この記事のまとめ
- 退職金には4つの種類がある
- 大学卒、勤続20年以上で定年退職した場合、退職金の平均相場は1,983万円
- 退職金の相場を決める2大要素は「退職理由」と「勤続年数」
退職金の平均額・相場
退職金の平均額・相場について、勤続年数、退職理由、制度の種類、それぞれの観点でご紹介します。実際の金額は企業ごとに異なるので、参考としてご覧ください。
退職金の平均額・相場<勤続年数/学歴別>
大学卒 | 高校卒 | |
---|---|---|
勤続1年 | 25万9,000円 | 17万1,000円 |
勤続3年 | 64万7,000円 | 43万1,000円 |
勤続5年 | 116万9,000円 | 78万7,000円 |
勤続10年 | 288万6,000円 | 184万1,000円 |
勤続15年 | 519万8,000円 | 347万4,000円 |
勤続20年 | 822万3,000円 | 556万5,000円 |
勤続25年 | 1,209万円 | 838万円 |
勤続30年 | 1,649万1,000円 | 1,162万7,000円 |
勤続35年 | 2,085万8,000円 | 1,707万8,000円 |
(出典:経団連「2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」)
※値は「退職金一時金のみ」「退職一時金と年金併用」「退職年金のみ」の場合の額を合算し、単純平均したもの
大学卒のほうが高卒よりも退職金額は高く、その差は、基本的に勤続年数を重ねるにつれて広がっていくことが分かります。また、勤続19年以下で退職する場合と比較して、勤続20年以降はかなり退職金額が上がる傾向があります。
退職金の平均額・相場<退職理由/学歴別>
大学卒 | 高校卒 | |
---|---|---|
定年退職 | 1,983万円 | 1,618万円 |
会社都合退職 | 2,156万円 | 1,969万円 |
自己都合退職 | 1,519万円 | 1,079万円 |
早期優遇(希望退職) | 2,326万円 | 2,094万円 |
(出典:厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」)
※勤続20年以上かつ45歳以上の退職者の場合
※高校卒は管理・事務・技術職への従事者を対象とする
※値は「退職金一時金のみ」「退職一時金と年金併用」「退職年金のみ」の場合の額を合算し、単純平均したもの
退職理由別に見ると、「希望退職>会社都合退職>定年退職>自己都合退職」の順に金額が変わります。先ほど説明したとおり、希望退職に応じる場合は退職金が上乗せされることが一般的なので、金額としてはもっとも高額です。
退職一時金/退職年金制度の平均額・相場<制度/学歴別>
大学卒 | 高校卒 | |
---|---|---|
退職一時金のみ | 1,678万円 | 1,163万円 |
退職年金制度のみ | 1,828万円 | 1,652万円 |
両方併用 | 2,357万円 | 2,313万円 |
(出典:厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」)
※勤続20年以上かつ45歳以上の場合
※給付された退職金の平均値を記載
上の表から、一時金と年金制度を併用している場合の額がもっとも高く、次いで年金制度、一時金制度と続いていることが分かります。併用制度のある会社だと、高額の退職金が期待でき、将来の安心につなげられます。
退職金とは?
