業界専任キャリアアドバイザーが語る 金融プロフェッショナルの転職最前線

【PEファンド、リース、ノンバンク】2012年下期 採用マーケット

2012.12.17

こんにちは。dodaキャリアアドバイザーの伊藤卓哉です。銀行、証券、運用会社を中心に金融業界の方の転職支援を担当しております。

今回は、PEファンド、リース、ノンバンクに関する2012年上期の採用状況を振り返るとともに、2012年10~2013年3月の下期の動向をお伝えしたいと思います。

【プライベート・エクイティ(PE)ファンド】
PEファンドの現状としては、厳しい業況にあると言えるでしょう。リーマン・ショックから既に4年が経過し、その影響による景気後退は落ち着いています。しかしながら、東日本大震災、欧州財務危機を経た景気悪化による企業の業績悪化、株価低迷などにより、PE ファンドを利用する顧客のニーズは潜在的にあるものの、PEファーム側が選別の目を強めており、需給は必ずしも一致していない状況です。

その第一の理由として、投資先企業の業績悪化が挙げられます。赤字に転落し、海外資本との提携を迫られる大手電機メーカーも出てくるなど、これまで投資先となっていたような企業で売上の減少が顕著になっています。こうした企業に資本参加をすることこそPEファンドの本来の仕事ですが、昨今の投資環境から、PEファームにとって資本参加(=投資)を行うメリットは大きくありません。

PEファームは、(1)投資先の会社をIPOさせる、(2)事業会社や他のPEファームに転売する、といった方法で利益を上げることができますが、(1)の方法については、IPOマーケットが依然として史上最低の上場社数であることや、株式マーケットの低位安定推移によって、上場そのもののメリットが見つからないため、IPOイグジットでの利益獲得は困難という状況があります。(2)の転売については、他のPEファームも業績悪化に見舞われていて買い手がいない状況です。また、景気悪化に伴いフェアバリューそのものが非常に低く設定されているため、イグジットができない状況が継続しています。

さらに、新規案件の組成(ファンドレイズ)も難しくなっています。通常、PEファームがファンドレイズする際には、PEファンドが企業取得のための原資となる金額をすべて負担するのではなく、金融機関から借入を行ってレバレッジを効かせます。この借入が、以前よりも難しくなっているのが現状です。借入は通常、ノンリコースローンで行われますが、先に述べた通り金融機関の取れるリスクが減っているため、銀行はノンリコースローンの提供に慎重になっています。また、証券化して投資家に提供すること自体、リーマン・ショック以降、非常にネガティブに捉えられており、リスクの引受先もない状況です。

このような環境の中、各PEファームとも人材採用熱は低下していると言っていいでしょう。もちろん、すべての採用がストップしているわけではなく、「イグジット可能な企業の選別」ができる若手(アナリスト、アソシエイトクラス)の投資銀行部門で活躍している人を採用したいというニーズは顕在化しています。

ただし、大手の投資銀行部門のように役割分担型で、経験したインダストリーや担当フェーズが限定的な方に対するニーズは低く、どちらかと言うと経営コンサルティングファーム寄りのマルチなスキルをお持ちの方に一定のニーズがあるようです。

【リース】
リース業界は、東日本大震災、そして長引く景気停滞を受けて、国内需要の回復も出遅れている状況です。もともと大手数社の寡占マーケットの向きが強いリース業界だけに、中小以下のリース会社の業績悪化が顕著になっています。

大手リース会社については、リーマン・ショック前後から大手・中堅のリース会社の統合・合併による再編が進みました。この流れは一巡して落ち着いていますが、引き続き国内需要の喚起は困難な状況です。

銀行系のリース会社は、銀行の取引先、関係会社からのオーダーにより一定の受注はできていますが、新規案件は増加に至っていない模様です。

こうした中、大手リース会社は海外案件の獲得に向けて動き始めています。東南アジアの新興諸国はGDP成長率も高く、鉱山開発のための建機のニーズや、交通インフラの整備に伴う航空機のニーズが旺盛な状況です。内需拡大に期待できないため、海外戦略を強めているのが昨今の傾向です。

人材採用動向としては、リーマン・ショック時に採用活動をストップしており、社員の年齢構成を調整するといった目的以外での総合職採用を積極的に行っている企業は多くありません。ただし、海外戦力を強めている大手リース会社では、英語力に秀で、かつ海外法人営業経験があるような人材を採用している場合もあります。

【ノンバンク】
2006年の貸金業法改正により過払い金返還負担が増加したことと、リーマン・ショックによる大幅な景気悪化に伴い、大手消費者金融が倒産に追い込まれるなど、業界全体の構図そのものが大きく変化しました。また、メガバンクグループが大手消費者金融を子会社化、あるいはTOBを行い出資比率を上げるといった囲い込み戦略も顕著になっています。外資系の消費者金融は、一部を残し日本撤退を余儀なくされた企業も数多く存在します。

現状では、日銀の金融緩和政策により、金利の低位安定推移が確実となっている状況ですので、業績という面では恩恵を受けやすいと言えるでしょう。

人材採用動向については、拡大にまでは至っていません。一部大手ノンバンクで専門職採用を強化している企業はありますが、積極採用を行っていない企業がほとんどです。ただ、リーマン・ショック以降の連続した業績悪化は各社ともに底を打った状況で、銀行の資本のもとで再建が進み、黒字化する企業も出てきています。長らく採用をストップしていた背景もあり、突発的なニーズも含め採用に動く可能性は十分に考えられます。

伊藤 卓哉

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