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未来を変える“尖り”技術

株式会社東芝

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半導体開発は「チームワーク」とエンジニアの「アイデア」がカギになる

掲載日:2012.04.19

森 誠一 氏
株式会社東芝
セミコンダクター&ストレージ社 メモリ技師長
もり・せいいち。1983年に株式会社東芝へ入社してから現在へ至るまで、30年近く不揮発性メモリの開発に携わる。入社当時は研究所にて紫外線照射型の不揮発性メモリを担当。その後、NAND型/NOR型フラッシュメモリの開発を担当。東芝が汎用DRAMを撤退した2001年よりメモリ事業部に異動し、フラッシュメモリの開発と事業の拡大を担う。現在はメモリ技師長として数多くのエンジニアを率いる。

日本を代表する総合電機メーカーである株式会社東芝。家電、電子部品、電子機器、電気機械から、重工業分野、社会インフラに至るまで扱う製品は非常に多岐にわたる。今回はその中でも、東芝が発祥であるフラッシュメモリの開発を担う森誠一氏に、同社がフラッシュメモリの分野で世界のトップを走る背景を聞いた。

「かつてDRAM・SRAMがメモリ市場のかなりを占めていた当時、不揮発性メモリというのは本当に限られた領域に使われていました。当時は紫外線を当ててデータを消すタイプだったので、あまり使い勝手もよくないし、ビット当たりのコストも高いため、プリンタ等の制御プログラムなどを入れる不揮発性メモリとして使われていました」

東芝は電気的に一括消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリを発明。その中でもNAND型のフラッシュメモリは大容量化に適していた。ビット当たりのコストが下がるのに伴って、NAND型フラッシュメモリはノートPC、スマートフォン、タブレットPCなどの携帯機器を中心にさまざまな分野に使われるようになった。HDDに比べて「低消費電力」「軽い」「壊れにくい」という特性もシェア拡大に拍車をかけ、今では同社の中で電力事業と並ぶ2大事業の一つに成長を遂げている。

半導体メモリの開発は、微細化・大容量化への挑戦だ。セルを小さくし、ビット当たりのコストを下げることによってより大容量のものを同じ値段で提供できるようになり、さまざまな分野の携帯機器でより広く使われるようになっていく。

「実はここ何年かで、技術的な障壁が非常に高くなっています。難易度が高くなればなるほど、開発に当たって必要な技術アイテム数の増大、トライ&エラーの必要性が増え、関わるエンジニアの人数も多くなってきています。つまり微細化する上でのコストが増大しているということです。これらの問題が今、私たちの前に立ちはだかっているのです。それをどうやってブレイクスルーしていくかが、開発の重要なポイントになっています」

グローバルな舞台で「世界一」の座を賭けてしのぎを削る

「今、韓国企業との開発競争を繰り広げているわけですが、それに立ち向かうために最も重要なのは、エンジニアのアイデアです。当社はここ10~20年の間、競合メーカーに対して常に先行して新しい技術を導入し、『性能』『コスト』『信頼性』の3つの重要な要素において優位な位置を維持してきました。ただ、微細化が少しずつ難しくなってそのスピードが落ちると、後ろから追いかけるほうはすぐに追いついてくるんですね。私たちはこれまでの方針どおり、どんどん先へ行こうと思うのですが、現実にはそれが難しくなっている状況で、後ろから追いつかれつつあるという認識です」

しかし東芝も、単独で道を切り開こうとしているわけではない。

「当社は今、サンディスクと一緒に共同開発をしています。彼らのチームとはかなり一体化した感じで開発していますね。私たち日本のチームと、アメリカのチームでは、物事の考え方や仕事の進め方、マネジメントのスタイルなど、いろいろと違う点はあります。共同開発を始めた当初はそれが摩擦を生むことも度々ありましたが、最近は開発においても、マネジメントにおいても、それぞれお互いの良いところを尊重してどんどん取り入れるスタイルが定着し、“1+1=2”以上の効果を挙げられていますね」

