ITエンジニアの転職の悩みの例
転職活動を進めていく上では、人によってさまざまな悩みや迷い、不安があります。転職活動のフェーズによっても悩みや不安の内容は変わってくるでしょう。
ここでは、転職希望者がその活動中や転職後に抱える多くの悩みの中から、いくつかの例をご紹介します。
転職活動の始め方についての悩み
転職したいと思っても一歩踏み出す勇気がなく決断できずにいたり、転職を決めたとしても初めての転職活動で何から始めてよいのか分からなかったり、転職活動をする前に迷ってしまうことがあるかもしれません。
特に初めて転職について考えるときは、そもそも今の仕事を辞めてまで転職するべきなのか、こんな理由で転職したいと思ってもいいのかなど、本当の自分の気持ちや考えがまとまらず前に進めないこともあるでしょう。
新卒採用の場合は、4月入社が原則でおおまかなスケジュールが決まっているため、活動を始めるタイミングや選考ステップなどについて、学校のガイダンスや合同説明会などを参考に周囲と相談しながら進めることができます。一方転職活動の場合は、タイミングも自分自身で決めなければならず、また、周りに同じような境遇の人がいないケースも多く、始め方そのものが分からないなどの悩みにつながっているようです。
現在は、転職することもそれほど珍しいことではなくなってきました。転職に関するノウハウをWeb上の求人サイトなどで簡単に手に入れることもでき、転職活動を開始する前でも情報を集めることが可能です。さまざまな情報を知っておくことは悩み解消の一助になるでしょう。
転職活動の進め方についての悩み
転職活動をスタートすると、活動前とは別の悩みが浮上してきます。特に、現職を続けながらの転職活動の場合、ご自身の思うようにスムーズに活動が進まないということも出てくるでしょう。
書類選考や面接で失敗が続いてしまうと、次もうまくいかなかったらどうしようとマイナスに考えて、自信を失ってしまうこともあるかもしれません。「何が原因でうまくいかないのか分からない」「自分の転職活動のやり方が正しいのか分からない」など転職活動の進め方に関する不安や悩みは、転職活動を始めた多くの方が一度は経験しています。
現在はさまざまな転職サイトで有用な情報が得られます。例えば履歴書や職務経歴書の書き方は、多くのサイトでサンプルを見ることができますので、それらを参考にしてみるのもよいでしょう。転職サイトを見るだけではなく、転職エージェントサービスを利用すると、書類の添削やスケジューリングの方法、応募のタイミングなど、さまざまなアドバイスをもらえるので、うまく活用してみるのもおすすめです。
転職後の環境についての悩み
転職が決定した後も悩みや不安はつきものです。
転職すると、今まで慣れ親しんだ環境から離れて、一人で新しい職場に飛び込んで仕事や人間関係など一から構築しなければなりません。新しい環境になじめるか、人間関係がうまく築けるかなどとまだ見ぬ職場への不安を持つ方や、実践経験が少ない、スキル不足など自分の実力が通用するかどうか悩む方もいらっしゃいます。
実際に入社してみると杞憂に過ぎなかったということもよくありますが、それでも心配な場合はできる限りの準備をしてみましょう。例えば、スキルや知識は事前に勉強しておくことが可能です。内定をもらったら、ご自身が配属される部署で使用しているツールやソフトウェアについて調べたり、最新技術や業界動向についてニュースをチェックしたりして、スキルアップ・知識習得に努めましょう。
なお、まだ具体的な転職活動を始めておらず、スキルチェンジやキャリアチェンジを検討している段階という方は以下の記事もご覧ください。ITエンジニアの各職種の仕事内容や求められるスキル、キャリアを考える上でのポイントなどを解説しているため、検討を進める際に役立つでしょう。
ツールを使って履歴書を簡単作成
履歴書を作成する(無料)転職の悩みによって相談相手を替えてみよう
転職に関わる不安や心配事があれば、一人で悩まずにほかの人に相談してみることも大切です。
誰かに相談することで、自分では気がつかなかった視点での意見をもらえる可能性があり、また言葉に出してみることで自分の気持ちや考えを整理できることがあります。第三者の評価やアドバイスが、転職の方向性や活動の進め方に役立つこともあるでしょう。
ここでは、誰にどんな悩みを相談すればよいか、注意点も併せて解説します。
