うつ病からの再就職は難しい?経歴にブランクがある場合の再就職までの流れとポイント

キャリアカウンセリング中の男性のイメージ

うつ病の治療中の方やしばらく離職されている方が再就職を目指す場合、「再就職できるか不安」「経歴にブランクがある」などの悩みがある方は多いでしょう。

再就職には時間がかかりますが、いくつかのポイントを押さえて準備することで、安心してはたらける職場に再就職できるようになります。本記事では、うつ病のある人がブランク後に再就職する流れや注意したいポイントを解説します。

うつ病から再就職するまでのステップ

うつ病のある人が再就職を焦ると、再発や悪化につながってしまいます。そのため、次のステップを意識して再就職に備えましょう。

  • ステップ1:治療に専念する
  • ステップ2:職業準備性を整える
  • ステップ3:就職活動をする
  • ステップ4:再発を防ぎながらはたらく

ステップ1:治療に専念する

再就職はうつ病の症状の安定が大前提となるため、まずは治療に専念してうつ病の症状を安定させる必要があります。医師やカウンセラーのサポートを得ながら、独断で治療を止めることなく継続してください。焦りや不安を強く感じることもありますが、焦らず心身の回復を待つことが何よりも大切です。

ステップ2:職業準備性を整える

十分に休んで日常生活への行動意欲が戻ってきた段階でも、まだ体力や思考力が低下している状態なので、そのまま再就職すると心身に大きな負担がかかります。無理にはたらこうとすると症状が悪化して、回復までの時間が長くなってしまいます。そのため、まずは生活リズムを安定させて軽い運動を日課にするなど、徐々にコンディションを戻していくことが重要です。

また、うつ病の場合はどうしても仕事のブランクが長くなるので、はたらくための準備も欠かせません。後述するように、はたらくための知識・スキル習得のサポートが得られる「就労移行支援」を利用すると、職業準備性を効果的に整えられるでしょう。

ステップ3:就職活動をする

体調が安定して再就職する準備が整ったら、求人への応募や履歴書作成などを行い、治療も続けながら転職活動を始めましょう。うつ病などの精神疾患で障害者手帳を取得している場合は、障害者雇用枠での再就職という選択肢もあります。

障害者雇用では、業務のために必要な配慮やサポートが得やすいので、安心してはたらける環境で就労できることが魅力です。どのような条件の求人が向いているか、どんな配慮事項が必要か分からない場合は、後述する支援機関に相談することで適切なアドバイスが得られます。

ステップ4:再発を防ぎながらはたらく

うつ病から再就職したあとは、再発を防ぐことが何よりも大切です。治療を継続しながらはたらくことはもちろん、最初は残業や休日出勤を避けて十分な休養を意識して、無理せずはたらくことを意識しましょう。障害者雇用枠であれば、働き方や勤務時間などで配慮が得やすいので、再発リスクを抑えてはたらくことができます。

うつ病から再就職するためのポイント

うつ病のある人が再就職する際は、次のポイントを意識することで安定してはたらきやすくなります。

  • 治療を続ける
  • 決断を焦らない
  • 一人で判断しない
  • 適切な働き方を考える
  • 自己分析で自己理解を深める

治療を続ける

うつ病は「寛解(かんかい)」、つまり症状が落ち着いた状態になるまで、治療を続けることが大切です。再就職を急ぐあまり、自己判断で治療を中断するケースは多いですが、症状が再発・悪化してかえって再就職まで時間がかかってしまいます。

さらに、寛解は完治ではないため、再発のリスクは常にあります。そのため「うつ病とうまく付き合いながらはたらく」という意識を持つようにしましょう。

決断を焦らない

うつ病が悪化してしまう要因のひとつが「焦り」です。うつ病を治療するために療養しているときは、「迷惑をかけてしまう」「転職に不利になってしまう」などの不安から、どうしても気持ちが焦ってしまうものです。

しかし、前述したようにまずは寛解の状態まで持っていくことを心掛けてください。うつ病の症状が強いときは、正常な意思決定が難しく極端な思考になりがちなので、再就職のような重大な決断は落ち着いてから行いましょう。

一人で判断しない

うつ病の症状が強いときは悲観的になり、「自分にはこの道しかない」「今やらなければ後がない」など思い詰めてしまうものです。一人で抱え込むとなおさら深刻な思考に陥るので、主治医や家族など信頼できる人に相談してみましょう。再就職や転職については、後述する支援機関やサービスを活用してみてください。

適切な働き方を考える

うつ病の症状が落ち着いてきたら、「自分にとってどんな働き方が向いているか」を考えてみましょう。ご自身の症状を把握したうえで、「何がストレスになるか」を軸にすると分かりやすくなります。

例えば、通勤ラッシュがストレスになるのであれば、時差出勤やフレックスタイム、在宅勤務など柔軟な働き方が選べる会社にすることで、再発リスクを抑えてはたらきやすくなるはずです。うつ病はストレスが原因で再発・悪化するため、「ストレスが少ない働き方・職場」は安定就労の絶対条件といっても過言ではありません。

自己分析で自己理解を深める

うつ病からの再就職を成功させるためには、ご自身に向いている業界・業種や強みに加えて、ストレスへの対処法を知ることが大切です。例えば、業務量が増えるとプレッシャーで精神的な症状が悪化しやすい場合は、業務量を調整してもらえるように配慮を求めるなどです。

こうした自己理解は、再就職の面接時に「うつ病と向き合えている」ことをアピールするために役立ちます。障害者雇用では障害や疾患があることが前提なので、いかに障害と付き合いながらはたらけるかが重要視されます。

