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CRA におすすめ!

CRAに必要なスキルとは?将来性や求められる能力、キャリアプランの築き方

山梨大学 副学長 大学院総合研究部
先端応用医学講座 特任教授・岩﨑 甫
エイツーヘルスケア株式会社
取締役・山田 章二

[概要]

今後のキャリアについて不安に感じているCRA(Clinical Research Associate:臨床開発モニター)に向けて、「CRAに必要なスキルとは?将来性や求められる能力、キャリアプランの築き方」と題したイベントが2016年11月7日に行われました。近年、症例データの電子化や、グローバルスタディの普及に伴う治験環境の変化から、業務内容に変化が生じているCRA。基調講演では、グラクソ・スミスクライン株式会社の臨床開発本部長を経験し、現在は山梨大学 副学長 大学院総合研究部 先端応用医学講座 特任教授である岩﨑甫氏と、エイツーヘルスケア株式会社 取締役 山田章二氏が、生き残るCRAとはどんな人なのかを、治験現場の過去・現在を振り返りながらひも解きました。講演の模様をダイジェストでレポートします。

[profile]

【講演者】
岩﨑 甫(いわさき・まさる)氏/山梨大学 副学長 大学院総合研究部 先端応用医学講座 特任教授

東京大学医学部付属病院第2外科、山梨医科大学医学部第2外科、ヘキスト・ジャパン株式会社臨床開発本部を経て、グラクソ・スミスクライン株式会社で開発本部長を経験。2011年9月より、山梨大学 副学長 大学院総合研究部 先端応用医学講座 特任教授を務め、治験環境の改善に取り組んでいる。

【モデレーター】
山田 章二(やまだ・しょうじ)氏/エイツーヘルスケア株式会社 取締役

医薬品開発分野で非臨床試験、臨床試験、およびプロジェクト管理などを20年以上担当。CRO業界での10年間の経験を経て、現在はエイツーヘルスケア株式会社の取締役として臨床開発の統括に従事するとともに、一般社団法人日本CRO協会の理事も務める。

臨床開発業界の過去と現在

――CRAのこれからを考えるにあたり、まずはモニタリングの歴史を振り返りたいと思います。1997年に「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」が施行されましたが、その前後での変化とは?

山田
GCP施行前、いわゆる旧GCP時代とGCP施行後との大きな違いは、SDV(Source Date Verification:原資料との照合・検証)の有無です。SDVがなかった旧GCP時代はCRAの業務が比較的軽く、1人が20施設程度を担当していました。

岩﨑
SDVがなかったという点で、旧GCP時代のCRAは、本来のモニタリングの役目を果たすことが少なかったといえます。医師を全面的にサポートする側に回ることが多く、医師のアシスタントのような立場になってしまうこともありました。

山田
それに比べて新GCPの施行後は、CRAが注力する先が、それまでの「いかに先生方に動いていただくか」から、「いかに治験データに信頼性や正確性を確保するか」に移りました。

岩﨑
治験が適切に行われているかをチェックする、CRA本来の役目が求められるようになったのです。そこには、必要であれば医師に対しても「これはダメです」ときちんと指摘する役目も含まれます。今日の本題である「生き残るCRAとは」を考える上で、まずはその点を踏まえることが大切です。

RBMの導入について語る岩﨑氏

――そこから現在に目を向けると、最近のトピックにRBM(Risk Based Monitoring:リスクに基づくモニタリング)があります。治験現場での受け止め方は?

岩﨑
RBMという言葉だけが独り歩きしているのが現状です。「リスク」が何を指すのか、人によって解釈に差があり、試験自体の難しさをリスクと考える人もいれば、評価項目ごとの重要性の差異をリスクと考える人もいます。RBMを実際に導入した例がまだ少なく、手探り状態と言えますね。主要評価項目をしっかりと押さえてメリハリをつけたモニタリングをやりましょう、というのがRBMの基本的な考え方です。

山田
岩﨑先生もご指摘の通り、現状では解釈もいろいろです。RBMの大きな目的は治験の効率化ですが、RBMを導入したことで、かえって施設側の手間が増えたというケースも聞きます。RBMとは、互いにとってのリスクが何かを見極め、適切に効率化を図っていくためのツールです。エイツーヘルスケアではRBMを専門とするセントラルモニタリングの部署をつくり、実現に向けて動いているところです。肝心なのはツールそのものよりも、CRA自身がツールをうまく使いこなす力を持っているかどうか。施設側にきちんと説明し、理解や納得を経た上で、施設側とうまく連携しながらツールを使いこなす力が重要になります。

CRAに必要なスキルを語る山田氏

生き残るCRAに必要なスキルとは

――CRAとして、治験の現場で評価されるために必要な能力とは何でしょうか?

岩﨑
先ほど新GCPに伴う変化を挙げましたが、一方で、昔も今も共通していることも多くあります。その一つが、医師と上手にコミュニケーションをとれるCRAは信頼されるということです。医師の質問にしっかりと科学的に答えられるかは非常に重要で、特にプロトコールをきちんと読みこなし、進行中の治験の状況を詳しく把握しているCRAは信頼されます。現実的には、モニタリングというのはお金がかかる部分で、企業もできるだけ人手をかけないで進めたいというのが本音。今後はさらにIT化も進むでしょう。CRAとしていかに生き残るかを考えるだけでなく、CRAの経験をプランニングやプロジェクトマネジメントの方向に活かしていくことも選択肢になります。