相談相手①:家族・友人
ただ話を聞いてほしいとき
家族や友人は最も身近な存在です。長い付き合いの中で、あなたの性格やライフスタイルなどをあなた以上によく理解してくれている側面もあり、本音を話しやすい存在でもあります。
ただ一番身近な存在であるがゆえに「余計な心配をかけたくないと思って結果が出るまで話さない」という求職者の方もいるようです。ですが、家族や友人は気軽に相談することができることに加え、親身になってもらえるため、不安や迷いから抜け出せることもあるでしょう。仕事内容を知らないとしても、かえって率直な意見や問いかけをされることで自身の考えに気付くこともあり、悩みの解消につながることがあります。
家族・友人へ相談する場合の注意点
家族へ相談した場合、転職によって生活や環境が変わることへの不安やリスクを考えて反対されることもあります。感情的になりやすい関係性でもあるため、客観的なアドバイスをもらいにくい可能性もあるでしょう。家族への相談は、お互いの関係性や性格も考慮した上でタイミングを見計らって行うことで建設的な会話ができるかもしれません。
友人は、距離の近い第三者であることから家族よりも客観的な意見が期待できます。ただし、いくら親しい友人とはいっても自分とは異なる価値観を持っているのが一般的です。望んでいるアドバイスをもらえない可能性も視野に、冷静に受け止めるようにしましょう。
相談相手②:転職経験者
自身の行動や考え方に自信が持てず、ほかの人がどうしているのか実体験を聞きたいとき
周りの友人や大学などの先輩、知り合いの中には転職経験者が1人はいるのではないでしょうか。業種や年齢が違っても、転職する際の悩みや不安は共通している場合もあるため経験者としての体験談が悩みの解決につながることがあります。また、転職経験者の失敗談や、それを踏まえたアドバイス、転職後どうだったのかなどヒントになる話が聞ける可能性が高く、自身の転職活動を次のステップに進める後押しになることがあります。
転職経験者に相談する場合の注意点
身近な転職経験者、例えば同じ会社の転職経験者や、会社は違っても勤めている会社の人と友人同士でつながっているなどの場合、転職を考えていることが社内の人に伝わってしまうことがあります。転職経験者が会社につながりのある人の場合は、信頼できる人かどうかで相談するかを決めましょう。
相談相手③:キャリアコーチングサービス
転職について整理しきれずどうすればよいか分からないとき
身近な存在以外の相談相手として、キャリアコーチングサービスを活用するのも一つです。
一人で考えすぎて思考が停止したり、周囲の意見や助言に左右されて自分の考えや方向性がまとまらなくなってしまったりするなど、転職活動ではさまざまな壁にぶつかることがあります。そんなときは、友人や家族ではなくプロのコーチに相談することで、キャリアの方向性について客観的なアドバイスをもらえたり、多くの選択肢を提示してもらえたりするでしょう。
また、キャリアコーチングサービスを活用することで、個人の意見や経験ではなく情報に基づいたプロの助言が得られ、それによってご自身の中に新しい視点が生まれる可能性があります。ただし、キャリアコーチングサービスは転職支援に特化したものではなくキャリアの決断を支援するものですので、具体的な求人の紹介はしてもらえません。
キャリアコーチングサービスへ相談する場合の注意点
キャリアコーチングサービスはほとんどの場合有料プログラムになっているため、ある程度の出費は覚悟しましょう。転職を含めてキャリアに対する迷いがあるときに利用すれば、コーチとの対話を通して自分の中にある答えを引き出してもらえるかもしれません。
相談相手④:キャリアアドバイザー
キャリアプランを考えたいが、転職と合わせてどう考えればよいか分からないとき
家族や友人など身近な存在に相談するのもよいですし、キャリアコーチングサービスでプロの意見を聞くのも一つの方法ですが、転職市場の動向や企業の情報収集は専門家に任せたほうがスムーズです。
キャリアアドバイザーに相談することで、転職活動の段階に合わせてアドバイスを得ることができます。希望に沿った求人情報の紹介や応募書類の添削、面接対策などのほか、転職活動を開始する段階では、転職の軸の整理やご自身の強みの発見にもアドバイスしてもらえます。専門家のサポートが受けられるキャリアアドバイザーへの相談は、転職活動を効率的に進めるためにも役立つでしょう。