うつ病からの再就職に向いている仕事・職種

PCのイメージ

うつ病からの再就職を成功させるためには、ストレスを軽減しながら、ご自身の適性や症状に合った環境ではたらける仕事を探すことが大切です。特に次のような仕事は、うつ病の人に向いているといわれています。

  • イレギュラーが少ない定型業務
  • 自分のペースで進めやすい仕事
  • コミュニケーションが少ない仕事

イレギュラーが少ない定型業務

イレギュラーが多く臨機応変な対応が求められる仕事はストレスを感じやすいため、うつ病がある人は避けたほうがいいでしょう。マニュアル化された定型業務やルーチンワークが多い、例えば事務職や軽作業などの仕事であれば、比較的ストレスを軽減しやすくなります。体調不良や通院などで休む場合でも、ほかの人に仕事を任せやすいので安心です。

自分のペースで進めやすい仕事

自分のペースで取り組みやすい仕事は、うつ病がある人に適しています。例えば、事務・経理・エンジニア・研究職などは、それぞれのタスクをこなすことが求められるため、ほかの人の影響を受けることが少ない仕事です。納期に余裕があって業務量を調整しやすい環境であれば、体調や気分の変化にも柔軟に対応しやすいでしょう。

コミュニケーションが少ない仕事

うつ病がある人にとって、過度なコミュニケーションは不安やストレスの原因となり、症状の再発や悪化を招くことがあります。そのため、必要以上に他人と関わる必要がなく、休憩や食事のときもひとりで過ごしやすい環境が理想的です。例えば、事務職やエンジニアなどの職種は、個人作業が中心でコミュニケーションが求められる機会が比較的少ないので、うつ病がある人に向いているといえます。

うつ病から再就職するために役立つ就労支援機関・サービス

うつ病のある方が再就職するために、次のような就労支援機関・サービスが役立ちます。

  • 就労移行支援事業所
  • リスキリング講座
  • 障害者専門の転職エージェント

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所」は、就労に必要な知識・スキルを定着させるために、職業訓練を受けることができる機関です。症状や特性に応じたきめ細やかなサポートが受けられるので、再就職に不安がある場合に向いています。転職後も定着支援として悩みの相談ができるので、再就職後も安定してはたらきやすくなります。

リスキリング講座

リスキリングとは、キャリアアップを目指すために、個人が新たなスキルを習得することです。うつ病で経歴にブランクがある場合、再就職のために必要な知識・スキルが不足している可能性があります。リスキリングで新たなスキルを習得することで、再就職のための準備を整えるとともに、仕事の選択肢が増えるでしょう。

障害者専門の転職エージェント

うつ病からの再就職を目指す際は、「障害者向けの転職エージェント」の活用がおすすめです。精神疾患がある方のサポート実績が豊富なキャリアアドバイザーに伴走してもらうことで、あなたに向いている仕事や必要な合理的配慮などについて把握し、はたらきやすい職場を探せます。

うつ病から再就職に成功した事例

障害者向けの転職エージェント「dodaチャレンジ」を活用し、うつ病のある方が再就職に成功した事例をご紹介します。

  • 一般雇用の職場を退職後に自分のペースで再就職を実現
  • ブランクを経て時短勤務から再就職を実現
  • うつ病を繰り返したあとに契約社員から正社員登用へ
  • 安定就労を求めて特例子会社に再就職

一般雇用の職場を退職後に自分のペースで再就職を実現

大学生のときにうつ病を発症したA.S.さんは、新卒入社後に休職と復職を繰り返した前職を退職したあと、dodaチャレンジに登録して再就職しました。転職活動を始めたころはブランクもあり、「はたらいていない自分はダメだ」と思い詰めることもありましたが、今では毎日「楽しい」と感じながらはたらけています。

ブランクを経て時短勤務から再就職を実現

アパレル会社ではたらいていたK.K.さんは、忙しさから適応障害になり、事務職に転職後も激務で体調を崩してうつ病を発症しました。就労支援移行事務所でストレス対処法を身に付けてからは「生きづらさ」が和らぎ、2年間のブランクを経てdodaチャレンジで再就職を目指しました。不動産管理の事務職への転職に成功し、時短勤務で無理なくはたらけています。

うつ病を繰り返したあとに契約社員から正社員登用へ

W.K.さんは20代でうつ病を発症し、それからは症状の悪化と退職・転職を繰り返していました。ADHDの診断も受けて障害者手帳を取得し、dodaチャレンジで障害者雇用枠での再就職を目指しました。1年半のブランクがありましたが事務職として転職し、その後はキャリアアップのための転職にも成功するなど、充実した働き方ができています。

安定就労を求めて特例子会社に再就職

50代でうつ病を発症したU.D.さんは、休職後に転職しましたが、焦りから無理をして再発してしまいました。就労移行支援事業所に通所したあとは、うつ病と向き合えるようになり、ブランクを経てdodaチャレンジでの再就職に挑戦しました。特例子会社の事務職に転職し、配慮を受けながら無理せずはたらくことができています。

うつ病からの再就職は「dodaチャレンジ」に相談!

外回り中の女性のイメージ

うつ病からの再就職を実現するためには、まずは決断を急がずに症状が安定するまで治療を続けることが大切です。再就職について冷静に考えられる段階になったら、ご自身に適した働き方について考えてみてください。うつ病のある方には、自分のペースで進めやすい仕事や、コミュニケーションの機会が少ない仕事が向いています。

うつ病のある方が再就職を目指すときは、パーソルダイバースの転職支援サービス「dodaチャレンジ」がおすすめです。支援実績が豊富なキャリアアドバイザーが、あなたの「自分に合う仕事が見つかるか」「再発せずにはたらき続けられるか」といった不安と向き合い、再就職を実現するためにサポートします。

公開日:2025/11/27

監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■障害者職業生活相談員
  • dodaチャレンジで、専任のキャリア
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