掲載日:2015.3.5
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三年予測ートップリーダーと考えるエンジニアの未来ー

第21回 ロボットクリエイター 吉崎航 ロボット社会の実現へ向け、V-Sidoで低レイヤーを狙う

ロボットクリエイター 吉崎航

アスラテック株式会社 チーフロボットクリエイター。徳山工業高等専門学校から、千葉大学工学部、奈良先端科学技術大学院大学に進む。2009年、未踏IT人材発掘育成事業(未踏プロジェクト)に採択され「V-Sido」を開発。2010年、巨大ロボット「クラタス」の製作に参加する。2013年、V-Sidoを事業展開するアスラテック株式会社のチーフロボットクリエイターに就任。


子ども時代は「パトレイバー」が好きだった

子どもの頃から、吉崎航はロボットが好きだった。折り紙が得意だったので、よくロボットの形の折り紙を折った。ロボットを描いた作品の中でも好きだったのは『機動警察パトレイバー』だ。リアルなロボット運用の描写が印象に残っている。その頃からロボットを作りたいと思っていた。乗って戦うのではなく、作って運用する方に興味があったのだ。
吉崎の今の職業はロボットクリエイターだ。子どもの頃から好きだったロボットを、実際に作る側になった。吉崎が開発したロボット制御ソフト「V-Sido」(ブシドー)を事業化するためのベンチャー企業アスラテックは2014年にソフトバンクから出資を受け、大きな話題になった。
2014年に始動した“実写版パトレイバー”の第1作である『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第1章』(田口清隆、押井守監督、2014年)では、吉崎が製作に参加した巨大ロボット「クラタス」が、作品世界に登場するロボット「レイバー」として出演している。「パトレイバーとクラタスの共演が実現しています」と話す吉崎は、少し嬉しそうだった。子どもの頃に好きだったパトレイバーと、自分が製作に関わったロボットが同じ作品に登場しているのだ。
クラタスは全長4mと大きなロボットだ。実物大の「スコープドッグ」(アニメーション作品『装甲騎兵ボトムズ』に登場するロボット型メカ)の製作で知られる倉田光吾郎が製作し、吉崎は制御ソフトや電装系で協力した。制御には吉崎が開発したV-Sidoが使われている。
4mという数字を聞いても写真を見ても、大きさの実感はつかめない。比較対象がないからだ。実際にクラタス実機に近づく体験をしてみると、4mのロボットには圧倒的な存在感があることが分かる。実際に経験してみないと分からない──ロボットには、芸術作品やエンターテインメントのような性格があるのだ。

クラタス

V-Sidoを搭載した巨大ロボットといえば、進行中のプロジェクト「Project J-deite」も意表を突くアイデアだ。『トランスフォーマー』シリーズの世界観を現実世界に実現することを目指し、最終的には全長5m、しかも自動車型から人型へと変形するロボットを実際に作る構想だ。石田賢司(株式会社BRAVE ROBOTICS代表)が機体を開発し、吉崎が所属するアスラテックが基盤ソフトウェアを提供する。記事執筆時点では、1/4サイズとなる全長1.3mの「J-deite Quarter」を製作した段階だ。製作過程そのものをエンターテインメントとして世に問うプロジェクトでもある。

J-deite Quarter Progress report 2014/10

巨大ロボット、変形ロボット──子ども時代に親しんだアニメーション作品に登場する概念だ。吉崎は、こうしたロボットに対して、直接は目に見えないソフトウェアで貢献する仕事を選んだのだ。

「高専ロボコン」で一番強かった徳山高専に進む

「中学の時のメモ帳が見つかったのですが、クラタスそっくりの絵が描いてあるんです。重機の機構と油圧を使って、4m〜6mのロボットが作れると考えていました。違いは、クラタスは4脚ですが絵に描いたロボットは2脚でした」
こう吉崎は語る。中学生の頃には、絵を描くだけでなく、小型の人型ロボットを作ったり、電子工作を手がけたりしていた。切り込みを入れた紙をセンサーが読み取ることでプログラム可能な電子工作を自力で設計して組み立てたそうだ。「(トランジスタを)7石から10石ぐらいは使ったかな。資料を見て勉強して回路を設計しました」。
中学校を卒業すると、徳山工業高等専門学校(徳山高専)に進学した。「ロボコンで一番強かった」からだ。「プログラムも電子回路も、一番勉強になったのは高専のカリキュラムだった」と振り返る。2002年の高専ロボコン(アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト)では、両国国技館で開かれる全国大会に学校代表として出場している。
2014年11月に、同じ国技館で開催された高専ロボコン全国大会では、吉崎は審査員を務めた。「高専の卒業生では初の審査員でした。呼ばれたのは嬉しかったですね」。高専出身者には、後輩に貢献できることが嬉しいと語る人がよくいるが、吉崎も高専には強い思い入れがあるそうだ。
「生まれたての子鹿は立てる」
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