私が社会不安障害を発症したのは、10年ほど前になります。あるIT系人材派遣会社で勤務していたときでした。システムエンジニアとして、クライアントに説明したり、折衝する場面で、人前で話すことがとても辛く、ストレスに感じたんですね。そのうち、うまく話そうと思うと言葉に詰まったり、声が出なくなったり、蕁麻疹が出るなど、心身に不調が出るようになりました。
一時的に休職したりしながら仕事は継続しましたが、後になって精神科を受診した際に、社会不安障害との診断を受けました。
もともとシステムエンジニアという職業は、一人でコツコツと仕事を進めるところがあるので、薬の服用でなんとか症状を落ち着かせて、はたらき続けることはできました。しかし、職場に行けば、挨拶や日常会話なども含め、人とのコミュニケーションをとる必要はありますよね。最低限の会話でさえも、私は、自分の不安症によって、また人に迷惑をかけてしまうのではないかと心配になっていました。
障害者採用枠での転職を希望するも、求人がない熊本
発症から7年ほど経った頃、コミュニケーションに不安を抱えながらはたらく以外の選択肢はないのだろうか、と考え始めていました。そしてインターネットで情報収集し、「障害者採用枠」の存在を知りました。障害者手帳を取得すれば障害者採用枠ではたらけることを知り、障害について理解のある環境で仕事ができるなら安心だと思いました。
すぐにでも転職したいと思い、私はさっそく主治医に相談し、障害者手帳を取得しました。ところが、当時の熊本では、精神障害の受け入れがある企業や、SEのキャリアを活かせるような障害者枠の求人に出会えませんでした。今から3年ほど前のことです。ハローワークやdodaチャレンジ、そのほかの障害者専門のエージェントにも登録しましたが、条件の見合う求人はほとんどありませんでした。私は熊本からは離れたくないと考えていましたし、転職しようにも求人がないのですから、なんとか病気と折り合いをつけながら、仕事を継続していました。