ケース面接とは
ケース面接は、主に「戦略コンサルタントに必要とされる素養を備えているか」を判断するために行われる面接です。面接官から出題された課題に対し、制限時間内に解決策を企画・提案することが求められます。
コンサルタントには、クライアントが抱える課題に対して、解決方法を提案する能力が必要です。また、根拠が明確であり、合理性を伴った解決方法でなくてはクライアントの信頼を得られないでしょう。そのため「論理的思考能力」や「ロジカルコミュニケーション能力」が重要であるとされています。
ケース面接では、これらコンサルタントに必要な素養をチェックするための素材として、「社会課題の解決方法」「事業改善のための戦略」「定量化しにくい数値の概算」などが出題される傾向にあります。具体的には、次のような内容です。
- グローバル人材育成のために日本政府が打ち出すべき対策を考えよ
- 今現在、スマートフォンを使用している人の数を試算せよ
- コロナ禍の状況でコンビニチェーンの売り上げを2倍にするための戦略を考えよ
こうした課題を通じて、結論に至るプロセスの組み立て方、論理の根拠となる情報の正確さなどをチェックされる可能性が高いです。また、他者の意見をどのように取り入れるか、取り入れた理由が合理的であるかなども評価の対象になるでしょう。
さらにケース面接は、「フェルミ推定」と「ケース問題」に大別されます。著名なコンサルティングファームの大半は、この2パターンのうち、両方もしくはいずれかを採用しているため、各パターンの具体的な内容を把握しておきましょう。
ケース面接のパターン1:フェルミ推定
まず、ケース面接のパターンのうち「フェルミ推定」について解説します。フェルミ推定とは、「厳密に調査しなければ分からないような数値を、限られたデータから論理的に概算するための思考法」です。
例えば「神奈川県にタクシーは何台ありますか」といった問いがあるとしましょう。本来ならば、タクシーの登録台数を厳密に調査しなければ分からない問いです。しかし、フェルミ推定を用いることで、調査を経ずにタクシーの台数を導き出すことができます。この場合は、まず神奈川県内の人口を年代別に区分けし、そこからタクシー利用者を年齢層別に仮定し、さらに年齢層別に年間の乗車回数を試算し、その結果から台数の試算につなげるといった流れが想定されます。
ケース面接で出される課題は、規模が大きかったり抽象的な内容だったりと、試算が難しい内容が多いです。そのため、フェルミ推定を用いて論理性と具体性を高めていくことが求められます。
ケース面接のパターン2:ケース問題
次に、ケース面接のもうひとつのパターンである「ケース問題」を解説します。ケース問題では、実際のビジネスで想定される課題に対して、定量的で具体的な解決策の提出が求められます。例えば、「コロナ下でコンビニチェーンの売り上げを2倍にするための戦略を考えよ」という問いに対しては、コロナ下における人流の減少から現状の売り上げを想定し、客単価や滞在時間を倍増させるための施策を考えることで、解決策を導き出すことができるでしょう。
このとき、「客単価や滞在時間を倍増させるための施策」については、具体的な数値を用いた施策であることが求められます。また、前提条件である「コロナ下における人流の減少と、売上金額」については、フェルミ推定を用いた試算が必要になるでしょう。
ケース面接の基本的な流れ
ケース面接には2つのパターンがあり、ひとつはグループ面接、もうひとつは個人面接です。面接時間は20~30分程度で、次のような手順で行われることが多いでしょう。
STEP1:面接官が課題を発表
課題の内容はコンサルティングファームによって傾向が異なります。フェルミ推定のみの場合もあれば、フェルミ推定を利用しながらケース問題を解く場合もあります。あらかじめ、希望するコンサルティングファームの傾向を把握しておくことが大切です。
STEP2:課題に対する解決策・解答の作成
個人面接の場合は、課題抽出・ゴールの設定・戦略立案・施策の具体化・成果の概算といったプロセスを単独で行います。
これに対してグループ面接の場合は、参加者同士でディスカッションを行い、解答まで到達することが求められます。
STEP3:面接官とのディスカッション
解答を提示した後は、面接官から解答に対する質問・指摘が行われます。また、質問・指摘に対しては、その場で改善案や代替案の提示を求められることが大半です。面接官とのディスカッションは、口頭で行われることもあれば、紙資料やホワイトボードを使用することもあります。