山田
医師がCRAに対して期待するのは、「この場合にどうすればいいのか」という質問への明確な答えです。例えばプロトコールに規定された選択基準・除外基準に対して、判断が難しいグレーゾーンの症例も少なくありません。そんな時にCRAが、即座に判断し答えることができれば、評価は大きく上がるでしょう。そのためには当然ながら、必要な知識をしっかりと習得しておくことが不可欠です。そして、除外すべきだと判断した場合には、それをきちんと医師に伝えて説得できるだけのコミュニケーションスキルも重要です。

岩﨑
そうしたコミュニケーションスキルを身につけるためにも、可能な限り、CRAもプロトコールを作成する段階から一員として議論に加わることが大切です。そうすることで、治験の内容や個々のデータの意味合いを理解した上でモニタリングを行えるからです。選択基準・除外基準についての判断力も高まります。私は普段から病院でも、治験を行う際にはCRC(Clinical Research Coordinator:治験コーディネーター)や担当の診療科の医師も交えてプロトコールの読み合わせを行うようにしています。そうした場面にCRAも加わってくれると、信頼感が高まりますね。医師の言葉を理解して反応できるCRAと、そうでないCRAとでは、医師からの扱いも変わってきます。とは言え、そのためにあらゆる知識を身につけることは非現実的なので、自分が得意とするフィールドを持つことが大事です。

山田
プロトコールの読み合わせをすると、当然いろいろな疑問が出てきます。それをクライアントと確認し合って想定Q&Aを作成し、しっかりと勉強して答えられるよう準備しておくことは、CRAとしての基本です。それに加えて、プロトコール説明会やキックオフミーティングに足を運び、「もし自分が医師なら、CRCなら、どんな質問をするだろう」とイメージを膨らませることも大切です。言いかえれば、現場の立場で考えることができるかどうか。そのためにも、岩﨑先生も言われたように、専門性を持つことは重要です。

オンコロジーのキャリアについて語る岩﨑氏(左)と山田氏(右)

今後どのようにCRAとしてのキャリアを築いていくか

――専門性のお話が出ましたが、例えばオンコロジーのキャリアは今後重要性を増していくでしょうか?

岩﨑
オンコロジーのキャリアも、今後CRAに重要な要素の一つになってきます。オンコロジーの難しいところは、症例の数が少なく、一方で個々の患者さんのバリエーションが非常に大きい点です。患者さんが厳しい状態である場合も多く、必ずしも治験がその患者さんにプラスになるとは限りません。そうしたこともすべて踏まえてケアできるCRAに、私はプロ意識を感じます。最近はオンコロジーだけでなく、これまで治療法のなかった希少疾患などでも治験が行われるようになってきています。一例一例を大事にしながら、患者さんのことを最優先に考えて取り組めるか。それが、CRAに求められる資質です。

山田
オンコロジーは我々CROにとっても専門知識が重要となる領域で、エイツーヘルスケアでもオンコロジーの専門チームを作り、情報共有や勉強会を進めています。一方で、採用にあたってはオンコロジーの経験の有無はそれほど重要視していません。入社後にオンコロジーに携わるかどうかは本人の希望もありますし、プロジェクトの入り方によっても必要な技術は違ってきます。経験がなくてもオンコロジーの知識を深めながらやっていきたい、という強い意志を持った方は大歓迎です。しっかりと力を磨いていける環境も整っています。

岩﨑
抗がん剤は、強い化学物質をもって病気を治す側面があり、一般領域での今までの経験が通用しないことも多くあります。それがオンコロジーの怖さであり、やりがいでもあると言えるでしょう。そこに価値を見いだし、「新たな経験のために勉強だ」と考えて取り組めるCRAは、大きく伸びていくでしょうし、医師からも信頼されるはずです。

欧米の大学における臨床研究の例を挙げる岩﨑氏

――CROや、そこで活躍するCRAに関する今後の展望をお聞かせください。

岩﨑
例えば臨床研究の分野では、大学が実施するものにおいても、今後はモニタリングや監査が必須となることが予想され、企業経験を持つCRAに対して大学からのニーズは高まっています。一方で、大学は企業に比べて予算の制約が大きいというネックがあり、今後の改善が期待される部分です。この点で欧米は進んでいて、デューク大学をはじめとするアメリカの名門大学では、医師が質を担保することで企業から大きな治験を受託し、それによって得た利益を次の臨床研究へとつなげる循環ができています。

山田
CRAの役割がより重要視されてきていることに加え、医師主導型の臨床研究では、CROが事務局的な役割も担ってモニタリングを進める場合が多いという点も、CRO、CRA双方にとってのメリットです。なぜならCRAが医師と直接話をする機会が格段に増え、コミュニケーションスキルや情報交換のスキルが磨かれ、ひいてはそれがCROへの評価向上へとつながるからです。臨床研究はCRAにとって、スキルを研鑽する重要な機会なのです。

岩﨑
確かに、医師主導型の臨床研究では医師とCROの距離が圧倒的に近く、むしろ同じチームの仲間同士のような関係性と言えます。それほどに、モニタリングのノウハウを持つ人材は臨床研究の現場でリスペクトされ、頼りにされます。チームの一員として医師と力を合わせて、人々に必要とされる新しい薬を生み出し、世の中に届けていく過程に携わることができる。それはCRAとして、何ものにも代えがたい大きなやりがいになるのではないでしょうか。

医師主導型の臨床研究のメリットを語る山田氏

<学びのポイント>

・医師からの質問に的確に回答でき、医師相手にも臆せず意見するプロ意識や倫理観を備えたCRAが信頼される。

・医師に助言するための専門知識に加え、プロトコールおよび開発の背景への理解や、チームワークもこれからのCRAには求められる。

・オンコロジーなどの特定の専門領域に特化したり、もしくは今まで培った知識をプランニングやプロジェクトマネジングに活かしたりと、CRAの今後のキャリアにはさまざまな選択肢がある。

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