キャリアアドバイザーへ相談する際の注意点
さまざまな転職エージェントでキャリアアドバイザーのサポートを受けることができますが、選択肢が多いため自身の転職目的や業種にあったアドバイザーのいる転職エージェントを見極める必要があります。転職者向けのセミナーや説明会などを開催していることも多く、キャリアアドバイザーとの相談会も体験できるものがあるため活用すると良いでしょう。また、以下のコンテンツもご活用ください。
ツールを使って履歴書を簡単作成
履歴書を作成する(無料)相談だけで解決しようとせず、自身の悩みに向き合おう
相談できる人がいることは良いことでプラス要因ではありますが、最終的に決断するのは自分自身であることを忘れてはいけません。相談相手に答えを求めるのではなく、まずは何に悩んでいるのかを整理し、自分の気持ちや悩みに向き合うことが大切です。
ここでは、自分の悩みに向き合うためのヒントを解説します。
紙に書き出す
ただ頭で考え悶々と考えていても整理がつきません。一度紙に書き出すことで考えが整理できます。このとき大事なことは「ペン」を持って「書く」という行為です。今はスマートフォンなどのデジタルデバイスでマインドマップが書けたり、メモを書けたり、ペンを持たずに文章を書くことができますが、「ペン」を持ちましょう。書く先は紙でもタブレットでも構いません。
ワシントン大学の研究者は、「書く」という行為をしているとき、右脳と左脳両方がバランスよく使われ、論理的思考と感覚的思考の両方が使われることにより、思考や感情のバランスも整うという研究結果を報告しています。
書くことで考えがクリアになり発展的な思考も出てくることが期待できます。まずは、何でも書き出してみましょう。
Why(なぜ)、What(なに)から整理する
前項の「書く」という行為を行うときに、何を書けばよいのか分からないという方もいるでしょう。その場合、まずは下記の「なぜ?」を考え、整理しましょう。
- ステップ1 : なぜ、転職がしたいのか
- ステップ2 : なぜ、悩んでいるのか
- ステップ3 : 疑問形にして問いを作る
ステップ1 : なぜ、転職がしたいのか
これは、転職の目的の整理です。悩んでいるとき「そもそも」という点を見失ってしまうことがあるため、転職の目的が何であれいったん明確にしておきます。
ステップ2 : なぜ、悩んでいるのか
悩んでいること、モヤモヤしていることを書き出します。頭で考えていることを一度見える化することで悩みを再認識します。これは、前項のワシントン大学の研究にある「アウトプット>見える化>インプット」という行為により脳のバランスを整える効果を引き出します。
ステップ3 : 疑問形にして問いを作る
人の脳は疑問を投げかけられると答えを出したくなるようにできています。今も昔もクイズ番組が廃れず人気があるのはこの理由によるものです。
例えば、以下のように非常に単純な形で疑問を作ります。「なぜなぜ分析」というキーワードを聞いたことがあるかもしれませんが、その手法で悩みに向き合い対策を立てます。
- 悩み「面接で合格がでず、転職活動がうまくいかない」
- 質問「どうしたら合格する?」
このとき大事なことは、ポジティブな形で質問を作ることです。「なぜ合格しないのか?」ではなく「どうしたら合格できる?」のように前向きな解答を作れる質問にします。
これら①~③を行うことで、自分の中で何らかの発見があるはずです。悩みに向き合い整理することで、転職の面接の際にも自信を持って答えることができるため、悩みのあるなしにかかわらず、転職で考えていることについて書き出してみることをおすすめします。
ツールを使って履歴書を簡単作成
履歴書を作成する(無料)清水 宏将(しみず・こうすけ)
CCNP
応用技術者試験
新卒で商社系SIerへ入社し、拠点間ネットワークや大規模ネットワークに携わるインフラエンジニアとして約4年従事。在職中に受けたキャリアカウンセリングをきっかけにパーソルキャリア株式会社に入社。現在は、IT領域の中でもインフラエンジニアやセキュリティエンジニア(主にネットワークセキュリティ)を中心に、スキルアセスメントを踏まえたキャリアプランの提案を強みとして転職支援を行っている。
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