未経験からはじめる ITエンジニアの目指し方
~転職やプログラミングスクールでITスキルを身につけるには~
2023年10月5日開催
株式会社divの新保麻粋氏、LINEヤフー株式会社の佐野ひかり氏の2名にご登壇いただき、オンラインセミナー『未経験からはじめる ITエンジニアの目指し方』が開催されました。
未経験からITエンジニアを目指している皆さまに向けて、実際の事例や傾向を踏まえてITエンジニア業界の「今」をお伝えする内容です。
今回は、セミナーのハイライトを紹介するので、ぜひ読んでみてください。
登壇者紹介
- 新保 麻粋(しんぼ・まいき)氏
- 株式会社div 取締役
【略歴】
大学在学中にプログラミングを始め、ITエンジニアとして複数のサービスをリリース。その後ベンチャー企業のCTOとしてフロントエンド、バックエンドの開発を行う。
2012年にインターン生として株式会社divに入社し、2015年に取締役に就任。プログラミング未経験の人材を即戦力のエンジニアに育成する「テックキャンプ」を立ち上げる。現在も取締役兼toC教育事業部の責任者として幅広く活躍している。
- 佐野 ひかり(さの・ひかり)氏
- LINEヤフー株式会社 ヤフーテックアカデミー推進室 室長
【略歴】
2015年12月にヤフー株式会社(現:LINEヤフー株式会社)に入社。人材開発担当をした後、制度企画、HRBP部門でマネジャーを担当。
2022年9月にプログラミング教育の新規事業立ち上げプロジェクトに加わり、同年11月に同サービスの責任者としてヤフーテックアカデミー推進室室長に就任。
- 司会:谷合 拓人(たにあい・たくと)
- パーソルキャリア株式会社 IT領域担当 法人営業担当 マネジャー
【略歴】
2012年、新卒で大手メーカーに入社し、法人営業に従事。
2018年、パーソルキャリア株式会社に入社し、製造業・エネルギー領域での人材紹介法人営業、建設・不動産領域の人材紹介事業の立ち上げを経験。現在はIT領域における人材紹介事業のマネジャーを務めている。
これまで幅広い業界において、大手企業~中堅・スタートアップ企業などフェーズの異なる企業の採用課題に向き合い、各社の採用成功を実現。
現在は、法人顧客の人材採用力向上に向けた取り組みとして、面接担当者向けのセミナー開催や、リスキリング×採用という新たな取り組みの推進も行っている。
当日のプログラム
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1.はじめに
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2.セミナー
・未経験からのITエンジニアの目指し方
・ITエンジニアのキャリアの可能性
・プログラミングスクールを活用した人の事例紹介 -
3.質問タイム
ITエンジニアの採用マーケットについて
谷合 dodaが発表したレポート「ITエンジニアの採用マーケット」をご覧いただくと、ITエンジニアの転職求人倍率は過去経年で見ても、非常に高い水準で推移していることが分かります。
最新(※)の2023年7月のデータによれば、ITエンジニアの転職求人倍率は10.01倍。職種全体の転職求人倍率2.29倍の約5倍にもなることから、いかにITエンジニアという職種の求人倍率が高いか、競争が激しいかが分かると思います。
※:セミナー開催日2023年10月5日時点
これは、世の中のITニーズの拡大により、テクノロジーを活用して事業を推進していく企業が増えていることが背景にあります。そして、こういったIT関連市場規模の拡大に伴って、ITエンジニアの需要も年々高まっているのです。
ITエンジニアの目指し方
ここからは、「どのようにITエンジニアを目指していく人が多いのか」について、傾向や事例を踏まえながら新保氏、佐野氏にご回答いただきました。
ITエンジニアの目指し方は大きく3つ
谷合 まず、ITエンジニアの目指し方は大きく「独学」「スクール」「転職」の3つに分けられます。実際にdodaで転職活動をご支援する中で、「エンジニアとして手に職をつけていきたい」「将来性のあるIT業界でエンジニアを目指したい」と、幅広い職種から未経験でエンジニアへの転職を希望する人が増えていると感じています。
そこで、本セミナーではITエンジニアを目指す方法がいくつかある中で、それぞれどのようなスキルの習得方法が向いているのか、エンジニアを目指している人がどのような思考を持っているのかなどについて、お二方に詳しいお話を伺っていきたいと思います。
スクールを選ぶ理由
谷合 大きく3つの目指し方がある中で、「スクール」を選ぶ理由や選ばれている人の特徴をお聞かせください。
佐野氏 スクールを選択する理由としていちばん多いのが「独学にチャレンジしてみたが、なかなかモチベーションが続かない」「どこから着手して良いか分からない」といった課題を抱えているケースです。インターネット検索を用いて簡単に情報収集できる時代であるがゆえに、どの知識をどこまで習得する必要があるかの取捨選択が難しくなっています。
新保氏 独学で進めていくと「本当にこの学び方が正しいのか」といった不安が生じ、途中で手が止まってしまったり、挫折したりすることが多いです。そういった人は、最後までやりきるためにサポート体制の整った「スクール」を選択する傾向にあります。
どんな人がうまくいっている? スキルを習得できている?
