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振り返るとつながっている。ファーストサマーウイカの芸能人生を導いた“縁”の話|ラジオアーカイブ

振り返るとつながっている。ファーストサマーウイカの芸能人生を導いた“縁”の話|ラジオアーカイブ

前編:2023.9.10(日)放送回
ファーストサマーウイカさん
俳優、アーティスト

ラジオ音源はこちらから

「空想メディア」ロゴ04

放送作家の高須光聖さんがゲストの方と空想し、勝手に企画を提案する『空想メディア』。
社会の第一線で活躍されている多種多様なゲストの「生き方や働き方」「今興味があること」を掘り下げながら「キャリアの転機」にも迫ります。

今回のゲストは、ファーストサマーウイカさんです。軽快なしゃべくりを武器に数々のバラエティ番組で活躍するウイカさん。そのキャリアを支えたのは、高須さんにもなじみ深いとあるカフェから始まった縁でした。伏線を回収するように次々とつながっていく、ウイカさんの不思議な“縁”のお話をご覧ください。

  • ファーストサマーウイカさん

    ファーストサマーウイカ 「BiS」ガールズグループ「BILLIE IDLE®︎」の元メンバー。
    軽快な関西弁でのしゃべくりが人気で、バラエティ、ラジオ、ドラマと幅広く活動。

  • 高須光聖さん

    高須 光聖(たかす・みつよし) 放送作家、脚本家、ラジオパーソナリティーなど多岐にわたって活動。
    中学時代からの友人だったダウンタウン松本人志に誘われ24歳で放送作家デビュー。

人生の中でずっとつながっている父のバイト先「カンテグランデ」からの縁

ウイカ:私一度、InstagramにDMをお送りしたことがあってですね。

高須:ぼくに? (Instagramは)ほとんど見てないし、何もしてないから…。

ウイカ:そうですよね。多分気づいてはらへんのやろなって思ってたんですけど。「高須さんもカンテグランデ(※1)で働いてはったことがあるらしいよ」ってお聞きして。

(※1)大阪市北区中津に本店を置くインド喫茶店

高須:カンテね! そうなんですよ。ぼくカンテの人間だったんですよ、ずっと。

ウイカ:私の父も、カンテグランデで働いてたんですよ。

高須:ええーっ! うそ! 会ってるかも。

ウイカ:かもしれなくて。多分おやじはそんな長く働いてないのかな。ただ、カンテの真横の団地みたいなところが、おばあちゃんちだったんですよ。おやじの実家。

高須:うわー、すごいな!

ウイカ:私も(祖母の家に)帰るたびにカンテに行って、猫なでたりしてたんですよ。

高須:ええー、お父さんそうなんや。わあ、なんかうれしいね。

ウイカ:なんか、たまーに同窓会があるらしくて。トータス松本さんもかつて働かれてて来られたりするって。ウルフルズの。

高須:ぼくにも何度か話がくんねん。何年前ぐらいかな? (オーナーの)井上(温)さん中心に久々に集まったな。それ以来ぼくは行ってないねんけど。

ウイカ:そもそも私、芸能の最初のきっかけが小劇場やったんです。関西小劇場といわれる、東京でいう下北沢でやっているようなイメージの。高校を卒業して声優の学校に通いながら、やっぱり現場も体験したいということで(インターネットで)調べた小劇場にパッと入って、私の役者人生が18歳のときにスタートしたんですよ。演劇の“え”の字も知らない状態で入ったんで、おやじが「俺の昔のバイト先にコング桑田(※2)さんっていう役者がおんねん」って。

(※2)俳優、声優、タレント、ゴスペル歌手

高須:ああー、桑田さんね!

ウイカ:「コング桑田さんは(笑殺軍団)リリパットアーミーっていう関西の代表的な老舗劇団にずっといてはるから、小劇場に入るんやったら、あいさつしに行かなあかんな」って言ってリリパットアーミーの公演をおやじといっしょに見に行って。「うちの娘が芝居始めますんで、何かとよろしくお願いします。」「ああ、まかしとき〜」みたいな感じで。

高須:あの人が、ぼくらがいたときのカンテを仕切っている、梅地下のど真ん中にいる人やったんよ。もう優しくて。すごいできた人なのよ。

ウイカ:みんなのアニキ、オジキ、パパ、みたいなね。私今、キューブという役者が多くいる事務所にいるんですけど、ガールズグループやってる2017年頃くらいにまた芝居したいなと思ったときに、もうどうにもアテがないんでコングさんに「すみません。ちょっとキューブの方を紹介していただくことって可能ですか?」って直談判というか。

高須:ホンマ?

ウイカ:はい。「おお、ほんなら担当の人紹介してあげるわ」って。そこからオーディション受けて面接受けて、無事受かって所属させてもらえました。その面接してくれた方が今のマネージャーさんです。

高須:はぁー、すごいな!

