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ソーシャルビジネスの現状と発展の可能性

一般財団法人ジャパンギビング 代表理事
佐藤 大吾
一般社団法人RCF代表理事、新公益連盟事務局長
藤沢 烈

[概要]

日本のソーシャルビジネス界をけん引するリーダーたちと、さまざまな社会課題に取り組む20の団体が集結したイベントが、2016年11月3日に開催されました。このイベントは、ソーシャルビジネスの事業者連合「新公益連盟」の後援で行われ、第1部では「ソーシャルビジネスの現状と発展の可能性」、第2部では「ソーシャルビジネスで働くということのリアル」をテーマにしたパネルディスカッションを実施。今回は第1部の「ソーシャルビジネスの現状と発展の可能性」についてレポートします。

[profile]

佐藤 大吾氏/一般財団法人ジャパンギビング 代表理事

1973年生まれ。大阪大学法学部在学中に起業、その後中退。1998年、若年の選挙投票率の向上を目的にNPO法人ドットジェイピーを設立し、議員事務所などでのインターンシッププログラムを運営。2010年、英国発の寄付サイト「JustGiving」の日本版を立ち上げ、国内最大級の寄付サイトへと成長させる(2015年、ジャパンギビングへ改称)。日本における寄付文化創造にも尽力。

藤沢 烈氏/一般社団法人RCF代表理事、新公益連盟事務局長

1975年生まれ。一橋大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て独立し、NPO・社会事業などに特化したコンサルティング会社を経営。東日本大震災の後、RCF復興支援チーム(現・一般社団法人RCF)を設立し、情報分析や事業創造に取り組む傍ら、復興庁政策調査官、文部科学省教育復興支援員も歴任。現在、総務省「地域力創造アドバイザー」も兼務する。

【モデレーター】
小沼 大地氏/NPO法人クロスフィールズ 共同創業者・代表理事

1982年生まれ。一橋大学卒業後、青年海外協力隊として中東シリアで活動後、一橋大学大学院社会学研究科を修了、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。2011年、ビジネスパーソンが新興国のNPOで社会課題解決にあたる「留職」を展開するNPO法人クロスフィールズを創業。2015年から国際協力NGOセンター(JANIC)の常任理事、2016年から新公益連盟の理事も務める。

ソーシャルビジネスとの出会い、関わり

小沼
お二人は、ビジネスの手法を活用して社会課題を解決するソーシャルビジネスの世界で10年、20年と活躍されています。まずは自己紹介をかねて、ソーシャルビジネスとどう出会い、関わってきたのかを教えてください。

佐藤
ソーシャルビジネスを始めた、という意識は特になかったですね。と言うのも、ソーシャルビジネスと呼ばれ始めたのはここ5、6年のことではないでしょうか。私が最初に起業したのは1995年で、企業のもとでのインターンシッププログラムを株式会社として運営していました。98年に、大学生に議員事務所などでインターンシップを体験してもらう事業を始めたのですが、売り上げがまったく伸びず、寄付や会費を募らなければ継続できない状況になりました。ちょうどタイミングよく98年に特定非営利活動促進法(NPO法)が施行されたのを受けて、その事業をNPOに分離させました。ですので最初からNPOと株式会社のパラレルキャリアで来ています。また一般財団法人ジャパンギビングにも携わり、非営利団体のファンドレイズ(資金調達)のためのインターネットサービスを展開しています。

藤沢
大学生だった1995年に阪神大震災のボランティアに参加したことが、非営利の分野に入ったきっかけです。その後、卒業してマッキンゼー・アンド・カンパニー(以下マッキンゼー)に入ったころに、ソーシャルアントレプレナー(社会起業家)の考え方がイギリスやアメリカで起こり始めました。私は社内の仲間とNPO研究会を立ち上げました。また並行して、カンボジアの子供たちを支援するNGOの立ち上げに、自身の専門知識や経験を活かして社会課題の解決を行うプロボノとして関わりました。その後マッキンゼーから独立し、ベンチャー企業向けの投資や育成に携わっていましたが、転機は2011年の東日本大震災でした。大手企業が現地で本業を通じた支援活動を行うにあたり、サポートを依頼される機会が非常に増えたのです。私がいま代表を務める一般社団法人RCFはもともと、そのときにボランティア組織として始まり、現在では57人のスタッフを抱える団体になっています。このように、ソーシャルビジネスへの私自身の関わり方も、ボランティアからプロボノ、そして本業へとシフトしてきました。