谷合 スクールを活用している人の中でも、特にうまくいっている・スキルを習得できているのは、どういった人なのでしょうか?
新保氏 差が出るのは、主体性の部分だと考えています。エンジニアになるためにスクールを最大限に活用し、自ら積極的に学ぶ姿勢を持っている人は、ほかの人よりもスキルの習得が速く、レベルも高くなります。
佐野氏 目的意識の強さが大きく関係していると思います。スクールに通うことがゴールではなく、目標をかなえるための「手段」であることをしっかりと理解し、その後「自走できるようになるか」という視点で取り組んでいる人は、明らかに習得度が高いと感じます。
転職前にスクールで知識や技術を身につけるメリット
谷合 次に、転職前にスクールで知識や技術を身につけておくメリットはどのようなところにあるとお考えでしょうか?
佐野氏
メリットとしては、事前にプログラミングを学んでおくことで成長速度が上がることだと思います。転職した後も、会社が用意した育成プログラムを受ける中で、スクールで学んだことを改めて学び直す機会がでてくると思います。しかし、事前にスクールで知識や技術を身につけておけば、一度聞いたことのある内容が耳に入ってくるため、理解が深まりスキルアップしやすくなります。
しかし、人事の立場でお話すると、入社時の技術レベルよりも、その人の「やる気」や「ポテンシャル」を見て採用している会社がほとんどだと思います。技術の差は入社してからでもカバーできるので、それよりも「どれだけ成長意欲があるか」「成長の余地はどれくらいありそうか」のほうが重要になってくると考えています。
ITエンジニアのキャリアの選択肢とは
続いては、ITエンジニアのキャリアの選択肢について、新保氏、佐野氏にお話を伺いました。
従来のITエンジニアのキャリアパスと最新のキャリアパスの比較
谷合
従来のITエンジニアのキャリアパスは、プログラマー(PG)から始めて、システムエンジニア(SE)、プロジェクトリーダー(PL)、プロジェクトマネジャー(PM)という順番で進んでいくのが一般的でした。
ところが昨今、世の中のトレンドや流れにあわせて、ITエンジニアのキャリアパスも多様化してきています。また、働き方にも変化があり、転職せずに独立する人や副業・兼業といったスタイルでITエンジニアになる人も増えています。
こういったキャリアパスの変化について、お二方の見解や昨今の「リアル」なITエンジニアのキャリアパスをお聞かせいただけますか?
新保氏 正直なところ、ITエンジニアになればどんなキャリアパスでも選択できると思っています。ただ、そのためには一定の技術力が必要ですし、目指すキャリアパスによって習得しておくべきスキルも変わってきます。そのため、できるだけ早い段階で自分の進みたい方向性を決めておくと、後々のキャリアの選択肢が広がるとは思います。
ITエンジニアのキャリアパスはどう描く? 将来の考え方と転職モデル
事例紹介
谷合 それでは、実際にプログラミングスクールを活用した人のキャリアチェンジについて、両社の事例を踏まえてご紹介いただけますか?
