軽度知的障害のある方の仕事探し|より良くはたらき続けるための基礎知識
軽度知的障害がある方は、精一杯取り組んでも仕事が覚えられなかったり、思わぬミスや失敗を繰り返してしまったりして、はたらきづらさや生きづらさを感じることも少なくありません。
就職活動の際やはたらいてみて初めて障害があると分かるケースもあり、この先の働き方に悩んだり、転職を考え始めたりしている方もいるでしょう。この記事では、軽度知的障害のある方が安定した長期就労を目指すためのポイントを解説します。
目次
軽度知的障害とは
まず、軽度知的障害とはどのようなものなのかをおさらいしていきましょう。
軽度知的障害の定義
知的障害の程度は、知能指数(IQ)と適応機能の基準(日常生活能力水準)の2つの指標の組み合わせで程度判定が行われます。そのうち「軽度知的障害」とは、IQ50~70程度の方が分類される区分です。いずれの区分も、知的能力の遅れが発達期(18歳程度)までに発覚した場合に診断され、障害者手帳(療育手帳)の交付対象となります。
軽度知的障害の特性
一般的に、軽度知的障害のある方は、日常生活における身の回りのことや、簡単な学習・作業を問題なく行えることが多いといえます。しかし、複雑な文字の読み書きや計算は困難です。また、マルチタスクや状況に応じた臨機応変な判断・対応、あいまいな指示の理解などの高度な作業も難しい傾向にあります。
ただし、軽度知的障害の特性は人それぞれであり、一見すると健常者と大きな差がないように見える方も少なくありません。そのため、周囲から障害の苦しみや困難を理解されず、生きづらさを感じている方もいます。また、症状が軽いことから、幼少期に見過ごされたまま健常者として成長し、大人になってからや仕事を始めた後に気づくケースもあります。
軽度知的障害のある方が仕事で自分らしく活躍するために大切なこと
軽度知的障害のある方がより良く生きていくためには、自分らしく活躍できる仕事を見つけることが大切です。ここでは、個性や特性に合わせて無理なくはたらける仕事を見つけるための4つのポイントについて説明します。
自らの障害特性を正しく理解する
軽度知的障害のある方が長期的に安定して就労するための第一歩は、自らの障害特性を理解し、受け入れることです。障害特性や必要とする配慮事項への理解度が高いほど、就労に対する満足度が高い傾向にあります。
また、特性の把握は、配慮事項を周囲へ明確に説明し、理解を得るためにも必要なプロセスです。一般的に、軽度知的障害のある方は、データ入力中心の事務職や軽作業など同じ作業の繰り返しやイレギュラーな業務が少ない仕事に向いているといわれています。
とはいえ、障害特性や希望する働き方は人それぞれです。第三者のアドバイスも参考にしつつ、自分に合った仕事や働き方を探っていきましょう。
合理的配慮が得られる仕事に就く
軽度知的障害のある方が無理なくはたらくには、適切な合理的配慮の得られる仕事・職場であることが前提となります。障害を開示し、それを自他ともに受け入れたうえではたらける仕事を選ぶことが重要です。
適切な合理的配慮が得られる仕事の代表格として「障害者雇用枠」や「特例子会社」の求人が挙げられます。また、障害者雇用の実績の多い企業の求人もはたらきやすい環境が整っている可能性が高いです。
仕事や就職活動に関する相談先を確保する
就業中や就職活動中、困ったときに頼れる相手がいれば、自身の心の支えにもなり、安心して取り組めるようになります。必要に応じてアドバイスや改善策を示してもらえるほか、仕事における報告・連絡・相談の徹底にもつながるでしょう。
まずは家族や上司など、身近な人に相談してみてください。加えて、かかりつけ医や職場の産業医、プロのキャリアアドバイザーなどの専門家の意見も取り入れることで、課題が明らかになり、スムーズな解決につながります。
就労支援サービスを活用する
軽度知的障害のある方が、単独で自分に適した仕事や働き方を見つけるのは容易ではありません。そこで、次のような障害者専門の就労支援サービスを活用することで、活き活きとはたらける仕事や働き方が見つかりやすくなります。
| サービス名 | 主な支援内容 |
|---|---|
| ハローワークの障害者窓口 | 求人紹介、就職活動の指導・助言、セミナー・面接会の開催、ハロートレーニングの実施など |
| 地域障害者職業センター | 職業相談・職業評価、職業準備訓練、ジョブコーチ派遣など |
| 障害者就業・生活支援センター | 就職相談、就職準備訓練、職場定着支援など |
| 障害者専門の転職・就職エージェント | 求人紹介、就職活動の指導・助言、キャリア形成アドバイス、就職後のフォロー |
ハローワークや地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどの公的支援機関の特徴は、地域の支援機関と連携した包括的なサポートが受けられることです。障害者専門の転職・就職エージェントでは、知的障害への深い理解と専門性、豊富な支援実績を持つプロのキャリアアドバイザーが、あなたにぴったりの求人の紹介や応募書類の作成、面接対策など、一人ひとりの特性や症状に合わせて個別サポートを提供します。