小沼
私も少し自己紹介させていただくと、NPO法人クロスフィールズの代表を務めています。この団体は、ビジネスパーソンを新興国のNPOに派遣してプロボノ活動を経験してもらうプログラムを運営しています。私が最初にNPOに関心を持ったのは、大学卒業後に青年海外協力隊として中東シリアで活動したときです。現地で所属したNPOの代表がコンサルティング企業出身で、ビジネスの世界の人たちがNPOで活躍する時代なのだと肌で感じました。私もビジネスの世界をNPOの世界につないでみたいと考え、帰国後にマッキンゼーで3年間仕事をし、その後独立して今に至ります。

モデレーターの小沼氏

そもそもソーシャルビジネスとは?

小沼
ひと口にソーシャルビジネスと言っても、株式会社や一般社団法人、NPO法人、認定NPO法人などさまざまな法人格があります。「そもそもソーシャルビジネスとは何か」という問いにはどのように答えますか。

佐藤
定義はあいまいで、個人的な結論としては「自称」で良いんじゃないかと考えています。鍵になるのは、創業者がどのような気持ちで会社を立ち上げたのか。例えば、ECサイトのビジネスをしている株式会社が2社あるとします。A社は「ECサイトで売り上げナンバーワンを目指す」ことをビジョンに掲げ、B社は「ECサイトを通じて買い物の不便を解消する」ことを掲げているとする。この場合、A社はビジネス、B社はソーシャルビジネスと呼ばれます。ただ実際のところ、社会における何らかの不便や課題の解決を「目指していない会社」というのは、ほとんどありません。その意味では、すべてはソーシャルビジネスであり、社会の不便や課題を解決するというビジョンを色濃く出すかどうかの差かもしれません。法人格について触れると、NPO法人と株式会社の違いは大きく2つあり、一つは、資本調達のすべが広いのが株式会社、すべがないのがNPOと言えます。もう一つは、NPOは集めた寄付金に税がかからないこと。そのメリットを活かしてNPO法人は積極的に寄付を集めるのです。

藤沢
付け加えるなら、株主の違いもありますね。NPOには株主が存在しないため、公益のために仕事をすることが目的として組み込まれています。これに対し、株式会社、とりわけ上場企業には、経営メンバー以外に株主が存在するため、収益を出し続けることが大目的となります。それも両者の動きの差につながっていると思います。それと、なぜあえて「ソーシャルビジネス」と呼ぶのかというと、これは「ボランティアではない」ことの逆説でもあると私は捉えています。つまりソーシャルビジネスに携わる人は、寄付や事業収入による対価を得て、それに対してプロとしてしっかりと成果を出していかなければならない。これは非常に重要な点だと思います。

小沼
経営者の意思や目的の違いは、人の様子にも表れる気がします。ソーシャルビジネスの世界では、お金を稼ぐことや自己成長することを一番の目的に置くのではなく、「社会を変えるんだ」という志の元に人が集まっています。そういった熱さや信念を持って働いている人が多いという事実は、ソーシャルセクターの何ものにも代えられない財産だと感じています。

ソーシャルビジネスとは何かを語る佐藤氏

ソーシャルビジネスの変化

小沼
実際にこの業界に長く身をおいてきて、どのような変化を感じていますか?

佐藤
今日のイベントに400名近い方が参加し、NPO法人も財団法人も株式会社も同じ並びでブースを出している。まさに変化を象徴していると思います。これだけソーシャルビジネスが浸透することになった大きな節目は、2011年の東日本大震災です。被災地支援に尽力するNPOや、ソーシャルビジネスの旗手と呼ばれる人たちがメディアで取り上げられ、広く認知されるようになりました。

小沼
NPOだけでも国内にいま約5万団体あり、ソーシャルビジネスは実は巨大なセクターですよね。東日本大震災を機に新たなプレイヤーが入ってきたことで注目され、加えてこれまでの実績や成果も徐々に認知されるようになり、業界のイメージが良くなってきたと感じています。給与水準の面でも、ソーシャルビジネスの業界全体で上がってきていることがデータとして出ています。

