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日本の未来をつくる。

教育や人の成長に携わる仕事特集

10月5日は「教師の日」。
dodaは「JAPAN TEACHERS' WEEK 2015」を応援しています。

JAPAN TEACHERS' WEEKとは

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イノベーション研究の第一人者が語る 日本の教育を変えるイノベーションの可能性

米倉誠一郎氏  一橋大学
 イノベーション研究センター教授
 米倉誠一郎氏

今、日本では、教育に注力をすることがこれまでにないほど求められています。明治時代から日本は、世界的に見て教育に非常に熱心な国でした。当時、国は国民皆学を目指し、小学校教育の普及に力を入れるなど、教育に多くの投資をしてきましたし、その影響もあって人々も教育の重要性をよく認識していました。明治・大正時代の日本の急速な近代化や戦後の高度成長の背景には、この教育への熱心な取り組みがあったと言えます。

ところが現在、対GDP比で見た教育支出はOECD平均を下回り、最低水準となっています。教育は、国の未来をつくっていくうえで、即効性のある方法ではなく、数十年経ってから効果が現れるようなもの。もしも今、未来への教育投資と熱意が失われてしまうようであれば、少子高齢化に直面する日本に大きな影響を与えることとなるでしょう。

教育投資とイノベーションの関係性

とはいえ、現在の国の財政状況では、国からの教育への投資がすぐに増えることを期待するのは難しいように思われます。しかし、その希望はないわけではありません。

日本のGDPは世界で第3位(2014年)。その一方で、労働生産性はOECD加盟国34カ国中で22位(2013年)です。つまり、日本が今よりも生産性を高める余地は決して少なくありません。そのためには、まずIT技術の広範な利用による生産性の向上が必須。また、今あるモノを「改善」さえしていけばよりよい未来が訪れるだろうという考え方を改め、これまでと異なる考え方に基づいた新しい価値を「創造」していく必要があります。すなわち、イノベーションが求められるのです。

例えば自動車を例にとってみると、ガソリン車に替わって水素自動車を開発することなどは、これまでのものを「改善」していく考え方だと言えます。一方、例えばビッグデータの収集と新たなソフトウェアによる交通システムの整備や、自動車の自動運転の実用化など、既存の仕組みを超えた「創造」がイノベーションです。こうしたことが実現すれば、途上国を含め大都市の渋滞は大幅に減るでしょう。渋滞の削減による経済効果は数兆円規模ともいわれ、車単体の燃費改善よりもはるかに大きな社会経済的な効果をもたらします。そういったイノベーションは、さらに新たな産業を生み出し、そこにおける需要までもが創出されるでしょう。

このように、イノベーションによって生まれた社会全体の生産性向上と、それによって生まれた財政余剰を教育へ投資していけば、経済と教育の好循環をつくることができます。すなわち、イノベーションによって教育を支え、教育によってさらにイノベーションの可能性を高めていくという循環です。その意味で、日本の未来にとって教育とイノベーションとは非常に重要な2つの要素なのです。

教育分野におけるイノベーション

もちろん、教育の分野そのものも、イノベーションの可能性に満ちています。実際に、近年ではIT技術の導入によって、これまでであれば難しかったことが、比較的低コストで容易に実現可能になってきています。動画の配信によって、場所を選ばず手軽に優れた講師による講義を受けることができるようになったのは、その端的な例です。イノベーションはすでに始まっているのです。

教育は、子どもたちの未来をつくり、さらには社会の未来をつくっていく仕事。その重要性はこれからの私たちの社会にとってより高まっていると言えます。なぜなら、それはイノベーションの可能性を高める仕事であるうえに、教育自体が、イノベーションや成長が期待できる分野だからです。

加えて教育の分野は、子どもへの教育や学校教育周辺が中心の領域から、さらに幅が広がっています。グローバル化が進展し、変化の激しい社会では、人は生涯にわたって学び続けることが重要。教育はこれからの成長分野になっていくはずであり、なるべきなのです。

実際、現在は異業種から教育産業への参入やコラボレーションも相次いでいます。私たちの未来を担う産業としての教育産業に、これまで教育に関わってきた人はもちろん、さまざまなキャリアを持った人たちが関わってほしいと思います。

