転職市場予測 IT・通信(ITエンジニア)の転職市場動向2024下半期
SE・プログラマ、ITコンサルタント、社内情報システム、データベースエンジニア、ネットワークエンジニア…など、2024年下半期のIT・通信業界における求人数の増減や求人トレンド、採用ニーズなどの転職市場予測をご紹介します。
2024年下半期、ITエンジニアはコンプラ対応やAI導入で求人増
2024年下半期のITエンジニアの求人数は引き続き好調と予想されます。ここでは、インフラエンジニアとアプリエンジニアに分けて、それぞれの求人の動向について解説します。
インフラエンジニアの求人動向
インフラエンジニアの求人数は、上半期よりも増える見込みです。その背景には、近年、社会的にコンプライアンス遵守の要請がより強くなっており、それに伴うシステム改修や情報セキュリティの強化が求められるようになってきていることが影響しています。具体的には、個人情報漏洩防止のためのサイバーセキュリティ強化や、インボイス制度の保守・運用費用の改定に対応するためのシステム改修などが該当します。また、企業に求められているDX化とその未達成により起こりうる問題「2025年の崖(2025年問題)」に対応するための既存システムの見直しに伴う人材需要も引き続きあります。
最近では部署によって使っているシステムやサービスが異なるという課題がある企業で、社内のシステムやサービスを統一し、全社で一元管理しようという動きも見られます。
さらに、AIを活用して事業を推進する企業が増えてきており、AIを社内業務で活用できるよう環境整備を進めたり、自社のサービスや製品に実装したりするにあたって、インフラ環境の整備や機能実装のスキルを持つ技術者のニーズは高まるでしょう。
このような背景から、インフラエンジニアの採用枠が広がることで、未経験者にもチャンスが広がっています。一時期、未経験者の採用枠が充足傾向にあったSES企業ですが、未経験者を採用する動きが再開しつつあります。事業会社の社内SEなど競争率の高い領域もあるものの、SES企業を中心に、未経験からインフラエンジニアに挑戦できる可能性は十分あります。未経験者の枠が埋まれば経験者採用に切り替える企業も増えると予想されるため、未経験からインフラエンジニアに転職したい方は、できるだけ早めに動き出しましょう。
アプリエンジニアの求人動向
アプリエンジニアでは、2025年の崖(2025年問題)に対応している企業からの業務可視化・効率化を図りたいというニーズが高く、SES企業やSIerで未経験者の採用が積極的に行われています。
一方、少し前まで積極的に採用をしていたコンサルティングファームや、資金調達に成功したスタートアップ企業など事業会社の未経験者の採用枠は充足しつつあり、即戦力採用の傾向が強まっています。このように企業によって傾向の違いはあるものの、全体としては引き続き売り手市場であると予想されます。
2024年下半期、ITエンジニアの転職でニーズの高い資格や経験
2024年下半期、インフラエンジニアの転職で評価されやすい資格としては、LPIC2~3/LinuC2~3、CCNP、AWS認定ソリューションアーキテクトアソシエイト、IPA関連資格(基本情報技術者、応用情報技術者、情報処理安全確保支援士など)、CISSP、CISMなどが挙げられます。加えて、セキュリティー・クラウド関連の経験や資格へのニーズも高いです。
AIや機械学習のポジションに挑戦したい場合は、G検定やE検定などの資格や、自己研鑽してきたポートフォリオを提出して意欲をアピールするとよいでしょう。また、このポジションは現段階で対応できるエンジニアが希少なため、AIや機械学習に関する資格や実務経験がなくても、PythonやRでデータの加工や統計処理ができる、データエンジニアとして働いたことがある、データクレンジングを担当したことがあるといった関連分野の経験・経歴があれば評価されやすいでしょう。
アプリエンジニアの転職では、資格があるからといって直接採用に結び付くわけではないものの、Oracle系の資格、AWSやAzureといったクラウド関連の資格、応用情報技術者などのIT系の資格や、簿記等のビジネス力をアピールできる資格があると+αで有利に働きます。
年代別、ITエンジニア経験者が評価されやすいポイント
若手層は仕事に対して熱意を持って前向きに取り組んでいるかが選考で見られやすいため、業務の中で工夫・改善をしたことや自己研鑽の経験などを具体的に伝えられるようにしておきましょう。そのほかに、何か一つの言語・技術で仕様の策定からリリースまで行った経験があればアピールしましょう。
