転職・求人DODAエンジニア モノづくり > 転職情報・成功ガイド > 未来を変える“尖り”技術 > 「新しい電力の可能性を生み出す直流給電。世界初の直流給電データセンターが稼働開始」NTTデータ先端技術株式会社 - 未来を変える“尖り”技術 | DODAエンジニア

未来を変える“尖り”技術

NTTデータ先端技術株式会社

NTTデータ先端技術株式会社

新しい電力の可能性を生み出す直流給電
世界初の直流給電データセンターが稼働開始

掲載日:2013.05.20

村 文夫 氏
NTTデータ先端技術株式会社
ソリューション事業部 グリーンコンサルティングビジネスユニット HVDCグループ長
むら・ふみお。データセンターの省エネを目的とした、HVDC DC12Vサーバラックシステムの取り組みについて、内外に対して広く普及を推進する。環境ソリューションに特化した株式会社NTTデータ イーエックステクノを経て2009年より現職。「データセンターの環境志向経営」をテーマにNTTデータグループのRB(Relationship Builder)として情報発信の活動も行っている。

2013年3月13日、NTTデータ先端技術株式会社は直流給電システムとそれに対応したサーバをさくらインターネットに納入、同社が北海道で運営している石狩データセンターはデータセンターとしては世界で初めて直流給電システムに対応することとなった。直流給電システムで稼働しているサーバは19基で、同センターのサーバ群の一部でしかないが、今回の稼働実績を基に今後の展開が期待できる。NTTデータ先端技術で直流給電の研究開発をリードしてきたソリューション事業部の村 文夫氏に、直流給電のメリットと将来について聞いた。

電力効率を大幅に向上する直流給電

「今、ITで扱うデータ量が爆発的に増えています。データを処理するには、大量のサーバを設置して運用するデータセンターが必要ですが、データセンターの給電システムにはUPS(無停電電源装置)が組み込まれています。地震や落雷などによる不意の停電でもシステムが途切れずに動くように、データセンターには自家発電機が用意されています。その発電機が動くまでの時間もサーバが落ちないようにバックアップ電源であるUPSがあります」

UPSは大型の電池だ。普段から充電しておく必要があるため、交流を直流に変換し、再び交流に戻す。変換された交流は整流器を通して波長を整えてからサーバへと送られ、サーバ内で再び交流から直流へ変換される。この変換の際に電力の一部は失われ、一般的なデータセンターの変換効率は70~80%止まりだ。

「われわれのHVDC(高電圧直流給電)は交流から直流に変換してバッテリーに充電したら、その後は交流に変換しない仕組みです。途中の切り替え機も分電盤での変圧も要りません。ただサーバ用に電圧を12V(ボルト)に変換するコンバータは必要です。直流から交流、交流から直流への変換が不要になるため、変換効率は90%になります。最新のデータセンターに比べて約10%、古いデータセンターであれば30%前後の効率化が見込まれます」

送電は交流、電化製品はほぼすべて直流

石狩データセンター商用環境のHVDC DC12Vシステムのサーバーラック

直流給電に省エネ効果があるのはわかるが、なぜ今、直流給電なのか?そもそも家庭用電源がすべて交流なのはなぜなのか?

「製品の品質を担保するには、まずは基礎部分、アクチュエータの機構系の性能が大前提となります。ショーワの強みである機構部分の性能・技術を土台に、電子制御化することで高機能かつ高性能な製品を生み出すことができると考えています」

「電気が発明された当初、電気の供給を直流でやるべきか交流でやるべきかの議論がありました。結局、発電所の生み出す大電力を遠くまでロスなく送るには、交流のほうが適していることがわかり、家庭には交流で給電されるようになります」

家庭で使う電圧は国によって異なるが、およそ100~200Vが使われる。最初からその電圧で送電したら、送電ロスによって電力はほとんど失われてしまう。そこで、発電所の大電力を変圧所で順番に変圧し、電圧を落していく。直流に比べ、交流はトランスを使って簡単に電圧を変えることができるため、交流が選ばれたのだ。

「当時は家庭の電化製品といっても電灯ぐらいですから、交流で良かったんです。ところが今の時代、パソコンにしても家電などの電化製品にしても内部はすべて直流で動いています。トランジスタ回路が直流で動いているんですね。今や交流で動くものを探す方が難しい。電灯もLEDに替わっています」

つまり家庭内でも直流給電を行った方が効率がいいのだ。

「元々のHVDCでは365Vという高電圧直流をサーバに給電し、サーバは380Vで動くようにしようと考えていました。しかし380Vの直流は、他のデバイスで使う時に変圧が必要だったり感電や放電の問題があり、使いにくい。私たちは2005年からHVDCを研究していますが、そうした直流の持つ問題については解決策を用意しています。石狩データセンターではサーバを12Vに設定しました。マザーボードが12Vで動いているからです。コストもできるだけ安いほうが普及しますので、12Vであればサーバの電源部分だけ入れ替えれば済みます。構造もシンプルなので、信頼性も高い」

現在、同社は世界中のベンダーと協力しながら、HVDCの国際標準化を進めている。

「東京大学の江崎浩教授が進めている『東大グリーンICTプロジェクト』のワーキンググループに入れていただき、国際標準化を進めようとしています。家庭でHVDCをやるには、冷蔵庫や洗濯機もHVDCに対応しなければならず、標準化技術が必要になります。家電メーカーも研究はされていて、HVDC対応家電をたまに展示会に出品されています」

