Progress -女性活用の先駆社-

男女雇用機会均等法が施行されて約30年。さまざまな制度の整備などによって、女性活用が推進されてはきたが、本当の意味での活用はまだまだ進んでいない。そして今あらためてその必要性が叫ばれている。そのような中、先駆者的に女性活用を進めてきた企業がある。それらの企業はこれまで、どのような課題にぶつかり、それをどのように乗り越えてきたのか。また今後、どう前進していくのか。先駆“社”をレポートする。

掲載日:2013年11月11日

Progress story #03 日本マイクロソフト株式会社

(写真右)

佐藤 千佳 氏 執行役 人事本部長

2011年9月に中途入社し、現職に就任。女性の人材育成やリーダー育成、組織開発などを専門に、国内メーカーや大手外資系企業などの人事部門でキャリアを重ねてきた。

(写真左)

阿部 レナ 氏 人事本部 採用グループ シニアマネージャー

2013年7月に中途入社し、現職に就任。ワシントン州立大卒業後、マイクロソフト本社に技術者として5年勤務。その後、数社のグローバルIT企業にてプロダクトマーケティングや技術営業を経験。「技術の分かる採用担当者」として人事採用を専門に担当している。

実は多い管理職を志す女性たち。女性活用のアイコンカンパニーとして、ダイバーシティを推進する。

定着まで何度も失敗した在宅勤務制度

女性活用DATA

女性役員比率

2割程度

在宅勤務制度

部門や理由を問わず、最大週3日まで。特別な理由がある場合は週5日まで

看護休暇制度

育児や介護などの理由で、年間5日まで有給休暇が取得可能

日本マイクロソフトの女性活用は「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」(※)の一環として、10年以上にわたって推進しされてきた。女性のキャリア構築について話し合う社内イベント「ウィメンズカンファレンス」(のちに、男性社員も交えて幅広く議論しようと「ダイバーシティ フォーラム」に改称)が2005年に、ママ社員、パパ社員による「ワーキング ペアレンツ コミュニティー」が2006年にそれぞれ発足。「福利厚生の制度面を拡充してほしいという要望が高まり、2007年度から在宅勤務を段階的に導入することになりました」と佐藤氏は振り返る。

「外資系でITインフラが整っているマイクロソフトなら、在宅勤務なんて当たり前と思われるかもしれませんが、導入には何度も失敗を繰り返しました」と佐藤氏は言う。障壁となったのは“マインド”の部分。管理職は、目の前にいない部下をどうマネジメントすべきか悩み、部下は上司に仕事ぶりが認められないのではという不安が強かった。制度の有用性が実感されたのは、2011年の東日本大震災がきっかけだった。出社が難しく、在宅勤務をせざるを得ない状況だったが、社員の成果の低下や残業の増加は見られず、それまでの懸念が払しょくされた。それ以降、制度として定着し、今では週1回の在宅勤務の利用者は100人を超えた。

インクルージョンとは、包括、一体性の意。ダイバーシティ&インクルージョンとは、多様な人材の雇用・育成を目指すダイバーシティをさらに推し進め、組織・制度づくりへの参加を促していく試みを指す。

社員の”草の根”から人事主導へ、そして全社的な取り組みへと進化

人事主導で進めてきた制度面の充実がいち段落し、2010年ごろからD&Iは新たな局面に。D&Iを重要な経営戦略として位置づけ、トップダウンで全社的な取り組みを進めることになった。役員や管理職による女性社員のメンタリングの義務化や、全社員が年1回は何らかの形でD&Iの活動に関わることが評価項目に加えられた。

2012年には「ダイバーシティ リーダーシップ チーム(DLT)」が発足。これは、各部門から代表者が30人前後集まってテーマごとにチームを組み、トップと現場の社員とをつなぐ役割を果たしている。「代表者を1年交代とすることでより多くの社員を巻き込み、D&Iを現場に浸透させていくのが狙いです」と阿部氏は語る。また「IT Women's Workshop あなたの周りにロールモデルはいますか?」と題した社外の女性技術者を対象にしたセミナーや、理系女子中高生向けの勉強会など、社外向けの取り組みも実施している。「女性の数自体が少ない業界。その中で人材を取り合っていてもしょうがない。理系女性の絶対数を増やして、業界全体のダイバーシティを推進していきたい」(阿部氏)とIT業界の底上げにも力を注ぐ。

成果は確実に現れている。日本の働く女性比率が約4割なのに対して、IT業界平均は3割弱と少ないのが現状だ。日本マイクロソフトも例外ではなかったが、2013年6月末時点でこの数値を超えた。男性社員の平均を大きく上回っていた女性の退職率も、男性と同程度まで引き下げられた。現在、新卒採用者の約半数が女性と、採用の女性比率は高まっているが「女性管理職を増やしていくことが今後の大きな課題」と佐藤氏はさらにその先を見つめている。

管理職を目指す女性が実は多いことが明らかに

2015年に、IT業界でダイバーシティや女性活用のアイコンカンパニーになることを目指す日本マイクロソフト。これまで女性社員は「管理職になりたがらない」と認知されてきたが、あらためて女性社員にヒアリングをしてみると、予想に反して管理職になりたいという人が多かった。「これまでも潜在的に管理職を目指す女性は実は多かったのかもしれません。ただ会社側がそれをきちんと引き出せていなかった。若い時に昇進を断ったとしても、ライフステージの変化などによって気持ちは変わるので『あの人は管理職志向ではない』と決めつけてはいけないことも痛感しました」と佐藤氏は語る。

管理職志向の女性を登用するために必要なのが「家庭との両立など、さまざまな理由で二の足を踏んでいる女性社員に対して『やってみたいのであれば、実現できるよう一緒に考えていこう』というカルチャーの浸透」と阿部氏は強調する。さらに「カルチャーの浸透に特効薬はないというのがこれまでの実感です。ただ、在宅勤務も時間はかかりましたが、出社して仕事をするべきという考えを変えることができました。オセロのように、どこかのポイントで一気に変革が起きる可能性もあると思っています」。管理職の育成のために、女性をプロジェクトリーダーに登用したり、経営陣にプレゼンする機会を与えたりして成功体験をさせる取り組みも始まっている。「こうしたトライ&エラーを積み上げ、本当にD&Iが必要だと認識する管理職や社員を増やしていく」(佐藤氏)。これをミッションに、日本マイクロソフトは前進を続けていく。

COMPANY DATA

企業名
日本マイクロソフト株式会社 (Facebook : https://www.facebook.com/msrecruiting
設立
1986年2月
事業内容
コンピュータソフトウエアおよび関連製品の営業・マーケティング
従業員
2,225名(2013年7月1日現在)

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