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掲載日:2014.7.28
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「技術的負債」の返済ルールを作る──エンジニア大量退職を乗り越えて

株式会社ドワンゴ プラットフォーム事業本部 技術コミュニケーション室 室長 清水俊博 氏

中堅SIerを経て2009年にドワンゴに中途入社。複数のシステムの開発に携わった後、エンジニアの生産性を高めることをミッションとする部署の立ちあげに参加する。趣味はプログラミングとネトゲ。


ドワンゴ清水俊博氏にドワンゴのエンジニア文化について聞いた。2012年4月の第1回「ニコニコ超会議」の後、ドワンゴのエンジニアが大量退職するという危機的な時期があった。エンジニア文化を立て直す社内組織に参加した経緯を聞く。

java-jaで人生、変わりましたか?

──転職のきっかけはコミュニティ活動とのことですが、当時参加していたコミュニティjava-jaの雰囲気をお聞かせください。
java-jaでは、スキルがある人たち、技術力がある人たちに囲まれていました。ヨシオリ(java-jaを立ち上げた庄司嘉織氏、清水氏の元同僚)も当時はSI業界にいて、互いに話をして共感しあい、友人になりました。
java-jaは、ヨシオリが「勉強会」という呼び名を嫌っていたように、勉強するというより集まってワイワイ騒ぐ感じでした。普通の勉強会では発表が終わると質疑応答に移りますが、java-jaでは話をしているそばから突っ込みが入って、時間が延びるのもお構いなしに議論が発展していきます。それでいて、初心者に門を閉ざさない、誰でもウェルカムな雰囲気があります。
とはいえ、間違ったことをすると「マサカリ」は投げます(注:容赦なく批判すること)。といっても人格攻撃ではなく、「コードを憎んで人を憎まず」というか。
──ドワンゴに誘われた時はどんな形でしたか?
「今の働き方に疑問があるなら、ドワンゴを見においで」と。会社見学に行って、フロアを見せてもらったりしました。java-ja界隈のエンジニアで他にもドワンゴを受けている人が出てきたことも決断の要因の一つになりました。
──入社してみて、カルチャーギャップを感じましたか?
あまりの自由さに、なんだろう、ここは、と思いました。ちゃんと成果を出すことが重要で、細かいことはそんなに言われない。例えば、前職では、机に座ったり業務に関係ない私物を置いていたりすると怒られたりしたのですが、ドワンゴではそういうことで注意されることはありません。
──創業当初は自由な社風でも、大きくなると雰囲気が変わることが多いと思います。意図的に自由さを残しているのでしょうか?
それはあると思います。「エンジニアカルチャーを守らないといけない」、それが歴代のエンジニアの面倒を見る人たちが強く思っていたことです。大きくなろうが、カルチャーは変わりません。とは言え、自由には責任が伴うのが常なので、ちゃんと成果を出すという責任を果たすことが重要ですね。

エンジニア大量退職の時期を乗り越える

──エンジニアの文化を継承するために、どのような工夫をしているのか教えていただけませんか。
僕が入社した時点では、ドワンゴの古参エンジニアの千野(千野裕司氏、現・ドワンゴ コーポレート本部 副本部長)が、ドワンゴの「エンジニア魂」の部分を見ていました。
2012年にエンジニアが大勢退職する現象が起きました。これにはさまざまな要因があったのですが、この頃、ドワンゴのエンジニア魂というか、エンジニア文化の見直しと再構築をしたいと、千野に相談されて、立ち上がり、さまざまな改善を行ってきました。
──清水さん自身は、その時にドワンゴを離れようと思わなかった訳ですね。
退職した人たちがドワンゴを離れた理由はそれぞれあったのだと思いますが、大きな理由として、エンジニアの仕事の仕方に不満が出ていたことがありました。
5年前から積み重ねてきた「秘伝のタレのようなPHPのソースコード」が、限界に来ていました。保守しにくいしテストコードもなく、静的解析を走らせると「1行コードを追加すると3つバグが出ます」ぐらいの複雑度だったり。そういう状態で機能追加のコーディングをしていても、自分がクリエイティブなことをやっている感覚が持てませんでした。
そこに「ニコニコ超会議」に合わせた案件が出てきて、「超会議までにこれをやってくれ」といった、コードの品質を落としても締め切りに間に合わせるような働き方が求められることがあり、それに我慢ができなかった、そういう部分があったと思います。
他にも、エンジニアの働き方を大事にする上、給料がうちよりも高いような会社さんが台頭したことや、使える技術が事実上限られていて不自由さを感じたことなども要因として挙げられますが、実際にヒアリングした限りにおいては多くはこうした仕事の仕方の問題が原因でした。
一方、僕自身は、締め切りに追われて品質を落とすような仕事の仕方を求められることはありませんでした。いくら周りが辞めていこうとも、自分自身が嫌だと思うまでは辞める必要はないと思いました。
それに、そういう状態でも、ドワンゴは盛り返せる会社だと確信していました。エンジニア文化は腐りきってはいないし、川上(代表取締役会長 川上量生氏)という人物と一緒に働くことは刺激的で面白いし、僕らがドワンゴを立て直せばいいだけだと思いました。前職のSI業界のように業界の構造がダメな訳ではなく、一時的に腐っているだけなので。