藤沢
東日本大震災が大きな転機になったというのは、私もまったく同感です。それ以前の2000年ごろから、日本でもCSR(企業の社会的責任)の考え方が海外から輸入される形で広がっていたのですが、震災を機に、企業は「攻めの社会貢献」へと転じたように思います。つまり、企業が事業を継続していくためには、社会貢献は必須であると多くの人が気づいたのです。ソーシャルビジネスに対する、企業や行政、地域からの期待は今後も高まるでしょう。それは我々が、プロとして社会貢献する必要性がますます高まっていることを意味します。

ソーシャルビジネスのこれからの可能性

小沼
ソーシャルビジネスの10年後はどうなると予想しますか。

佐藤
この先、NPOと株式会社の境目はもっと薄くなっていくでしょう。NPOが法人格として残り続けるかは別として、一つ断言できるのは、ソーシャルビジネスは今後さらに期待される分野であるということです。なぜなら日本は課題先進国で、この先もさまざまな問題が噴出するはずだからです。ソーシャルビジネスはまさにフロンティアの状態で、ビジネスチャンスという観点でも可能性は大きいと感じます。

藤沢
近年、UBER(ウーバー)やAirbnb(エアビーアンドビー)など、‎インターネットを通して、使用していない資産をシェアして活用するシェアリングエコノミーが注目されています。このシェアリングエコノミーは、ソーシャルビジネスや地域社会と非常に親和性が高く、そのため今後の社会の変化という点で、私は「技術+地域+非営利分野」に大変大きな可能性を感じています。この先、日本でシェアリングエコノミーが伸びるに伴って、ソーシャルビジネスはさらなる期待と注目を集めながら成長していくでしょう。

小沼
時代とともに社会課題が複雑化している中で、社会の期待に応えるべくNPOも成長していかなくてはならないという複雑な構造もあるかもしれませんね。アメリカでは近年、テクノロジーを使ってさまざまな社会サービスを安価に提供する「テクノロジー×ソーシャルビジネス」の試みが広がりつつあり、日本でも今後、こうした分野においても大きな成長性が期待されます。それでは最後にお二人から、ソーシャルビジネスに関心を持つ方々へメッセージをお願いします。

藤沢
まずお伝えしたいのは、ソーシャルビジネスに携わることは決して楽ではないということです。事業を継続的に成長させながら、なおかつ社会に貢献し続けなければならず、これは非常に難しいことです。だからNPOというのは新卒で入ってすぐに活躍できる場所ではありません。キャリアとして十分な経験を積み、ビジネスパーソンとして成果を出せるだけのスキルを身に付けることがまずは大切だと思います。今このタイミングでソーシャルビジネスの世界に入るということは、この先5年、10年とこの分野が大きく発展していくスタートに加われるということ。自らも一緒になってソーシャルビジネスの可能性を切りひらき、将来的には自分で組織を立ち上げる意志を持った方が1人でも多くいらっしゃるとうれしいですね。

佐藤
かつてはNPOに転職することを「飛び込む」ではなく「飛び降りる」と表現する人もいましたが、今では状況は大きく変わり、民間企業並みの給与を支払うNPOも増えています。ただし、株式会社がそうであるのと同様に、NPOも玉石混交。必ずしも「NPO=清らか」という訳ではなく、不祥事も起きます。ですから自分の目で確かめることは重要です。私がおすすめしたいのは、まずはボランティアやプロボノとして手伝うところから始めてみること。今日のセミナーのように、関係者から直接話を聞ける場もぜひ活用してほしいですね。「百聞は一見に如かず」です。

小沼
ソーシャルビジネスは、今まさに大きく成長していて、楽しくて熱いフィールドであることは間違いないと思います。同時に、大変であることも事実です。まずはプロボノやボランティアを通じて、ここが本当に自分に合う場所なのかを体感してみた上で、ぜひ一歩を踏み出してほしいと願っています。

ソーシャルビジネスの可能性について語る藤沢氏

<学びのポイント>

・ソーシャルビジネスとは、創業者に社会課題を解決しようとする意思がある団体を指す。

・ここ数年でソーシャルビジネスへの社会の認知は飛躍的に高まっている。

・非営利とはいえ、プロとして成果を出すことが求められる。

・ソーシャルビジネスの領域は今後も高い成長性が見込まれる。

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