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 掲載日:2013.04.01

金融プロフェッショナルのセルフブランディング術「命をかけられる仕事を見つけよう ブランディングはそれから」第2回 中野 晴啓氏(セゾン投信社長)

投資家の長期的な資産形成を応援する直販の投資信託会社、セゾン投信。3月で投資信託設定来丸6年となった同社の中野晴啓社長は、「中野晴啓個人というよりセゾン投信というブランドの確立に努めてきた」と話す。最近では、同業の直販投信会社の仲間と「草食投資隊」として活動する中野氏に、ブランディングへの取り組みについて聞いた。


個人のブランド確立は
仕事に邁進した「結果」であって「目的」ではない

——中野さんは個人投資家なら誰もが知る存在。ブランディングをどう進めてこられたのでしょうか。

そもそも僕はこの連載に出ていいのか自信がありませんでした。というのも、僕がブランディングすべきと考えているのは「中野晴啓」ではなく「セゾン投信」という会社であり、「セゾンのファンド」ですから。僕の人生の目的は、1人でも多くの長期投資家を生むこと。会社を知ってもらおうと頑張った結果、中野個人にブランド価値が出るのはいいことだと思うのですが、個人でビジネスをしている方とはスタンスが異なりますから。

——会社のブランディングにはどう取り組んでこられましたか。

(経済評論家の)山崎元さんに「どうやってこの会社を知ってもらったらいいでしょう」と尋ねたら、「社長が広告塔になり、キャラを立ててメディアに出ること」とアドバイスをくださったんですが、それが参考になっていますね。そのキャラとして自分自身を打ち出すにあたって気をつけているのは「目線」。一般に「セルフブランディング」といえば、「高いステータス」「非の打ち所のない経歴」といった言葉と共に語られますが、そんなものは会社にとって何の意味もない。そういう「あこがれ」で大切なお金を託してくださるとは思えません。トップである人間が、精一杯生きている日本の生活者一人ひとりと同じ目線であること。僕自身がギリギリで頑張って、必死で生きている人間の代表であるというメッセージを出すということ。それに注力することが共感を生むと考えています。「只者感」「小市民感」「非エリート感」は大事にしています。ここまでネタバラシしちゃっていいのかな(笑)。

——とはいえそれがまったくの嘘で、実は演じているだけならとっくに見抜かれているのでは。

そうですね。僕自身、無理していないんですよ。僕は普通の、どこにでもいる人間です。セゾン投信は、普通の人を長期投資家にするために作った会社。普通の人のお金で世の中の流れを変えていく。それを引っ張る人間は圧倒的に普通でないといけない。セゾン投信は、頑張っている生きている一般生活者を下から支えて、頑張る場所を一段階上げることで、社会全体を元気にする会社なんです。

——対外的にはフレンドリーなイメージですが、会社のトップとして社内では強烈なリーダーシップを発揮されているということは?

そういうのがまったくないというのは、一体どういうことなんでしょうね?(笑)。僕は、組織はフラットなものが理想だと思っていて、部長や課長という肩書はあってもそれは役割であって、偉い、偉くないという問題ではない。一人ひとりが与えられたミッションにそれぞれ取り組み、その積み上げによって会社は成り立っている。僕は経営者として卓越した能力があるわけでも、リーダーシップが強いわけでもなくて、逆にそれが足りないためにみんなの使命感が高まると思っている。社長が「俺が偉い、万能だ、言うことを聞け」という態度の組織が決して強いわけではないと思うんです。

ただ、個人としては謙虚な姿勢を保ち、只者であり小市民であり、生活者の意識を忘れてはいけないと思っていますが、こと仕事の面、資産運用の面では、「信頼してください」と自信ある姿勢を打ち出すようにしています。投資家の大切な資産をお預かりして運用する以上、親しみやすさを感じてもらう一方で、お金が関わる点ではしっかり信頼をしていただかなければ。その点、僕は二十数年、資産運用の仕事をやって積み上げてきた、経験による裏打ちがあると自負しています。

