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doda Career seminar archive

キャリアーセミナーアーカイブ

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すべての方におすすめ!

大企業出身起業家はこうして起業した

寺田親弘/Sansan株式会社 代表取締役社長
柴山和久/ウェルスナビ株式会社 代表取締役
小川泰平/株式会社ietty 代表取締役社長
和田圭祐/インキュベイトファンド General Partner

[index]

スタートアップと大企業のギャップに苦しむ

スタートアップと大企業の違い

和田
大企業とスタートアップの違いで苦しんだ部分はありましたでしょうか?

柴山
スタートアップと大企業との1番大きな違いは、スタートアップには何もリソースがないことです。最初はオフィスも銀行口座もパソコンすらなくて、しかも全部自分で用意する必要があり、それが想像より大変でした。口座を開設しようと銀行に行くと、「先に金融商品取引業者の免許を取得してください」と断られる。こっちは、その免許を取るために、出資金の振込先として銀行口座が必要なんですよ(笑)。すべてがそんな調子で、あんなに大変だと知っていたら起業しなかったかもしれません。

創業チームがいなかったので、いろいろな会社のCTOやエンジニアを紹介してもらったけれど、誰も手伝ってくれない。ある時その中の1人に「スーツをビシッと着ている人に、エンジニアは誰もついて来ないですよ」と言われて。すぐにジーンズを買って着替えたけど、それでも誰も来てくれない。(笑)これは格好だけの問題じゃないな、と。プロダクトをつくる楽しさや大変さといった感覚を共有できないと、一緒のチームではやっていけないだろうなと気づいたんです。じゃあ自分でやってみるか、とプログラミング学校に通ってプロトタイプを自分で作りました。

寺田
創業した2007年は、スタートアップについての知識がまだ世の中にあまりなく、その分ギャップもいろいろ感じました。投資家との打ち合わせで数字やビジネスプランを一生懸命説明しても、みんな全然聞いてくれない。上司に稟議書を上げるような気持ちでしゃべっていたんですが、ビジネスプランとか経営とか、そこが大事なわけじゃないんだな、と気づかされました。早めにギャップを知ることができたのはよかったけど、それを正すのには多少苦労しましたね。

最近ではリーンスタートアップの概念が一般的になりました。当時はそれをまったく知らず、おのずと描く絵が大きくなってしまう。スタートする段階では、あまり大きなことは考えず、いかに最初を着実に回すかに集中し、次のことはその地点に行ってから考えればいい。そういうリーンスタートアップ的マインドをたたき込まれました。それを元に、まずは100社契約を取ることを目指して、ひたすら歩き回りました。

小川
「Incubate Camp」に参加した当時、プロダクトはまだ影も形もなくて、僕自身エンジニアリングの知識は皆無。よく起業のノウハウ本に「外注で失敗する」と書いてありますが、僕も見事に失敗しました。エンジニアが社内にいないとダメだなと気付いて、創業1年目くらいにようやく開発責任者ポストのエンジニアを採用。ただ、住友不動産でゼネコンの人たちと仕事をしていた時の調子で、がんがん押すようなコミュニケーションを続けていたら、エンジニアが次々辞めてしまったんです。

考えてみると、住友不動産にいた5年間は、実務は経験しているけれど、直接マネジメントに携わったのは最大で5人くらい。一方、iettyは急速に成長して、今はアルバイトも含めると80人ほどで、その規模をマネジメントしなければいけない。自分のマネジメント力のなさと、企業の成長スピードとのギャップに苦しみました。今はCOOとCFOがいて、僕自身の足りないマネジメント部分を全部引き受けてくれています。彼らのやり方を見て、勘所を理解しながらキャッチアップしています。

当時感じていた大企業とスタートアップの違いを語る小川氏

スタートアップへの転職に関心を持つ人へのメッセージ

寺田
組織や場所にはそれぞれの「力学」が必ずあって、自分自身がそれとシンクロできるかどうかが大切だと思います。一般的な大企業の根本的な力学は「偉くなること」。その前提で異動などがあり、すべてが行われている。僕は創業する前、このまま会社にいて偉くなって、仮に役員や社長になったらどうなるだろうと想像してみたけど、まったくうれしいと思えなかった。だから飛び出そうと決めました。

もし皆さんが、今いる場所の力学に自分が合わないと感じているのであれば、合う場所を探して外に飛び出してみたほうがいいと思います。自分が大切にしたい軸がはっきりすれば、必ずシンクロできる場は見つかり、活躍の場を自分でつくっていけるはずです。仮にうまくいかなくても、「他流試合で力をつけてきた人」としてまた企業で活躍できるはず。リスクはない、というのが僕の意見です。

小川
日本ではまだ、大企業で働く本当に優秀な人というのは、会社に残って出世している気がします。実際、今うちにいる大企業出身の人たちって、みんなどこか変わり者(笑)。一方で最近は、スタートアップにも極めて優秀な人材が徐々に来るようになっていて、今後その循環がさらに進めばすごく面白くなると思いますね。

大企業では新規プロジェクトの予算というのは、5000万円使えたらすごくいい方。それに対して、スタートアップなら、数億円の出資を受けて事業に取り組めたりする。数億円規模のプロジェクトなんて、大企業にいてもそうは経験できません。そういうスケールの大きなチャレンジをしに来てほしいですね。寺田さんも言われたように、リスクは何もないと僕も思います。

柴山
スタートアップはきらびやかなイメージがあるかもしれないけど、実際は大変なこと、つらいこともたくさんある。ただ、それを上回る楽しさがあるからやっていけるんです。

起業のノウハウ本にのっている失敗例はことごとくやってしまうし、心に余裕がなかったり、安易な方向に流れたりすると、落とし穴にはまってしまう。失敗して傷だらけになりながら学び、どれだけ早く賢くなれるか、というプロセスです。それに耐えられるかどうかは重要だと思いますね。苦労の先に「やってよかった」と思える瞬間は必ず来るので、それを信じて最後まであきらめずにできるかどうか。それがスタートアップに挑戦する上での大きな鍵ではないかなと思います。

起業当時を語る柴山氏

<学びのポイント>

大企業で経験したことは今こんなところで活かせている

・業界全体を見わたせる立場で、負の構造も含め理解しているからこそ、大きなビジョンを描ける。(小川氏)

・政策をつくる官庁側、自己矛盾を抱える規制産業側、その両方で経験を積んだことで、改善すべき課題やチャンスを見つけやすい。(柴山氏)

・大企業を相手にしても構えずにいられる。シリコンバレーでは、ベンチャーにおけるビジョンを持つことの大切さを学べた。(寺田氏)

スタートアップで感じるギャップをこうやって解消した

・プロダクトをつくる楽しさや大変さをエンジニアと共有できるよう、自らプログラミング学校で学んだ。(柴山氏)

・スタート段階ではあまり大きな絵を描がかず、目の前の目標に集中するリーンスタートアップへとマインドチェンジ。(寺田氏)

・自分の力が足りないマネジメント部分は、それを得意とする人に任せ、彼らのやり方を見ながらスキルをキャッチアップ。(小川氏)

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