今後ますます求められる、化学工学出身のエンジニア
化学業界を担当するリクルーティングアドバイザーの高村光児です。今まで専任のキャリアアドバイザーから市場の動向や、転職に関するアドバイスをお伝えしてきましたが、ちょっと視点を変えて今回は営業担当から見る化学業界の転職市場をお伝えします。
今、一番“採用熱が高い”求人は何でしょうか。どの化学メーカーも一様に口を揃えて採用したいという方々、それは「化学工学」出身者です。
「化学」と「機械」。両方の知識が求められている
化学工学とは、「製造工程を効率よく、かつ経済的にするため、化学プロセスの計画および製造装置などの設計・運転・建設などに関する工学のこと」というように説明されますが、要は化学と機械両方の知識を習得することが化学工学なのです。
つまり、化学プラント建設に当たり、安全に運転されるためには機械工学だけでは不十分で、化学反応によってどのくらい熱が発生するかが分からなければ、反応器の種類を決められません。また一方で、反応後の物質から製品を分離する方法を決めるには、機械の知識がなければならないのです。
化学工学出身者が必要な理由とは
現在、化学メーカー各社がプラントを海外に建設促進していることは周知の事実です。海外にプラントを建てれば、当然そこで就業する化学工学エンジニアが必要です。ただ、国内の既設のプラントにおいても化学工学エンジニアを不在にするわけにはいきません。プラントに従事する化学工学エンジニアが圧倒的に不足しているのです。
理由はそれだけではありません。実は、新卒を含め若手の採用ができていないのも理由の一つです。「化学工学出身者は減少の一途を辿っている」と、ある大学教授が語っていましたが、最近の高校生にとって化学工学はあまり人気のない学問のようです。これは少し考えれば分かることですが、化学に興味があれば化学専攻に進みますし、機械に興味があれば機械工学や電気・電子工学に進むでしょう。学生の視点から見ると、「化学工学は地味」と映るのかもしれません。そのため、化学工学を修める人がどんどん少なくなっているというのが今の状況です。
「化学工学出身」が採用の決め手になることも
このような状況もあって、化学業界では化学工学出身者は非常に重宝されます。最近では大手日系化学メーカーが40歳代の転職者を採用した際、年収を現年収に300万円以上上乗せして提示したことがありました。また、実務経験がほとんどない方を「化学工学出身者だから」という理由で外資系化学メーカーが採用を決定した事例もあります。
化学工学出身というステータスを活かして転職するなら今がチャンスです。そして今後、化学工学出身者のニーズはますます高まります。理由は、国内にとどまらず、今後、化学メーカーの抱える問題・課題の範囲が一つの工場だけに限られた範囲に収まるものではなく、国境を越えた地域や、地球全体で共通のものに広がっていくことが想定されるからです。「技術立国日本」を改めてグローバルに示すためには、化学工学エンジニアの手腕が必要なのです。
化学業界担当リクルーティングアドバイザー 高村光児
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