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1000万円+成功報酬への転職成功事例
ハイクラス人材のキャリアチェンジの形を探る「転職成功事例」。今回は「面白い話でないと乗ってこない」男性。ポジションや年収ではなく「志」が1番の転職動機だった彼の成功のポイントとは――。
大手商社から外資系へ転職したが…
吉澤英二氏(仮名)は大手総合商社で、アジア地区の工業団地造成や日本企業の海外進出支援など担当した後、外資系コンサルティングファームを経て、現在はベンチャーキャピタリストとして活躍している。このような吉澤氏の経歴は非常に輝かしいものに思えるが、現実はそれほど単純ではない。最初の転職は「失敗だった」と吉澤氏はきっぱりと語る。
商社では海外駐在や新規事業立ち上げなど、やりたかった仕事を一通り経験することができました。しかし、その会社は30歳を超えると現場を離れなければならないのに、マネージャーとして十分な権限を与えられるわけでもない。いわば中途半端なポジションに甘んじなければいけなくなってしまうので、一度外に出て自分の力がどこまで通用するのか勝負したいという気持ちが強くなりました。
そこで人材紹介会社を通じて外資系コンサルティングファームに転職したのですが…」
入社前の説明では、吉澤氏にはマーケティング担当者としてクリエイティブな企画立案と実行を担う役割が与えられることになっていた。しかし、入社してみると、実際の仕事は代理店の発掘営業。足は使うが頭は使わない日々が続いた。
「マーケティングのスキルを身につければ次のステップにつながると考えていましたが、これでは何も身につかない。それに、これは転職して初めて気づいたことなんですが、私は仕事の“大きさ”にやりがいを感じるようなのです。アジア諸国で工業団地をつくっていたときは、何もなかった土地に雇用が生まれ、インフラが整備されて生活水準が上がり、教育が行き届いて文化レベルも上がっていくという非常にインパクトの大きな仕事だったのですが、転職した会社の仕事にはそんな要素はありませんでした」
「志」を基軸としたマッチングを実施
事前の説明と大きく異なる転職先の現実に、吉澤氏はノイローゼ寸前になるほどダメージを受け、転職活動を再開した。実際に数社から打診を受けたが、興味を引くような仕事はなかった。先が見えない苦しい状況の中、吉澤氏は(株)パーソルキャリア エグゼクティブエージェントの担当コンサルタントと面談した。
担当コンサルタントは、吉澤氏と初めて面談したとき「この人は“面白い話”でないと乗ってこない」と強く感じたという。
「職務経歴書を拝見して、吉澤さんならいくらでも紹介先はあると思いました。しかし、吉澤さんが求めているのは単純なポジションや年収ではなく、その仕事の世の中における意義やインパクトの大きさ。すなわち、志の高い仕事でなければいけないと感じたのです」
このとき、担当コンサルタントの頭に浮かんだのが「日本のために新しい産業や事業の創出支援を行う事業を始めるから、いい人材を集めてほしい」という、ある著名経営者からの依頼だった。その時点であったのは経営者の壮大なビジョンと彼が持つリソースだけ。志という点では、吉澤氏の希望と符合するが、具体的な事業はまだ何も立ち上がっていなかった。しかし、だからこそ、何もないところから独力でプロジェクトを組成し、ビジネスを立ち上げた経験を持つ商社マンが適合するのではないかと考えたのである。
この提案を吉澤氏はどう受け止めたのか?
「ようやくきたか、とまでは思いませんでしたが(笑)、経営者の方にお会いさせていただいて、これは“面白い話”だな、と。めったに仕事ができないような人たちと働ける。どうせ失うものは何もなかったし、何より面白そうだという誘惑に勝てませんでした」
大切なのは経営者の価値観と合うかどうか
現在、吉澤氏は事業企画やファンド立ち上げの準備などで、忙しくも充実した日々を送っている。ファンドは単なる出資にとどまらず、自ら投資先の事業に深く関わり、きちんと収益を上げるところまで支援するスタイルを考えている。
「日本のベンチャー企業はビジネスモデル先行で、ある程度の規模で頭打ちになってしまう企業が多いですが、そうではなく、技術力を背景に本当にビッグになる会社を育てていきたい。イメージとしては、例えばグーグル。グーグルの登場で、世の中は大きく変わりましたよね。技術ベンチャーは初期投資が大きくなるという難しさがあるのですが、そうした企業を生み出して、日本の産業を元気にしていきたいと思います」
今回の転職に対する吉澤氏の満足度は高い。事業が今後どうなっていくのかは未知数だが、仮にうまくいかなかったとしても「仕方がない」と考えている。企業側が出しうる情報は全部出してもらった上で、自分自身で決断しているからだ。
今回のケースを担当コンサルタントは次のように総括している。
「転職では絶対に捨てられないものと、捨てても構わないものを区別することが大切です。吉澤さんのケースで言えば、絶対捨てられないものは志でした。世の中に良い影響を与えたいという志。その点で、転職先の経営者とうまくマッチングできたケースだと思います」
転職というと職種のマッチングが重要だと考えられがちだが、実は年収1000万円以上のクラスではそれほど重要ではない。本当に大切なのは、経営者との相性。相性とは、突き詰めると経営者と人材の価値判断基準が合っているかどうか。すなわち、吉澤氏が新しい仕事に満足しているのは、吉澤氏の価値観と経営者の価値観が適合していたからと言えよう。
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