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未来を変える“尖り”技術

株式会社小松製作所

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最先端の建設・鉱山機械は、顧客の課題へのソリューションとしてこそ生まれた

掲載日:2012.06.18

小川 哲也 氏
株式会社小松製作所
開発本部 ICT開発センタ
企画管理グループ GM
おがわ・てつや。愛知県出身。1987年に名古屋大学電子機械工学科を卒業後、株式会社小松製作所に入社、電気系の開発を行っていた湘南工場に配属となる。当初は、パイロット的に開発されていた半導体製造装置の設計にはじまり、商品企画からハードウェア、ソフトウェアの設計、品質保証などを経て、2000年頃から建設機械のICTの領域に軸足を移し、研究開発のマネジメントを行ってきた。2012年春に勤続25年を迎え、同年7月にはアメリカへ赴任となる。

日本を代表する建設・鉱山機械、産業機械メーカーであるコマツ(株式会社小松製作所)。2011年に創業90年を迎え、世界14カ国54拠点に展開するグローバル企業だ。建設機械と言えば、油圧パワーショベルや鉱山の掘削機械など「ハードウェア」を強く意識するかもしれない。しかし現在、これらの製品はICT領域の技術によって支えられている…というよりは、それがなくては成り立たない製品の生命線となっている。今回は、その代表的なシステムとして、世界中にあるコマツの建機をインターネットを介して遠隔監視する管理システム「KOMTRAX」と、鉱山で使用される機械・電気・ICTの粋を集めて開発された「無人ダンプトラック運行システム」について、小川哲也氏に聞いた。

KOMTRAXは、世界中にあるコマツの建機から発信されるさまざまな車輌情報を、インターネットを通じて遠隔監視できる車輌管理システムだ。1998年に稼動を開始し、現在、全てのコマツ建機への搭載設計が完了している。こうしたシステムが作られた背景はどういったものだったのだろうか。

「いくつかあります。一つ代表的なもので、あちこちでご説明させていただいている話では、当時、建機を使ったATM強盗事件が多発していたんですね。そのように悪用されないようにまずは場所を把握したいというのが、きっかけの一つとしてはあったと思います。ただ、当時から工場の中を中心に、テレマネジメントシステムというものが世の中に謳われ始めていました。当時、携帯電話が出てきてロケーションフリーで通信を行えるようになることで、建設機械においても通信を活用したトラッキングシステムを構築できるのではないかという発想が背景としてあったと思います」

こうした背景から、GPSを使った車両位置の把握だけでなく、エンジンを動かせないようロックする仕掛けも初期段階から考えられていたという。そしてもう一つ、建設機械にとって欠かせないのが稼働時間を記録するSMR(サービスメーター)の情報だ。

「当初、建設機械のテレマネジメントシステムにはどんな情報が必要かをリストアップし、優先順位を決めていった時に、最もプライオリティが高いのがサービスメーターの情報でした。全ての建設機械の品質情報はサービスメーターとリンクさせて考えますから、例えば故障した場合にどれだけ使った時点で壊れたのか、といった情報が基準点になるんです」

車載システムのネットワークを介して、あらゆる稼働情報を取得する

現在のKOMTRAXは、車両の位置や稼働時間だけでなく、燃料の残量など、車両からさまざまな情報を取得し、表やグラフなどの見やすい形で顧客に提供している。

「コマツの建機には、他社と比べてかなり早い段階から車載ネットワークが張られています。エンジンやトランスミッション、油圧系統を管理する電子システムがネットワークで結ばれているんですね。エンジンの燃料噴射量やアクセル開度など、それぞれ、制御をするために必要なセンサーが張られていれば、そこで得られた情報はコントローラを介して、ネットワーク上を流れている。ですから、そこにKOMTRAXの端末を付ければ、どんな情報でも取れるんですよ」

こうして取得したデータは、顧客にとってはオペレーターの操作スキルを上げたり、燃料の無駄使いを減らしたりすることに役立てられる。

開発当初はまだ通信コストが高かったためデータ圧縮に苦心していたが、通信インフラが発達してコストが下がり、また監視対処の車両の台数が増えてきた現在、今度は膨大なデータをどうリアルタイムで表現するかが課題となってきた。ここからはまさにICTの世界。データを階層化してリアルタイムデータが必要なもの、統計的なデータが必要なものでサーバの構成を分けるなどといった工夫がなされている。

「さらなる進化の方向性としては、車両とサーバ間のデータのやりとりが常時当たり前の世界になれば、車両からの情報を一度サーバへ送り、サーバ側で高速演算して情報を車両に戻して制御を行う…そういうこともできるんじゃないかと構想しています。車載システムは一度お客さまに納めてしまえばわれわれの手を離れてしまいますが、サーバ側はどんどんパフォーマンスを上げていくことができます。これも、一つの進化の方向性ですね」

