ITエンジニアの
転職Q&A
二次請けから一次請けに転職できる?両者の違いは?
現在二次請けの企業でSEとして働いています。将来的なキャリアを見据えて、一次請けに転職したほうが収入も上がるのではないかと考えていますが、仕事内容にどんな違いがあるのかよく分かりません。二次請けの企業での経験しかありませんが、一次請けに転職できるでしょうか?
エンジニアとしての市場価値を知るために
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松沢 雄生(まつざわ・ゆうき)
前職では金融業界で個人向け営業を担当。その後、より個人の人生に寄り添いたいという思いから、パーソルキャリア株式会社に入社。入社以来、IT領域専門のキャリアアドバイザーとして、アプリエンジニア、ITコンサルタントの方を中心に、年間300人以上の転職支援を行う。近年では、DX化を推進する事業会社のシステム部門における採用支援業務にも携わっており、累計200社以上の人材採用の要件定義・求人作成も行っている。
一次請けの企業に転職したい理由を明確にしましょう
一次請けの企業で働きたい明確な目的や理由があれば、転職できる可能性は高まるでしょう。一方で、明確な理由もなくやみくもに一次請けの企業への転職活動を行うと、面接の際に志望理由を答えられず、質問にもあたふたしてしまってよい結果に結びつかないかもしれません。またたとえ転職できたとしても、これまでとは異なる業務内容について行けず、長続きしない可能性もあります。
なぜ一次請けの企業に転職したいのか、ご自身の考えを整理することから始めましょう。
キャリアアップをしたい
まずはご自身の目指すキャリアアップの方向性について考えてみましょう。「SEとしての技術的なスキルを磨いてスペシャリストになる」または「管理系の仕事を担うゼネラリストになる」の大きく分けて2つの道があると思います。ご自身の目指す将来像に到達するためにはどちらを選ぶのがよいか、方向性を決めましょう。
次に、目指す方向性は現職では実現できないかどうかを判断します。
一般的に、一次請け企業の業務はクライアントと直接折衝するため、プロジェクト全体のマネジメントや交渉が主な内容となります。一方、二次請け企業ではシステム設計やプログラミングなどの実務を担当するケースが多くなります。管理職系を目指すなら一次請けでマネジメントを担当する、スペシャリストを目指すなら二次請けで技術レベルを上げるのが、キャリアアップの近道と言えるかもしれません。
年収を上げたい
会社員の年収をアップする方法には、「現職のまま社内での評価を上げる」「年収が高い企業に転職する」の2つが考えられます。現職で評価を上げるのが難しい場合や、評価が上がったとしても収入に反映されないと感じる場合は転職を視野に入れなければなりません。
通常、上流工程を担当するエンジニアほど収入が高くなる傾向が見られます。「doda平均年収ランキング 技術系(IT/通信)」を見ると、SE/プログラマーに比べてプロジェクトマネージャーの平均年収は200万円以上高い結果となりました。
職種 | 平均年収 (全体) |
平均年収(年代別) | |||
---|---|---|---|---|---|
20代 | 30代 | 40代 | 50代以上 | ||
プロジェクトマネジャー | 691万円 | 507万円 | 693万円 | 836万円 | 836万円 |
SE/プログラマ | 422万円 | 375万円 | 494万円 | 581万円 | 607万円 |
出典:doda「平均年収ランキング」
IT業界の構造として商流と工程がある程度リンクしているため、上流工程の職種が活躍する機会が多い一次請けの企業へ転職することは、年収アップにつながりやすくなります。
doda 平均年収ランキング(職種別の平均年収/生涯賃金)【最新版】
エンジニアとしての市場価値を知るために
年収査定を受ける(無料)転職前にIT業界における一次請けと二次請けの違いを把握しましょう
IT業界は1つのプロジェクトに対して多重の下請けが存在する「ピラミッド構造」と言われています。ピラミッド構造の最上位が一次請け企業で、その次に二次請け、三次請け、と続きます。
一次請け企業は「元請け」や「直請け」とも呼ばれ、クライアントから直接依頼を受ける大手IT企業などが中心です。なお、IT業界ではシステム開発を発注するクライアントを「エンド企業」と言い、エンド企業から直接発注される一次請け企業を「エンド直」と言うことも。また最初に発注を受けることから「プライムベンダー」や「プライムSIer」と呼ばれることもあります。
一次請けと二次請けのそれぞれの業務と求められるスキルを見てみましょう。
二次請けの業務と求められるスキル
二次請け企業は、実際の設計やプログラミングなどといった開発実務を担当します。
一次請け企業によるプロジェクトの全体像を記した計画書を元に、自社でシステムの仕様書や設計書を作成して開発を行い、システムを完成させるまでの工程を担います。正常にシステムが動作するかを確認するテストや、運用・保守・管理マニュアルの作成なども業務に含まれますが、プロジェクトが大規模になり自社で対応できない場合は三次請け企業に依頼することもあります。
二次請け企業のシステムエンジニアは開発の実務に携わるため、技術的なスキルが必須です。新しい技術を常にキャッチアップする姿勢も必要になるでしょう。またプロジェクトの規模や役割によっては、一次請け企業と同様にエンド企業と直接折衝したり打ち合わせに参加したりするケースもあるため、コミュニケーションスキルも求められます。
ポジションによっては、プロジェクトマネジメントや予算管理などの経験を積むことができる可能性もあるでしょう。
一次請けの業務と求められるスキル
一次請け企業のエンジニアは、エンド企業であるクライアントと直接打ち合わせや交渉を行います。
クライアントが抱えている課題やニーズをヒアリングして要望をまとめ、解決のための提案を行ったり、予算を元に工数や見積もりを算出したりといった営業的な側面が強い業務と言えるでしょう。
また、長期間にわたる大規模なシステム開発の場合は、プロジェクト全体の工程設計、体制構築、進捗管理など、技術的なスキルよりも交渉力や課題解決力、提案力、さらにはマネジメント能力などが必要とされます。実務としてプログラミングや開発を行う機会はほとんどないため、技術面でのスキルアップはあまり期待できないでしょう。
エンジニアとしての市場価値を知るために
年収査定を受ける(無料)一次請け企業のニーズの変化も。情報収集には転職エージェントの活用も一案
IT業界のピラミッド構造における一次請けと二次請けでは担当する工程が異なりますが、ここ数年は一次請け企業が運用や保守工程までサービス領域を広げる傾向が見られ、開発スキルを持つ人材のニーズが高まってきました。
一次請け企業への転職には、現在のスキルの把握と、今後どの業界で何のスキルを伸ばしていきたいのかを整理し、キャリアビジョンを立てることが大切です。
ご自身のこれまでのキャリアの棚卸しやキャリアビジョンの明確化、志望企業の選定にはぜひ転職エージェントサービスを利用してください。業界動向に関する情報提供や、求人企業とのマッチングなど、第三者の客観的な視点であなたのスキルやキャリアの方向性をアドバイスし、転職活動を後押しします。
エンジニアとしての市場価値を知るために
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