変化するインフラエンジニアの需要
ITの進化によって新しい技術やサービスが発表されるたびに新しいポジションの需要が生まれるのも、スピードが速いIT業界ならでは。IT業界に身を置くエンジニアは、そのスキルをアップデートし続けていかなければなりません。これはインフラエンジニアも同じこと。
インフラエンジニアの需要は今後どのように変わり、どんなスキルをアップデートしていけばよいのか押さえておきましょう。
インフラエンジニアの需要
従来のインフラエンジニアの仕事は、データセンターなどのサーバー設置現場で、物理的な環境の構築や運営・保守などを行うのが一般的でした。このため、インフラエンジニアには、各種機器の部品交換やシステム更新などの定期的なメンテナンス業務の需要もありました。
しかし近年ではサーバー運用が大きく変化し、クラウド上でインフラ環境を構築できるようになってきたため、現場でハードウェアの管理をする必要は少なくなり、定期的な部品交換などの業務も減少しています。
もともとインフラエンジニアは専門性の高い仕事で、ハードウェアとソフトウェア両方の知識が必要とされますが、最近はクラウドに関する知識や技術も求められるようになってきました。そのため、インフラエンジニアの仕事は、ソフトウェアを使用したサーバー設定やクラウドを活用したサービスの最適化といった業務内容へと一部シフトしています。
デジタル化、DX推進による需要の変化
急激なITインフラ環境の変化の一方で、今後もインフラエンジニアの需要は高いとされています。その背景には、現在の社会的な課題があります。
経済産業省は、日本の企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進できなかった場合、2025年には国際競争力の低下や経済損失などのリスクが発生すると「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」で危機感を示しました。
これは、企業がレガシーシステム維持のために多くのリソースを投入する必要に駆られ、新たなデジタル技術に投資する財源や人材を確保できず、DXの推進ができない可能性を示唆しているものです。企業にとってデジタル化やDXの推進は経営戦略上の重要な課題と言えます。
DX推進には、新しいインフラの整備や再構築が不可欠です。最新のデジタル技術の活用や、データ解析をスムーズな実施のためにも、新しいインフラ環境を構築するインフラエンジニアに求められる役割は大きいと考えられます。
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転職タイプ診断を受けてみる(無料)インフラエンジニアの平均年収
dodaの「平均年収ランキング」(2023年版)で、インフラエンジニアの中でもより細分化されたインフラ系職種の平均年収を見ていくと、サーバーエンジニアは454万円、ネットワークエンジニアは446万円、セキュリティエンジニアは487万円となっています。ITエンジニア全体の平均年収である452万と比べても、インフラエンジニアは同程度の水準といえるでしょう。
職種 | 平均年収(全体) | 平均年収(男女別) | 平均年収(年代別) |
---|---|---|---|
サーバーエンジニア | 454万円 |
男性 473万円 女性 385万円 |
20代 393万円 30代 517万円 40代 635万円 50代~ 693万円 |
ネットワークエンジニア | 446万円 |
男性 465万円 女性 380万円 |
20代 376万円 30代 525万円 40代 647万円 50代~ 798万円 |
セキュリティエンジニア (脆弱性診断/ネットワークセキュリティ) |
487万円 |
男性 502万円 女性 390万円 |
20代 409万円 30代 567万円 40代 - 万円 50代~ - 万円 |
ITエンジニア全体 | 452万円 |
男性 473万円 女性 398万円 |
20代 380万円 30代 512万円 40代 642万円 50代~ 717万円 |
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転職タイプ診断を受けてみる(無料)インフラエンジニアの将来性
クラウド技術の進化とともに、サーバーの設計・構築もオンプレミスからクラウドへとシフトし、インフラエンジニアの環境も劇的に変化しています。インフラエンジニアの将来性はどのようになるのでしょうか。
インフラエンジニアの仕事はなくならない
結論から言うと、クラウド化が進んだとしても、インフラエンジニアの仕事が完全になくなることはないでしょう。
クラウド化の傾向が進むことでニーズの種類は変わるものの、ITインフラを担うインフラエンジニアの仕事がなくなることはないでしょう。また、オンプレミスの経験・スキルのニーズは縮小していくと予想されるものの、一定のニーズも当面残るだろうとも予想されます。現段階では、セキュリティ面やカスタマイズ性の問題から、自社サーバーを基幹業務システムで稼働させる企業も一定数見られます。将来的にはクラウド化が進む可能性はありますが、今すぐすべてがクラウドに置き換わるわけではありません。