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履歴書を作成する(無料)ケース面接で評価を得るためのポイント
ケース面接で評価されるためのポイントとしては、次のようなものが挙げられます。
論理性
論理性は、コンサルタントとして最も必要とされる能力であり、ケース面接でも重要視される項目です。論理性が備わっていてこそ、クライアントを納得させる合理的な戦略を導き出せるからです。
具体的には「情報を体系立てて整理できること」「飛躍や矛盾、漏れのない思考プロセスを持っていること」「数値を使って意見を述べられること」などが評価の対象になります。
思考体力
思考体力とは「複数の視点から継続的に物事を考え続ける力」です。ケース面接の面接官は「答えのない難問に対し、どう向き合うか」も評価の対象としています。コンサルタント業務では、クライアントが抱える課題に対して、解決の糸口を見つけられないこともあります。そのため、常に思考し続ける姿勢と持続料は、コンサルタントになるための重要な素養です。解決策が導き出せない場合でも、試行錯誤を続ける姿勢は忘れないようにしたいところです。
思考スピード
コンサルタントには、思考スピードも求められます。与えられた課題を期限内に解決するために、情報を精査し、分析し、仮説を立てる必要があるからです。限られた面接の時間の中で、改善案や代替案を素早く提示し、思考スピードをアピールしていきたいところです。
ロジカルコミュニケーション能力
チームで仕事をすることが多いコンサルタントにとって、コミュニケーション能力は欠かすことのできない素養です。ただし、単に発言数が多いというだけでは、不十分です。コンサルタントに必要なのは、「ロジカルコミュニケーション能力」だからです。ロジカルコミュニケーション能力とは、「伝えたい情報を自身の中で整理し、論理的で説得力のある内容に変えて話す能力」のことです。
ロジカルコミュニケーション能力が高い人は、短い時間で多くの情報を的確に伝えることができます。グループ面接では、一人ひとりの発言時間が限られています。ロジカルコミュニケーション能力をアピールするために、少ないやり取りで的確に情報を伝えることを意識してみてください。
また、言葉遣いやマナーなど、ビジネスパーソンとしての基礎的な能力も評価されていることも忘れないようにしましょう。
思考の柔軟性
自分の意見に固執しすぎず、柔軟に他者の意見を取り入れながら解決策を探ることができれば、高評価を得られる可能性が高まります。また、思い込みなどの固定概念にとらわれない「ゼロベース思考」も、評価の対象となるでしょう。さらに、時間的な余裕が乏しい中でも冷静さを失わず、思考の柔軟性を失わない「タフさ」も評価のポイントです。
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履歴書を作成する(無料)ケース面接の対策
ケース面接は特殊な面接方法であるため、一般的な面接よりも「慣れ」が必要です。実際の面接でしっかりと力を発揮できるように、次のようなポイントを意識して対策を進めてみてください。
問題集を解く
ケース面接で出題される内容には一定のパターンがあり、解答を導くまでの手順を理解することで対応力を高めることができます。まずはケース面接に関する問題集を解き、徐々にその数を増やしていきましょう。数をこなすことにより、課題と解決策に一定のパターンがあることが見えてきます。
また、問題集には「日本の人口」や「年代別人口分布」など、フェルミ推定でよく使用される統計データがまとめられていることもあります。こうしたデータをインプットすることにより、視点が増え、解決の糸口に気づく可能性が高まります。さらに、実際の面接は時間との戦いになるため、できるだけ短い時間で問題を解くことも意識したいところです。
壁打ち(模擬面接)を繰り返す
問題集によるインプットと並行して、実際の面接を想定した壁打ち(模擬面接)も行うようにしましょう。実際のケース面接では、他者を納得させるだけの論理性とコミュニケーション能力が必要になります。壁打ちは、「論理性」「ロジカルコミュニケーション能力」を鍛えるために有効です。友人や同僚などを相手方として、アウトプットを重ねていきましょう。
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履歴書を作成する(無料)橋本 諒(はしもと・りょう)
国家資格キャリアコンサルタント
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