失敗事例に学ぶITエンジニアの「社内SE」転職成功法
IT・Web領域専任キャリアアドバイザーの中村 友香です。
社内SEは、大手企業と中堅企業とで事情が大きく違います。どのように違うのか、転職失敗事例を題材にお話ししましょう。
まず、転職希望者の人気が高いのは大手企業です。「自分が知っている会社の社内SEは面白そう」と思う方が多いようです。現実には、必ずしも大手だからお薦めできるとは言い切れません。
■大手企業に転職できたものの「こんなはずでは」
ご友人の紹介である大手企業の社内SEに転職した方のケースです。その方は、大手企業でIT戦略に関わることが希望でした。複数のシステムを「横串」で見て全体最適となるIT戦略を立案したかったのです。ところが、実際に転職してみると、企業規模が大きすぎ、システムのエンドユーザーと直接話をする機会を持てず、具体的な戦略立案に関わることもうまくいきませんでした。その方の仕事内容は、企画というより、現場側がまとめたシステムへのニーズを、開発するベンダーに橋渡しする役目だったのです。
この方の場合、実は成長中の中堅企業の方が向いていたのです。日本の大手企業の場合、入社してすぐに重要な企画に関わるチャンスはなかなかめぐってきません。中堅企業の場合、より早い時期にシステム全体に向き合うことが可能です。
問題は、書類選考や面接の段階で仕事内容がうまく把握できなかったことにあります。「企画の仕事ができますか?」「できますよ」という簡単なやりとりはありましたが、相手の方は人事部門なので、ITエンジニアとは認識のギャップがあったのです。
その一方で、成功した社内SEへの転職事例もあります。この方は、医療系の200~300人規模の企業の社内システム部門へ転職しました。社内システム全体を見ることができ、最近ではM&A(企業買収)に伴うシステム統合にも関わる機会も持てました。ご本人からも「充実しています」というお話をうかがっています。
もちろん、単純に大手企業よりも中堅企業が良い、という話ではありません。大手企業と中堅企業では情報システム部門、そして社内SEの役割も変わってくることを認識しているかどうか、そこが大事です。
■「攻め」の社内SE転職を目指そう
社内SEといっても、その役割が「攻め」であるのか、そうでないのかでエンジニアとしての将来は大きく変わります。5年後、10年後といった長期の視点で考えてみましょう。すべてのビジネスはWeb化していき、情報システムの役割も変わります。従来型のシステムとは異なり、事業戦略と結びついた「攻め」のシステムが求められるようになります。情報システムの内製化も進むでしょう。
このような「攻め」のシステムでは、事業と共に成長できるアーキテクチャを考えられる人、ビジネス上のニーズを素早く抽出してシステムに落とし込める人、仮説と検証を繰り返す能力に長けた人、そうした人材が求められるようになります。そして、「攻め」のシステムの企画や構築に社内SEとして関わるチャンスを掴むことができれば、ITエンジニアとしてこれからの時代を生き抜くためのキャリアを積むことができるはずです。
社内SEへの転職は狭き門であるだけでなく、落とし穴もたくさんあります。それでも、きちんと将来を考えている人にとっては事業とシステム両方を手掛けてキャリアの付加価値をえる機会になります。私たちキャリアアドバイザーも、そうした意欲的な転職をサポートしていきたいと考えています。
IT・Web領域専任キャリアアドバイザー 中村 友香
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