技術的負債を返還するルールと組織を作る

──エンジニア文化の立て直しのために、どのようなアクションを取ったのですか?
まず、品質を犠牲にして締め切りを守らせるような仕事の振り方は、今後は基本的に行わないことを第1のルールとしました。しかし、ドワンゴはこういう会社なので、イベントは今後もやっていくため、ビジネス判断として時には締め切り優先の仕事も発生してしまうことが予想されます。そこで、そのときに生じた「技術的負債」をリファクタリングやテストコードの追加、もしくは作り直しなどで返済する期間を必ず設けることを第2のルールとしました。
「技術的負債」は、放っておくと複利で利子が増えていきます。どんどん手に負えなくなる。だから、締め切り優先の仕事をして「技術的負債」ができてしまったら、その後にすぐ負債を「返済」する期間を設けるようにしました。イベントの後には、間髪入れず機能追加の要求が来たりしますが、「このチームは技術的負債を返済する期間なので、それはいったん待て」と。
こうしたルールを作っても、守られなければ意味がありません。そこで2012年の冬頃にルールを守るための専門の部署を作りました。「エンジニアリングサポート室」です。何かあれば、この部署が間に入ってエンジニアをガードします。私は、この部署に参加することになりました。
──川上会長がCTO職を兼任したりもしていましたね。
川上がCTO職となった後に、現場のエンジニアをもっとよく見られるように組織を再編しました。今は、複数人の技術部長が分担してエンジニアを見て、彼らが「技術的負債」の返還期間を確保する責任を持つようになっています。この体制ができたことで「エンジニアリングサポート室」の役割は終わりました。代わりに2013年4月にエンジニアの生産性を高める環境作りをする「技術コミュニケーション室」が立ち上がり、私は室長に就任しました。教育、採用、技術広報などが仕事ですが、ツール類の整備もします。
──ツールや技術の導入では、どんな取り組みをしていますか。
ツールでは例えば、GitHub Enterpriseを全社導入しました。最初に導入を推進したのは当時電子書籍チームにいたヨシオリですが、それを全社的に使えるようにしました。
また、統合開発環境(IDE)製品のIntelliJ IDEA UltimateとPhpStormを導入しました。お値段は張るが優秀なツールです。特にScalaでプログラミングする場合、IntelliJと他のツールとでは開発効率が全然違います。
技術の導入でいうと、使える技術の事実上の制限を撤廃しました。ドワンゴでのScala活用は、一部プロジェクトでエンジニアがこっそり導入したのが最初です。それを全社的に、堂々とScalaを使えるようにしました。「ニコニコ生放送」のバックエンド再構築など、Scalaの利用局面が増えています。
もちろんScala以外の言語やプラットフォーム/フレームワークなども、現場のチームが判断して自由に導入できるようにしました。最近ではErlangも積極的に使い始めたりしていますね。チームによって果たすべきミッションは異なるので、個々のチームがベストだと判断したアーキテクチャを採用できるのは当たり前ですが重要なことです。

「世界を変えたいエンジニア」に来てほしい

──今は技術コミュニケーション室の専任ですが、どんなお考えですか。
エンジニアの退職が多かった時期は1年ぐらい続いたのですが、今はその状態から脱しています。退職者はほとんど出なくなりました。成果を出すことができてホッとしていますが、これからも継続していかなければいけないと身を引き締めています。
自分自身、エンジニアとしての能力を磨き続けたいと思っています。しかし、自分一人でできることは限られています。300人以上いるドワンゴのエンジニアはみな優秀なので、その300人が100%の力を発揮できれば、もっと大きなことができます。それこそが目指すべき道だと考えています。
──エンジニアの採用についてお聞きしたいのですが、「ドワンゴに来てほしい人」はどんな人ですか?
ソフトウェアエンジニアが世界を変えられる、動かせると信じている人に、ぜひ来てほしいですね。青臭いと思われるかもしれませんが、ソフトウェアエンジニアは、一人や少人数で世界を変えられる数少ない職業の一つだと思っています。今ドワンゴでやっていることは、新しい文化を生み出し世の中を動かす原動力になりうると思っています。

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ココが今回のギークの学びどころ

  • 「エンジニア魂」を守る! 意図的に自由な文化を継承する。
  • 「技術的負債」は必ず返す! 放置すれば「複利」で増える。
  • エンジニアは世界を変えられる! 自社の技術とサービスで、新しい文化を作り出したい。

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