害による通院治療の費用の一部が公費負担になる |
高額療養費制度 | 精神障害の治療・入院にかかる一月あたりの費用が高額になった場合に、一定の自己負担限度額を超えた金額が支給される |
障害年金 | 国民年金に加入しており、支給要件を満たす20歳以上の方へ一定額の年金を支給する |
重度心身障害者医療費助成制度 | 障害のある方が支払う医療費の一部を自治体が助成する |
精神障害者保健福祉手帳 | 精神障害の程度を示す認定制度であり、等級に応じた障害福祉サービスが受けられる |
うつ病がある方の就職およびその間の生活に関する相談は、ハローワークの障害者関連窓口や地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターで受け付けています。自立支援医療制度(精神通院)や高額療養費制度、障害年金は、通院や生活に経済的な困難を抱えている方に有効な支援サービスです。
また精神障害者保健福祉手帳を取得すれば、障害者雇用枠の求人に応募できるようになり、特性に応じた合理的配慮を得てはたらけるようになります。支援の内容や申請方法は都道府県によって異なる場合があるため、利用を希望する際はまずお住まいの自治体の窓口に相談してみてください。
うつ病がある方の就活を成功へ導くポイント
次の3つのポイントを押さえて就活を進めれば、うつ病の特性に合わせ、自分らしく活躍できる仕事が見つけられるでしょう。
- 自己分析を深める
- インターンシップやオープンカンパニーへ参加する
- 障害者専門の就活エージェントを利用する
自己分析を深める
自分に合う仕事を探す鍵となるのが自己分析です。自己分析の結果は、自身にとっての就活の軸となります。自らの長所・短所や興味・関心、障害特性などへの理解を深めることで、必要なスキルや配慮の方向性が明確になり、就活がスムーズに進められるようになるはずです。
インターンシップやオープンカンパニーへ参加する
新卒大学生の方が就活する際は、インターンシップやオープンカンパニーへの参加をおすすめします。インターンシップとは、企業や職業に対する理解を深めるために開催される体験型プログラムです。一方オープンカンパニーとは、企業や業界に関する情報が得られるキャリア形成支援プログラムであり、職業体験を伴いません。
障害のある方を対象とするインターンシップやオープンカンパニーもあり、参加条件やプログラムの内容・期間は企業によってさまざまです。積極的に参加することで、仕事に対する理解が深まり、就職後のミスマッチが防げるでしょう。いずれも就活の一環ではありますが、必ずしも選考に直結するわけではないため、気軽に参加してみてください。
障害者専門の就活エージェントを利用する
うつ病があり、就活に不安や心配を抱えているなら、障害者専門の就活エージェントに相談してみませんか。障害者専門の就活エージェントとは、障害者手帳を取得している方に対し、特性に合わせてはたらける求人の紹介と就職活動の支援を提供するサービスです。自己分析やエントリーシートの作成、面接準備など、就活の各段階で障害者雇用のプロから全面的にフォローしてもらえます。
また就活エージェントは、求職中の方と企業の橋渡し役として、障害に関する配慮事項の説明や日程調整、合理的配慮に基づく環境調整の助言なども行います。内定が出るまでだけではなく、入社後の就労に関する相談も可能です。
現在の住所や希望の勤務地にかかわらず相談が可能なサービスも多いので、ぜひ一度問い合わせてみてください。
うつ病のある方の就活相談は「dodaチャレンジ」へ
うつ病があると、その特性から、就活が難しく感じることもあるでしょう。とはいえ、職業準備性を高め、自身や業界への理解を積極的に深めれば、道はきっと開けるはずです。また、就活や生活に関する悩みや困り事は、各種支援機関の手が借りられるので、一人で抱え込む必要はありません。
うつ病で障害者雇用を目指している方は、ぜひ「dodaチャレンジ」へご相談ください。一人ひとりの希望や特性に合わせ、納得のいく就職・転職の選択肢を一緒に探しましょう。
まずは、キャリアアドバイザーに転職相談を

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キャリアドバイザーが親身にお話をうかがいます
公開日:2025/5/29
- 監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
- 上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■障害者職業生活相談員