SES企業で働くエンジニアのキャリアアップは転職で解決するのか
SES企業には多くのITエンジニアが所属しています。IT業界ではメジャーな業態ではあるものの、その業態ゆえの悩みを感じる人もいるようです。特に、商流が深い企業の場合「このままではキャリアアップできないのでは」と不安を抱き、転職を考えるエンジニアも少なくないでしょう。
しかし、やみくもに転職活動を始めてもうまくいかないケースや、転職をしない選択のほうが有益なケースもあり得ます。本記事では、転職すべきか悩んでいるSESエンジニアに向け、転職についてどう考えるべきか解説していきます。
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商流が深いSES企業でのキャリアアップの悩み
三次請けなど、商流が深いSES企業で働くエンジニアは「キャリアアップできないのではないか」という悩みを抱えていることがあるようです。
これは、IT業界の構造的な特徴が関わっているといえるでしょう。そもそもIT業界では、商流と開発工程がリンクする傾向にあります。プライムが要件定義などの上流工程を担当し、二次請け、三次請けと商流が深くなるほど、プログラミングやテストなど下流工程が多くなるのが一般的です。
下流工程ばかりを担当していると、経験の幅を広げる機会を得にくく「仕事を続けてもキャリアアップにつながらない」と感じる人もいるでしょう。
そういった状況を反映してか、厚生労働省の職業情報提供サイト（日本版O-NET）にはSIer/SESの業界構造について以下のような記述があります。
SIでは開発から保守・運用に至る過程で必要な人数もスキルも異なるため、プロジェクトに柔軟に対応できるよう、このような仕組みによって業界全体で雇用を確保しています。ただし、3次請け以降の企業では手掛ける業務が限られていてキャリアアップの取り組みがままならないなどの課題もあります。
出典：厚生労働省 職業情報提供サイト（日本版O-NET）SIer/SESの業界構造について
キャリアアップへの不安を抱いている人の中には、転職を検討している方もいるかもしれません。ただし「自身のキャリアプランに必要な手段が転職なのかどうか」「SES以外への転職に限るのか」は慎重に判断しましょう。
SES企業にはSES企業ならではのメリットもあり、それらをうまく活かせばキャリアアップにつなげることも可能です。また、一口にSES企業といっても実態はさまざまです。保有する案件によって客先常駐・自社内開発の比率や商流の深さ、クライアントとの関係性なども変わってくるため、頭からSES企業を選択肢から外さないほうがより良いキャリア実現につながりやすいでしょう。
次節ではまず、SES企業のメリットについて詳しく見ていきましょう。
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スキルの幅が広がりやすい
例えば自社サービスを持つ企業の場合を考えてみましょう。基本的には、最初期の立ち上げフェーズから携わるのでない限り、すでに動いているプロダクトの改善や運用がメインとなります。
また、会社からはある程度のまとまった期間は同じプロダクトを担当することが期待されますし、そのプロダクト開発における経験を積むほどに知見が蓄積され、現場から頼りになる機会も増えていきます。そのため、長く担当する人ほど一つのプロダクトから離れがたくなり、悩みを感じるケースもあるようです。
企業が新しい事業を展開するにしても、企業が持つアセットを活かそうとすると、同じ業界で同じユーザーを対象にしたり、異なる業界であっても同じようなビジネスモデルを横展開したりと、似通っているプロダクトを開発することになることもしばしばです。
一方、SESのエンジニアであれば関わる案件はさまざまです。幅広い案件を担当することが多くなるため、扱う技術や担当工程、プロダクトの種類など、自社サービス企業と比べるとスキルの幅は広がりやすいでしょう。抱えている案件の要求スキルレベルにもバリエーションがあるような企業であれば、新しいスキルへの挑戦や段階を踏んだ成長もしやすいです。
企業によっては、複数の案件からエンジニアが希望するものを選べるようにしているところもあるため、スキルの取得という点ではSESは有力な選択肢です。
人脈が広がりやすい
SES企業でエンジニアをしていると、幅広い企業のプロジェクトに関わる機会があります。そのような経験は、エンジニアとしての人脈形成に役立つはずです。人脈が広がることで自分の力量を客観視できたり、業界の一次情報を得やすくなったりと、さまざまなメリットがあります。