退職金とは「会社を退職する際、雇用主から従業員に支払われるお金」を指します。「退職手当」「退職慰労金」とも呼ばれます。一般的には、退職金規程に基づき、算定基礎賃金に対して勤続年数別の支給率をかけて算定されます。そのため、長年働いてきたことに対する功労報償や賃金の後払いのような意味合いがあります。
厚生労働省発表の令和5年就労条件総合調査(※)では、退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合は74.9%となっていますが、企業規模や産業別に見ると制度の有無に差が生じています。
※参考:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」
退職金の主な種類4つ
退職金は主に4種類あります。またその受け取り方法によって、「退職一時金」タイプと「退職年金」タイプ、その併用に分けられます。退職一時金タイプは、退職時にすべての金額を一括して受け取る仕組み、退職年金タイプは企業の定めた条件(60歳以上など)を満たした段階で、定期的に一定額を受け取る仕組みです。各種類がどの受け取り方法に当たるのかとあわせて見ていきましょう。
退職一時金
タイプ | 一時金タイプ |
---|---|
計算式・計算方法 | 退職時の基本給×勤続年数 など ※会社が独自に計算方法を決定 |
金額の設定方法 | 勤続年数・基本給・役職・退職理由(会社都合、自己都合、懲戒など)など |
対象 | 会社が定める対象者(勤続3年以上の正社員など) |
退職一時金とは、定年退職時にまとまった額の一時金を一括支給する退職金です。それぞれの会社が独自のルールで支給額や支払い方法を決めており、社内で積み立てたお金から各個人へ退職金を支払います。賃金支払確保法第5条では、退職手当の一定額の保全措置を講じることが努力義務とされており、金融機関と保証契約を締結することになります。
退職金共済
タイプ | 一時金タイプ ※60歳以上などの条件を満たせば、退職年金タイプ・併用も可 |
---|---|
計算式・計算方法 | 掛け金×納付月数+α(付加退職金、利回りなど) ※掛け金の額は会社が決定 |
金額の設定方法 | 掛け金の額・勤続年数(納付月数) |
対象 | 会社が定める対象者(勤続3年以上の正社員など) |
退職金共済とは、主に中小企業のための退職金制度です。資金繰りに余裕のない中小企業では、何十年にもわたって、将来支払う退職金を社内で積み立て続けることが難しいケースがあることから、外部に積み立てる仕組みが広がりました。
外部積み立て先として一般的なのが、中退共(※)です。会社が中退共と退職金共済契約を結び、毎月掛け金を金融機関に納付します。社員が退職したときには、中退共から退職金が直接支払われる仕組みです。掛け金をいくらにするか、対象を誰にするかなどは、それぞれの会社が決めて、中退共に伝えます。なお、中退共に加入した場合は、賃金支払確保法第5条の保全措置を講じる必要はありません。
確定給付年金(DB)
タイプ | 一時金タイプ・年金タイプ・併用 ※会社の規約により、加入期間20年未満なら「一時金」など制限あり |
---|---|
計算式・計算方法 | 掛け金×納付月数+α(利回りなど) ※掛け金の額は会社が決定 |
金額の設定方法 | 掛け金の額・勤続年数(納付月数) |
対象 | 会社が定める対象者(勤続3年以上の正社員など) |
確定給付年金(DB)とは、事前に退職時の給付額が確定していて、企業が責任を持って運用を行う仕組みの退職金です。近年導入する企業が増えています。もし退職段階で約束した給付額に達していない場合は、企業が費用を補填する必要があります。積み立て先は保険会社や信託銀行といった企業が契約する金融機関です。近年では、運用が悪化すると企業負担が重くなるため、確定拠出年金(DC)へ移行する企業が増えています。
確定拠出年金(DC)
タイプ | 受け取り方 一時金タイプ・年金タイプ・併用 |
---|---|
計算式・計算方法 | 掛け金×納付月数+運用結果 ※掛け金の額は会社が決定 |
金額の設定方法 | 掛け金の額・勤続年数(納付月数)・運用の仕方 |
対象 | 会社が定める対象者(勤続3年以上の正社員など) |
確定拠出年金(DC)とは、掛け金の額は事前に確定しているものの、退職時の給付額は確定しておらず、社員自身が積み立てた掛け金を運用し、その運用結果によって退職時の給付額が変化する退職金制度です。確定給付年金(DB)に比べて企業の追加コスト圧縮につながることから、 近年導入する会社が増えています。積み立て先はDBと同様、保険会社や信託銀行といった会社が契約する金融機関です。
退職金の有無はどう決まる?
退職金は法律で支払いが義務付けられているものではないため、金額はもちろん、制度の有無も企業によってさまざまです。支払いに際しての基準も各企業が定めて構いません。ただし退職金制度がある場合は、必ず各企業の就業規則にその基準が記載されています。
退職金を支払ってくれない場合、法的拘束力はある?
