未経験からITエンジニアを目指すことはできる?
未経験からITエンジニアになるのは、それほど特別なことではありません。ITエンジニアは、後述するとおり勉強のしやすさや求人マーケットの大きさから、ほかの専門職種に比べて未経験者にとってチャレンジしやすい職種といえます。ここからは、未経験からITエンジニアになる場合を想定して、メリットや具体的なステップをご紹介します。
エンジニアとしての市場価値を知るために
年収査定を受ける(無料)ITエンジニアになることのメリット
未経験からITエンジニアを目指すのは大きな決断です。しかし、決断に値するだけのメリットがあることも確かです。ここではITエンジニアの有利な点についていくつかご紹介します。
- ITエンジニアの需要は高く将来性がある
- スキルが身につき活躍の幅が広がる
- 年収水準が高めな傾向がある
- リモートで働ける企業が多い
ITエンジニアの需要は高く将来性がある
経産省が2019年に発表した「IT人材需給に関する調査」によると、IT関連の人材需要は2030年まで増加が続くとあります。さらにコロナ禍の影響でIT系の人材不足は加速しているとの見方もあります。
また、2023年初頭にdodaが実施した「ビジネスパーソンと企業の転職意識ギャップ調査」では、企業側がITエンジニア採用にこれまで以上に積極的になっていることがはっきりと表れています。とくに注目すべきは未経験者を歓迎する求人数で、絶対数は経験者の求人より少ないものの、顕著な右肩上がりで推移しているのが分かります。
こうした調査結果を見ても、ITエンジニアが引く手あまたとなる状況が続くのは明らかです。今後もIT社会が加速することは間違いないため、ITエンジニアとしての未来は明るいといえます。
※参考 : dodaにおけるITエンジニアの求人倍率の推移
※参考 : dodaのITエンジニア求人における「職種未経験歓迎」の求人数の推移
スキルが身につき活躍の幅が広がる
そしてITエンジニアの中でも不足するといわれているのが、高スキルの人材です。最初は未経験でも、仕事を続けITエンジニアとして高度なスキル、専門性を身につけることができれば、市場価値が上がり、企業や組織にとらわれることのない幅広い活躍が可能になるでしょう。
年収水準が高めな傾向がある
dodaが行った平均年収の調査によると、ITエンジニア全体の平均年収は452万円で、ほかの職種も含めた全職種平均(414万円)と比較しても10%近く高い収入を得ていることがわかります。
また、年代別の収入もほぼ同じ比率で右肩上がりに上昇しています。これは、スキルアップに合わせて役割や収入が上がるキャリアパスがはっきりしているためです。キャリアパスも、例えばプログラマからプロジェクトマネージャーやITコンサルタントを目指す以外にも、組織によっては社内SEなど複数の選択肢があります。興味やスキルに応じて選ぶことができるのは大きな魅力であり、キャリアアップ、収入アップの目標も立てやすいといえるでしょう。
ITエンジニアの年代別平均年収
ITエンジニアの職種別平均年収(一部職種を抜粋)
リモートで働ける企業が多い
ITエンジニアの仕事とリモートワークは非常に相性が良く、加えて働き方改革やコロナ禍以降の世の流れに沿い、多くのIT系企業やITエンジニアの現場ではほかの業種に先んじてリモートワークが導入され、働き方のひとつとして定着しつつあります。
パーソル総合研究所による2022年の業種別テレワーク実施率の調査では、情報通信業(IT産業)のテレワーク実施率が2月に63.0%、7月では60.0%と、ほかの産業の実施率が軒並み30%以下の中、突出した結果が現れています。プライベートとの切り分けの難しさがあるとはいえ、働く場所を自ら選べるというのは大きな魅力です。
リモートワークで働ける職種としてITエンジニアに興味を持った方は、以下の記事も参考にしてください。
エンジニアとしての市場価値を知るために
年収査定を受ける(無料)未経験からITエンジニアになるためのステップ
未経験からITエンジニアになり、さらにステップアップしていくためには、転職活動の前にある程度の準備をしておくとよいでしょう。ITエンジニアを目指すためのステップを見ていきましょう。
- ステップ1 : 目指すITエンジニアの種類を選ぶ
- ステップ2 : まずは自分で勉強してみる
- ステップ3 : 未経験OKの求人を探す
ステップ1 : 目指すITエンジニアの種類を選ぶ
エンジニアには後述するようないくつかの職種があります。その中でどの職種を目指すかを決めます。単純に自分のやりたいこと、できそうなものを選ぶのもよいですが、未経験だとよく分からないことも多いのではないでしょうか。そんなときは転職エージェントに相談して、自分の希望にあった職種を見つけるのがよいでしょう。
ステップ2 : まずは自分で勉強してみる
ITエンジニアになるには、当然ですがコンピュータやプログラミングの知識が必要です。これらの知識は一般的には書籍やインターネットで得ることができるほか、各種のスクールや通信講座等もあり、有料・無料で勉強できる環境やツールがほかの業務スキルに比較して豊富に用意されています。こうした手段を活用することで、ITエンジニアという仕事の具体的なイメージをつかむことができるはずです。
