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夢と魔法を実現するモノづくり 東京ディズニーリゾート(R)を支えるエンジニア
東京ディズニーリゾート(R)25thアニバーサリー 「ジュビレーション!」実現までの軌跡を聞く

ジュビーレション!プロジェクトとは?
STEP1 ダイナミックな動きをとり入れたい――制作チームとのイメージ共有

使命はイメージを損なわない立体化
4月に行われた「キックオフミーティング」を経て、プロジェクトが始動。デザイナーの描いたフロートのイメージデザインをもとに、前・後・左・右・上から見た「5(ファイブ)ビュー」の図面を作成し、現実的に製作できるデザインへと落とし込む。
「ゲストはスケールの大きいパレードを求めていますから、それに合わせフロートは年々大きくなっています。今回の『ジュビレーション!』に向けてフロートを14台作りましたが、非常にチャレンジングなプロジェクトになりました」。安永氏の言葉に力が入る。
「ジュビレーション!」のフロートは、25周年を記念したパレードで走らせるものだけに、他の追随を許さないスケールに仕上がっている。たとえば、「ティンカーベル」の乗るフロートはその高さが9メートルに達し、連結したフロートの全長は18メートルとゲストを圧倒する。また、人目をひくのはその大きさだけではない。フロートに搭載された6メートルもの大きさのゴンドラがブランコのように左右に動くなど「ダイナミックな動きの要素を取り入れる」ことも新しい試みだった。ただ、技術的な側面から見れば、この実現には相当な困難が伴ったのだという。
「当然ながらただ大きくすれば良いというものではなく、大きくなればなるほど重心点が高くなります。しかも、複雑な造形の先にぶら下がったゴンドラが揺れながら、その土台となるフロートは常に前進するわけですから、常に重心が移動し続けているような状態です。いかにして挙動を安定させるか、強度を維持するかという点、つまりテーマパーク運営に最も大切な“安全性”の実現には相当苦労しました」。

STEP2 デザイナーからの高度な要望――安全性かデザイン性か

データ検証後、ものづくりのフェーズへ
強度計算や構造解析を行いながら、デザイナーとの折衝を行う。また、CAD上でパーク内の走行シミュレーションを行い、既存の建造物や植栽に干渉しないかなど、動線のチェックまでを行う。9月に入り、仕様書の作成に取りかかる。
「日によっては風が強いこともあるし、万一の場合にはパレード中に地震があるかもしれない。いろいろな要素を考慮し、安全性をクリアしなくてはなりません」――巨大なフロートを安定させること、そのためには「強度的には柱をあとひと回り太くできれば」というケースも多いのだと安永氏は言う。ただ、ここで課題となるのがデザイン性との両立だ。
「安全性を維持しつつデザイン性の要求も満たす」。デザイナーとの折衝には細心の注意をはらうとのこと。当然ながらデザイナーが望むイメージがあり、前述のフロートの柱の太さひとつとっても、デザイナーのこだわりがある。「これを太くしてはデザイン上のバランスが崩れる」といった美的観点や世界観に基づく主張も、強度を見ながら設計するエンジニアの目からみ見ると、高度な要望となる。「当然、すばらしいパレードにしよう、ゲストの期待を超えるフロートを走らせよう、という想いは私たちにもあります。デザイナーの要望は極めて高度なものですから、それを実現するために、エンジニア側にはその要望を現実のものとするスキルがないといけない」と岡氏はいう。
デザイナーはデザインのプロであり、技術に関しては素人。いくら強度解析のデータを見せたからといって納得できない部分は多い。そこで安永氏にとって役立ったのが、前職で培ったマネジメントや折衝のスキルだった。「デザイナーの要望に対し、技術的な観点を伝えるだけでは合意に至らない。全体の構想や工程の進み具合をにらみつつ、柱を太くできないなら、その上の構造物を小さくできないだろうか、大きく傾斜を付けた柱を、もう少しまっすぐにできないだろうかといった代案をいろいろとデザイナーに提示し、彼らの描く世界観を損なわないよう、少しずつ折り合いをつけていきました。ただ、彼らとの折衝の中で、意外な答えが見えてくることもあるのです。デザイナー側から“じゃあ、逆にこういう形にはできない?”なんて全く逆の発想を聞かれて、“ああ、確かにそうすれば重心との釣り合いが取れそう”なんて気づかされたりすることもありました。ここが面白いところでもありますね」。