ウイカ:カンテで直接働いたわけでもなく、ただのお客さんでしか行ったことないですけど、ずっと自分の人生の中でつながっている。コングさんがまたつないでくださったっていうのがあって。

高須:お父さんがそこでバイトしてなかったら、いろんな道がなかったかもしれんよね。

ウイカ:シンプルに、今の事務所には入ってないと思いますね。となると、本当にそこは感謝やなと思います。

コロナ前だから入り込めた“しゃべくり感のあるタレント”という希少な地位

高須:テレビに出始めたときから、もう会議では「あの子面白いよね」って話になってたよ。

ウイカ:ああー、うれしいなぁ、ほんとに…!

高須:特番でファーストサマーウイカの名前がバンバン出るときもあったし、企画書もバンバン。みんなが「あの子いいね」って。

ウイカ:初めて『ワイドナショー』に出たときに、帰りにプロデューサーさんか演出の方が「(ダウンタウンの)松本さんが“あの子すごいな。面白かったな。良かったね”って褒めてはったよ」っていうDMをわざわざくれて。

高須:めっちゃうれしいよね。

ウイカ:もう、帰りの車で泣きましたもん。こんなうれしいことない。今思い出しても泣きそうになりますけど。

高須:それはうれしいやろな。すごいね。そこまでなるっていうのは、なかなかやで。

ウイカ:それでまさかの『(人志松本の)すべらない話』(※3)にまで呼んでいただけると思わなかったんで。

(※3)2004年12月からフジテレビ系列で特別番組として不定期放送されているトークバラエティ番組

高須:だけじゃないからね。『女子メンタル』(※4)やったかな?

(※4)Amazonプライム・ビデオで配信されているお笑いドキュメンタリー番組『HITOSHI MATSUMOTO presents ドキュメンタル』の特別企画

ウイカ:『女子メンタル』も出させていただきました。

高須:なかなかハードなものに出てるよ。

ウイカ:マネジャーさんに、私がテレビ出られるようになって最初に「ダウンタウンさんの番組は、何が何でも絶対に行く」って言いました。

高須:すごいなぁ。

ウイカ:やっぱりそこは。死ぬならそこで(笑)。

高須:いや、でもありがたいね。(ダウンタウンの番組は)ほかの番組よりも絶対ハードなのが分かるし、立ち位置も難しいしね。

ウイカ:そのせいでといってもいいんですけど、いまだに芸人さんと思われることがあって。今の大河ドラマの撮影中にも吉高由里子さんが、「えっ! ファッサマちゃん、芸人さんじゃないの?」って言って。

高須・ウイカ:(笑)

高須:ああ、そういうイメージなんや。

ウイカ:でもそれは光栄ではありますけど、やっぱり恐縮するというか恐れ多いんで。“芸人さん感”っていうのはハードルが上がっている状態なんで、誰も得せえへんって思って(笑)。

高須:ぼくらとしたら「よう出てくれたな」って思うよ。ありがたい。

ウイカ:タイミングが良かった。人間、何を取っても本当1、2年でふわーって、上の砂が風で舞っていくように薄く変わってくんで。今やったらこのキャラじゃもう遅かったかもしれない。“関西のしゃべくり感のある芸人さんじゃないタレント”っていう希少な隙間っていうのは、あの瞬間やからやったんやなぁっていうのはめちゃくちゃ感じます。あのコロナ直前の感じ。

高須:そうやなぁ。確かに。コロナ前やったもんね。「ファーストサマーウイカって何者?」みたいな感じはあったよ。

ウイカ:めちゃくちゃうれしいですねぇ。

名前の由来はSEO対策? 唯一無二の名前だから功績が可視化される

高須:もう山ほど聞かれてるやろうけど、なんでファーストサマーウイカなの?

ウイカ:劇団公演のビラとかでは、名前の文字数が多いか少ないかっていうのがやっぱり目を引くので。あとネット世代なんで、もう息をするようにエゴサーチするんですよね。「初夏」っていう漢字2文字で活動していたころは、やっぱり1個も(検索結果に自分の情報が)出てこないんですよ。それで「ファーストサマー」を調べたら、そのとき検索結果が0件やったんですよ。

高須:なるほど。じゃあそこに引っ付けてもらおうと思ってファーストサマーウイカにした。

ウイカ:「ファーストサマーウイカ」は、もう完全にこの世に存在していない言葉だから、0が1になって増えていくことはすべて私の功績になるから、可視化されると思ったんですよ。だからSEO対策(※5)で、そこは(笑)。

(※5)検索エンジンの検索結果の上位に表示させるための対策

高須:でも素晴らしいなぁ。確かに「ウイカ」だけやったら多分パーンと入ってけえへんかもしれん。そういうことやってんね。

ウイカ:仕組みとしては寺門ジモンさんみたいに2回同じこと言うてるから、変にかかりすぎてなくてちょうどいいかなと思って。本来「初夏」は「アーリーサマー」やけど、既存の言葉持ってきたってしゃあないからっていうので。BiSH(※6)がみんな長い名前をしていたのは、多分私がはしりなんで。ホンマに感謝せえよっていつも言うてます(笑)。

(※6)2023年に解散したガールズグループ。ウイカさんが所属していたガールズグループBiSと同じ音楽プロデューサーが手がけていた。

高須:「私からやで」ってことやね(笑)。

高須・ウイカ:(笑)