モチベーションの高いパートナーとの協力関係が普及を加速

今回、石狩データセンターが選ばれたのは、同センターを所有するさくらインターネットの協力があったからだった。

「彼らが北海道石狩市に国内最大級のデータセンターをオープンしたのが2011年11月のことです。なぜ石狩市が選ばれたかというと涼しいからです。データセンターは大量の熱が発生する一方で、20度前後に冷やしておかなければいけません。だからデータセンターの省エネといえば、空調の省エネになります。空調機とUPSがサーバと同じぐらい消費しているんです」

PUE(Power Usage Effectivenessの略)というデータセンターのエネルギー利用効率を示す指標がある。分母が「IT機器の総電力」、分子が「データセンター全体の消費電力」での割り算だ。データセンターはIT機器の電力のみで運行されることが理想なので、PUE=1を目指すことになる。しかし現実にはPUEは2~3であり、倍以上の電力を消費している。

「主役のIT機器よりも空調やUPS設備のほうが消費電力も大きく、電力ロスも大きいわけです。省エネデータセンターへの取り組みは活発に行われています。空調の能力を上げるために暖かい空気と冷たい空気を分けたり、ケーブルをきれいに整理して空気が流れるようにしたりといったことで省エネをしています。一方で石狩データセンターは外気空調システムを使い、消費電力の4割削減を実現しています。北海道は涼しいので、夏の一時期を除けば、空調の利用率を抑えることができるのです」

最初の1年はHVDCの本格的な導入の前に、実際の運用上の問題点を見つけたり、製品評価のために12VサーバとHVDCをコンテナに用意して、石狩データセンターで実績を作った。

「それで問題がないことがわかり、本格的な運用が始まったんですね」

またHVDC対応であれば、太陽電池や燃料電池も直流電流を発生させるため、そのまま電源として利用可能だ。

「今の太陽電池は、発電した電力を交流に変換して電力会社に売り、再び買って使う時に直流に変換しています。われわれの場合は直流の母線ができているので、そのまま太陽電池の電力を利用できます」

直流給電のニーズは広がっている。電気自動車の電流は直流だ。プラグインハイブリッドや電気自動車を家庭で給電する場合、交流を直流に変換して充電している。

「家庭にもいずれHVDCが入ると思いますが、まずはデータセンターだろうと考えました。今、世界中でデータセンターの需要は爆発的に増えていて、データ量も増えていきます。家庭の消費電力は1kw(キロワット)もありませんが、データセンターは1カ所で何千kwも消費しますから、1%の違いで大きく影響します。それだけ効果が大きいわけです。またプロが扱う施設ですから、運用で対処できる部分もある。将来的に家庭用にもつながっていけばいいと思いますが、私たちはデータセンターでニーズが広がっていくことを当面の目標にしています」

石狩データセンターでの運用を機に、世界のさまざまな企業からの引き合いも増え始めている。日本発の電力規格が新しい世界標準を生み出すのか?NTTデータ先端技術の活躍に期待したい。

COMPANY INFO

NTTデータ先端技術株式会社

設立
1999年
本社所在地
〒104-0052 東京都中央区月島1-15-7 パシフィックマークス月島7階
事業内容
・ITシステム基盤の開発、販売、運用および保守
・ITシステム基盤に関する調査・研究およびコンサルティング
・ITシステム環境の建築、建設、電気および電気通信の工事の設計施工、調査・研究およびコンサルティング
・ITシステムに関する製品・ソリューションの開発、販売およびコンサルティング
・情報セキュリティに関する診断・監視・監査・認証取得支援サービス、コンサルティングおよび製品販売
・ITシステム基盤技術および情報セキュリティに関する研修サービス
DODAエージェントサービス 「世の中に価値あるものを残したい」そう考えるエンジニアの方へ。能力を発揮する舞台探しを、専任のキャリアアドバイザーがサポートします。 エージェントサービスに申し込む【無料】 「転職のプロに相談」DODAエージェントサービスとは?
【合格診断】モノづくりエンジニアの大手・優良企業への合格可能性を無料一括診断

エージェントサービスに申し込む(無料)

モノづくり業界・建築・土木業界に精通した専任のキャリアアドバイザーが、エンジニアの転職活動を無料でバックアップします。

イベント情報

転職のプロに相談できる DODAエンジニア個別相談会

インタビュー、コラム

未来を変える“尖り”技術

未来を変える“尖り”技術

先端技術が社会に提供する新しい価値とは

インフラストラクチャーの未来

インフラストラクチャーの未来

インフォグラフィックで読み解くこれからの社会インフラ

モノづくりエンジニアのキャリアづくり

モノづくりエンジニアのキャリアづくり

電気・機械系 設計・開発技術者のための転職コラム

建築業界専任キャリアアドバイザーが語る!技術者マッチングプロジェクト

技術者マッチング
プロジェクト

建築業界専任キャリアアドバイザーが語る!

最新の求人動向・転職事例などをタイムリーにお届け!化学系エンジニアの転職最前線

化学系エンジニアの転職最前線

最新の求人動向・転職事例などをタイムリーにお届け!

メールマガジン無料配信

簡単登録で最新の転職情報、
希望の求人が届く