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未来を変える“尖り”技術

東京都下水道サービス株式会社

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世界屈指の人口集積地・東京の下水道事業を支える技術を生み出すチーム力

掲載日:2012.09.20

岩佐 行利 氏
東京都下水道サービス株式会社
技術開発担当部長
いわさ・ゆきとし。日本大学大学院生産工学研究科土木工学を修了後、1974年に東京都に入都。東京都下水道局、港湾局、日本下水道事業団などを経て、2007年、東京都下水道サービス株式会社へ入社、技術部技術開発課長に就任する。下水道の維持管理を効率的、効果的に行うため、現場の経験に基づいた下水道の技術開発に力を入れている。2012年7月から現職。入社時より取り組んできた民間企業との共同開発による「DO-Jet工法」が第14回国土技術開発賞優秀賞を受賞した。

日本の首都・東京都の下水道事業は現在、事業実施に責任を持つ東京都下水道局を中心とし、東京都の監理団体である東京都下水道サービス株式会社、そして民間事業者がそれぞれの特性を活かした役割分担のもとに協働し運営されている。人口が推計1,300万人を超え、世界でトップクラスの人口集積地である東京の下水道事業の現場では、次々に新たな課題にぶつかり、その解決のために最先端の技術が生み出されている。その開発をリードするのは、東京都下水道サービスの技術開発部門。2012年7月に、技術開発担当部長に就任した岩佐行利氏に、同社の開発のコンセプトや組織の強みを聞いた。

東京都下水道サービスが設立されたのは1984年。当時、東京都の下水道普及率は80%に達し、残り20%の普及のための建設工事の推進と、増大する既設の下水道施設の維持管理業務を担っていく必要性が生じていた。それまで東京の下水道は作業的な業務を除いて東京都下水道局による直営。しかし急速に増大する下水道維持管理の業務量に伴って比例的に職員の数を増やすわけにいかなかった東京都は、維持管理事業を補完代行する組織として東京都下水道サービスを新たに設立した。

「当時、下水道局にいた私は、その会社設立に事務局の一員として関わっていました。その後、都からの派遣で当社に2年間在籍し、また下水道局に戻った後、東京都を定年になる直前の2007年に再び当社へ移り、都からの派遣社員として、また退職した後もそのまま技術開発を続けて現在に至ります」

地方自治体、監理団体、民間事業者が協働して下水道事業を運営していくというのは、全国的に見ても存在しない形態だ。また社員も、東京都から派遣されている社員、東京都OB社員、固有社員と呼ばれる同社が独自に採用した社員、そして民間事業者から派遣された社員など、出身母体はさまざま。民間企業の持つ、柔軟性、機動性の良さを発揮しつつも、行政と同じような判断をしながらサービスの提供ができるようにする必要があるためにこうした組織構成になっている。

「技術に関しても、土木や電気・機械、水質(化学・生物学)を専門にする人など、非常にバラエティに富んだ集団だと言えます。それを一つに束ねていくというのが当社の大きな特徴ですし、非常にうまく機能していると思います。設立当時は下水を処理して出てくる汚泥を処理する業務が中心でした。今は下水の管渠から下水処理施設まで下水道施設全体に係わる業務を担っており、下水道事業の総合的な会社としては唯一と言ってよいでしょう」

下水道事業の“現場”の課題解決を目的とする技術開発

下水道施設の維持管理の補完代行を主な事業とする同社において、“技術開発”は民間のメーカーにおける研究・技術開発とは性格をやや異にする。

「当社の場合は、技術開発ありきではないんですね。下水道事業を運営するのに課題となっているテーマが、技術開発のテーマになります。下水処理施設から下水の管渠、その他下水道システムを担うさまざまな設備が私たちが対象にしているフィールドですが、そこでより効率的に施工を進めるための技術や、下水道事業の運営に当たって現場で必要となる技術を開発することが目的です」

同社で挙がる課題以外にも、東京都下水道局から、そしてパートナーである民間事業者からもさまざまな課題が集まってくる。自治体では年度途中では予算の関係ですぐに取り掛かれないことでも、同社であれば必要に応じて機動的に取り組むことができる。

「当社の場合、素晴らしい技術者が一人いる、ということではありません。東京都から派遣で来ている社員は基本的には3年で戻らなくてはいけませんし、比較的短期で人が入れ替わります。さまざまな出身母体を持つ人が集まり、また発注者である東京都や、開発パートナーである民間事業者の方と密接に関わり合いながら開発を続けていくには、一人の人間の力に頼るのではなく『チームとして』進めることが非常に重要になってきます」

その継続性に対する意識は、技術そのものに対しても当てはまる。

「開発した技術を使っていく中で、不具合は当然出てきますし、もっと良くしたほうがいいというものも出てくるわけですね。開発して30年経つ技術でも、いまだに再投資をしながらレベルアップをしている技術がたくさんあります。この中には、純民間であればコストを考慮するとできないこともあるかもしれません。でも私たちには開発者としての責任もありますし、行政サービスの補完代行を担う立場からも改善・改良に前向きに取り組んでいます」