予想外のオファーから一気に駆け上がった人気タレントへの階段

高須:NIGO®︎(※7)くんに会ったときに「いつもありがとうございます」って言われて。「え?」って言ったら、「実はウイカってうちの…」って。

(※7)HUMAN MADEの創業者兼デザイナーであり、オツモ株式会社の代表取締役CEO。アイドルユニット「BiS」のMVを監督した

ウイカ:BiS解散後に「BILLIE IDLE®︎」というガールズグループを結成したんですが、それがNIGO®︎さんプロデュースだったんです。すごくよくしていただいて、2019年末までの5年間、NIGO®︎さんにお世話になりました。今もときどき私の現状を見て喜んでくださってはいるんですけど、そうやって外の方にあいさつしてくださっているとは知らなかったです。

高須:そう。言ってた。

ウイカ:そうですか…。うわぁ、全部つながる。すごーい!

高須:なぁ。びっくりして「NIGO®︎くん、なんでそんなことしてんの?」って言ったら、「なんかちょっと面白くて、今」って言ってたの。

ウイカ:BiSがDDT(プロレス)っていうプロレス団体といっしょにやっているときに、プロレスがお好きなNIGO®︎さんがたまたま見に来られていて。それで「なんか面白いグループがいるね」って。そのとき私はBiS解散の直前で、まったく次の仕事が決まっていなかったんですよ。「どないしよう。ニートやな」っていうときにNIGO®︎さんに拾ってもらって。で、解散までラスト1年のときに、たまたま「くりぃむしちゅーの上田(晋也)さんの番組のオーディションに来ないか?」って言われて。事務所には俳優として所属していたんで、まさかバラエティタレントとして。

高須:そこで引っかかると思ってなかったんや。

ウイカ:誰も思ってないんです。ほんまたまたま、そのオーディションがあった。なんで私にたどり着いたかもいまだに分からないんですけど。

高須:でも誰かがなんか面白いと思ってくれたんやろね。

ウイカ:初めて単独でテレビにドンッて出させてもらったのが、2019年1月の『上田と女が吠える夜』(※8)のパイロット版特番のときで。日テレからバーッとスタートして、ダウンタウンさんの番組に出て。ホップ・ステップ・ジャンプでしたね。

(※8)日本テレビ系列で2022年4月から毎週水曜に放送されているバラエティ番組

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振り返ると見える縁のつながり。コロナ禍にテレビに出たから今がある

ウイカ:また一つちょっと人生の伏線回収みたいな話があって。2024年の『光る君へ』って大河ドラマに私、清少納言役で出させてもらうんですけど、『上田と女が吠える夜』は、演出の方が『枕草子』みたいなバラエティー番組を作りたいと思って始めたんですって。

高須:へぇー、すごい。

ウイカ:『枕草子』には意外と“あるある”がいっぱい書かれていて。例えば「名前を呼ばれたときに返事して人違いやったとき、めっちゃ恥ずかしいよね。それが何か物をもらえるときやったら、よりいっそう恥ずかしくない?」みたいな。

高須:ええー! そうなん? 全然知らんかった。

ウイカ:1,000年経った今でも全然変わらない“あるある”がいっぱい描かれているから、(『枕草子』のように)女が「あれ嫌じゃない?」って言い合うみたいな愚痴番組を作りたいなって始めた。だから私が『上田と女が吠える夜』で(単独テレビ)デビューして、『枕草子』を書いた清少納言役になったっていうのが、「これ全部つながってるわ」って。なんか私みたいな末端のタレントだけど長くやらせてもらってる…。

高須:いや、末端ではもうないと思うけどね。だって芸歴だけでいっても、この業界に入って何年?

ウイカ:小劇場から入れたとしたら…15年?

高須:それなりのキャリアですよ。しかも大河ドラマに出て、それなりのバラエティに出て。一流どころの人と会って話もできるようになってるって、すごいことやけどね。

ウイカ:コロナ禍に出てきたっていうのは、いつも自分的にはなんかもったいないなぁって。もっと六本木のなんか…ガヤガヤしたパーティーとか(笑)。

高須・ウイカ:(笑)

ウイカ:そういうのに出始めのころ頃に行けたら、なんかあったんかなと。

高須:「もっと違う入り口があったかな」とね。

ウイカ:『FNS歌謡祭』とかのすごい円卓に囲まれた中で歌ったりとか、やっぱ経験ないから。それはタイミングどうなんだろうと思いつつも、そのタイミングやからこそ(今のキャリアまで)行ったかもしれないなと思いながら。だからすべて運というか、縁がうまいことつながっているっていうのは、もう振り返るとやっぱ見えるんで。それは今日もまさにそうですけど。実は、この番組のディレクターさんもBiS時代のラジオのディレクターさんです。

高須:ええ! そうなの?

ウイカ:なんかそこも結構つながってて、「うわぁ、ここでまたこうやってラジオで再会できるのも縁やな」って思いながら。

――ウイカさんの活躍の背景にある不思議な“縁”のお話、いかがでしたか? 次回もファーストサマーウイカさんをゲストに、キャリアの転機などを伺います。お楽しみに!

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