厚労省もITエンジニアの育成に力を入れており、ITスキルを学ぶためのさまざまな職業訓練を企画しています。例えば、ハローワークインターネットサービスでは居住地や訓練期間を指定して、自分に合ったコースを探すことができます。
ステップ3 : 未経験OKの求人を探す
ある程度知識を得られたら、Web検索やdodaをはじめとした転職サイトなどで「未経験」「独学」「ポテンシャル」といったキーワードで検索し、未経験可の求人を探しましょう。その中から、自分の希望に合う求人案件をピックアップすることで、その要項に合わせて何を勉強するのがよいかも分かってきます。
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年収査定を受ける(無料)未経験でも挑戦しやすいおすすめのITエンジニア職種
未経験の人が実際に転職活動を始めて、希望どおりの職種に就くのは難しい場合もありますが、未経験からでも目指しやすいITエンジニアの仕事はあります。ここでは未経験からも挑戦できる職種例を紹介するとともに、押さえておきたいポイントを解説します。
- 開発エンジニア
- テストエンジニア
- ネットワークエンジニア
- サーバーエンジニア
開発エンジニア
ソフトウェア開発を行う、いわゆるプログラマです。プログラミングスキルが求められる職種のため、継続的に学習を積み重ねていくことが求められます。後述するような教育体制が充実し、未経験者を多く受け入れている職場であれば、プログラミングを学びながら仕事で成果を上げていく働き方も可能です。
テストエンジニア
未経験者がよく配属される業務として、テストや品質管理があります。テストエンジニアはプログラムや製品の動作チェックが主な仕事で、プログラミングなどITエンジニアとしての基本スキルを学びながら、仕事として一定の成果を上げることが可能です。テストエンジニアからプログラマーを目指したり、テストの道を究めてコンサルタントを目指すなど、日々の業務の中からキャリアパスを意識することで、可能性が大きく広がっていく仕事だといえます。
ネットワークエンジニア
ネットワーク機器のセッティングや、サーバーの設定などを行うITエンジニアです。プログラミングの知識も一部要求されます。コンピュータネットワークや、機器の設定、そして最近重要度が大きく上がっているセキュリティ等について勉強しながら、業務を行うことになります。ネットワークが快適であることは今や社会インフラとして不可欠になっており、ニーズの高い仕事です。
サーバーエンジニア
Webサーバーなどの基本的なソフトウェアの管理――いわゆるインフラといわれる部分の設定や維持を行う仕事です。一部ネットワークの仕事と重なる部分があり、やはりプログラミングの知識が必要になることもあります。最初は維持管理といったルーティンワーク的な作業を任されることが多く、管理作業を行いながら、サーバーの仕組みやどのように構築するのかといった知識を学んでステップアップすることになります。
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年収査定を受ける(無料)未経験者からITエンジニアへの転職を目指す際の企業の選び方
未経験の場合、ITエンジニアとして最初に入る企業の選び方が重要になります。ITエンジニアとしてスキルアップできるかはもちろん、今後IT業界で仕事を続けられるかにも関わってくるからです。ここでは未経験者が企業を選ぶ際に見るべきチェックポイントをまとめてみました。
- どんな経験が積めるのか?(言語、開発フェーズなど)
- 研修制度・教育体制はどうなっているか?
- 働き方はどうか?
どんな経験が積めるのか?
未経験者が選ぶとしたら、なるべく幅広い職務経験が積めそうな企業を探しましょう。自分に合う分野や業務が分からない時点では、さまざまな業務を経験できる可能性が多いほうが有利です。
とはいえ、大企業でない限り、自社の事業として多くの分野を手がけている企業はそう多くはありません。一方で、IT業界では、クライアントからのオーダーを受けシステム開発を行う企業※が数多く存在しますが、そうした企業ではさまざまな案件を扱うため、経験の幅も広がりやすくなります。
※ベンダー、SIer、SES企業…など、さまざまな名称や区分があります。また、オーダーを受けるだけでなく、自社のプロダクトを開発・提供することも並行している企業もあります。詳しくは以下の記事もご覧ください。
IT業界ってどんなところ? 職種や企業分類、転職に役立つ業界動向まで解説
そこで確認したいのが、企業の事業ポートフォリオにある請け負った業務の案件数と取引先会社数です。これらが多いほど、経験業務のバリエーションが広いといえます。こうした企業で複数の案件を経験することで、さまざまな言語、環境、業務分野に触れることができ、エンジニアとしての方向性やキャリアアップの道筋も見えてくるはずです。
また見落としがちなのが、売上高と社員数の割合です。社員1人あたりの売上高が高いほうが、社内の人員配置に比較的余裕があり、適材適所の配属になる可能性が高いでしょう。
研修制度・教育体制はどうなっているか?
