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スタートアップへの参画はキャリアとしてメリットなのか

春田真/株式会社ベータカタリスト 代表取締役CEO
小泉文明/株式会社メルカリ 取締役
田中潤二/Sansan株式会社 取締役 CFO 兼 経営管理部長
本間真彦/インキュベイトファンド General Partner

[index]

参画するスタートアップは経営者のここを見て決める

ここからは株式会社ベータカタリストの春田真氏、株式会社メルカリの小泉文明氏、Sansan株式会社の田中潤二氏による、「参画するスタートアップは経営者のここを見て決める」をテーマに行ったパネルディスカッションの模様をレポートします。

[登壇者プロフィール]

春田真/株式会社ベータカタリスト 代表取締役CEO

1992年4月、株式会社住友銀行に入行。2000年2月株式会社ディー・エヌ・エーに転職し、同年9月に取締役CFOに。2008年7月に常務取締役CFO、2011年6月には取締役会長に就任。ディー・エヌ・エーの上場を主導するとともに、大手企業とのJV設立や横浜DeNAベイスターズの買収などM&Aを推進。2015年4月、株式会社ベータカタリストを設立し、代表取締役就任。

小泉文明/株式会社メルカリ 取締役

早稲田大学商学部を卒業後、大和証券エスエムビーシー株式会社で株式会社ミクシィやディー・エヌ・エーなどのネット企業のIPOを担当。2007年ミクシィに入社し、取締役執行役員CFOとしてコーポレート部門全体を統轄する。2012年に退任後はいくつかのスタートアップを支援し、2013年12月、株式会社メルカリに参画。2014年3月には取締役に就任する。

田中潤二/Sansan株式会社 取締役 CFO 兼 経営管理部長

慶應義塾大学を卒業後、モルガン・スタンレー証券株式会社に入社。カーライル・グループなどを経て、2009年に企業再生支援機構に入社、日本航空株式会社の再建・再上場に携わる。その後2013年にSansan株式会社に入社、取締役就任。CFO・経営管理部長としてバックオフィス全般を統括、会社の成長を支えている。

[モデレーター]

本間真彦/インキュベイトファンド General Partner

ジャフコの海外投資部門にて、海外投資部門にてシリコンバレーやイスラエルのIT企業への投資、JV設立、日本進出業務を行う。2001年よりアクセンチュアのコーポレートデベロップメント及びベンチャーキャピタル部門に勤務。2003年より三菱商事傘下のワークスキャピタルにてMonotaRO、ベンチャーリパブリックの創業投資からIPOを経験。2007年にネット事業のシードステージ投資に特化したファンド、コアピープルパートナーズを設立。2010年にインキュベイトファンド設立、代表パートナー就任。

私が参画を決めた瞬間

本間
早速ですが、皆さまが今の企業に参画を決めた背景を教えてください。

春田
住友銀行を辞めてDeNAに入社した2000年は、ちょうどITバブルのピークでした。DeNAは当時まだ15人ほどの会社で、それが、2015年に退任した時点で4000人ほどの規模に。会社が大きくなっていく過程そのものを見てきました。

なぜDeNAだったのかと聞かれれば、答えは「たまたま」ですね。銀行では仕事にも同期にも恵まれましたが、自分で何か新しいことにチャレンジしたいという思いも次第に強くなっていました。31歳を目前にしていた1999年の秋、たまたまDeNAがインターネットオークションの会社をつくると知って興味を持ちました。サービスインの日にサイトを見てみると、下の方に社員募集とあり、そこをポチッと押したら「すぐ来てください」と電話があって。訪ねて行ったオフィスは、サービスイン直後とあっててんやわんや。創業者で現会長の南場智子さんらと話をして、純粋に熱に打たれました。話しててすごく楽だし、僕と同じく運がありそうで楽天的。面白そうだなと直感で選びました。いろんな企業を回って比較検討したわけではまったくないんです。

参画のきっかけを語る春田氏

小泉
大和証券SMBCで3年半、主にネット系企業のIPOに関わり、そのうちの1つがミクシィでした。創業者の笠原健治さんとは、ミクシィのサービスがスタートするころからの付き合いで、外部のアドバイザーの立場で関わっていましたが、来てほしいとずっと誘われていました。当時会社では郵政民営化のプロジェクトのメンバーに入っていましたが、平社員である僕のタスクは毎週膨大な量の資料をつくること。一方でミクシィは、インターネットの力で日本を変えていきたいというビジョンがあって、しかも「あなたの力が必要です」と言ってくれる。新しい産業をつくる方に関わりたいと考え、転職を決めました。