就業規則・退職金規程に退職金制度について明記すると、そのルールにのっとって運用しなければならないという法的拘束力が発生します。例えば、「懲戒解雇なら支払わない」と明記されていたら、基本的には法的にも支払いを求めることはできません。逆に、「自己都合退職の場合も同額支給する」と明記していたにもかかわらず、減額された場合は、法的に支払いを求めることができます。
また、倒産によって退職金が支払われなかった場合は、国の未払賃金立替払制度を活用して、一部を立て替えてもらえます。最寄りの労働基準監督署で相談してみてください。
退職金の金額を変化させる大きな2つの要素
退職金の額をどう決めるかは企業ごとに異なりますが、主に2つの要素によって変化します。それぞれについて詳しくみていきましょう。
退職理由
退職金は、退職理由によってもらえる額が変わることが多いです。一般的に、会社都合での退職と、転職など自己都合での退職とでは、会社都合のほうが高額な傾向にあります。
会社都合とは、経営破綻や倒産、業績悪化、事業所の廃止といった会社に起因する理由から、やむなく退職すること。リストラの一環として実施される希望退職に応じた場合も会社都合となり、通常よりも退職金が上乗せされることが多いようです。一方で、自分から退職を申し出る自己都合や懲戒解雇の場合は、減額される傾向にあります。
勤続年数
退職金はたいていの場合、勤続年数に比例して高くなります。そのほか基本給や地位・役職、人事考課などに応じて、金額が変動することも。これらの変動要素は会社によって異なるため、ご自身が働く会社のルールを知りたい場合は、就業規則や退職金規程で確認してみましょう。
退職金は勤続何年目から支給対象になる?
勤続何年目から退職金の支給対象とするかは、会社が独自に決めることができます。法的なルールはないので、自身で会社の就業規則や退職金規程を確認しましょう。 ちなみに、東京都産業労働局は、自己都合退職では勤続3年目から退職一時金を支給する会社が約51.5%との調査結果を発表しています。また、勤続年数20年未満と20年以上を比較すると金額がかなり変わります。1年退職時期がずれるだけで金額が変わる可能性もあるので退職を検討する際は就業規則を確認し、退職のタイミングを検討しましょう。
※東京都産業労働局「令和4年版中小企業の賃金・退職金事情(7.退職金制度(31~33))」
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退職金の算出方法はいくつかあり、会社が採用している制度によって異なります。ここでは、それぞれの退職金によくある算出方法について解説します。
「退職一時金」の計算方法
退職一時金の計算方法は会社が採用している制度によって異なります。ここでは代表的な制度とその計算方法を4つご紹介します。
①定額制
定額制は、勤続年数だけで退職一時金の額を決定する方法です。例えば、勤続10年なら100万円、勤続20年なら250万円、勤続45年なら800万円というように、勤続年数に応じた額があらかじめ決まっています。就業規則や退職金規程を確認してください。
②基本給連動型
基本給連動型は、勤続年数(支給係数)に加えて退職時の基本給も考慮して決定する方法です。このほか、退職理由や退職時の役職を加味する会社もあります。支給係数は会社によって異なりますが、勤続3年目で1.0、勤続4年目で2.0というように、勤続年数に比例することが一般的です。退職理由を加味する場合は、自己都合なら8割、会社都合なら10割などとしている会社が多いようです。
■基本給連動型の計算例
支給係数を勤続4年目で2、10年目で10、20年目で20とし、自己都合退社では8割と定めていた場合
・勤続4年目/自己都合退職
基本給 25万円×2(支給係数)×0.8(自己都合)=40万円
・勤続10年目/自己都合退職
基本給 30万円×10(支給係数)×0.8(自己都合)=240万円
・勤続20年目/自己都合退職
基本給 40万円×20(支給係数)×0.8(自己都合)=640万円
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③別テーブル制
別テーブル制は、勤続年数に応じた基準額を設定し、役職・等級と退職理由(自己都合か会社都合かなど)をかけ合わせたテーブル(表)を作り、計算する方法です。基本給連動型と異なる点は、退職時の基本給をベースとするのではなく、役職・等級をベースとする点です。
■別テーブル制の計算例
勤続10年目の基準額が100万円、一般社員クラスの係数を0.7、課長クラスの係数を1.2、部長クラスの係数を1.5、自己都合退職の場合を8割と定めていた場合
・勤続5年目/一般社員/自己都合退職
基準額70万円×0.7(役職)×0.8(自己都合)=39.2万円
・勤続10年目/課長/自己都合退職
基準額100万円×1.2(役職)×0.8(自己都合)=96万円
・勤続20年目/部長/自己都合退職 基準額200万円×1.5(役職)×0.8(自己都合)=240万円