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学校関連

クリエイティビティ、リーダーシップ、ICT…教える側が変化して、画一性から脱却

学校関連には、公教育と重なり合う、小学校や中学校、高校などを運営している学校法人もあれば、主に就業に直結した技能や資格の取得をめざすための専修学校や各種学校などを経営する学校法人もあります。さらには、NPO法人なども学校の周辺で新たな取り組みを行っています。

社会の変化の中で今求められているのは、個性や多様性を尊重できる人材、インプットするのみの力よりも情報を編集してアウトプットしていく力。そのために学校や教員のあり方も変化が必要となり、アクティブラーニングやICTを活用した教育、地域のリソースを活用した地域とつながる教育など、さまざまな法人や団体が新しい取り組みを始めています。

また、少子化の影響から学生を安定的に確保するための創意工夫も重要。教育のレベルを高め、目に見える成果や特色を打ち出すことや、学校の魅力や特色をきちんと発信していくことがより一層必要性を増しています。

そのため、学生に教える仕事(=教員)や学校経営の仕事は以前よりクリエイティビティやリーダーシップが求められるようになりました。また、さらに学校を魅力化していくためにプロフェッショナリズムを活かす、広報や就職などの学生サポートに関わる仕事の求人が増えてきています。いずれの仕事も、変化や競争の中にあるからこそ、変化に対応していく教育のあり方を常に考え、積極的な挑戦をしていける人材が活躍できる場だと言えるでしょう。

教育×IT

テクノロジーで、学びをもっと楽しく、もっと効率的に

インターネット環境の充実、タブレット端末やスマートフォンの普及によって、学習スタイルは大きく変化しました。実際に、近年では映像による講義の配信サービスや知育・教育用アプリが次々に登場しています。各社が新たなサービスの開発を行う中で、ICT技術の導入や活用が鍵を握り、学習塾や通信教育などといったこれまで教育サービスの提供を行ってきた企業とIT・通信企業が共同してソフトやコンテンツの開発強化を行うケースも多く見られます。一方、これまで教育系の事業にあまり関わってこなかったIT系の企業などが、教育事業を新たに始めるケースも増加しました。この流れから、システムやアプリの開発をするためにITに強い人材が求められるようになってきているのも大きな特徴です。

また、教育×ITの分野について、「EdTech」という教育(Education)とテクノロジー(Technology)を融合させた造語によって表現することも一般化しつつあります。つまり、教育×ITはそれ自体が新たなビジネス領域とみなせるほど注目され、存在感を増している分野。大手からベンチャー、教育に強みを持つ企業から技術に強みを持つ会社まで、さまざまな企業がこの新たな領域で活躍できる人材を求めています。

学習塾

市場環境の変化に対応して、サービス力の向上と独自色を出すことに注力

学習塾業界は、M&Aや業務提携など、ここ数年で再編が一気に進みました。これには、少子化の波を受けて規模の拡大や連携によって経営を効率化したり、サービス力を向上させようという狙いがありました。ただ、少子化の一方で、各家庭が子ども一人当たりにかける教育費自体は減っておらず、子ども一人ひとりに合った指導、中高一貫校向けカリキュラム、英語力強化などの個別ニーズはむしろ多様化しています。結果、それらをうまく汲み取って授業の内容や形態を変更し、大きく業績を伸ばす成長企業も。特に、ここ数年の個別指導塾の成長は目を見張るものがあります。

また、より多くの生徒を引きつけるために、各学習塾は独自色を打ち出しています。ITを活用した授業の展開や、学童保育や英会話学校などと業務提携をして他社と差別化をしたりといった新たなサービス開発などはその一例です。

このような大きな変化の中で学習塾業界では、講師となる人材はもちろんのこと、新たな需要を開拓し、多様化していく事業を支える人材へのニーズが高まっています。学習塾業界は新たなチャレンジをしたい方には最適な環境と言えるかもしれません。

幼児・障がい児教育

「習いごと」に加えて「教育」も。今後さらなる拡大が見込まれる成長分野

幼児期の教育といえば、これまでは水泳や体操といった「習いごと」へのニーズが中心でした。しかし近年、さまざまな研究結果によって幼児期の学習の重要性が明らかになってきたことを背景に、幼児期の働きかけを「教育」として捉えた新たなサービスが多く立ち上がっています。実際、幼児向けの運動プログラムの提供や英会話教室、学習教室などは右肩上がりに増加しています。