——中野さんはセゾン投信というやりがい、場所を見つけられましたが、そういう仕事が見つけらないという若者が多いように思います。

若い方には、本気で、命がけで、世の中に対して取り組める仕事を見つけてほしい。その人が取り組んでいる仕事イコールその人の表現、生き様だと思います。それくらい仕事というものに情熱を傾けてはじめて、「ブランディング」という言葉を口にしてほしいですね。「ブランディングをして仕事をとる」「かっこよさそうだからブランディングする」というのは間違い。心の内面から出てくる泥臭さ、ほとばしる思いを仕事に具現化する。その過程でセルフブランディングというものが成し遂げられるのではないでしょうか。

たしかに誰しも不満はあると思うし、やりたいことが見つけられないというのも分かります。それをどうやって見つけるか、そこに方程式はないんですが、それでも自分が積み上げてきた過去の中に、自分が取り組むべき仕事が必ず隠れていると思います。逆に自分が歩んできたところ以外では、それは見つからない。例えば僕が「野球選手になりたい」というのと同じ、気持ちはあっても無理。「今の仕事にやりがいがない」とか「こんなの自分の仕事じゃない」「本来はあっちだ」なんて言ってるうちは見つかりません。自分の人生という歴史にこそ、そのタネは埋められている。それを見つめなおしてほしい。10年、15年と働いていたら、他の人にはやってこれなかった経験が積み上がっているはずです。それはその人固有の財産。なぜそこから探さないんでしょうか。やるべき仕事が見つからないという人は、自分を過小評価しすぎだと思います。

——会社勤めであれば、やりたくないこともやらなければいけないこともあります。

大企業で身につくスキルなんて意味がないと思う反面、得られるメリットもたくさんあるのも事実です。いろんな仕事に挑戦させてもらえたり、会社の看板でそれなりの人に会えたりする。それで給料や残業代がもらえる。そう考えたらこんなありがたいことはない。学校と思えばいい。嫌な仕事が来たら、嫌なほど早く片付けたくなるので、図らずも上達する。嫌な仕事に積極的に取り組むのは、自分にとってプラスになるんです。それに会社には反面教師だってたくさんいるでしょうから、「自分は絶対にああならないぞ」と思えばいい(笑)。

そして培ってきたものを、焦らずに活かすこと。積み上げがある程度できたときに、財産としてどう活かすかを考えればいいのではないでしょうか。

草食投資隊が目指すもの
3人が「顔をさらす」ことの意味

——コモンズ投信の渋沢健さん、レオス・キャピタルワークスCIOの藤野英人さんと「草食投資隊」として活動していらっしゃいますが、どういうものですか?

僕らはそれぞれ別の独立系の運用会社所属ですが、もともと仲はよくて、長期投資を根付かせることを目的に活動を始めました。3年で全国70カ所くらい、北海道から沖縄までセミナーやイベントで回りました。投資って肉食系と考えられがちですが、僕たちが掲げている長期投資は、ドキドキしないで毎月コツコツと積み立てながら……というものだから、草食系と考えて名づけました。

草食投資隊のブランディングで3人が意識しているのは「顔をさらす」ということです。それ自体が既存の資産運用業界のあり方へのアンチテーゼ。運用者が顔をさらすということはこれまでありませんでした。

——3社はライバル同士ではないんですか?

