はじめてのAI面接対策セミナー
2026年7月9日開催
株式会社人材研究所代表の曽和 利光氏にご登壇いただき、オンラインセミナー「はじめてのAI面接対策セミナー」を開催しました。AI面接を受ける予定がある方やどう評価されるのか知っておきたい方に向けて、AI面接の基本的な考え方や評価につながりやすいポイント、対策方法をお伝えする内容です。今回はセミナーのハイライトを少しだけお伝えします!
登壇者紹介
- 曽和 利光(そわ・としみつ)氏
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株式会社人材研究所代表
【略歴】
株式会社リクルートで人事採用部門を担当、最終的にはゼネラルマネージャーとして活動したのち、株式会社オープンハウス、ライフネット生命保険株式会社など多種の業界で人事を担当。
「組織」や「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法が特徴とされる。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を超える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開する。
当日のプログラム
- 開始〜概要説明
- プログラム内容
- そもそもAI面接とは?
- AI面接の評価ポイントと対策方法
- AI時代でも変わらない選考対策
- Q&A~終了
そもそもAI面接とは?
近年、大手企業を中心に導入が広がっているAI面接。しかし、「何を見られているのか分からない」「人が行う面接と同じ感覚で答えて大丈夫なの?」と、不安を抱く方もいるのではないでしょうか。 セミナーの第1部では、AI面接がどのような位置づけで使われているのか、人の面接とどのような違いがあるのかについて分かりやすく解説しました。
中途市場で起きている実情。最終的な判断は「人」が決める
現在、中途採用市場ではAIの活用が着実に広がっています。2024年9月度のマイナビの「中途採用・転職活動の定点調査」によると、約5社に1社にあたる19.6%の企業がAIツールを活用しており、検討中まで含めると約8割が前向きな姿勢を示しているといいます。活用場面はAI面接をはじめ、応募者との日程調整や書類受け付け、選考状況の管理、適性検査、採用要件の設定などさまざまです。
出典: マイナビ「中途採用・転職活動の定点調査」(2024年9月度)
こうした流れについて、曽和氏は「今後、特に一次面接でAIを使う企業が増えていくのではないか」と話します。その背景にあるのが、応募者一人ひとりから必要な情報を効率よく、一定の基準で集めたいという企業側のニーズです。例えば大企業の中途採用では、一人の採用枠に100人、場合によっては300~400人もの応募が集まることがあります。全員と面接することは難しいため、これまでは職務経歴書や履歴書による書類選考、能力試験などを通じて応募者を絞り込む必要がありました。しかし、書類だけでは応募者の能力や人柄を十分に把握できるとは限りません。また、能力試験で高い点数を取れることが、その仕事で活躍できることに直結するとも限らないでしょう。
そこで活用され始めているのがAI面接です。AIが応募者に質問し、能力や性格、価値観などを理解するために必要な情報を収集・整理することで、従来の書類選考や能力試験よりも人による面接に近い情報を得ようとしているのです。ここで押さえておきたいのが、AIだけで合否が決まるわけではないということ。基本的にAIが担うのは情報の収集と整理までであり、そのアウトプットをもとに最終的に採用するかどうかを判断するのは人です。
さらに、志望度を高めたり、企業風土や組織との相性を確認したりする場面も、現時点では人が担っています。このように、AIと人がそれぞれの得意分野を担いながら選考を進めていると考えると、その役割を理解しやすいでしょう。
人とAIの面接の違い
では、人が行う面接とAI面接では何が違うのでしょうか。その違いを理解する上でキーワードになるのが「構造化面接」です。一般的なフリートーク形式の面接では、面接官がその場で思いついた質問をしたり、応募者によって聞く内容が変わったりすることがあります。こうした形式は「非構造化面接」と呼ばれ、面接官ごとの判断基準や質問内容にばらつきが生じやすいという課題があります。
一方、構造化面接は全員に同じ質問を行い、同じ評価基準で判断する手法です。「この能力を確認するために、この質問をする」「この程度の回答ならレベル3、ここまで語れていればレベル4」といった形で、質問や評価の方法まで細かく設計します。曽和氏は、AI面接を「構造化面接を全自動化したもの」と説明しました。
出典:人の直感的判断はハロー効果などのバイアスを受けやすい(Kahneman, 2011/今城, 2016)
また、現在のAI面接には、大きく「録画型」と「対話型」の2種類があります。録画型は、企業から提示された質問に対して応募者が動画を撮影し、その内容をAIが評価する形式です。一方、近年増えている対話型では、AIが応募者の回答に応じて質問を重ねていきます。必要な情報が不足していれば繰り返し深掘りしてくれるため、一度の回答ですべてをうまく伝えられなくても、やりとりの中で情報を補うことが可能です。
セミナーではほかにも、AIを活用する企業に対する転職希望者の意識や、構造化面接の弱点、AI面接におけるよくある誤解などについても紹介しました。
どう評価される?対策は?
