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ネットワークエンジニア 将来性のイメージ

ネットワークエンジニアの将来性は?市場価値を高めるために必要なこと

ネットワークエンジニア(NE)はシステムのインフラ構築に欠かせない職種です。しかし、近年はクラウド化の進展によりネットワークエンジニアに求められるスキルセットが大きく変化しています。環境の変化がネットワークエンジニアの将来性に影響をもたらすのか、気になる方も多いのではないでしょうか。この記事ではネットワークエンジニアの将来性や、ネットワークエンジニアとして活躍し続けるために必要なことについて解説します。

なお、ネットワークも含め、インフラ全般を広く担当するインフラエンジニアについては、以下の記事でも解説しています。キャリアプランの参考として、あわせてご覧ください。

インフラエンジニアとは?仕事内容や年収、未経験からの転職のポイントなどを解説

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ネットワークエンジニアの需要

IT人材不足が叫ばれるようになってからずいぶんと経ちました。近年では、クラウドサービスの拡大や5Gなどの通信環境の整備、企業のDX推進などに伴い、新しい分野でのIT人材の不足も指摘されています。

このようなIT市場の状況は、ネットワークエンジニアのニーズにどんな影響があるのでしょうか。ここでは、今現在のネットワークエンジニアの求人市場や、先端技術普及に伴う需要の変化について考えてみましょう。

ネットワークエンジニアの現状

dodaの中途採用マーケットレポートによると、2022年9月から2023年2月までは、ネットワークエンジニアの求人数は増加を続けています。ビジネスのIT化が進むほどネットワークへの依存度は増すので、ネットワークエンジニアの需要がなくなることはないでしょう。

ITエンジニア中途採用マーケットレポート(2023年3月発行)

経済産業省が警鐘を鳴らしている、企業が抱える古い基幹システムを起因とするシステム障害が2025年以降に多発すると予想される「2025年の崖」問題により、DXの推進に取り組む企業は増えています。そのためネットワークエンジニアを含む高度なIT人材の需要は右肩上がりとなっています。

一方で、関連職種であるシステムエンジニア(SE)やサーバーエンジニアの求人数と比較するとネットワークエンジニアの求人数は少ないという調査結果もあります。これはクラウドサービスの浸透や先端技術の普及により、ネットワークだけでなく新しい技術に対応したエンジニアが求められているためと考えられます。

ネットワークにプラスのスキルを持つインフラエンジニア、クラウドエンジニアといった職種の募集が増えていることからも明らかです。今後は新しい技術や環境の変化に対応できないネットワークエンジニアの需要は減少し、より幅広い知識やスキルを持った人材の需要が増加していくことが予想されます。

先端技術の需要が増加

第4次産業革命の技術革新にはAI、ロボット、IoT、ビッグデータなどのコア技術があります。中でもIoTの開発は、2020年に商用サービスがスタートした5Gの普及により活発になってきました。IoTはインターネットを介してモノをつなぎます。家庭用のスマート家電だけでなく、製造業、農業、建築業、運輸業、小売り、医療福祉、飲食、教育など、さまざまな分野においてIoT技術による自動化や遠隔操作が実現しています。

またネットワークにつながれたモノ同士が直接的に通信を行うM2Mも、多くの分野で導入されています。エレベーターの遠隔監視や道路交通情報通信システム、自動販売機の遠隔在庫管理等にも利用されており、さらなる発展が見込まれている分野です。

5Gを活用するIoTやM2Mの開発にはネットワークの知見は欠かせないため、ネットワークエンジニアが活躍できる分野です。この分野の市場は今後も拡大が予測されるため、最先端技術の知見があるネットワークエンジニアの需要も拡大していくでしょう。

ネットワークエンジニアの将来性とクラウド化

近年はクラウドサービスの普及が急速に拡大しています。ITインフラ環境の導入・運用にかかるコストや負荷を軽減できるメリットから、企業のクラウド化への投資が進んでいるのです。総務省の情報通信白書(令和3年版)によると、クラウドサービスを一部でも利用している企業は2020年の時点では68.7%で、2016年の46.9%から年々増加しているのが分かります。