軽度知的障害のある方が抱えがちな仕事の悩みと「dodaチャレンジ」の支援実績
障害者向け転職・就職エージェント「dodaチャレンジ」は、これまで数多くの障害のある方を支援してきました。ここからは、軽度知的障害のある方の仕事や仕事探しに関するよくある悩みと、関連する支援事例を紹介します。
仕事が続かない
軽度知的障害があると「自分では頑張っているのに仕事が思うようにできない」「人間関係がうまくいかない」などの理由から、一つの仕事が長続きしない、すぐに契約を打ち切られてしまうと悩む方も珍しくありません。また、実際にはたらいてみて初めて知的障害があることに気づく方もいます。短期間で職を転々とすると、経済的に安定しにくいほか、キャリアが形成できません。
「dodaチャレンジ」は、仕事が長続きしないことから違和感を覚え、障害者認定機関を受診して初めて軽度知的障害があると分かった方からご相談いただきました。そこで、非公開求人を含む求人から本人の希望や特性を踏まえた仕事を紹介し、求人票では分からない職場の雰囲気や実際にはたらいている方の話なども伝え、安心して就職活動に取り組めるようサポートしました。最終的に、本人にとって落ち着いて仕事ができる職場への転職に成功しています。
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自分に合う仕事がない
軽度知的障害のある方が一般企業に就職する場合、一般枠と障害者雇用枠の2つの選択肢があります。しかしいずれの枠で就職活動に励んでも、うまくいかなかったり、希望条件に合う仕事が見つからなかったりして、派遣やアルバイトに従事するしかない方もいます。
「dodaチャレンジ」では、文章の暗記が苦手だという方の特性を踏まえ、ウェブ障害特性への理解や配慮のない対応を受ける経由での模擬面接・質疑応対の練習など実践的な対策を提供しました。その結果、経済的にも精神的にも安心してはたらける仕事を見つけ、将来的なキャリアアップも考えられるようになったそうです。
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障害特性への理解や配慮のない対応を受ける
軽度知的障害のある方は、一見すると障害の有無が分かりづらいことがあり、障害特性への理解や配慮のない業務分担や配置による過労やストレスに悩む方も少なくありません。職場の協力や環境改善が難しい場合は、無理なくはたらける仕事への転職が推奨されます。
「dodaチャレンジ」では、前職で配慮が得られないことに悩んでいた方の不安な気持ちへ丁寧に寄り添い、就職活動のモチベーションが維持できるようサポート。身だしなみや履歴書・職務経歴書の書き方、面接対策など、就職活動に関するノウハウを一から支援しました。その結果、無理なくはたらける仕事に就き、休養や趣味の時間がしっかり取れるようになってプライベートも充実していると喜びの声が寄せられています。
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仕事に関する悩みを相談できない
軽度知的障害のある方が仕事をしていると、悩みが出てくるのはよくあることです。しかし、相談相手がおらず、一人で抱え込んでいるケースも珍しくありません。特に、障害者雇用の実績のない企業に就職すると、受け入れ体制が十分に整っておらず、長期就労につながりにくい傾向にあります。
「dodaチャレンジ」では、相談相手がいないことに悩んで転職を決めた方からの相談を受け、本人の特性や得意なことを踏まえて障害者雇用に積極的な企業の求人を紹介しました。就職活動中の不安や焦りにも寄り添い、安心して取り組めるよう二人三脚でサポート。その結果、やりがいが感じられ、前向きに頑張れる仕事に就くことに成功し、楽しく充実した毎日を送れるようになったそうです。
軽度知的障害のある方が自分らしくはたらける仕事がきっと見つかる
軽度知的障害があっても、理解と配慮のある仕事と出会うことで、自分らしくはたらき続けられます。就労支援サービスを活用し、障害特性への理解を深め、合理的配慮の得られる仕事を見つけましょう。
軽度知的障害があり、仕事や仕事探しに悩んでいるならぜひ「dodaチャレンジ」へご相談ください。知的障害のある方専任のキャリアアドバイザーが、一人ひとりの特性や悩み、適性に合う求人やキャリアプランニング、転職・就職活動のサポートを完全無料で提供します。新卒・既卒・第二新卒での支援実績も豊富にありますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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公開日:2025/11/28
- 監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
- 上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■障害者職業生活相談員
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