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離婚、再婚、夫との死別。島田珠代の明るさの裏にある過去とは|ラジオアーカイブ

離婚、再婚、夫との死別。島田珠代の明るさの裏にある過去とは|ラジオアーカイブ

前編:2023.10.22(日)放送回
島田 珠代さん
タレント、お笑い芸人

ラジオ音源はこちらから

「空想メディア」ロゴ04

放送作家の高須光聖さんがゲストの方と空想し、勝手に企画を提案する『空想メディア』。
社会の第一線で活躍されている多種多様なゲストの「生き方や働き方」「今興味があること」を掘り下げながら「キャリアの転機」にも迫ります。

今回のゲストは、お笑い芸人の島田珠代さんです。ハイテンションなキャラクターで人気の島田さんですが、実はとてもつらい過去があるそうです。舞台での明るい姿の裏にあった苦悩や、壮絶な結婚生活とは? 島田さんの芸人として、女性としての強さを感じるお話をご覧ください。

  • 島田 珠代(しまだ・たまよ)さん

    島田 珠代(しまだ・たまよ) ハイテンションなキャラクターが人気の、『よしもと新喜劇』を中心に活動するお笑い芸人。
    数々のバラエティー番組やYouTubeでも活躍中。

  • 高須光聖さん

    高須 光聖(たかす・みつよし) 放送作家、脚本家、ラジオパーソナリティーなど多岐にわたって活動。
    中学時代からの友人だったダウンタウン松本人志に誘われ24歳で放送作家デビュー。

「吉本を辞めようと思った」挫折の日々と新喜劇との出会い

高須:久しぶりやなぁ。

島田:久しぶりです高須さん!

高須:珠と初めて会ったのは、もう34年~35年前ぐらい前やで? (心斎橋筋)2丁目劇場で。ピンネタやってたよね?

島田:そうですよ。なんかよう分からんネタやって。

高須:ネタ見せで何回か見た記憶があるのよ。(山田)花子もおったやん? 花子とどっちが早かったっけ?

島田:私のほうが半年ぐらい早かった。

高須:そのあと花子が出てくんねんな。中3の花子が。

島田:花ちゃんは中3で来てたんで。私が高…3? 2か3か。

高須:すごいな。

島田:いやいや、本当に今田(耕司)さんによう怒られてました。「お前のネタは元気があっていいけど、構成力がない」「構成が、むちゃくちゃやから」って。

高須:(笑)。そんなんさ、普通に学校で脈略なく面白いこと言ってウケている高校生が、あの場で急にできるわけないしな。

島田:そうなんですよ!

高須:だから、できている今ちゃんがおかしいねん。

島田:そうです、そうです。天才ですよ。

高須:あの時代のダウンタウンと今田、東野(幸治)、130R(※1)とか。あのメンツの中で「構成力」て言われても無理やんな。

(※1)板尾創路とほんこんのお笑いコンビ

島田:無理です。それに私、『4時ですよ~だ』(※2)のダウンタウンさんの『かかってきなさい!』(※3)ってコーナーに、友達が応募して(芸能界に)出たんでね。学校でやっていたことが急にお仕事になって、学校でもなんか暗くなるし。

(※2)1987年4月~89年9月に毎日放送で放送されていたバラエティー番組
(※3)素人が一発芸を披露するコーナー

高須:俺はあのとき、全然構成力がない、この島田珠代でええわってずっと思ってたもん。

島田:(笑)。いや、結果ダメでした。もう辞めようかなって思っていたときに、「(新喜劇)やめよッカナ? キャンペーン」(※4)で大崎会長に言われて新喜劇に行ったんで。

(※4)人気が低迷し出した新喜劇を改革するため、1989年10月〜1990年3月の半年間実施されたキャンペーン。これによって島田さんが新喜劇に加入した。

高須:あのころはいろんな人が「1回本当に吉本辞めようかな」ってなってたよな。

島田:うんうん。もういろんな思いをね。

高須:珠とはそこから多分何年も。

島田:会ってないですよ。

高須:でも何年かごとに(ダウンタウンの)松本と「島田珠代っておもろいよな」って(話していて)。

島田:えー、うそや。

高須:ほんまやって。何かあるたびに「珠っておもろいなぁ」「やっぱあいつアホやなぁ」っていう話をちょこちょこするよ。

島田:うわぁー。それはちょっと目頭がホットホット、ベリーホット。

高須:いやいや、全然なってないから。

高須・島田:(笑)

高須:目頭を押さえたけど、一応ね(笑)。軽く押さえるフリはしたけども。

島田:そうそう(笑)。いやぁ、そうですかぁ。

高須:多分ずっと見てんねん。もちろん新喜劇も見てて。

島田:はぁ…もう、その思いだけで私。

高須:どうなんの?

島田:2年くらい頑張れます。

高須:普通やなぁ、おい。

高須・島田:(笑)

偉大な先輩たちとの共演で心が折れた若手時代。当時の学びが今、活きている

高須:最近、売れてるやん。東京でもちょこちょこ。

島田:そうなんですよねぇ。

高須:これなんでやと思う?

