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戦うエグゼクティブたち

第2回日経BP社「課長塾」事業部長 石塚 健一朗 氏

chapter.3 エグゼクティブとは? 矛盾と向き合ったとき、根性論だけでは自滅する

 ――ご自身の経験、もしくは、受講生の成長を見届けてきた立場から、石塚さんが考える「エグゼクティブ像」とはどんなものですか?

マネジャーは“矛盾”と向き合わないといけません。「あるもの」と「ないもの」を考えたとき、プレイヤーは「あるもの」でなんとでもなるのですが、マネジャーは「ないもの」だらけという条件下でその資質が問われます。
すなわち、誰にでも理想の形があって、「ないもの」ばかりの現実と理想を照らし合わせたとき、矛盾を感じるものなんです。ヒト、モノ、カネ、そのいずれも「ない」ということが、矛盾を生むことにつながります。

エグゼクティブともなれば、新規事業を推し進めていくことを使命として課せられ、部下や事業の資金をコントロールしていかなければいけないため、なおさらでしょう。矛盾が生じたとき、いかに周囲をコントロールしながら新しいものを作っていくか。それができないと、エグゼクティブの資格がないと考えます。

 ――「課長塾」の受講生にも、そんな悩みを抱えている人が多いのでしょうか?

チームからナンバー2を外されて仕事が回らないとか、会社がお金を投資してくれないとか、文句を言う人は少なくないですね(笑)。
ただ、そうしたマネジャーやエグゼクティブにとって重要なのは、その矛盾を乗り越えるために「頑張る!」と根性論でいけば、自滅するということです。一番人をダメにするのがこの根性論からの自滅なんですよ。

 ――石塚さんが一番矛盾と向き合ったときというのは、いつのことですか?

今も常に矛盾と向き合っていると感じますよ。当社も、出版社から教育事業を扱う会社にどこまでシフトするか、それは会社の経営戦略だからまだ分かりません。また私は教育の専門家ではありませんし、新しくもらった部下も編集出身。だから正直言うと、自分を含め、ビジネスの素人集団であることは否めないんです。そうしたチームを率いるということも、ある種の矛盾だと思います。
私の部下たちはかつて「日経BPとしてこうあるべきだ」だという考えに凝り固まっていました。その考えは社員として正しいのですが、一方で「課長塾」の事業では「現実的にお客さんが求めていること」を見極めないといけないこともあります。だから「○○するべき」ではなくて「○○してもいいかも」というアプローチが必要で、彼らにはそんな話をしています。
混合チームでは上司と部下の考えが合わないことが生じることもありますが、多くの場合、部下たちはやる気がないわけじゃなくて、やり方が分からないだけです。そのときに上司がどういう仕組みを作ってあげられるのか。それが上司に課せられた仕事であり、私もそうすることで矛盾を乗り越えています。これからもそんな矛盾が現在進行形で続いていくのだと思いますよ。

 ――根性論ではなく、自分自身のやり方次第で、矛盾は乗り越えられるものになっていく。そして、そのノウハウを「課長塾」が教えているということですね。

もうひとつ付け加えるならば、エグゼクティブは自ら燃える“自燃型”で、かつ、人に火をつける“点火型”でなければいけないということです。なかには相手が“不燃型”だったり“消火型”だったりで、火がつかないことで諦めてしまうもの。そんな不燃型、消火型の人の意識を変えることにこだわり続けても、やがて自滅につながってしまいますから、火がつけられる人を見極めないといけないとも思っています。

 ――石塚さんは「課長塾」を通して、どんなことを実現していきたいですか?

毎回の講義でご挨拶させていただく機会があるときには、「課長塾は将来の社長をつくるプロジェクトなんだ」と話しています。受講者には、課長のひとつ上のレイヤーとして、部長・執行役員・本部長などを目指して上にあがってもらいたい。現に今、室長や執行役員クラスになれた人や、もう少しで社長になれそうな人も修了生から輩出しています。
ただその一方で、次の課長になるべき若いビジネスパーソンのなかには「マネジャーになりたくない」なんて言い出す人もいます。「多様性」とか「モチベーション」なんて言葉がもてはやされる環境下で、そこそこの年収をもらえたら、無理をして出世しなくてもいいといった価値観を持った若者が増えています。
もちろんそんな価値観があってもいいのですが、そういう人たちばかりになったら、企業活動は成り立たないし、競争力も失って、日本の経済活動に打撃を与えてしまいます。マネジャーになりたくないと言う若い世代にも、きちんと行動の指針を示し、ときに失敗を経験させながら育てていくべきもの。骨折はまずいけど、ねんざくらいの失敗だったら失敗させてもいいものなのです。そういう若い世代たちを育成できるような課長を輩出していくことが、日本の成長・再生につながる。そういう確信と使命感を持って「課長塾」に取り組んでいきたいです。

 ――「課長塾」にはずっと先の日本企業も見据えた存在意義があるようですね。では最後に、戦うエグゼクティブとして、石塚さんは何と戦っていますか?

私たちのビジネスは、受講者や読者である「お客さま」との戦いだと思っています。うちのようなマネジャー教育講座を開いている競合はたくさんありますが、そこと戦っているつもりはまったくないし、戦う必要性も感じません。「課長塾」が「お客さま」にどこまでの価値を提供できるか、常にその真剣勝負で、提供できないのならば私たちの負けなんです。
われわれは、これが問題だと考えるテーマを階段状に用意し、受講者はその階段を上っていく。すると、受講者同士のネットワークが「課長塾」というソリューションのなかで化学反応を起こして、自分の部門とか、自分の会社だけがよければいいという考えからもっと広い視野で物事を考えられる人を育成できると信じています。そうした社会にとっての真のリーダーを輩出することこそが、私たちの社会的な使命だと思っています。

 ――本日はありがとうございました。これからの「課長塾」に期待しています。

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