エグゼクティブ転職トップ > エグゼクティブ成功ガイド > NRI × エグゼクティブエージェント 特別対談 エグゼクティブの育て方・迎え方:第2回
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NRI(野村総合研究所) × エグゼクティブエージェント 特別対談 次世代型エグゼクティブの創出 -エグゼクティブの育て方・迎え方-

第2回 育て方:エグゼクティブ・コーチングの実際

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イノベーションが必要な時代だからこそ、エグゼクティブ・コーチングが求められる

永井

私はビジネススクールのプログラムに何度も参加しましたが、その中で語られる経営学の概念が最近変化していると感じています。伝統的な経営戦略論にはポジショニング・ビューとリソース・ベースト・ビューを組み合わせています。ポジショニング・ビューは、事業環境(機会や脅威)をベースに経営戦略を考えます。リソース・ベースト・ビューは自社の経営資源をベースに経営戦略を考えます。多くの関心は競合に勝ち、成長し続けることであったのだと思います。しかし現代は、低成長な中イノベーションをテーマにした経営学の時代になっています。テーマは独自性やイノベーションです。これまでと違ったやり方、誰も思いつかなったようなアイデアを考えて実行に移さなければならない時代ということです。繰り返しになりますが、イノベーションの時代は、論理を超えた経営者のビジョンや価値観、つまり好き嫌いが意思決定の重要な基準になると思います。自分の意思で、前向きに、つまり好きでやっていることでなければ、斬新な発想は難しいからです。

その話を聞いていると、エグゼクティブを含めた多くのビジネスパーソンの従来型の思考回路だとイノベーションはとても生まれる気がしませんね。

永井

まさにその通りですよね。大企業の経営者は、自分の好き嫌いではジャッジできない、会社や社員、世の中のことを考えた判断が必要だとよく言われますが、高い志を持っているのであれば、自らの直感で意思決定しても問題ないのではないでしょうか?日本の経営者は、個人の直感でジャッジしたとしても、ちゃんと社員や社会のことも考えている方が多いです。もともと日本人は近江商人の「三方よし」の考え方が経営哲学として根付いていると思います。義務感で経営判断するよりは、自らの夢やビジョン向かって突き進んだ方が、イノベーションの起こる可能性が高いと思います。

前回の対談で、事業「運営型」エグゼクティブと事業「創造型」エグゼクティブの話をしましたが、イノベーションに近いのは、事業「創造型」エグゼクティブですから、そうなると、事業「運営型」エグゼクティブにはエグゼクティブ・コーチングは必要ないということにもなるのでしょうか。

永井

一般的にはそうなのかもしれません。ただ、現在の日本では、今ある事業を維持し、運営すること自体もとても難しくなっています。リストラしないだけでも尊敬に値することですよね。だから、事業を維持・運営するためにも、激しい葛藤の中で難しい経営判断を迫られたり、何らかのイノベーションが求められることがある。そこにはエグゼクティブ・コーチングの必要性が出てくるのだと思います。

事業を維持するのは大切。でも閉塞感もある。だから、イノベーションが必要になってくる。そこには経営コンサルティングではなく、経営者個々人のビジョンや価値観を引き出してくれるエグゼクティブ・コーチングが力を発揮するということですね。

経営トップは、「あるべき姿」ではなく「ありたい姿」を

永井

正解がない時代ですから、最終的には個々人の価値観が判断基準になりますし、逆に軸となる価値観がないと何も決定できないと思います。ただ、実際のエグゼクティブ・コーチングの場面では「あなたの価値観はどのようなものですか」とは決して聞きません。そんな聞き方をしても、なかなか答えは出てきませんから。だから「10年後、どんな姿になっていたいですか」と聞きます。すると、夢がたくさん出てくる。そこから、大切にしている価値観があぶり出されてきます。我々のコーチングは「フューチャー・ベースド・コーチング」です。

先日受けさせていただいたコーチングと、今回の「好き嫌いや、個人的な価値観も経営判断の大きな指針になる」というお話で大きな発見がたくさんありました。「ビジネスでは、個人の価値観を殺さないといけない」とこの歳まで教えられてきた気がしますから(笑)。

永井

私もそうでした。「嫌なことをするから、お金をもらえるんだ。好きなことをやるときはお金を払うんだ」と、上司に言われたことがあります(笑)。でもそれってどこか違うと思います。極論「俺も嫌なことをしているのだから、部下であるお前も我慢しろ」ということになってしまいます。

ある社長は、社員に対して「好きなこと、得意なことだけやってくれ」と言っているそうです。新興国の人たちは今日食べていくために、必死になって寝ずに仕事をしている。だから、この恵まれた日本で3時間くらい残業した程度じゃ、絶対にかなわない。だから、好きなこと・特異なことだけをやって勝負しようと。でも「これだけ言っているのに、不得意なことをして失敗しているから腹が立つ」とも言っていましたが(笑)。

企業がイノベーションを起こすためには、まずはトップが変わらないといけませんね。そしてトップは「あるべき姿」ではなく、「ありたい姿」を語らないといけないですね。今回はエグゼクティブ・コーチングの必要性に関する重要なポイントをお聞きできたと思いますし、自分自身もエグゼクティブ・コーチングを受けた直後だったので、本当に今日はいろいろな発見がありました。これからの時代、経営トップの価値観こそが、企業のイノベーションを生み出す。それを引き出すのが、エグゼクティブ・コーチングである、ということですね。そこで次回は、永井さんが長くコーチングをされている実際のお客様のお話を伺って、エグゼクティブ・コーチングの効果に焦点を当てて、お話しできればと思います。次回もよろしくお願いします。

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※2017年7月1日、インテリジェンス エグゼクティブサーチはパーソルキャリア エグゼクティブ エージェントに名称変更いたしました。

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