島田:芸人ではない目線でみんな見てるからじゃないですかね。私もそうしようと思って。もう、いち大阪のおばちゃんがちょっとはじけてるぐらいの感じでいいんじゃないかなって。あまり力んだりすると、ろくなことがないんじゃないかな。

高須:何回かあったやん、東京に島珠を呼ぶっていうのが。あのころに東京に行こうとは思わなかった? まあいろんなことがあったから、そういう状況じゃなかったのかもしれんけど。

島田:私ね、『ダウンタウン汁』(※5)のときにね、ちょっと折れてるんですよ。

(※5)1993年10月~1994年9月にTBSで放送されていたバラエティー番組

高須:うわぁ!

島田:(構成作家の)倉本(美津留)さんとかに「どうしていくねん?」って聞かれて、「すみません。ちょっと今…何も考えられないです」って。

高須:へぇー。「もうアカンわ、これ」って思ったんや?

島田:はい、いったん。折れちゃったんですよ。

高須:そっか。じゃあもう東京はいいわと思ったんや?

島田:あのときはもう、なんてばかにというか。なんかちょっと「このお兄さんたちといっしょにやっていくの嫌やわ」って思って。プライドが高かったと思うんです。なんか変な。

高須:まあ『汁』は大喜利とかやってたし。そんなの向いてないもんな。そもそも。

島田:向いてない。向いてない。

高須:そこに入れられても無理やもんな。

島田:あと、あそこにいるメンバーがちょっと魅力的すぎて。

高須:それはもう異次元やから。

島田:異次元。

高須:ダウンタウンを筆頭に、あの布陣で自分の立ち位置をつくってゴリゴリ入っていくのは、まあ難しいよね。いろんな人が心折れてると思うよ。

島田:でもあのとき松本さんの楽屋とかにみんなが集まってたじゃないですか。そこで松本さんの「こう来たらこう言うな」とかっていうやり口を何となくずっと聞いていて。今、(千原)ジュニアがやっている『千原ジュニアの座王』(※6)っていう番組で、ちょいちょい優勝させてもらっているんですよ。

(※6)関西テレビで放送されているバラエティー番組

高須:えー! すごい珠!

島田:そうなんです。やっぱりあのときの松本さんの。

高須:鍛えた筋肉がまだ残ってたな。すげぇな。

島田:そうなんです。弱ーい筋肉をね、プルプルッと出しながら。

高須:(笑)。すごいね。

スイッチの入り方は父譲り。笑いのパターンができて自信がついた

高須:コントをするときにガーンってスイッチ入るやん?

島田:そうですね。オンだけはやっぱり大事にしますね。

高須:すごいよな。あのスイッチの入り方。あれって昔から?

島田:あれは昔からですね。

高須:学生の時分から?

島田:そうです、そうです。

高須:すんげぇなぁ。なんであんなおもろいことになるの? なんか自然に出てまうの? あの顔。

島田:お父さんがそもそもそういう人やったんで。

高須:あんなスイッチ入んの?

島田:キメのときにちょっと…。

高須:怖っ! 怖いおやじやなぁ。キメで(笑)。

高須・島田:(笑)

島田:まあ普通の生活しかしてないんですけど(笑)。

高須:すごいなぁ。

島田:はい(笑)。そういう血も継いでいるのか。まぁ新喜劇生活が長かったんで、ある程度の…。

高須:どんなんが来てもスイッチがバーンと入って。

島田:うん。「こういうときは、こうや」みたいな。

高須:もうなんかシークエンスで覚えてる感じ? こうなったらこう、こうなったらこう、みたいな感じでずっと。

島田:そう。

高須:ちょっとしたワンセンテンス全部入ってるみたいな感じやな。

島田:そう。そういう自信がつきました。

高須:そうやんな。すべってちょっと間(ま)が空いたらこれ。男前来たらこれ。おっさんがなんかしょうもないことをしゃべったらこれ、みたいな。

島田:そうそう(笑)。

高須:多分、珠の中にもうあるんやろうね。

島田:もうできてしまって(笑)。

高須:できてしまってんねんやろな。

すれ違い生活で終わった1度目の結婚と新たな出会い

高須:珠のプライベートを知らんかったから、『徹子の部屋』(※6)で初めて聞いた。あんな泣いてるなんて、俺初めて見た。

(※6)1976年2月からテレビ朝日系列で放送されているトーク番組。2023年9月26日の回に出演

島田:私、基本泣き虫は泣き虫なんですよ。

高須:亡くなった旦那さんのこと、自分のお母さんお父さんのことってなると、そりゃくるよな。

島田:泣きます。朝にいろいろあって、そのまま新喜劇に行って「ワァオ!」とかやってる日々もあって。

高須:すごいよな!

島田:なんか切り替えがもう自分でも異常やなって思う時期もあったので。よう『徹子の部屋』まで来たなぁっていう思いとか。

高須:本当すごい、すごい。新喜劇やっているときに1回結婚されて。初めての結婚は何歳のとき?