クラウドサービスの普及に伴い、ネットワークエンジニアの仕事がどのように変化しているのか、また将来どのように変化していくのかを解説します。

ネットワークエンジニアの仕事内容の変化

これまでネットワークエンジニアの主な仕事は、企業内に自前のITインフラ設備を設置したオンプレミス環境で社内のITネットワークを構築・運用・監視することでした。しかし近年のクラウドサービスの普及により、オンプレミス環境からクラウド環境に移行する企業が増えています。クラウド環境ではスイッチやルーターなどのネットワーク機器が仮想化されるため、物理的な機器の設置やネットワーク構築といった従来のネットワークエンジニアの仕事は少なくなってきています。

一方、クラウドサービスを利用する企業が増えたことで、ネットワークエンジニアにも新たにクラウドに関する知見やスキルが求められるようになりました。もちろんオンプレミス環境がすぐにゼロになるわけではなく、移行に際してもオンプレミス環境の知識は必要です。しかし、今後クラウド環境が主流になっていく中で、クラウド上でのネットワーク設計や構築・運用管理といったスキルは必須になってくるでしょう。

ネットワークエンジニアのクラウドとの関わり方

将来的にはネットワークエンジニアもクラウド環境での業務がメインになると考えられます。

クラウド環境の利用形態はさまざまですが、例えばIaaS(Infrastructure as a Service)という用語があります。IaaSはサーバーやストレージ、ネットワークなどのハードウェアやインフラを提供するサービスです。ブラウザ上でインフラ環境を一貫して設計構築できます。そのため、クラウド環境で業務をする上でネットワークだけでなくサーバーやストレージの知識がある人はより重宝されるでしょう。ブラウザ上で手軽に設計構築ができることもクラウドのメリットです。

クラウドのメリットを活かしてネットワークエンジニアとして活躍し続けるためには、クラウド環境に対応できるスキルと、ネットワークだけでなくインフラ全般の知識も身につけることをおすすめします。

ネットワークエンジニアとして活躍し続けるために必要なこと

ネットワークエンジニアに求められるスキルはIT技術の進歩とともに変化していますが、基本を押さえておくことはもちろん大切です。オンプレミス環境でもクラウド環境でも、ネットワークシステムを適切に設計・構築・運用するという仕事内容は変わりません。

ネットワークエンジニアの根幹となる知識や技術を身につけた上で、さらに新しい分野のスキルを増やせば将来活躍できる場が広がります。ご自身の市場価値を高めるためにも、周辺領域の技術を習得できるとよいでしょう。ここではネットワークエンジニアと親和性が高く、今後需要が高まると予測される5つのスキルをご紹介します。

クラウドサービスに関する知識

クラウドサービスは今後主流になると予想されるため、クラウドに関する知識は欠かせません。IaaS、PaaS、SaaSなどのクラウド特有の考え方やサービス内容を理解しておきましょう。

またAWS(Amazon Web Services)Microsoft AzureGCP(Google Cloud Platform)といった使用頻度の高い大手パブリッククラウドの知識は多くの企業で求められています。それぞれ提供している機能は似ていますが、特徴や使い方は異なります。それらを理解した上で操作・提案のできるエンジニアは重宝されるでしょう。また、クラウドサービスは新しい技術やサービスが次々と追加されています。常に最新情報をチェックすることも大切です。

ネットワーク仮想化の知識・設計スキル

ネットワーク仮想化とは、これまでハードウェアで構築されていたネットワークリソースを抽象化し、ソフトウェアで置き換える技術のことです。クラウドサービスを支える技術でもあります。

ソフトウェアを用いてネットワークを制御する技術の総称であるSDN(Software Defined Networking)や、SDNを実現するための技術であるOpenFlowというネットワーク規格、ネットワーク機器の機能を汎用サーバーの仮想化基盤上でソフトウェア(仮想マシン)として実装するNFV(Network Functions Virtualization)などの知識はしっかり押さえておきましょう。