未経験者にとってスキルアップは急務です。これを企業側から支えるのが教育体制です。入社後にどのような教育が受けられるかはぜひともチェックしてください。企業によっては研修制度を充実させているところもあるでしょう。自分に合った研修制度があるかも重要なポイントといえます。
また、ITエンジニアとしてのスキルを目に見える形で証明できるのが、情報処理やさまざまなITシステムに関する資格です。ベースとなる知識を身につけるのに役立ちますし、企業によっては資格取得のために奨励金を出したり、資格手当を支給する制度が用意されていることもあるため、そうした点もチェックするとよいでしょう。
働き方はどうか?
ITエンジニアは労働時間が長い、納期前には徹夜が当たり前、といったイメージを持つ方もいるでしょう。しかし、最近は社会の労働環境への監視も厳しくなり、状況は改善されつつあります。労働時間自体を短縮するのはもちろんですが、働く時間帯を柔軟に設定できるフレックス制や、働く場所の自由度が上がるリモートワークなども普及しています。
残業時間や働き方は会社によってばらつきはありますが、面接などで直接確認しにくい部分でもあります。その際は、転職エージェントに相談すると情報が得られる場合もあるので、活用してみてはいかがでしょうか。
エンジニアとしての市場価値を知るために
年収査定を受ける(無料)よくある質問
未経験エンジニアの年収は?
dodaの平均年収ランキングのIT/通信職の年収分布(2023年版)を見ると300万円~400万円が最も多くなります。未経験で入った場合、平均を少し下回るくらいからのスタートとなることが多いですが収入を確認するならこれをひとつの目安にして求人を探してみましょう。また、エンジニア人生をスタートさせたあとは、キャリアの目標が立てられれば身に付けるべきスキルが明確になるため、努力次第で比較的短期間での収入アップも期待できます。
ITエンジニアになればフリーランスで働ける?
未経験の場合、はじめからフリーランスで働くのは難しいですが、1つまたは複数の会社で働いた後にフリーになる人はほかの業界と比べても多いといえます。大きな理由のひとつに、リモート(自宅等)でも仕事がしやすく、始めるにあたっての設備投資が比較的小さいことが挙げられます。一方、フリーランスの場合、何らかのプロダクトを開発し、それにともなう直接、間接収入を得るか、ほかの組織や個人と業務契約を結んで仕事を得るのが一般的です。そのためのつながりを作ったり、営業活動を続けなければなりません。フリーランスを目指すなら、企業に属している間に独立を見据えた準備が必要でしょう。
文系からでもエンジニアになれる?
ITエンジニアといえば理系のイメージが強く、数学などの知識が要求される場面もありますが、仕様書やマニュアル、各種の報告書など、多くの文書を作成するのもエンジニアの重要な仕事です。これらの仕事では文系の素養も十分発揮できるはずです。
文系出身でITエンジニアとして成功を収めている人はたくさんいます。自分の得意なスキルを活かしつつ、足りない知識はそのつど勉強して身につけることでエンジニアとしての総合力を高めていくという点では、文系でも理系でも成功への道のりは同じだといえます。
エンジニアとしての市場価値を知るために
年収査定を受ける(無料)まとめ
先にも述べましたが、未経験からエンジニアを目指すのは大きな決断が必要かもしれません。ただ、比較的未経験者に門戸を開いており、スキルアップのための教育が充実した職場が多くあります。また、将来性や業界自体の安定性、何よりスキルを身につけていくことによる自身の成長が見えてくるのも大きな魅力です。まずは自分に合ったエンジニアの仕事や職場を探してみましょう。
エンジニアとしての市場価値を知るために
年収査定を受ける(無料)松沢 雄生(まつざわ・ゆうき)
前職では金融業界で個人向け営業を担当。その後、より個人の人生に寄り添いたいという思いから、パーソルキャリア株式会社に入社。入社以来、IT領域専門のキャリアアドバイザーとして、アプリエンジニア、ITコンサルタントの方を中心に、年間300人以上の転職支援を行う。近年では、DX化を推進する事業会社のシステム部門における採用支援業務にも携わっており、累計200社以上の人材採用の要件定義・求人作成も行っている。
技術評論社 デジタルコンテンツ編集チーム
理工書やコンピュータ関連書籍を中心に刊行している技術評論社のデジタルコンテンツ編集チームでは、同社のWebメディア「gihyo.jp」をはじめ、クライアント企業のコンテンツ制作などを幅広く手掛ける。
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