私が、発達障害の可能性を考えて、病院を受診したのは、30代になってからです。当時、私は、クラウドソーシングを活用しWebデザイナーとしてフリーで仕事をしていました。徐々に仕事も増えていき、忙しくなったタイミングで、同居していた母が、私の体調に波があることに気づき、受診を勧めてきました。今思えば、フリーなので、相手企業と直接コミュニケーションを行わなければならないことも、ストレスだったのかもしれません。私自身も、体調が良くないと思っていたのと、そして以前、会社勤めをしたときに感じていた周りの上司や同僚との違和感もあったので、病院に行ってみることにしました。
最初に受診した心療内科では診断がつきませんでしたが、その後、別の発達障害専門のクリニックでASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。そのとき、ほっとした気持ちになったことを覚えています。これまでうまくいかなかった原因が分かったからです。
演奏家からWebデザイナーへキャリアチェンジ
現在、私はWebデザイナーですが、その前は、音楽関係の仕事をしていました。音大で鍵盤楽器を専攻し、卒業後は、5年間、演奏家として活動しました。コンサートホールの運営管理の仕事にも就きました。その後、将来のことを考え、昔から音楽と同じくらい好きな分野だったWebデザインを学んで、キャリアチェンジをすることにしました。自分なりに音楽の世界はやり切った実感もあったことから、仕事と並行しながら、Webデザインを学ぶためスクールに通いはじめました。
8ヶ月間通学したスクールで身に着けたスキルで、私はWeb制作会社に転職しました。しかし、入社してすぐ、周りの社員とどのようにコミュニケーションをとったら良いのかわからず戸惑い、悩んでしまいました。また忙しい職場で毎日遅くまで残業が続き、心身が疲れ切ってしまいました。私は、「自分には会社勤めは合わないのかもしれない」と判断し、4ヶ月で退職しフリーランスとしてはたらくことにしたんです。
ASD(自閉スペクトラム症)の特性理解と対処方法を学び、再出発
フリーで仕事を始めて2年ほど経った頃、ASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。診断を受けたことで、今まで周りとのコミュニケーションが難しいと感じていた原因が障害によるものであった事、また障害の特性への対処方法を理解でき、少しずつ自信を回復し、もう一度、会社員としてはたらいてみたいと考えるようになりました。そして、障害者雇用枠で転職活動をするためにdodaチャレンジに登録しました。