島田:26歳のときに結婚して。

高須:結構早いなぁ。付き合って、結婚して。で、別れちゃって。

島田:結婚してすぐ(夫が)東京転勤になって。私はすぐNGK(※7)を離れられなかったから、2年間別居して。

(※7)なんばグランド花月の通称。大阪府大阪市中央区にある、吉本興業が運営するお笑い・喜劇専門の劇場

高須:そっかそっか。

島田:(2年後に)東京に行ったんですけど、なんか東京のマネジャーさんって、大阪と違ってすべての仕事が夜中に。会議も夜中に行われる。

高須:またあのころはむちゃくちゃ忙しかったから、マネジャー。

島田:そうそう。夜中から朝が勝負で。夜ご飯も食べへんし、朝ごはん作っても「いらん」言われて。なんかもう生活が全然合わない。

高須:いっしょにいてるけど合わへんみたいなのが一番よくないパターンやもんね。

島田:そう。「こんなに作ったのに! もう! キャッ!」とか言って。

高須:珠キレたら怖そうやな。大声出しそうやなぁ。

島田:そう(笑)。で、まあ終わりを迎え。大阪帰ろうか、どうしようかっていうときに、名古屋の昼ドラみたいなのに入れてもらって。そこの美術さんと。

高須:なるほど、そこでまた出会っちゃって。

島田:出会ったんですよ。

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再婚後すぐ夫にがんが見つかる。心が破られるような日々での救いは舞台だった

島田:芸人やけど、その前に人間やっていう思いはどこかにあるので。(2人目の夫と出会ったときは)もう女性として「結婚。あ、もう出産や」ってなって。「(出産)せなあかん」と思って。女性の本能が「この人や!」ってなったんでしょうね。

高須:猛アタック?

島田:向けられたほうも怖かったでしょうけど。

高須:(笑)

島田:それでその方と2年ぐらいお付き合いして、子どもができたみたいな。

高須:授かったんやね。

島田:だけどその年の検診で、もう(夫の)がんが進行していて。

高須:ステージ4でしょ、しかも。そんなさぁ、がくぜんとするじゃん。

島田:だけど、もう子どもができるタイミングがギリギリだったから、よかったですねっていう。

高須:なるほど。ほんまやね。そっから大変やんか。旦那さんがあと4年か5年かって言われたんやね?

島田:はい。5年。

高須:ひょっとしたらそれが早まったりするかもしれんし。自分が働かなあかんって考えると、急に違うモードにパーンとなるよね。やらないとっていう意識が。

島田:そうですね。多分そのときにもう気持ちが男になっちゃったので。

高須:すげぇなぁ。

島田:多分そのときに女性としてのプライドがあまりなくなったのが、よかったのかもしれない。

高須:それがなんか島田珠代の背骨みたいなのをつくったのかもしれんね。そんな状況でようやれたな。

島田:なかなかね。うちの母も私が仕事に行っている間、彼と娘を見て。その間に挟まってたんで。

高須:そうね。うわぁ、(親に)苦労かけているのもあるしなぁ。

島田:やっぱ抗がん剤の間って、ちょっとイライラするみたいで。

高須:(『徹子の部屋』で)「そんな苦しいんやったらもっと優しくしてあげたらよかったな」て言ってたもんな。でも子どもがかわいい時期やし、むっちゃくちゃ子どもにとっても大事な時やし。でも旦那さんの命のこともあるし、お母さんがつらい思いをするのも申しわけないっていうのと。もうその中で。

島田:グルグルグルグル。

高須:それでも(新喜劇で)壁にバーンッてぶつかって、ええ顔をせなあかんから、これ大変やんな。

島田:そうです。なんかいろんなことを考えていました。芸のことも考えていたし、家のことも考えていたし。

高須:きついなぁ。もういろんなところから気持ちがどんどん引きちぎられている感じやな。

島田:そうですね。本当に(心が)ビリビリ破られている感じでしたけど、そのときは「うわぁ、アカン。こんな家のことを思ってたら所帯じみる!」って思ってはじけられた部分もあるので。

高須:すごいなぁ。

島田:ある意味舞台が私のストレス発散場所になっているときもあったから。狂喜乱舞でしたね。そのころのお客さん、ラッキーだったと思います。

高須:どんだけの勢いで(壁に)当たってんねんって思うくらい。だから珠って身体能力高いんやなと思ったのよね。

島田:多分そのころはもう必死。

高須:必死やな。あのスピードやったら普通アウトやで?

島田:アウトですし、その手前にもその…

高須:ああ、そうね(笑)。ほんまや。

島田:それを70歳、80歳のNGKのおじいちゃんおばあちゃんに見せて、何とか笑わせるっていうことをしていたので。

高須:すごいよなぁ。

島田:いい経験やったと思います。いろんなことが。

――島田さんの意外な過去のお話、いかがでしたか? 次回も引き続き島田さんに、キャリアの転機や気になる新恋人のお話まで、たっぷりお話ししていただきます。お楽しみに!

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