また、仮想化されたネットワークの設計は物理的なネットワークの設計とは異なるスキルも求められます。SDNのように仮想化されたネットワークの場合、ネットワークの構成や通信経路の制御はソフトウェアによって行われます。物理ネットワーク環境で設計を多く行ってきた方でも、仮想ネットワーク環境における設計での考え方の違いなどを整理してみると良いでしょう。

プログラミングスキル

これまではネットワークエンジニアにプログラミングスキルが求められることは多くありませんでした。しかし近年ではネットワーク仮想化(SDN)が一般化し、仮想化技術を前提とするクラウドサービスの台頭によりネットワークはソフトウェアで制御することが主流となっています。そのSDNの強みとして、ネットワーク構築をプログラミングで制御できる点が挙げられます。

具体的なエンジニアリング手法として、インフラ環境設定をコード化する「IaC(Infrastructure as Code)」や運用の自動化・効率化を図る「SRE(Site Reliability Engineering)」が広がってきています。今後はネットワークエンジニアにもプログラムを読み書きできるスキルが求められるようになるでしょう。

PythonやRubyなどの軽量プログラミング言語は比較的習得や利用が容易です。IaC向けのツールでPythonやRubyが利用できるものもあることから、ネットワークエンジニアにおすすめの言語とされています。プログラミングスキルを持つネットワークエンジニアは今後需要が高まると予想されます。積極的に習得していきましょう。

マネジメントスキル

活躍の場を広げるためには、ネットワークエンジニアとしてプロジェクトに従事した経験を活かし、さらにマネジメントスキルを身につけてプロジェクトマネージャー(PM)を目指すキャリアパスも選択肢となります。インフラ開発プロジェクトの責任者としてスケジュールや進捗の管理や、メンバーをまとめる役割です。

しかしマネージャーに求められるのはマネジメントスキルだけでなく、メンバーから信頼される実力が必須となります。プロジェクト全体を進めていく上でネットワークのスキル以外にも、サーバーやクラウドなどインフラ全般の幅広い知識が必要でしょう。プロジェクトマネージャーを目指す方は、まずエンジニアとして現場で幅広い経験を十分に積み実力をつけることをおすすめします。

セキュリティに関するスキル

セキュリティの知識やスキルは今後も確実に需要があります。ITの技術進化に伴いサイバー攻撃も多様化・複雑化しており、脅威は増しているためです。外部からの攻撃においてネットワークとセキュリティは切り離せない領域です。最新のセキュリティ対策の情報は常にアンテナを張って情報収集し続ける必要があります。

セキュリティにおいてオンプレミスの場合はユーザー企業がすべての責任を負います。ポリシー次第で強固なセキュリティを追求することも可能です。一方でクラウドの場合はユーザーがすべて責任を負うのではなく、一定の範囲はクラウドベンダーが管理し責任を持ちます。クラウドサービスでも一定水準以上のセキュリティは整っていますが、さらに高いセキュリティレベルを求める場合にはユーザー側でセキュリティ対策を行う必要があります。

クラウド環境のセキュリティを高める方法として以下のようなものが挙げられます。

  • 適切なクラウドベンダーの選定
  • セキュリティグループや仮想ネットワークを定義したアクセス制御
  • SSLサーバー証明書やSSHによる通信データの暗号化
  • ワンタイムパスワードや多要素認証による強固なユーザー認証

このようにオンプレミス・クラウドそれぞれに合わせたセキュリティ対策に精通するエンジニアは非常に需要が高いです。

ネットワークの知見に加えセキュリティに関するスキルを身につけることで、ネットワークエンジニアとして活躍し続けられる可能性が高くなるでしょう。また国際資格である「シスコ技術者認定」などの情報セキュリティの資格を取得すれば、知識やスキル保有の証明としてアピール材料になります。ご自身のスキルを確認するためにもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

小田部 大輝(こたべ・ひろき)

新卒でウェディングプランナーを4年経験した後、パーソルキャリア株式会社に入社。現在はキャリアアドバイザーとしてIT領域の方々を中心に支援を行う。一人ひとりの状況や感情に寄り添ったサポートを得意とする。また、自分自身の転職経験も踏まえ、転職活動のリアルなアドバイスや転職を希望する方々と同じ目線に立ってのフィードバックなどを通じて伴走することを心がけている。

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