転職市場予測 金融の転職市場動向2024下半期
銀行、証券、保険、投資信託、カード、信販、リース、コンサルティングファーム…など、2024年下半期の金融業界における求人数の増減や求人トレンド、採用ニーズなどの転職市場予測をご紹介します。
2024年下半期、金融業界の求人数は増える
2024年下半期の金融業界の求人数は増えると予想されます。大手金融機関ではバブル世代の定年退職が始まっており、その数は今後ピークに達します。そのため、企業は20~30代の働き盛り世代や、マネジメント層候補となる人材の採用に積極的に取り組むでしょう。
日本銀行の金融政策変更に伴う金利の上昇を背景に、銀行や国内の生命保険会社では資金運用による利益の最大化がトップラインの伸びにつながっています。金融サービスの高度化や流動性預金調達競争を背景に、人材確保は企業にとって不可欠となっています。特にメガバンクや大手生命保険・損害保険会社は採用予算を増やしており、大手を中心とする採用意欲の高さは一過性のものではないと考えられます。
また、証券会社では日本株の30数年ぶりの最高値更新を受け、株式取引の盛り上がりやトレーディング収益の回復が起こり、好決算が報告されています。これに伴い投資銀行部門ではIPOや大規模M&Aも活発に行われており、現在の好況が続く限り採用ニーズは高いままと予想されます。
2024年下半期、金融業界の転職で評価されやすい経験、資格、アピールポイントは?
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「自己PR」発掘診断(無料)2024年下半期の金融業界では、ストラクチャードファイナンス(プロジェクトファイナンス、LBOファイナンスなど)を経験している人材が評価されるでしょう。資格や手掛けたプロジェクトの規模以上に実務経験が重視される傾向にあり、ソーシング、マンデート、チーム組成、プライシング、ドキュメンテーション、クロージングといった実務に業務遂行者として深くコミットしたかどうかが重視されます。
資格の面では、金融業界未経験者の場合「証券外務員一種」は必須です。金融事務を志望する場合は「MOSスペシャリスト」をお持ちであれば有利に働くでしょう。
金融業界経験者の場合「証券アナリスト」「宅地建物取引士」「CFP(またはFP1級 )」「中小企業診断士」「FRM(Financial Risk Manager)」など数多くの資格を保有していることで、書類通過率が高まり、その後の選考にも役立ちます。具体的な資格は下記のとおりです。
証券アナリスト
運用担当者(ファンドマネジャーなど)、クオンツ(運用)、リサーチ(エコノミスト、アナリスト、ストラテジスト)、金融機関向けホールセラーでほぼ必須
宅地建物取引士
不動産金融でほぼ必須
CFP(またはFP1級 )
財産コンサルティング、事業承継アドバイス(相続業務・遺言、M&A… etc.)、プライベートバンカーなどで信頼性につながる
中小企業診断士
財務コンサルタント、M&Aアドバイザリー、企業再生などで信頼性につながる
FRM(Financial Risk Manager)
リスク管理業務で信頼性につながる
また、金融人材(特に銀行員)のほとんどは日商簿記3級以上を取得しますが、簿記2級~1級、公認会計士、税理士などの資格を取得していると、キャリアの選択肢が大きく広がる可能性があります。
若手層は経験が足りなくてもポテンシャルがあれば評価されます。成果を出すまでのプロセスや考え方、コミュニケーション能力や論理性などのポータブルスキル、今後のキャリアで何をしたいか、どう成長したいかのビジョンを伝えることが大切になります。
ミドル層はこれまでのキャリアと志望するポジションの親和性をアピールしましょう。例えば「リテール営業→プライベートバンカー」など、専門性に共通する部分があればそのスキルを転用できるため、未経験から金融業界への転職もしやすくなります。
経験者は実績やキャリアを築く上で考えてきたことに加え、担当したアセットや融資手法、運用手法、法令ガイドラインなどにおける親和性を示すことが転職では重要です。また、「法人営業に対する専門性を磨きたい」「ファイナンスから事業会社へ立場を移して、資金調達や事業伸長のためのM&Aに関わりたい」など入社後のイメージが伝わる転職理由は企業に対するアピールとなります。
ベテラン層は具体的なスキル・資格やマネジメント経験に加え、経験に裏打ちされた営業力や顧客対応力が企業から期待されています。チームマネジメントを通して得た収益の実績など具体的な数字を示せると、さらに評価は高まりやすいでしょう。
専門性、給与、異動、ワークライフバランス…金融業界の転職者は何を求めている?
2024年下半期、金融業界へ転職を考える人の多くは専門性の獲得を目指している傾向にあります。特に若手を中心に、ファンドマネジャー、ディーラー、トレーダーなど運用フロント業務や、不動産ファイナンス、PEファンド、中小企業支援などアセットを限定したデット投資やエクイティ投資、M&Aなどのニーズが高まっています。ミドル層においても財務経理ポジションで専門性を深めたいという意向が見られます。
もちろん、給与などの待遇や異動、ワークライフバランスなどもポピュラーな転職の動機です。また、「金融機関の外の世界を知りたい」「財務や経営企画として事業の成長に長期的に携わりたい」「世の中に広めたいサービスが見つかった」「実績を正しく評価してくれる会社で働きたい」など、さまざまな転職理由が存在します。
金融市場では応募者の不安・疑問を解消するための面談が増加・多様化している
2024年下半期、金融業界では売り手市場を背景に応募者の不安・疑問をできるだけ解消しようという企業の動きが見られます。例えば、入社後の不安を減らすために、選考前のカジュアルな面談や内定後の希望勤務地やキャリアプランに関する相談など、多岐にわたるサポートが提供されています。
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金融業界には、世の中や社会の変化に対し高い関心を持っている方が多くいます。その一方、自身のキャリアやスキルについて振り返る機会は十分とはいえず「世の中が変化しているのにこのまま今の仕事を続けていていいのか?」と不安に駆られる方も少なくありません。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー
【経歴】
高専を経て大学(機械工学科)卒業後、大手 銀行に就職し、リテール営業部署の各支店において資産運用コンサルタントとして従事。同銀行内で従業員組合役員を2 年経験した後、グループ内の現代アートオークション事業会社に出向し、アート査定および 超富裕層 の顧客対応を経験する。2023年、パーソルキャリア株式会社に入社。金融領域専任のキャリアアドバイザーとして、同領域で活躍している方々の転職支援を担当している。
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