また、どんな職種でも人脈は大切ですが、IT業界においては、特に人脈が転職につながるケースが少なくありません。IPA（情報処理推進機構）の「IT人材白書2020」によると、先端IT従事者の転職先の見つけ方は「友人・知人の紹介」が34.2％を占めています。これは「人材サービス企業からの紹介」に次いで多い割合です。SESで働きながら築いた人脈を活かして転職のチャンスをつかむことも考えられます。
また、キャリアプランとしてフリーランスのエンジニアを検討する場合にも人脈は役立ちます。人脈が広いほど仕事を得やすいのはいうまでもありませんし、知り合いからの紹介であれば安心して仕事を請けられます。
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自社サービス企業
SESからの転職を考える方に人気があるのが自社サービス企業です。自社サービス企業では企画・設計・開発・テスト・運用・保守と、企画からリリースまで一貫して社内で行うことが多く、技術的な課題だけでなく、ビジネス貢献などへのコミットが求められることもあり、経験の幅が広がりやすいです。
また、ユーザーとの距離が近いことが多いため、リリース後の反応を見ながら継続的に改善していくといった動き方も、自社サービスのほうが得やすい経験でしょう
最近ではIT色のあまり強くない企業でもDX推進が加速しています。それに伴い、思わぬ業界の企業がITエンジニアを募集する例も増えてきました。ITエンジニアとして転職先の候補を探す際には、IT企業というイメージがない会社の求人もチェックするとよいでしょう。
商流が上のSES企業
より上流の工程に携わりたいというのが転職を考える理由であるならば、同じSES企業でも、より上の商流への転職を目指すのも一案です。この場合、仕事のスタイルに大きな変化がないことがメリットの一つです。前節で紹介した、スキルの幅を広げやすい、人脈を築きやすいといったメリットはそのまま引き継ぎつつ、より上流の工程での仕事が可能となります。
実際にどのSES企業がどういった商流で仕事をしているのかは見えにくいのは確かですが、基本的には大手と呼ばれるSES企業ほど、上流工程を担当する傾向にあります。また、大手であれば扱う案件も幅広く、興味・関心に合うプロジェクトを探しやすいこともメリットです。転職を検討する上で参考にしてみてください。
関連記事 : 二次請けから一次請けに転職できる？両者の違いは？
フリーランス
厳密にいえば転職ではありませんが、キャリアの選択肢としてフリーランスを目指す方法もあります。フリーランスになると、会社を通さずに自分で直接案件を請けるため、責任も大きくなりますが、実力が収入に反映されやすかったり、自分の判断で案件を選べたりと、メリットも多いです。
また、フリーランスは会社員よりも働き方を調整しやすく、常駐型のフリーランス案件でも週4日以下の稼働でOKとするものもあります。
例えば、将来的に自分のサービスを作り、ビジネスを立ち上げたいと考える方の場合、週2、3日は企業に常駐する案件で収入を稼ぎ、残りの時間を自分の開発にあてるという働き方をしているケースもあります。将来的に独立も考えるのであれば、フリーランスも視野に入れるとよいでしょう。
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履歴書を作成する（無料）まとめ
SES企業によっては、下流工程の担当が多いことを理由に「このままではキャリアアップできない」と不安を感じることがあるかもしれません。そういった場合、転職することによって、悩みが解決する可能性もあります。
dodaエージェントサービスでは、キャリア相談などを踏まえ、個人個人にあわせた転職活動のサポートを実施しています。転職を検討されている方はもちろん、転職すべきか悩んでいるという方も、ぜひ一度ご相談ください。
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山口 顕（やまぐち・あきら）
新卒で株式会社インテリジェンス（現パーソルキャリア株式会社）に入社し、IT領域で企業側の採用支援をおこない、その後に個人側のキャリアアドバイザーをしています。IT領域の経験が長く、法人側のサポート経験もあるため、業界知識に関しては自信があります。年収帯も300万円～1000万円台までサポートさせていただいた経験があり、SI、社内SE、コンサルティングファーム等幅広い方向性でご支援させていただいています。
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