④ポイント制
ポイント制は、退職時の基本給や勤続年数、人事考課、退職理由などをもとに、在職1年あたりのポイントを決定し、その累積ポイントに対して、1点あたりのポイント単価をかけ合わせて金額を決定する方法です。
■ポイント制の計算例
勤続1年で10ポイントの加算、役職1年につき係長クラスならプラス5ポイント、部長クラスならプラス20ポイント、自己都合退職の場合は8割、1ポイントあたりの単価は1万円と定められている場合
・勤続5年/一般社員/自己都合退職
(10ポイント×5年)×0.8(自己都合)×1万円(ポイント単価)=40万円
・勤続10年/係長/自己都合退職
(10ポイント×10年+役職5ポイント×3年)×0.8(自己都合)×1万円(ポイント単価)=92万円
・勤続20年/部長/自己都合退職
(10ポイント×20年+役職5ポイント×7年+役職20ポイント×5年)×0.8(自己都合)×1万円(ポイント単価)=268万円
「退職金共済」の計算方法
退職金共済の退職金額は、「掛け金月額×納付月数」によって決まります。掛け金月額は中退共(※)の場合、5,000円~3万円までで16種類用意されており、会社が独自に、勤続年数などに応じて掛け金を決めます。1人につき5,000円~1万円(月)としている会社が多いようです。以下では、月額1万円の掛け金を10年かけた場合の退職金の額を紹介します。なお、利回りは年1.0%として設計されています。
※独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部
(厚生労働省所管の独立行政法人で、中小企業のための退職金制度を運営する)
■退職金共済の計算例
・勤続10年
掛け金1万円×120月=120万円(掛け金総額)+利回り(1.0%)=126万5,600円
・勤続20年
掛け金1万円×240月=240万円(掛け金総額)+利回り(1.0%)=266万6,600円
・勤続45年 掛け金1万円×540月=540万円(掛け金総額)+利回り(1.0%)=682万6,300円
※参考:中退共 基本退職金額表
「確定拠出年金」の計算方法
確定拠出年金の給付額も、「掛け金月額×納付月数」をベースに決まりますが、積み立てた掛け金は社員個人が運用します。預貯金や保険商品といった「元本確保型商品」とリスクの発生する「投資信託」などのラインアップから選択して運用します。運用が成功すれば、それだけ給付額も増えますが、逆に失敗すれば給付額は減ります。
■確定拠出年金の計算例
・勤続10年
掛け金1万円×120月=120万円(掛け金総額)+利回り
※運用結果によって変動あり
・勤続20年
掛け金1万円×240月=240万円(掛け金総額)+利回り
※運用結果によって変動あり
・勤続45年
掛け金1万円×540月=540万円(掛け金総額)+利回り
※運用結果によって変動あり
退職一時金にかかる税金の所得控除の計算方法
退職一時金は、場合によっては相当な額に達することもあります。それに比例して税金の額も大きくなりますが、税負担が軽くなるよう配慮されています。
具体的には、「退職所得控除」という制度を使います。退職所得控除とは、退職一時金にかかる税金の計算をする場合に、一定の金額を差し引ける制度のこと。退職所得控除額の計算式は下記のとおりです。
退職所得控除額の計算式 | |
---|---|
勤続20年以下 | 40万円×勤続年数 ※80万円未満の場合は80万円 |
勤続21年以上 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
■退職所得控除額の計算例
・勤続10年
40万円×10年=400万円
・勤続30年
800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円
退職所得控除額が計算できたら、課税の対象になる金額を計算してみましょう。計算式は以下のとおりです。計算例から分かるように、通常の給与所得よりも課税額は大幅に少なくて済む仕組みになっています。
課税対象額の計算式 |
---|
課税対象額=(退職一時金の額(※)-退職所得控除額)×1/2 |
■課税対象額の計算例
・勤続30年
・退職一時金2,000万円 の場合
(2,000万円-1,500万円)×1/2=250万円
転職活動中に退職金について確認すべきポイント
- 退職金制度の有無
- 退職金を支給される勤続年数
- 退職金の種類・タイプ
- 「中小企業退職金共済制度」に加入しているか(※中小企業の場合)
まず確認すべきは退職金制度の有無でしょう。退職金制度のある企業に転職したいと考えているのであれば、この時点である程度、企業を絞り込むことになります。また、どのくらい働けば退職金が支給されるのかが、その後のキャリアプランに影響するかもしれません。
転職を検討している企業が中小企業の場合、中小企業退職金共済制度に加入しているなど、リスクヘッジがなされているかを確認してみましょう。
退職金の有無で転職先を判断してもよい?
