エグゼクティブ転職トップ > エグゼクティブ成功ガイド > NRI × エグゼクティブエージェント 特別対談 エグゼクティブの育て方・迎え方:第4回
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NRI(野村総合研究所) × エグゼクティブエージェント 特別対談 次世代型エグゼクティブの創出 -エグゼクティブの育て方・迎え方-

第4回 育て方:エグゼクティブ・コーチングの効果(2)

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永井さん、それは具体的にどういうことでしょうか?

永井

当時の田坂さんは、あらゆる面で「ねばならない」という意識が強い方でした。長年、大企業の組織人として生きてきたからかもしれません。ただMBO後の会社は誰からも「○○をすべきだ」と言われることはありません。田坂さんが「どうしたいか」で全てを決めていく会社です。経営者として「ねばならない」という思考から「こうありたい」への転換が必要でした。

田坂

永井さんとのエグゼクティブ・コーチングのスタートは「それで、田坂さんはこの会社をどうしたいのですか?」という、経営者としての「マスト」ではなく「ウォント」を一緒に見つけだすことから始まりましたね。この思考モデルの転換に最初は戸惑いましたが、新鮮でした。もちろん1年間のコーチング期間だけで全てが変わったわけではないですが、エグゼクティブ・コーチングのセッションを通じて「何をすべきか」から「どうありたいか。何をやりたいか」へと徐々にシフトしていきましたね。

社員の高い相互理解で成立する「動的ビジョン経営」

経営者として「どうありたいか」を大切にするマインドセットになったことで、新会社の組織にどんな影響がありましたか?

田坂

役員全員で事業ビジョンをつくっていた時に「まったく決まらない」という状況に対する自分の思考と行動に表れました。企業理念をつくった後、事業ビジョンを役員陣と何度も対話を繰り返しました。しかし、まったく決まらなかったのです。どんな意見が出ても、必ず誰か一人は反対してしまうからです。この状態が約1年間続きました。そこで「役員陣の意見を一致させるのではなく、全員がそれぞれ『やりたいこと』をやれば良いじゃないか」という結論になったのです。

確かに「どうすべきか」論では達しない結論ですね。

田坂

もちろん役員全員が好きなことをやると、組織がバラバラになってしまうのでは、という不安もありました。それでも安易に多数決で決めた結果、やりたくないことをやるよりは断然良いだろうと思ったのです。社員には、「これはフリューを使った新しい組織体の実験だ」とも説明しました。

「やりたいことをやろう」と言われた役員の皆さんはどんな反応だったのでしょうか?

田坂

最初は半信半疑でしたね。ただ、徐々に浸透していきました。もちろん仕事なので「やりたいこと」だけをやるわけではないです。「やるべきこと」それに、そもそも「できること」という領域がありますよね。ただ「やりたいこと」から発想するのが重要だと私は思っています。フリューではこれを“動的ビジョン経営”と言っています。動的平衡、互いに異なる方向を向いているがシステム全体としては平衡を保っているという意味の言葉からの造語です。しかし、ある一人が「やりたいこと」ができていても、一方で他の皆が不自由を感じていたら、動的ビジョン経営は成立しません。一番のポイントは、「メンバーがやりたいことを相互に理解しあうことからはじめる」ということでした。つまり対話を繰り返すことです。そして、自分が「やりたいこと」と仲間の「やりたいこと」を、同時に実現する方法を考える。その結果、お互いに協力しあい、お互いのベクトルが徐々に合っていく。そんな組織体に向かって動き始めたのです。

田坂さんご自身のマネジメントスタイルにも変化がありましたか?

田坂

個々人の「やりたいこと」を重視するので、必然的にトップダウンから、現場が仕事をやりやすいように上が支える、というマネジメントスタイルに変わりました。下から突き上げるボトム・アップとも少し異なる気がするので、個人的には「トップ・アップ」と呼んでいます。社長が一番下にいて組織全体を支えるというイメージですね。

マネジメントスタイルと実際の組織運営にエグゼクティブ・コーチングが影響したのですね。

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