また、共働き世帯が増えることで、これまで家庭で行っていたことの受け皿として幼児教育へのニーズは高くなることが予想され、今後拡大していく市場であることは間違いないでしょう。

障がい児教育は、これまではどちらかといえば福祉の対象とみなされてきたため、市場として十分に成り立っていなかったのが実情です。しかし、学校教育の中でもインクルーシブ教育の理念(障がいがある子どもも、通常学級でともに学んでいこうという考え方)が推進され、社会全体に多様性を受け入れていこうという動きがあります。そのような流れの中で、障がいを抱えた人はもちろん、これまでさまざまな理由で就労が困難だった方への就業支援が事業化され始めています。

資格・語学学校

資格学校は多種多様に。高まる英語学習への熱で、語学学校が活況

資格取得学校は、法律系、会計系、建築不動産系、医療・介護系、ビジネス系などの従来からニーズの高い資格の講座を充実させる一方で、ブライダル関連講座や気象予報士の講座など、新しい領域での学校開設も増加させています。また、利用者からは費用対効果が求められる傾向が強くなってきており、事業者は効率的で効果的な講座の開発のためにIT技術を取り入れることにも積極的で、ITに強い人材を求める企業が増えています。

語学学校は、小学校での英語教育の導入などで子ども向けの英会話事業が活況なうえ、企業活動のグローバル化の進展で社会人にも英語のニーズは高まっており、大人向けの市場も拡大傾向。今後もこの傾向は続くと見られています。実際、日本人の語学力アップには、語学学校の存在は不可欠です。語学へのニーズが高まれば高まるほど、その存在感も増していく業界だと言えるでしょう。

昨今では、ITを活用して場所にとらわれず安価にオンラインレッスンを提供する事業者も増えており、これまで教室型がメインだった市場に変化が生じているのは確か。そのため、既存の語学学校は対面でのレッスンの充実を図る一方で、そのブランド力を活かしたWeb講座を展開し、これまで教室に通える人だけに限られていた利用者をさらに拡大していこうとしています。

ビジネススクール

社会人の学ぶ意欲に応えるため、今後より大きな役割を担っていく存在に

ビジネススクールとは、主に、社会人向けに実践的な経営理論などを教育する大学院や、そうした研修を提供している企業を指します。利用者には、現在所属している組織の外に出ても通用するスキルや知識を身につけ、自身のキャリアアップにつなげようという成長意欲の高い人が多くいます。そのため、運営をする側にも、常に最新の動向をキャッチアップする高い学習意欲や成長意欲が求められることはもちろん、ニーズに合った内容を適切な形で講座やカリキュラムにしていくクリエイティビティも求められます。

また、社会人が所属する組織の外で学ぶ場であると同時に、学ぶ意欲の高い人が集うビジネススクールは、さまざまな知が融合し、イノベーションの引き金としても期待されます。授業を展開するだけでなく、イノベーションを生み出すための事業創出やネットワーキングの場まで提供するビジネススクールも増えています。それだけに、ビジネススクールのこれからの社会における役割は大きくなっていくでしょう。

「JAPAN TEACHERS' WEEK」とは

10.5 教師の日

日本の先生たちの置かれている環境が今、大きく変化しています。国際的に行われた調査では、日本の教師の勤務時間の長さは調査国中でなんと1位でした。各国の平均勤務時間を大きく上回っており、教育現場からも、年々増加傾向にあるという声が聞こえています。多岐にわたる事務作業のほかに、放課後の課外活動の指導など授業以外に費やす時間が増えてしまっているのが現状です。

そんな日本の先生たちを応援するために作られたのが「教師の日」。日本ではあまり知られていませんが、1994年にUNESCO(国際連合教育科学文化機関)が10月5日を「教師の日」に制定しています。普段お世話になっている先生に、感謝の気持ちを伝えるこの文化は世界中で浸透しており、各国それぞれの「教師の日」に合わせてイベントも盛んに行われています。

大人たちは、かつてお世話になった恩師に。子どもたちは、日頃自分と向き合ってくれる先生に。大人も子どもも一緒になって、日本中の先生に「ありがとう」を伝え、先生たちが自分の職業に誇りを持って「また明日からも頑張ろう!」と思える日に。

社会全体で先生を応援する「JAPAN TEACHERS' WEEK」がいよいよ日本でも始まります。

JAPAN TEACHER’S WEEK特設ページ