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掲載日:2014.7.17
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三年予測ートップリーダーと考えるエンジニアの未来ー

人と触れ合うロボットの「ソフト革命」が起こる日は近い

ロボット開発会社経営 中川友紀子

1995年、法政大学大学院工学研究科システム工学専攻 修了。同年4月より東京工業大学 大学院総合理工学研究科助手。1998年10月より科学技術振興機構ERATO(戦略的創造研究推進事業) 北野共生システムプロジェクト研究員。2001年より日本科学未来館 展示企画グループサブリーダー。2003年、株式会社イクシスリサーチ取締役に就任。2005年 9月、株式会社アールティ設立、ロボットショップ&メーカーとして現在に至る。


文化が異なるロボット分野をつなぐ

中川友紀子が放つ言葉には、時々はっとさせられる。
「人と触れ合うロボットに必要なのは『柔らかさ』です」
「ロボット分野でこの先起こることは、もう分かっています。『ソフト革命』しかあり得ません」
「ロボットは、コンピュータに手足が生えたものですから」
いずれも中川の言葉を抜き出したものだ。
中川は、20年以上にわたりさまざまな種類のロボットに関わってきた。教育・研究目的のロボット競技「マイクロマウス」には学生時代から取り組みを続けている。日本科学未来館の展示企画グループサブリーダーをしていた時期には本田技研工業の人型ロボット「ASIMO」のデモンストレーションに最初から関わった。ホビーロボット競技「ROBO-ONE」の第1回大会の開催に向けて活動したこともある。学術界主導のロボット競技「RoboCup」にも初期段階から関わる。現在は、ロボットショップの運営やロボットの開発販売を手がけるアールティを率いる経営者だ。
ロボットの魅力に取りつかれた人々は数多いが、ホビー、学術、産業界と、文化が異なる複数のロボット分野とつながっている点で、中川友紀子は独特のポジションにいる。

フットワークの良さでGoogleに認められる

中川の持ち味は、ロボットに関する直感とフットワークだ。それを示す好例がある。Googleが主催する最も大きなソフトウェア開発者向けイベントGoogle I/O 2011のキーノート(基調講演)で、アールティの名前が紹介されたのだ。Androidスマートフォンに外部デバイスを接続する技術「ADK(Accessory Development Kit)」の最初のパートナー企業の1社となったためだ。Google I/Oのキーノートは、Googleの最新技術を開発者に披露する場であり、ここで日本企業の名前が挙がることは異例だ。「ひょっとすると最初にGoogle I/Oのキーノートで紹介された日本企業かもしれない」と中川は笑う。
なぜ同社がキーノートで紹介される運びになったかといえば、Googleから打診を受けてから約1カ月と短期間で専用ボードを開発したフットワークの良さを見せたためだ。もともと、Androidはロボットの制御にも有用な技術だと中川は考えていた。実際にAndroidでロボットを制御するのに必要な技術の一つであるADKをGoogleが発表すると聞いて、「これはうちの仕事だ」と直感したのだという。その後Google側の路線変更のためADKの将来性は不透明だが、このとき中川が見せたフットワークの良さは実績となって残った。

経験から見えてきた「人と触れ合うロボット」の条件とは

中川がこだわっている分野がある。「人と触れ合うロボット」だ。
人と一緒に働いたりコミュニケーションを取ることを目的としたサービスロボットの研究事例、開発事例は数多い。特に有名なのは、本田技研工業が2000年に発表した人型ロボットASIMOだろう。最近では、2014年6月にソフトバンクと仏アルデバラン・ロボティクスが発表した「Pepper」が話題を呼んだ。
このように強力な競争相手がいる分野で、中川が率いるアールティは独自開発した人型ロボット「RIC90」を送り出している。RIC90は他のロボットとはどこが違うのか。大企業や、大きな研究機関が送り出すロボットがある中で、どこに優位性を見いだしているのか。この質問への中川の答えは意表を突くものだった。
「人と触れ合うロボットに必要なのは、『柔らかさ』です」
RIC90の大きな特徴が、身長が100〜120cmなのに対して重量が約10kgとサイズに比べ軽量で、かつ「着ぐるみ」と組み合わせる設計となっていることだ。例えばRIC90と着ぐるみを組み合わせた「ネコ店長」の外見は、子ども程度の身長の大きな着ぐるみに見える。手触りも柔らかい。だが、現実には子どもが「着ぐるみ」を装着して人と触れ合う局面はない。動く「ネコ店長」と触れ合う人は、今までにない体験をすることになる。
重量が軽いことも重要だ。万一転倒した場合にも、人間を傷つける恐れが少ない。こうした特徴があるため、RIC90は「子どもと触れ合えるロボット」という、今までにありそうでなかった地位を獲得したのだ。

初代ASIMOには触れなかった

中川が「人と触れ合うロボット」や「柔らかさ」の重要性を意識するようになった背景には、日本科学未来館での経験がある。中川は、ASIMOをはじめさまざまなロボットの展示を企画し、来館者と触れ合う様子を見たのだ。
本田技研工業のASIMOは、同社の長年の研究開発から生まれた優秀な2足歩行ロボットだ。2000年に登場した後も改良を続け、2004年には「走る」動作すらも可能となった。だが、中川から見ると、ASIMOには大きな欠点があった。
「残念ながら、初代ASIMOには触れませんでした」
ASIMOは重量があり、転倒したときに人間が近くにいると危険だ。日本科学未来館の展示ではギャラリーを遠ざける形でASIMOを見せている。その後、「人と手をつないで歩く」ASIMOも登場したものの、不特定多数の人間と触れ合うような局面ではまだ使われていない。
中川らが開発したRIC90は、転倒したとしても被害が少ないよう自重を極限まで軽くし、さらに柔らかい「着ぐるみ」を外装とした。従来のサービスロボットとは全く異なる発想のロボットなのだ。
中川はなぜ、人と触れ合うロボットにこだわり続けるのか。話をさらに聞くことにした。
日本科学未来館でASIMO、ROBO-ONE、RoboCupの立ち上げに立ち会う
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