ハード、ソフト、ICTの技術の結晶、無人ダンプトラック運行システム

無人ダンプトラック運行システム(AHS)は、世界最大級の電気式ダンプトラック(積載量300トン、タイヤ直径3.8m)を、鉱山の露天掘りの現場などで無人で運行させるシステムである。チリの銅鉱山や、オーストラリアの鉄鉱山で稼働中だ。

「無人ダンプトラックの仕掛けは、KOMTRAX以上に古くから構想されています。機械を無人で動かしたいというのは機械屋にとっては当たり前の夢物語で、基礎研究をしっかりやろうと思った時に当然向く分野なんですね。どうやって自動で走らせるかについては、いろいろなアプローチがありました。現在は、まず現場でGPSを積んだライトビークルで路肩に沿って走行し、稼働エリアの範囲をサーベイします。サーベイで得られた地図から、鉱山の管制システムが、ダンプトラックがスムーズに走れるような最適コースを自動生成します。無人ダンプトラックは、その設定されたパスと、自分自身の車両位置をGPSによって照らし合わせながら、パスから外れないようにステアリングをコントロールして走行するんです」

もちろん、無人ダンプトラックはただ走ればいいわけではない。鉱山では鉱石を掘削している場所を回り、鉱石を積み込みながら走る。掘削サイトでは掘削機側にもGPSが付けられており、無人ダンプトラックは掘削機に近づくと間合いを測りながらステアリングを切り、車両後部を積み込み機に向けるところまで自動化されている。さらに、ミリ波レーダーや光ファイバージャイロなどを搭載した車両は日々変化する走路の状態をある程度把握して、ちょっとした障害物であれば自律的に回避して走る。まさに夢物語のような現実だ。

「ただ、私たちは“最先端”を追い求めた、とは思っていません。プロダクトアウトではなく、むしろ鉱山を運営されているお客さまのコスト削減というニーズに対するソリューションを追い求めた結果だと言っていいでしょう。現場では、机上で想定していたのと違う事態がいくらでも出てきます。そういう一つ一つの細かい課題を即座に解決していく。ここがコマツの強みだと自負しています。KOMTRAXもそうですが、“実現化”、あるいは“品質”といったものに対して真面目に作り込むことが、当社のエンジニアには染み付いているんですね。まあ単純に技術が好きなだけとも言えますけど(笑)」

許されるコストは“興味本位”ではない

これほどまでの、“自分で考えて”走る車両が出てきたということは、掘削機やその他のパワーショベルなどの建設機械も自動化に向かっていくのだろうか。

「そこは結局コストの問題ですね。無人ダンプトラックについても、画像処理系のコストがこなれてくれば、走路の状態をさらに詳細に検出して、人間がやっているような操縦ができるようになるでしょう。ただ、私たちは基本的にはBtoBの世界ですから、許されるコストは“興味本位”ではありません。お客さまにとってコストに対してのメリットがないと、どんな素晴らしい機能でも追加できるものじゃない。ある意味そこは技術屋のやりがいにもつながっていますけれどもね」

本来メーカーには、モノを作って付加価値を提供しようという発想が根本にある。しかし、KOMTRAXは建機を売ろうという発想から生まれたものではない。また無人ダンプトラックに関しても、鉱山の顧客のコスト削減にという目的に向けてソリューションを提供するため、愚直なまでに真面目に取り組んできた結果、最先端の領域に到達したということが言えるだろう。

「当社では今、“KOMATSU Way”という形でコマツのやり方を明文化し、正しく次世代に伝えていこうという取り組みをしています。これまでは、“先輩の背中を見て若手は育つ”という日本企業らしいやり方でそれは伝わってきましたが、世代が変わり、これまでのやり方で伝わるものが薄まってきたと思うんです。私が個人的に考えている方法論としては、各企業は自社独自の技術や情報、仕事のやり方を社内で検索可能なようにする文化を持たないといけないと思っています。また、少子化が進む中、技術者も足りなくなってきている。そんな中で、女性のエンジニアにも継続的に活躍してもらえるポジションや仕組み作りにも取り組んでいこうとしています」

COMPANY INFO

株式会社小松製作所(東証一部上場)

設立
1921年5月
本社所在地
〒107-8414 東京都港区赤坂2-3-6 コマツビル
事業内容
建設・鉱山機械、ユーティリティ(小型機械)、産業用機械などの開発・製造および販売
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