転職先を決める際は、退職金の有無だけで、転職先を判断しないほうがよいでしょう。退職金制度は、元々長く勤めることを前提とした終身雇用の時代に定着したものです。しかし、終身雇用がほころび始めるともに、退職金制度の在り方も変わってきています。近年、制度の見直しを進める企業も増えており、転職先が今後、退職金の支給額や制度の有無を見直す可能性もあります。
転職した後で後悔しないためにも、退職金制度を目的として転職活動をするのではなく、まずは転職したい理由や自分の強み・弱み、今後積みたいキャリアなど、大事にしたい軸に立ち返り、転職活動をするのがよいでしょう。
また、今は退職金制度がある企業でも今後は制度が変化する可能性があることを念頭において判断することをおすすめします。
転職先に、退職金について聞く適切なタイミングは?
退職金制度の有無は、求人票に必ず記載すべき項目ではありません。そのため、求人票に記載がなくても退職金制度を準備しているところもあります。
転職活動の選考中で、退職金制度の有無を知りたい場合は内定後に聞くのが無難でしょう。応募先企業に最優先で伝えるべきことは、「自分がどう会社に貢献できるか」なので、早い段階で年収や退職金について聞くと、印象が悪くなる可能性があるからです。
これは、転職エージェントを経由して聞く場合も同様です。ただし、転職エージェントの場合、その企業の退職金制度に関する情報を持っており、企業に確認せずとも情報提供を受けられる可能性があります。応募を検討している企業の「退職金制度」について、どうしても気になる場合は、転職エージェントの活用も視野に入れるとよいでしょう。
近年の退職金制度はどのように変化している?
退職金制度は終身雇用を前提として、「定年まで働き続けてほしい」との考えから普及した制度ですが、現在は終身雇用の前提が崩れつつあります。この流れから、今後は退職金制度のある企業が減少することが見込まれます。実際、退職金制度を設けていないところも数多くあります。
一方で、「優秀な人材を確保するため」「社員のモチベーションを高めるため」といった目的で、退職金制度を残す会社も少なからずあるでしょう。こうした場合も、従来の「退職一時金」ではなく「確定拠出年金」への移行が進むことが予測されます。また、欧米では確定拠出年金が一般的なので、海外で働く社員と足並みをそろえるために、「確定拠出年金」へと移行するグローバル企業も増えているのが現状です。
退職金制度について理解して後悔のない転職を
退職金は法律で定められている制度ではないので、退職金のない企業もありますし、勤続年数などによってもらえる金額にも違いがあります。だからこそ、転職先の退職金制度について、人事や総務の担当者に確認するなどして把握しようとすることが大切です。退職金制度がある場合は、何年働けば退職金給付の対象になるのか、どのような種類の退職金をもらえるのかなど、事前に確認しておくことで、先々の安心感につながります。
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この記事を監修した社会保険労務士
北 光太郎(きた・こうたろう)氏
きた社労士事務所 代表 大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士資格を取得し、不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善などさまざまな取り組みを行う。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。読者に分かりやすく信頼できる情報を伝えるとともに、Webメディアの専門性と信頼性向上を支援している。
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