AI面接の仕組みが分かったところで、次に気になるのが「何を見られ、どう答えればよいのか」という点ではないでしょうか。セミナーの第2部では、AI面接ならではの特徴を踏まえながら、評価の観点や意識しておきたいポイントについて、具体例を交えながら解説しました。
AIの見え方。行動の事実が評価される
人による面接では、話している内容だけでなく、表情や話し方、落ち着き、熱意といったさまざまな要素が印象を左右することがあります。例えば、明るく堂々と話す応募者を見て、「なんとなく仕事ができそうだ」と感じることもあるでしょう。一方、AI面接では主に言葉から読み取れる過去の行動特性が評価の材料になります。人事領域ではコンピテンシーと呼ばれるものですが、簡単にいえば「その人がこれまで、どのような状況で、どのように考え、行動してきたのか」ということです。
出典:McClelland「知能より能力(コンピテンシー)の測定を」American Psychologist (1973)
曽和氏は、これを「コミュ強より事実強」と表現します。流暢に話せるか、面接官に好かれるような話し方かといったこと以上に、自分が実際に経験したことを一貫して語れるかどうかが重要になるということです。
では、具体的にどのような情報を伝えればよいのか。AI面接では、一つのエピソードについて「環境・課題・思考・行動・苦労・結果」という6つの情報を集めようとします。
出典:行動評価面接(BEI)/STAR法を基に、曽和が「思考・苦労」を加えて整理
たとえば、どのような環境で仕事をしていたのか、そこでどのような課題に直面したのか。その課題に対して何を考え、どのような行動を取ったのか。途中でどのような苦労や試行錯誤があり、最終的にどのような結果につながったのか、といった具合です。
特に抜けやすいのが「思考」と「苦労」だと曽和氏は指摘します。「この課題に対して、この行動を取り、これだけの成果を出しました」と説明できても、なぜその行動を選んだのかが分からなければ、その人の考え方までは見えてきません。また、結果だけでなく、そこに至るまでの苦労や試行錯誤を知ることで、困難に直面したときに発揮される能力や性格も見えやすくなります。
AIから同じエピソードについて何度も質問された場合は、「うまく答えられていない」と焦るのではなく、6つの情報のどこかが不足しているのかもしれないと考えてみるとよいでしょう。
具体性の重要さ
6つの要素とあわせて意識しておきたいのが回答の具体性です。
例えば、「チームをまとめました」「成果に貢献しました」とだけ話しても、実際に何をしたのかまでは伝わらず、レベル感が測れません。AI面接では、具体的な事実が十分に得られなければ、追加の質問を重ねながら内容を掘り下げていきます。
回答するときは、比喩表現や『これ・それ・あれ・どれ』といった、こそあど言葉は極力避け、具体例や数値などを交えながら、第三者が聞いても状況や行動を理解できるところまで具体化することがポイントです。
「お客さまのニーズに寄り添った」「周囲を巻き込んだ」といった表現を使う場合も、それが実際にどのような行動だったのかまで説明できるようにしておきましょう。
また、志望動機や転職理由でも同様です。ある分野への関心を志望理由として挙げるのであれば、「なぜ興味を持ったのか」というきっかけだけでなく、それについてどのような意見を持ち、実際にどのような行動をしてきたのかまで整理しておくと、本気度を伝えやすくなります。
セミナー内ではほかにも、沈黙を恐れずじっくり考えてから答えること、表情を取り繕うより中身を重視すること、必要以上に自分を盛らないことなど、AI面接を受ける際の攻略方法も紹介しました。
AI時代でも変わらない選考対策
ここまでAI面接ならではの特徴を見てきましたが、AI面接だからといって、特別なテクニックを身につけたり、自分を実際以上によく見せたりする必要はありません。大切なのは、自分自身の経験や考えを整理し、「自分はどのような人間なのか」を事実に基づいて伝えられるようにしておくことです。
セミナーの第3部では、AI時代になっても変わらない選考対策として、日々の行動をどう振り返るか、生成AIを面接準備にどう活用するかについて解説しました。
再現性のある行動≒習慣の重要性
面接というと、「売り上げを大幅に伸ばした」「大きなプロジェクトを成功させた」など、華々しい実績がなければ自分をアピールできないと考える方もいるかもしれません。しかし、大きな成果がなくても自分の強みを伝えることは十分に可能です。
AIは情報の収集やパターン分けを得意とするものの、「どの実績がどの程度すごいのか」といったレベル評価は得意ではないとされています。だからこそ重要になるのが、日々の仕事に表れる再現性のある行動、つまり習慣です。普段どのように業務を進めているのか、チームの中でどう動いているのか、困難に直面したときにどのように対処しているのか。こうした日常的な行動も、自分の能力や性格を示す事実として評価の材料になります。
一方で、華やかな成果を残していたとしても、本人の行動によるものではなかったり、偶然の要素が大きかったりすれば、高い評価にはつながりません。従って、AI面接では結果のインパクトだけではなく、その結果に至るまでに自分が何を考え、どのように行動したのかを整理しておくことが大切です。
AIは準備の味方
