【証券会社、投資銀行、コンサルティングファーム】2012年下期 採用マーケット
こんにちは。dodaキャリアアドバイザーの梅原 孝浩です。銀行、証券、運用会社を中心に金融業界の方の転職支援を担当しております。
今回は、証券会社、投資銀行、コンサルティングファームに関する2012年上期の採用状況を振り返るとともに、下期の予想をお伝えしたいと思います。証券会社、投資銀行に関しては主だった職種別の動向、コンサルティングファームに関しては、金融経験者を求めているポジションを中心にお話ししたいと思います。
▼証券会社、投資銀行
【セカンダリー業務(リテール、法人営業、市場部門)】
準大手証券や地場証券を中心にリーマン・ショック前は未経験者も受け入れていたリテール営業は、日本経済・世界経済低迷の影響もあり、一部の契約社員ポジションを除いては経験者に限定して募集を行う傾向が見受けられました。大手証券会社や外資系PB(プライベート・バンキング)業務は完全に即戦力採用にシフトしており、高い実績を上げている方のみを対象に採用を行っていました。
下期も、経験者を中心に採用は継続されますので、実績がある経験者にとっては比較的選択肢がありますが、大量採用ではないため、内定獲得をより確実なものにするなら複数社への応募をお勧めします。
その他、セカンダリーマーケットでの法人営業、トレーディングなどの市場部門は上期に一部企業がスポットで採用を行った程度で、年間での採用計画を立てている企業はほとんどありません。下期も非公開の求人がスポット的に出てくる程度だと思われますので、人材紹介会社をうまく活用して非公開求人をあたってみてください。
【プライマリー業務(カバレッジ、プロダクト部門)】
投資銀行業務では、企業の資金調達需要の減退や世界経済不安によって、厳選採用の傾向が顕著です。特に大手や外資系に関しては、クロスボーダー対応の観点から英語力のある人材を対象にアソシエイト以上のクラスで若干の採用を行ってきました。
下期も採用枠は少なく採用基準が高いため競争率の高い状態が続きますが、円高の影響もありクロスボーダーM&Aの部隊では外資系、大手証券会社が採用を実施する可能性が高いと予想されます。
一方で、その他の各種プロダクトやセクターカバレッジでは、目立った動きは出ずにいくつかの企業で経験者採用が継続されると考えられます。業界の全体の傾向として、経験者採用にシフトしている分野のため、未経験者の方で大手投資銀行業務を目指す場合は、プロダクトの経験を積むために、経験者以外にもチャンスがあるブティック系ファームで経験を積むという選択肢を並行して検討していったほうがよいでしょう。
【ミドルオフィス、バックオフィス】
まずはミドルオフィス・オペレーションです。外資系投資銀行・証券会社でエクイティ(特にエクイティ・デリバティブ)分野を中心にフロント業務が香港など海外へ移管、または縮小されたことから、関連のミドルオフィス、決済関連のオペレーション業務も日本での業務が大幅に減少しました。また外資系を中心に日次・月次のプロセス作業のみを担当していたポジションをインド・中国・東南アジアなどの人材コストが安価な国へ業務移管を行うケースも見られ、日本に残っているポジションに求められるスキルの水準が高くなっている状況です。上期および下期の採用ニーズは、退職者の補充のためのアナリストからアソシエイトレベルのリプレースメント、パフォーマンスが芳しくない現職者をアップグレードするためのAVPからジュニアVPレベルでの採用が中心です。
財務・経理・会計関連での職種では、求人数は昨年に比べ減少したものの、いくつかの日系大手・外資系投資銀行でアナリストからアソシエイトクラスのプロダクトコントロールの採用が動きました。また少数ですが、ディレクタークラスのプロダクトコントロールの採用、VPレベルの税務担当職、またVPレベルのマネージメントレポーティング担当の採用なども行われていました。下期に関してもプロダクトコントロール、管理会計の領域で金融商品知識、会計知識および業務改善のマインド・経験を備えた人材の採用は、ごく少数ながら継続していくと思われます。
ミドル・バックの中で、上期に比較的採用ニーズが高かったのが、規制対応などの影響を受けてのコンプライアンス職・リスク管理職、また流動性管理・資本政策を含むトレジャリー関連のポジションでした。この領域の業務は海外移管も規制上難しく、下期も採用ニーズが比較的高い状況が継続すると思われます。下期に関しては年明けの外資系のボーナス支払い時期がありますので、ひと昔前ほどではありませんが、財務会計など上記以外のポジションでもミドル・バック全般で突発的に採用ニーズが出てくる可能性もあります。
▼コンサルティングファーム、アドバイザリー
この業界は、顧客からのニーズ増加などによる増員、部門の業務拡大など、最近ではなかなか見られなかったような積極採用が続きました。中でも金融業界のクライアントをターゲットとする部門では、金融の特定領域で高い専門知識を持つ人材に対するニーズが強く、マネジャーレベルを中心にスタッフレベルからジュニアのパートナークラスまで積極採用が続いています。下期もこの傾向はほぼ間違いなく続いていくでしょう。
アドバイザリーに関しては会計事務所・監査法人系のファームで、内部監査・内部統制、システム監査・ITガバナンス、コンプライアンス・規制対応など、ガバナンス周りの経験がある金融業界出身者の採用を行っています。また、FAS・TASなどのディールアドバイザリー部門・ブティックファームでは、事業再生業務の経験者、M&Aアドバイザリー・コーポレートファイナンスの経験者、M&A案件における財務分析・財務デューデリジェンス、モデリングや投資ストラクチャー検討の経験者に対するニーズが強く、若手のスタッフレベルから中堅のマネジャークラスまで積極採用中です。
コンサルティングファームに関しては、規制環境の変化、グローバル化などさまざまな経営課題を抱えている金融機関のニーズを受け、金融業界出身者でコンサルティング業務の経験を持つ方だけでなく、金融業界出身でコンサルティングスキルの素養を持つ未経験者の採用も行っています。
特に専門分野(コアな経験分野)では、金融業界での戦略、会計、オペレーション(業務)、IT、コンプライアンス、バーゼルやソルベンシーマージンなどのレギュラトリー、規制関連、内部監査、リスク管理などの領域でマネジャーレベルを中心にスタッフレベルからディレクタークラスまで幅広い採用ニーズがあり、下期もこの傾向が続きます。また、外資系案件やグローバル案件を豊富に抱えるファームなどには、高い英語力を持つ方に対して引き続き強いニーズがあると予想されます。
梅原 孝浩
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