新保氏 いろいろな事例がありますが、今回は以下4つの事例を紹介します。「手に職をつけたい」「ワーク・ライフ・バランスを充実させたい」「いつか独立したい」など、それぞれの目標を実現するために、多種多様な業種からITエンジニアにキャリアチェンジされた方々です
- パティシエ→ITエンジニア
- 営業職→ITエンジニア(動画配信サービス会社)
- 大手食品メーカー研究職→ITエンジニア(AIスタートアップ)
- 夫婦で一緒にITエンジニアへ
佐野氏 転職だけでなく、ITエンジニアのスキルを活かす方法としては、次の3つのような事例もあります。
- 社内のキャリア制度を活用してITエンジニアへ職種転換
- 育休復職後のキャリアを見据え、産休前にプログラミングスキルを取得
- エンジニア社員の理解のため、同じ目線に立つためにプログラミングスキルを習得
質疑応答
ここからは、本セミナー内でお寄せいただいた質問と、新保氏、佐野氏による回答の一部を紹介します。
未経験からエンジニアを目指すためにどのような勉強をしておくべきでしょうか?
佐野氏 書籍だとハードルが高いので、未経験からチャレンジするのであれば、Web上にある動画などを参考にするのが良いと思います。まずは自分が興味のあるもの・作りたいものを見つけて、それを動画などをお手本にしながら作ってみる。そして、面白いと思えたら横展開していく、こういった方法が導入としてはおすすめです。
新保氏 僕もオンライン教材をおすすめします。従来に比べて敷居も低くなっていますし、分かりやすい教材も増えているので、未経験からエンジニアを目指すにはまず試してほしい方法です。また、どのレベルまでいけばエンジニアを目指せるかについては、何か1つのサービスを作り切るところを目標にするのが良いと思います。
スクールではチームで仕事をする体験もできますか?
新保氏 チームで働くことを前提とした、実践的なコンテンツも用意されているスクールが多いです。また、スクールに通いITエンジニアを目指すほかの人とコミュニケーションを図ることで、独学では学べない「コミュニケーションスキル」を身につけられる点もメリットの1つだと思います。スクールではチームで開発するために必要なツールなども用意されています。
セミナーでは、ほかにも次のようなご質問が寄せられました。
- 地方でのITエンジニアの求人は少ないのか?
- ITエンジニアの求人を探す際に気をつけたほうが良いポイント
- ITパスポートの資格は就職・転職時に役立つのか?
参加者の声
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30代後半 クリエイター・クリエイティブ職
未経験の業界への挑戦は不安な気持ちばかりでしたが、セミナーを受講して不安な気持ちが少し緩和され、やってみようという気持ちが大きくなりました。
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30代前半 事務・アシスタント
転職に当たってITエンジニアを希望していたが、未経験のため不安に思っていた。そんな中、セミナーを受講してハードルが良い意味で下がった。
-
30代前半 事務・アシスタント
未経験エンジニアがやるべきこと、ITパスポートを取得したほうが良いかなど、知りたいことを知ることができた。
登壇者のメッセージ
新保氏 もしITエンジニアに少しでも興味がありやってみたいと考えている方は、ぜひ挑戦していただきたいと思います。はじめは誰でも不安な気持ちがあるかと思いますが、やる気さえあれば誰でもITエンジニアになれるので、あきらめずに前に進んでいってほしいと思います。
佐野氏 未経験だと何から始めたら良いか分からず、不安に感じることもあると思います。ただ、ITエンジニアは圧倒的に需要がありますし、今後のキャリアが広がることは事実としてあります。自分の中で少しでも「エンジニアをやりたい!」という気持ちがある方は、独学から始めてみるのも良いですし、スクールに頼ってみるのでも良いと思うので、まずは1歩踏み出すことが大切だと思います。
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