AIは面接の事前準備にも活用できます。例えば、ChatGPTやClaudeなどの生成AIにAI面接で見られる観点を読み込ませ、「この考え方に沿って面接の想定質問をしてください」と指示すれば、簡易的な模擬面接ができます。想定質問を作ってもらうだけでなく、自分の回答にフィードバックをもらったり、何度も受け答えを繰り返したりすることで、場慣れにもつながるでしょう。
ただし、AIに頼りすぎるのは禁物です。生成AIを使えば、もっともらしい回答を簡単に作ることができますが、似通った表現になりやすく、自分自身の言葉が失われてしまいがちです。また、「もっとインパクトのある内容にして」と頼んだ結果、実際には経験していない内容まで加わってしまえば、本番の深掘りに耐えられません。そのため、AIはあくまで下書きや練習に活用し、最後は必ず自分自身の言葉に戻すことが大切です。
セミナーでは、AI時代でも変わらない面接準備として以下の3つのポイントが紹介されました。
- 自己理解
- 「なぜ」を言葉にする
- 事実ベースで語る
AI面接だからと必要以上に構えるのではなく、自分が経験してきたことを振り返り、それを具体的に、自分自身の言葉で説明できるよう準備しておく。それこそが、AI時代でも変わらない選考対策といえるでしょう。
セミナーではほかにも、自分と企業の相性を見る「P-Eフィット」の考え方や、AI時代に信頼されやすい「高いシグナル」とは何かなどについて紹介しました。
質疑応答
ここからは、本セミナー内でお寄せいただいた質問と曽和氏による回答の一部を紹介します。
対人の面接では応募者も面接者とのコミュニケーションを通じて応募企業の雰囲気を感じ取れることがメリットと思いますが、AI面接では企業によるスクリーニングと応募者が実際に企業で働く方とのやりとりを通じて雰囲気などを感じ取る場が分かれることになります。その点について企業側はどのように考えているのでしょうか?
企業側は、AI面接を「人間が行う面接の代わり」とは考えていません。どちらかというと、これまで行ってきた書類選考や適性検査の代わりとして捉えています。
書類選考や適性検査から企業の雰囲気を感じ取ることが難しいのと同じように、AI面接自体に企業の雰囲気を伝える役割までは、それほど求められていないのが実情です。
一方で、応募者に企業を知ってもらうための機会を、選考とは別に設ける企業もあります。例えば、面接ではなく「面談」という形で、応募者からの質疑応答も含めたコミュニケーションの場を用意するケースです。また、AIチャットボットなどを活用し、企業への理解を深めてもらったり、志望度を高めてもらったりする取り組みもあります。
つまり、AI面接には応募者から選考に必要な情報を集める役割を持たせ、企業の魅力を伝えたり、応募者の動機形成につなげたりする機会は別に設ける、という考え方です。
AI面接導入企業の人材定着率が高いといったデータはありますか。非構造化面接の精度が低いとのことでしたが、離職理由はやはり人間関係が多いように思えます。面接では人柄を見るというのも大事な気がします。書類整理や能力試験の段階だと捉えればそれは後々の二次面接で見ると思われますが、データなどありましたら知りたいです。
現時点では「AI面接を導入した企業では人材の定着率が高くなった」といえるほど、十分なデータはまだありません。AI面接は本格的な普及が始まったばかりなので、導入後の定着率や入社後の活躍まで含めた検証には、もう少し時間が必要だと思います。
ただし、AI面接の精度を確かめる取り組み自体は、すでに各社で行われています。例えば、実際に働いている社員にもAI面接を受けてもらい、社内で高い成果を上げているハイパフォーマーが、AI面接の結果でもハイパフォーマーらしい特徴として表れるのかを確認するといった方法です。
ただ、こうしたデータは基本的に企業内部で使われるもので、外部にはあまり公開されません。また、現時点ではサンプル数も十分ではないため、学術的な研究に耐えられるほどのデータにはなっていないと思います。
一方で、適性検査であっても、一般的な非構造化面接より高い精度を示す場合があります。そう考えると、構造化面接を忠実に実施できるAI面接についても、今後、人による非構造化面接より精度が高いことを示すデータが出てくる可能性は十分に考えられるでしょう。
参加者の声
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20代後半 技術職(IT)
AI面接というものを初めて聞きました。AI面接といっても身構えることなく、通常の面接と同じように準備をすればいいということが分かりました。
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30代前半 クリエイター・クリエイティブ職
このセミナーに参加せずにいきなりAI面接をすることになっていたら、何を対策していいか分からず困っていたと思いますが、今回参加したことである程度背景を理解できたことで、落ち着いてAI面接に臨めそうです。
自己分析の内容をもっと具体的に詰めないとAI面接では焦るかもしれないと感じたので、準備を進めていこうと思いました。 -
40代後半 技術職・専門職(建設・建築・不動産・プラント)
オンラインで興味のある内容のお話を聞くことができて大変有意義でした。
AI面接の導入や応募資料にAIを利用するなど、AIを活用することに対して慣れがないのでどういうものなのか興味本位で聞かせていただきました。
対AIであっても、対人であっても、まずは自分の経歴ややってきたことに対してうそや大げさな表現はせず、あったことを事実としてお話しして評価を委ねるということが望ましいのかなと思いました。
