掲載日:2013.11.18
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三年予測ートップリーダーと考えるエンジニアの未来ー

「勝負事は、いつか基礎がモノを言う。そして、恐れず仕事で遊べ! 世界最強のプレイヤーが、今、ゲームの作り手に伝えたいこと」

UI研究者 増井俊之

1959年生まれ。54歳。慶應義塾大学環境情報学部教授。東京大学大学院修士課程卒業後、富士通、シャープ、ソニーコンピュータサイエンス研究所、産業技術総合研究所を経て、2006年から2008年まで米AppleでiPhoneの日本語入力方式の開発に従事。2008年より慶應義塾大学。


遅いスタートを乗り越えた作戦

ユーザインタフェース研究者の職場

慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)にある増井俊之の研究室は、混沌とした楽しさが感じられる場だった。まず、ドアの開閉の方法からして違う。「NFC対応のスマートフォンをかざして回す」操作で解錠する仕組みが作り込まれている。ドア解錠の機構から伸びるケーブルの先には、ガジェット作りでは定番のマイコンボード「Arduino」がある。ユーザインタフェース研究者である増井の研究成果をドア解錠の機構に組み込んでいるのだ。
研究室の入り口には、研究室メンバーが「ニコニコ学会」で大賞を獲得したときの副賞のだるまが飾ってある。研究室の天井付近にはなぜかレールが設置されている。これはインターネットから制御するモノレールから研究室の風景を撮影できる仕組みのために設置したものだ。ホワイトボードにはソフトウェアの内部構造を検討した跡があり、机の上にははんだごてと測定器が置かれている。研究室の片隅にはキーボードなど楽器が置かれている。幅広い関心がうかがえる部屋だ。
増井の開発成果の中には、多くのユーザーが知らずに使っているものも多い。筆頭に挙げられるのは、ソニーコンピュータサイエンス研究所時代に開発した日本語入力「POBox」だ。これは当時のソニー製携帯電話やPalm OS搭載PDAに搭載され、今もスマートフォンXperiaシリーズに標準搭載されている。
そんな増井の最近の成果は、例えば次の映像取材で見ることができる。

他人より遅いスタートを切る

増井は、東京大学大学院を修士で卒業後、まず富士通で電子技術者として働いた。その後シャープの研究所に転職し、UI(ユーザインタフェース)研究者としてのキャリアを歩み始める。
「研究者としては遅いスタートだった」と増井は振り返る。多くの研究者が、20代の学部生、院生、ポスドクの時代に実績を積み重ねていく中で、増井が論文を書き始めたのは30歳を越えてからだ。「歳をとってから学会に行っても、知り合いはいないし…」とも言う。他人に比べハンディキャップを負ったスタートだったのだ。
そこでとった作戦はこうだ。当時の日本では、ツールに特化したUIの学会がなかった。そこで志を共有できるメンバーを集め、UI研究のコミュニティを立ち上げた。それが日本ソフトウェア科学会の「インタラクティブシステムとソフトウェア研究会(ISS)」だ。この研究会は「インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS)」を20年にわたり毎年開催してきた。
学会活動で研究会を立ち上げたことは、研究者としての活動には大きくプラスに働いた。この研究会は増井の研究成果を最も良くアピールできる場となったからだ。そのことは「ラッキーだった」が、それは「たまたまうまくいった」だけなのだという。
「思いを持ち続け、やってきたチャンスは逃さない」。それが増井の今までの作戦だ。チャンスがいつ来るのかは分からない。そこで、思いを持ち続け、考え続け、チャンスを待つのだ。
突然かかってきた、Appleからの電話
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