先ほど春田さんは「自分と同じものを感じたのが決め手」と話されていましたが、僕の場合は、自分とは真逆な人を選ぶというのが基本。キャラクターや強みが異なる人と組んだ方が、何か困難があった時の対応力は大きいと思うからです。2013年にメルカリに入った時もそうで、創業者の山田進太郎から誘われ、彼の苦手なところと僕の強みがマッチするなと感じて、すぐに「一緒にやろう」と答えました。

田中
Sansanに入って4年弱になりますが、実は入社する5年ほど前に1度CFOとして誘われたのを断っています。当時は勤めていたリーマン・ブラザーズが倒産した後で、時間はいっぱいありました。創業者の寺田親弘に会ってみると、話は分かりやすいし、非常に熱量が高いことも伝わってくる。それでも誘いを受けなかったのは、彼のやろうとしているビジョンの中で、当時は自分の果たせる役割のイメージがつかなかったからです。この時点で人を雇うなら、CFOではなく、開発か営業にするべきだと伝えました。

その後、2009年から企業再生支援機構で日本航空の再建に3年携わりました。いよいよ日本航空が再上場する、というニュースが報じられるようになって、また寺田から連絡が来たんです。まだCFOを探していると聞いて、しつこいなと(笑)。改めて彼のオフィスに行って話を聞いてみたら、彼が描いていたことが着実に積み上がってきているのを感じました。何より、今なら、彼の思いや会社の行き先について、自分も確かに貢献できそうだというイメージを持てた。それで即決しました。

それぞれの参画の経緯を振り返る(左)田中氏と(右)小泉氏

スタートアップに参画した後の自分の役割の見つけ方

本間
皆さま参画後は、幹部だったり、ナンバー2という立場になると思うのですが、その時にどういう心構えや考え方を持っているとうまくいくのでしょうか。

春田
DeNAに入った時は30歳の若造でしたが、すでに銀行時代に合併などの大きなプロジェクトを複数経験し、自分で事業計画も作っていた。ポジションとして求められる仕事をし、客観的に自分の仕事を振り返る習慣がついていました。だからDeNAでも、入社して1、2カ月するころには、全体を俯瞰した上で、自分のすべきことがだいたい分かってきました。

初期のころは南場さんと僕で経営をしていましたが、役割分担の話をしたことは一度もないですね。彼女ができるだろうなと思うことは任せていたし、僕がやることはこちらに一任されている状態。「僕がここをやります」といった会話は特にありませんでした。会社を経営していくには、売り上げを上げる必要があり、それにはマーケティングをしていいサービスをつくらなければいけないし、なおかつコストも削減し、人も採用しないといけない。経営というものを甘く見ていたなと、入ってから痛感しましたね。

小泉
ミクシィの笠原さんにしても、メルカリの山田にしても、尖っているところはすごく強いけど、ダメなところもたくさんある。でも、経営者に対してダメなところを指摘しても仕方がないと思っています。人間というのは、苦手なことを頑張って克服しても、結局普通レベルにしかならない。

それよりも、彼らの尖っている部分で力を発揮してもらうことの方が大事。彼らがプロダクトに集中できるよう、それ以外のことは全部やります、というのが僕とトップとの関係性です。経営メンバーの強みを見つけて、そこに抜けている部分を自分が引き受けようと思っています。

田中
寺田も尖っているところと、そうじゃないところが極端。でもトップはそれでいいと思います。人を惹きつける何か突出したものがないと、人を引っ張っていくことは難しいからです。大企業では、人事評価は減点法みたいなところがあって、何か1つでも落第点を取ってしまうと、バツを付けられて上に行けなかったりする。でもスタートアップは、そうではありません。

突出した何かを持っている人間、もしくは人間たちがやろうとしていることを、バランスがとれた人間がうまく調整し、経営として整えていきながら、できるだけ早く目標に到達できるようにする。そんなぼんやりとした役割分担ですね。根っこのところで互いにそうした共通認識があれば、分担を細かく決めなくてもうまくいく気がします。

参画後の自分の役割を話す田中氏

スタートアップ参画前の経験は今でも活きている

本間
今振り返ってみて、大企業にいたときにやっていてよかったと思うことや、今でも役に立っている働くことへの考え方などはありますか?