また、クラウドに移行した場合でも、ITインフラの基本的な考え方は変わりません。インフラの根幹となるネットワークやサーバーの知識・技術は不可欠であり、サーバーやネットワークの設計・構築のスキルを持つインフラエンジニアは今後も必要とされるでしょう。
クラウドエンジニアとしての将来性
企業インフラのクラウド化が進んでいく中で、インフラエンジニアにもクラウドの知識が求められています。
クラウドサービスを利用してサーバーやネットワークの設計・構築・運用・保守ができれば、クラウドエンジニアとしても活躍できます。インフラエンジニアとしての基本的なスキル、ミドルウェアに関するスキルなどに加え、クラウドアプリケーションなどの最先端のデジタル技術分野にも知見を広げられれば、市場価値や需要は今後ますます高まるでしょう。
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転職タイプ診断を受けてみる(無料)3年後も稼げるインフラエンジニアになるために
3年後も活躍できるインフラエンジニアでいるために、これからどんなスキルを身につければよいか、どんなスキルが求められているのかを押さえておきましょう。
クラウドの知識を身につける
オンプレミスからクラウドへインフラ環境がシフトする中、クラウドの知識習得は必須です。特にAWS(Amazon Web Services)、Azure(Microsoft Azure)、GCP(Google Cloud Platform)などのクラウドサーバーに関する知識がインフラエンジニアにも求められるようになってきています。
また、インフラのクラウド化によって、インフラシステム構築をコードで制御するIaC(Infrastructure as Code)も注目されています。必ずしもコードが書ける必要はありませんが、インフラエンジニアもプログラミング言語を習得していると、活躍の幅が広がるでしょう。
特定の技術領域を極める
スペシャリストとして、特定の技術領域を極めてステップアップするのもひとつです。インフラエンジニアには、サーバー、ネットワーク、データベースなど幅広い業務分野があり、各分野のスペシャリストがそれぞれエンジニアとして活躍しています。
今後クラウド化が進んでも、現行のシステムからクラウドへの移行の際には、クラウド技術だけではなく各分野のスペシャリストの知見が必要になります。サーバーの規模やOS環境がレガシーかオープンソースかなど、どこに強みがあるかによって経験が活かせる場は変わりますが、これらのスペシャリストに対するニーズは当分なくなることはないでしょう。
ただし、古い技術のスペシャリストは需要が減っていく可能性があります。例えば、巨大な銀行のシステムは社会への影響が大きくすぐには刷新することができないため、古い技術を理解している人が必要とされますが、新たなニーズは発生しづらいという面もあります。
スペシャリストとしての専門知識やスキルを深めることに加え、仮想化やクラウドなどの最新の技術や周辺技術を習得することが、活躍し続けるポイントと言えるでしょう。
全体最適を意識した技術展開が可能な幅広い知識を身につける
全体的なインフラ環境の最適化ができるゼネラリストを目指す方法もあります。
特定の技術領域に特化したスペシャリストも一定のニーズは継続するでしょう。けれども、それよりも担当するITインフラの役割を把握し、サーバー、ネットワーク、データベースなど既存の垣根を越えてインフラ全体の最適化を実現できるエンジニアのニーズが増すと予測しています。
ゼロから構築するのではなく、全体のバランスを考慮してさまざまな手段を組み合わせながら、インフラ全体の最適化を実現できるかどうかがポイントです。
ただし、ゼネラリストを目指す場合にも、いきなりすべての技術を身につけることはできません。自分の専門とする技術に加えて、徐々に守備範囲を広げていくとよいでしょう。
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転職タイプ診断を受けてみる(無料)清水 宏将(しみず・こうすけ)
CCNP
応用技術者試験
新卒で商社系SIerへ入社し、拠点間ネットワークや大規模ネットワークに携わるインフラエンジニアとして約4年従事。在職中に受けたキャリアカウンセリングをきっかけにパーソルキャリア株式会社に入社。現在は、IT領域の中でもインフラエンジニアやセキュリティエンジニア(主にネットワークセキュリティ)を中心に、スキルアセスメントを踏まえたキャリアプランの提案を強みとして転職支援を行っている。
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