ミドル層では、開発の一連の流れを理解していることや特定の言語・製品の3年以上の開発経験、開発力、少人数のチームでもいいのでリーダーをしていた経験、技術を用いた課題解決の経験などがアピールポイントとなります。経験が不足していると感じる場合は今後専門としたい領域のスキルを身につけるため、具体的に取り組んでいる自己研鑽の内容を伝えましょう。また、技術力によって事業課題の解決に取り組んだ経験が評価されるため、特定の技術スタックや言語にこだわりすぎず、ソリューションの引き出しを増やしていくことが重要です。
ベテラン層の場合は、特定の言語や製品、業務の知見、ドメイン知識、マネジメント力など特定の分野に腰を据えて携わって培ったスキルが強みとなります。また、技術力に加えて業界知識や会計、SCM・CRMなどに関する知識があると評価されやすいでしょう。事業改善や事業の新規立ち上げをしたい企業では、ベテランを採用したいと考える企業が増えています。
未経験からITエンジニアを目指す場合に評価されやすいポイント
未経験からITエンジニアを目指す場合は、今後のキャリアプランやそれに向けた自己研鑽をアピールすることが転職成功につながります。ポートフォリオや学習記録を用いて具体的に伝えましょう。例えば「基本情報技術者試験」や「Oracle Certified Java Programmer」といった資格を取得していることや自宅PC環境で仮想のサーバやネットワークの環境構築をした経験などは、アピールポイントとなります。
また、一定の社会人経験があれば、メーカーでの生産管理、小売での店舗管理などITによる業務効率化に熱心に取り組む業界の知見やユーザーとしての観点といったこれまでの経験で獲得したスキルも強みとなる可能性があります。
2024年下半期、ITエンジニアの転職では働きやすさに注力する企業が増える見込み
2024年下半期、ITエンジニアの転職市場では企業が従業員の満足率を上げ、定着率を高める動きが加速するでしょう。
最近では、ベースアップを伴った賃上げや、勤続年数にかかわらず昇格が可能な評価制度の導入に取り組む企業が増えています。ほかにも、転勤に関して本人の希望をできるだけ考慮しようとする動きや、内定前のカジュアル面談や内定後のフォロー面談で入社後のミスマッチを減らそうという取り組みも行われています。また、出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッドな働き方が可能な企業も増加傾向にあります。
こうして給与や勤務地、ワークライフバランスに関する条件が改善されている中で、スキルやキャリアの観点から、ITエンジニアとしてのスキルが身につくか、成長できる環境かどうかを転職先の判断軸にする人も増えています。
キャリアアドバイザーの活用で、広い視点と今の転職市場に即したアドバイスが得られます
ITエンジニアの転職にあたって、キャリアアドバイザーは第三者視点からこれまで気づいていなかったキャリアの選択肢を提供します。また、今の自分の強みや転職市場動向を踏まえて広い視点でキャリア設計ができるのもメリットといえるでしょう。
転職すると決めていなくてもキャリアカウンセリングやキャリア設計のサポートも可能です。転職市場に日々接し、情報収集に取り組んでいるキャリアアドバイザーにぜひ一度お気軽にご相談ください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー
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【経歴】
新卒でウエディングプランナーを4年経験した後、パーソルキャリア株式会社に入社。現在はキャリアアドバイザーとしてIT領域の方々を中心に支援を行う。一人ひとりの状況や感情に寄り添ったサポートを得意とする。また、自分自身の転職経験も踏まえ、転職活動のリアルなアドバイスや転職を希望する方々と同じ目線に立ってのフィードバックなどを通じて伴走することを心がけている。
ITパスポート
【経歴】
前職では金融業界で個人向け営業を担当。その後、より個人の人生に寄り添いたいという思いから、パーソルキャリア株式会社に入社。入社以来、IT領域専門のキャリアアドバイザーとして、アプリエンジニア、ITコンサルタントの方を中心に、年間300人以上の転職支援を行う。近年では、DX化を推進する事業会社のシステム部門における採用支援業務にも携わっており、累計200社以上の人材採用の要件定義・求人作成も行っている。
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