僕たちは顧客の取り合いはしません。既存の投資信託業界にある60兆円というものには興味がないですから。今までまったく投資に興味がなかった人たちが大勢いて、氷のように凍っているお金がある。それを溶かして、世の中が良くなる方向に回したい。だからパイの奪い合いという意識はまったくない。むしろゼロから生み出す「顧客創造活動」なんです。

本当に3人は仲がいいんですが、その仲良しぶりも発信していますね。投資のイメージってコソコソ、ダーティー、というネガティブなものが強いですが、本当は投資って楽しいもの、人に笑顔を与えるもの。3人がいつも仲良く楽しそうにしている感じを強調しています。

金融業界も、同業者がライバル同士というイメージが強いですが、そういう既成概念と真逆のあり方です。かつてデパートが2つ隣り合わせであったら、お客の取り合いをしていた時代がありましたが、それでは消耗戦になる。お互い協力しあって町を活性化して、お客さんの数を増やそうと考えたところが成功している。そういうイメージ。

さらに3人とも現場の人間というのも僕らの強みです。全国のセミナーやイベントで生活者の方の悩みを聞いて、それをどうビジネスに反映させるか。そういう人たちが受け入れられる商品やサービスを提供する。直販なのでお客さんの顔を知っていて、自分たちの運用を支えてくださったいる方々の顔が一人ひとり見えるのも強みです。

本田・松下ではなくジョブズを目指せ
捨てられないあのマンガ

——最後に読者にオススメの書籍を、古典や名著以外でご紹介いただければと思います。

若い方に勧めたい本で最初に思いついたのは、『人を動かす』(デール・カーネギー)ですが、名著や古典以外ということでしたら、クレディセゾン社長、林野宏さんの『BQ』(プレジデント社)です。BQとはBusiness Quotient、ビジネス感度の略。知性を示すIQ、理性や人間性を示すEQ、感性を示すSQ(Sensibility Intelligence Quotient)を掛け合わせたもので、造語だそうです。高度成長時代はIQの高い人が活躍し、安定成長期は人間力の高い、EQの高い人が出世しました。しかし市場が縮小した今、頭や人柄の良さだけでは通用しなくて大切なのは変化を感じ取る感性で、特にSQの高い人物にならなければいけないと説いています。

いまの時代にリーダーを目指すなら、本田宗一郎や松下幸之助を目指すなと。これからはスティーブ・ジョブズのように自分の感性を信じて突き進むリーダーを目指せとも言っています。移り変わりの激しい社会で、価値を自分で生み出していくための生き方、発想法のヒントがあります。彼がセゾングループで成功させてきた具体的な事例が書かれていて、ケーススタディとしても役に立ちます。

——もう1冊、参考になるかどうかではなく、中野さんが個人的に好きな本をご紹介ください。

『課長 島耕作』ですね。『専務』までは全巻持っていてかなりスペースを取るんですが、なかなか捨てられないですね(笑)。この作品にはいろんなステージのサラリーマンの姿が描かれているから、誰もが共感できると思います。「課長ってこういうことを考えなきゃいけないんだ」「社長はこういう見方をするのか」と参考にもなる。また、この作品には仕事の理想的な乗り切り方が描かれている。彼は何でも一人でできるスーパーマンではないけど、真っ直ぐに生きてるから、そこに共感する誰かが知恵や力をくれます。人間一人じゃ何もできません。困ったら誰かが助けてくれる存在になることは、ビジネスをする上で重要な資質だと思います。島耕作は女性にモテますが、それは彼が真っ直ぐな人間で、真っ直ぐに行動するからにほかなりません。

ただ島耕作は読めば読むほど普通の人間、“只者”です。僕もそういうところに共感しているんでしょうね。

なかの・はるひろ

なかの・はるひろ
NAKANO Haruhiro
1962年生まれ。明治大学商学部卒業。西武クレジット(現クレディセゾン)入社、2006年セゾン投信を設立、07年から代表取締役社長。主な著書に『30歳からはじめる お金の育て方入門 -貯めながら殖やす新しい習慣-』(DO BOOKS、共著)、『20代のうちにこそ始めたいお金のこと』(すばる舎)など。
http://www.saison-am.co.jp/
http://twitter.com/halu04
『30歳からはじめる お金の育て方入門 -貯めながら殖やす新しい習慣-』(DO BOOKS、共著)
『20代のうちにこそ始めたいお金のこと』(すばる舎)
『BQ』(プレジデント社)
『課長 島耕作』(モーニングKC)

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