STEP3 構造計算など設計フェーズへ

デザイナーとの折衝もクライマックス
フロート作成を業者に発注。その後、具体的な図面をもとに発泡スチロールで原型をつくり、デザイナーに見てもらい改良すべきところをさらに細かく検査する。
精緻な強度計算や幾度とないシミュレーションを踏まえたフロートそのものの設計もさることながら、高さ数メートルもの巨大なフロートゆえに、実際に園内を走行した際に植栽や建物と干渉しないか、などといったシミュレーションまでがCAD上で行われる。 さまざまな解析を経て設計されたフロートの原型を作り、デザイナーとの確認、検証という行程を経て、ようやく製作に入ることができる。「でも、立体化された原型を目の前にして、ここでまたデザイナーとの議論が始まることも少なくありません(笑)」と岡氏。
技術的な機構の複雑さが加わったことで、エンジニアに求められるものも幅広くなった。「工程や予算の管理、調整能力、またメンテナンスに対する意識や能力も重要」と岡氏が述べるように、「ただ作る」技術だけでは、エンターテインメントの仕事は行えない。さらには、今回のプロジェクトにおいてはアメリカのディズニー社との折衝もあったと安永氏はいう。 パレードの企画を行うにあたり、当初ディズニー社から提案されたパレードの規模は、日本側の想定とは異なるものであり、調整の必要が生じた。そのプラン調整を巡って交渉が幾度となくあったのだという。「フロートはいわばすべてがオーダーメイドです。一方で“ディズニーの世界観”のためにここでもいくつかの代案を出していきました」。

STEP4 ショーチームとのリハーサル――もっとも大事にするのはゲストの目線

運営スタッフを交え、最終チェックへ
フロート内の鉄骨を組む作業を3月にかけて行う。その後、運営スタッフも参加しての走行と動作テストを行い、使用上の問題を洗い出し、改良。いよいよ迎える4月からのスタートに向けて、最終準備を進める。
STEP5
約1年間のプロジェクトを経て、ついに「ジュビレーション!」がスタート。紆余曲折を経て完成したフロートがパーク内を走る。ゲストの笑顔と歓声に「すべてが報われる」。
コンピュータで制御されるようになり、フロートは進化し、より高度な演出が可能となった。フロートのオーディオ・アニマトロニクス(コンピュータ制御により、音楽と人形や動物たちがシンクロナイズされて動くショーシステム)が技術の進歩により、それぞれのテーマ曲に完全にシンクロして動き、言葉を発する。「10年前では考えられなかったようなことが実現できているのです」と安永氏。
だが、機構的に完成したから終わりではなく、その後はフロートを運用するスタッフとリハーサルを通じた協議が始まる。ここになって出てくるのが、使い勝手の問題だという。「実際に乗ってみたら思いのほか揺れが大きい、この上で踊れるのか、という声がショーのダンサーから出てきたりします。“しっかり強度計算しているから大丈夫だ”と説明しますが、必要に応じて調整を行う事もあります。」。実用性を考える上で安永氏が大事にしているのは、ゲストの目線だ。たとえ数字の上では問題がなくても、ゲストが見て“不安”を感じてしまうようでは失敗だという。「実際に走るフロートの上でスタッフに立ってもらったら、確かにフロートの微妙な揺れが人間に伝わっているのが見えた。たとえ数字上で十分な安全を確保していてもこれではだめだと、振動を抑えるための改良を施しました」。スタッフの安全を確保する事は勿論であるが、ゲストが見て感じるであろう心的な不安要素まで考慮する徹底したプロフェッショナルな姿勢がある。
技術はあくまで人の喜びに役立つためにあると二人は言う。「ゲストの喜ぶ姿を間近に見られること。それが何よりの喜びですね」


オリエンタルランドエンジニアとは?
技術的なベースがありつつも、コストやスケジュール管理もできるプロジェクトエンジニア的な側面が望まれています。また、業務上では構造や車両、建築といった全般的な知識が求められますし、作るものによっては「造船」なんて知識が役立ったりもします。幅広く対応できる柔軟さを持っていて、「いかにして実現するか」を徹底的に考え抜ける方であれば楽しめるでしょう。
エンターテインメントの世界は移り変わりが早く、それに対応するのは大変です。でも、日常的でないものを作り出すことがゲストの喜びになり、それを目の前で実感できる仕事でもあります。何しろ「東京ディズニーリゾート(R)」のゲストを相手にするわけですから、影響力や反応の大きさなどどれを取っても、自分の仕事の結果を直に実感したい、という方にとってはこの上ない舞台になると思いますよ。
株式会社オリエンタルランド
■設立
1960年7月
■資本金
632億112万7000円
■本社所在地
〒279-0031
千葉県浦安市舞浜1-1
■事業内容 テーマパークの経営・運営および、不動産賃貸等
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