春田
銀行で証券企画部にいたころ、自分の仕事をしながら部長の秘書業務も担っていました。他部署から回ってくるさまざまな資料を、部長に渡す前にあらかじめすべて目を通しておくのも仕事。資料で分からないところがあると、その部門に連絡や質問をするので、必然的に他部署に知り合いが増え、次第に銀行全体の方向感を把握できるようになりました。数年後には、部長の立場ならこうで、銀行全体としてはこう、と考えることが癖になり、その経験は今も活きている気がします。目の前の仕事にどう取り組むかによって、単なる雑務も全然違うものになり得る。それを学べたことも大きいですね。

大企業で今活躍している皆さんは、間違いなくベンチャーでも活躍できると思います。「飛び出したらもっと活躍できる」「もしダメでもその時に考えればいい」という気持ちでいることも大事だと思います。うまくいくかどうかは、自分の力だけではなく、周りの支えやさまざまな出会い、時流やタイミングなど、コントロールできない要素で決まる部分もあります。1つ1つの決断に自ら責任を持つことが大切で、それを継続していけば、その先に新しい世界は広がっていくはずです。

田中
皆さんに1つ伝えるとしたら、自分の直感や感性、違和感を無視しない方がいい、ということ。大きな企業にいると「今までこうやってきたから」「そういうものだから」と、うやむやになってしまうことは多くあります。日々の忙しい業務の中で、いちいち向き合っていられないというのも確かにある。ただ、そこにふたをし始めてしまうと、自分自身の感性や、ものを感じる力が徐々に奪い取られてしまうように思います。

私も経験がありますが、大企業には往々にして、意味のないルールや慣習が生きていたりします。こちらの要望に対して「前例がないからできません」と門前払いする人に、「なんで?」「なんで?」と何度か食い下がってみると「やっぱりできました」ということもある。でも最初から「これはできそうにないよな」「そういう決まりだもんな」と、自らの直感や違和感にふたをしてしまうと、一歩も前に進めないままになってしまう。スタートアップのように新しいものを生み出す環境にチャレンジしたいと思うのであれば、日々のそうした違和感のようなものをぜひ大切にしてほしいと思います。

小泉
大企業での経験で役立っているものがあるとすれば、大企業との交渉のうまさだと思います。相手メンバーをざーっと見ていくと、役職に関係なく、誰がキーパーソンかが分かり、大企業の承認ルールもなんとなく分かる。自分自身が大企業にいたからこそ身についたスキルかもしれません。もう1つは、3年半で10社以上のIPOに携わり、成功している経営者の思考に多く触れられたこと。いいサンプルをたくさん見てきたことで、自分なりに逆算して経営できるようになったと感じます。さかのぼって学生時代、学内で最も大きい300人規模のサークルの代表を務めた経験も活きています。人はどうすれば心地よく動いてくれるのかを、経験を通して学びました。

キャリアというのは、自らの可能性を信じて、自分の手で切り開いていくべきものだと思っています。その考えがあったから、26歳での最初の転職もスムーズにチャレンジできました。メルカリで挑戦をしている今が35歳。ビジネス人生のまだ3分の1ほどの地点です。そう思うと、この先も何ができるだろうと楽しみになりますね。チャレンジすることはまったく怖いことではありません。自分自身の人生のイニシアティブを取って、突破していってほしいと思います。

大企業での経験を振り返る小泉氏

<学びのポイント>

スタートアップにおけるキャリア形成の変化

・昨今は40代でのチャレンジも増えている。

・スタートアップと大手企業との間で人材の流動性が高まりつつある。

・時代はイノベーションを起こせる人を求めている。

・社会的意義を強く持つ会社でなければ生き残れない時代。企業選びではその点にも着目を。

スタートアップに参画した後の自分の役割の見つけ方

・全体を俯瞰した上で、自分に求められている役割を把握。言葉に出さなくても役割分担はおのずと決まっていく。(春田氏)

・経営メンバーの尖った部分や強みを見つけ、そこに足りない部分を自らがカバーすることに徹した。(小泉氏)

・突出した何かを持っている経営者が、本人のやりたいことに専念できるよう、全体をうまく調整し整えていくことを意識した。(田中)

スタートアップでも活きる大企業での学び

・部長の秘書業務に従事。自分が部長の立場ならば、銀行全体としては…と考える癖がついたことは今も活きている。(春田氏)

・交渉相手の中で誰がキーパーソンなのか、承認ルールがどうなっているのかが分かるので、大企業との交渉は得意。(小泉氏)

・大企業には形骸化したルールや慣習も多い。そこに疑問を持ち、自分の直感や違和感にふたをしないこと。(田中氏)

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