エンジニアも英語で開発の方針などについて議論するため、グローバルの舞台に上がって成長でき、さらに多様な考え方に触れて視野を広げ、課題解決のための有効なアイデアを出すことに貢献しているという。またパートナー企業だけでなく、海外の顧客とのやり取りの機会も多くある。

「グローバルなコミュニケーションはもう当たり前ですね。私たちの製品は販売先の9割以上が海外です。海外のお客さまと、将来はどういう製品が必要になるのか、どういう仕様のものが一番使いやすいのかといったことを会話し、それらも十分に考慮して開発を進めています」

半導体開発はチームワーク。苦しい経験を経て強固なチームに

ライバル企業との厳しい競争を勝ち抜くには、より多くのエンジニア、エンジニア視点のアイデアが必要。森氏は「半導体開発はチームワーク」と言い切る。

「日本で製造業をやっていくということは、世界一のものを開発しなければいけないということ。ただ、半導体という製品は、誰か一人がすごいことを考えて作れるものではなく、大勢のエンジニアの良いアイデアを集めて、その結果として素晴らしいものを作り上げるものなんですね。当社は、風通しが非常に良いと思います。開発メンバーの間でもチームワークを重んじる風土が定着していまして、個人主義に走りません。もちろんアイデアの起点は個人ですが、出てきた良いアイデアをいかに実現していくかについては、メンバーの知恵を集めて進めるスタイルです」

東芝の半導体メモリ事業には、過去に何度か事業の継続を脅かす大きな試練が訪れた。一つは、2001年にDRAMから撤退した時。その時は、当時はまだ普及していなかったフラッシュメモリで事業を立て直そうと皆の力を集め、その結果大きく市場を開拓した。もう一つの試練は2008年のリーマン・ショック。半導体全般の価格が極端に下落した。東芝も四日市工場に対して巨額の投資をしていたため、財務体質的に非常に厳しい状況に見舞われた。

「そんな時、事業部の中というのは一丸となってそれに対処する空気にあふれていました。そういった荒波に揉まれた経験や、海外の強い競争相手と戦っているという環境が、さらにエンジニアの結束力を高めているのではないかと思います」

これからの半導体メモリのマーケットで勝ち抜くには

半導体の分野でよく議論になるのは「微細化の限界」だ。あるものを同じ形のまま微細化していくと、必ずいつかは限界に突き当たる。それをブレイクスルーするために、エンジニアがさまざまな変更を加える。そして1世代進むためには、さまざまなアイデアと変更、新しい装置やプロセスが必要になる。

「私の経験上、数世代ごとに非常に高い壁が立ちはだかるんですね。フラッシュメモリで言いますと、今の構造の限界が、あと1、2世代で来るかもしれないと感じています。その高い障壁を越えるには、例えばメモリセルを三次元的に積む、あるいはもっと新しい材料を入れて、新しいメモリセルを作る必要があるのでは、という仮説の元、新しい開発に着手しています」

技術視点ではなくマーケットの視点では、フラッシュメモリはどうなっていくのだろうか。

「今後も広がっていくと思います。アプリケーションも、今は携帯機器、カ-ドが多いですが、今後、ビットコストが下がるとSSDがどんどんHDDを置き換えていくでしょう。クラウド化が進むと、データセンターでもHDDからSSDに置き換わっていくと言われています。また、私たちはフラッシュメモリだけを今後ずっとやっていこうと考えているわけではありません。SKハイニックスという会社とMRAMの共同研究を今始めていますし、三次元の3DReRAMというものもあり、RAMとフラッシュメモリを組み合わせてさらに新しい製品分野に広げていくことも考えています。その中で、技術で決して負けないことが何よりも大事ですね」

COMPANY INFO

株式会社東芝(東証一部上場)

設立
1904年6月(創業1875年7月)
本社所在地
〒105-8001 東京都港区芝浦1-1-1東芝ビルディング
事業内容
デジタルプロダクツ・社会インフラなどの各種システム・機器・サービスの開発・製造・販売
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