東京発の技術は、事業化され、国内外へ展開される

現場の課題を解決する技術開発。その結果として、現在までに390件の特許を申請し、その中で今も生きている案件が260件を超える。特許を取得したものをはじめ、さまざまな技術が事業化され、またそれらは全国の下水道事業者にも惜しみなく共有されている。そうした技術の一例が「DO-Jet工法」だ。

下水道は主に道路の下にあるが、地下の、これから下水管を敷こうとする場所に不要な構造物が残っている場合が多くあるのだという。それが下水道管を敷設するときに邪魔になってしまう。従来は、上から道路に穴を開け、その障害物の周りが崩れないように地盤改良を施した上で引き抜くやり方や、もしくは人が坑道に入って行って溶接により構造物を小さく切断して除去していた。

「そうすると、障害物除去のために道路を通行止めにしなければいけませんし、場合によっては何カ月もかかってしまい、現実的に難しい。また、人が入って作業を行う場合は地山の崩壊や爆発の危険のあるガスの存在など安全面の不安も大きかったんです。この課題を解決するのが『DO-Jet工法』です」

DO-Jet工法の技術は3つのシステムからなり、敷設を進める管が地中の障害物に突き当たった時に、その接点において、シールドや抗道マシーン内から非開削で「地盤改良」と「障害物の切断・撤去」を実現する工法だ。3つのシステムとは、超高圧ジェット水を噴射し、地中障害物に当てた時の反射音によって障害物の位置・形状を判定する「前方探査システム」、撤去しようとする障害物の周りの地盤に固化材を噴射して安定させる「超高圧地盤改良システム」、H型鉱、シートパイル、木杭などさまざまな種類の地中障害物に対応できる「切断・除去システム」である。

「2000年に勉強会が立ち上げられ、なんとかして地中障害物を切断できないかと調査や議論を重ねるうちに、水を超高圧で噴射してモノを切る技術があることが分かりました。2002年には、下水道局が、水でH型鋼が切れることを実験によって確認し、当社へ技術開発の要請がありました。それを受けて、水を超高圧で出すノズルを開発している富山県のメーカー・株式会社スギノマシンと、トンネル工事専門の中黒建設株式会社の2社と組んで、開発を始めました」

水だけでは切れないから、水に砂を混ぜる。すると、ノズル自身が削られてしまう。地下に埋まっている障害物にはさまざまな種類・形状のものがあり、うまく切断することができない。障害物の周りは堅い土から軟らかい土まで、場合によっては砂の場合もあり、施工場所によって条件が千差万別…そうした中で幾度も実験と改良を重ね、10年という年月を経て実用レベルにまで育て上げることができた。この『DO-Jet工法』は、2012年7月、第14回国土技術開発賞優秀賞を受賞した。

「私たちは、東京都下水道局で必要な技術ということで開発したわけですけれども、結果的に全国で必要ということで、今は福岡、広島、横浜などでも使われています。下水道以外でも、トンネルを掘る技術として全国のあちこちの事業者で採用していただいています。こういった賞に応募するということはこれまでしてこなかったのですけれども、東京発の技術がこれだけ全国で評価していただいていますし、長年の課題が解決できる技術ということで応募して、受賞に至りました。ただ、まだ完成品ではありません。施工場所によって条件は違いますから、また課題も出てきます。私たちは、施工者・発注者の声も聞きながら、改良・改善をこれからもしていかなくてはと思っています」

人こそが財産の会社。互いに思いやり、互いがその思いに応える

「当社には『和で築き、技で育むTGS』という一つのモットーがあります。技術を大事にする会社であり、人を大事にする会社、そしてそれに応える人材が揃っているということですね。いろんな社員がいますが、皆が技術を大切にし、それを伝承していくという意識を、個人個人が意識できている。会社としてもそういう職場づくりを大切にしているということはありますね」

岩佐氏を含め、現在の技術開発部門は25人。若手は30代から上は70歳まで、幅広い年齢層の技術者が集まっている。また、技術開発部門以外にも、管路の維持管理、水処理・汚泥処理施設を担当する各部門にもそれぞれ技術者がいて、情報やアイデアを共有しながら、よりよいモノづくりに余念がない。

「下水道というと、世間から見るとあまりいいイメージがない言葉ですし、手掛けたものもほぼ地中にあるので一般の方の目に触れる機会は多くありません。ただ、技術者から見ると非常に幅広い領域の技術を包括していて、すごく深い世界なんですね。そして、現実的にやった仕事の結果が目に見える。私が田舎から東京に出てきた当時、隅田川はドブ川でした。それが、長年の成果として今は水がきれいになっているのを目の当たりにできている。社会に貢献できているという実感は、下水道の仕事ならではのやりがいです」

COMPANY INFO

東京都下水道サービス株式会社

設立
1984年8月
本社所在地
東京都千代田区大手町2-6-2日本ビル3階
事業内容
東京23区の汚泥処理施設等の下水道施設の維持管理、施工管理を担う第三セクターとして設立。近年では下水道管の維持管理や循環型社会に向けた再生水事業や資源化事業にも力を入れている。
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