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EC業界への転職を目指す人が知っておくべき3つのこと

ここ数年、EC市場は右肩上がりの成長を遂げてきました。また、コロナ禍以降に発生した「オンラインシフト」の影響もあり、あらゆる業態にEC化の波が広がっています。またEC業界では、続々と新しいビジネスモデルが生まれており、これを支えるエンジニアの需要も旺盛です。ここでは、EC業界を目指すエンジニアに向けて、市場動向や転職動向、求められるスキルなどを解説していますので、転職活動の参考にしてみてください。

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拡大するEC市場

まず、EC市場全体の概要や規模について解説します。ECとは、コンピューターのネットワークシステムを用いて商品・サービスを販売する取引を指します。一般的に、ECのビジネスモデルは次の3つに分類されます。

  • ・BtoB-EC(Business to Business):企業間取引
  • ・BtoC-EC(Business to Consumer):企業・店舗と消費者間の取引
  • ・CtoC-EC(Consumer to Consumer):消費者同士の取引

ITの発展・普及やコロナ禍による生活様式の変化から、今後も拡大が見込まれているEC市場。実際にどの程度の成長を遂げているのかは、EC市場の規模やEC化率の推移から推測することができます。

EC市場規模の推移

経済産業省の調査によると、2013年から拡大を続けてきた国内のBtoC-ECの市場規模は、2020年には19.3兆円(対前年比99.57%)に達し、2019年比ではほぼ横ばい(0.43%減)です。また、BtoB-EC市場は334.9兆円で前年比5.1%の減少という結果になりました。どちらもやや足踏み感はあるものの、新型コロナウイルスの影響下にあっても、前年と同水準を維持していることがわかります。これに対し、CtoC-EC市場の規模は1兆7407億円で、前年比12.5%の伸びを記録しました。

  • ・BtoC……19.3兆円(前年19.4兆円、前年比0.43%減)
  • ・BtoB……334.9兆円(前年353.0兆円、前年比5.1%減)
  • ・CtoC……1兆9586億円(前年1兆7407億円、前年比12.5%増)

2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、外出自粛や「三密(密閉・密集・密接)」の回避といった感染予防対策が普及し、人々の生活は一変しました。この影響を受け、世の中の経済活動も大きく変化した年だといえます。特に、非対面・非接触を守りながら買い物ができるECサイトは、企業・消費者双方にメリットがある取引形態として定着しました。

それぞれの市場における成長要素を見ていくと、BtoC-ECでは物販系(生活雑貨や家電、PC周辺機器など)や、デジタルコンテンツ(電子書籍、ゲーム、音楽、動画など)の成長率が高くなっています。

これに対し、BtoB-ECでは、14業種のうち、「その他(小売り)」が大きく伸びているほか、建設・不動産業、その他サービス業、情報通信業、金融業がわずかに増加しています。

電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)

電子商取引に関する市場調査 報告書

EC化率の推移

次に、EC業界の「EC化率」を見ていきましょう。EC化率とは、「対面販売や電話販売も含めたすべての取引の中で、電子商取引が占める割合」を表した数値です。

前出の経済産業省の調査によると、BtoB-ECのEC化率は33.5%で前年比1.8ポイント増、 BtoC-ECは8.08%で前年比1.32ポイント増とそれぞれ増加しています。EC化率自体はBtoB ECが高いものの、BtoC-ECも前年から順調に割合を伸ばしています。こうした伸びの背景には、コロナ禍の巣ごもり消費があると考えられます。

ECの導入によって、企業は実店舗を持つよりも小さなコストで、顧客側と取引を行うことができるため、今後は複数の業態でEC化が進んでいくとみられています。

電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)

EC業界の転職動向

2022年2月時点では、コロナ禍で採用を抑制する企業が増え、人材市場全体としては買い手市場にあるといえるでしょう。一方で、コロナ禍において伸びがみられるEC業界においては、サービスの成長を加速させるために採用を強める既存企業が増えたことや、一部ではECへの参入を目指す企業も出るなど、EC業界全体としては人材需要が回復しつつあります。

特にEC構築・運用の経験を持つエンジニアに対して人気が集中しているようです。背景には、EC立ち上げに伴うノウハウやリソースの不足が生じているとの声もあり、しっかりとスキルや経験を積んだエンジニアであれば、複数の企業からアプローチを受ける可能性もあるでしょう。

また、ECサイトの裏側では在庫管理や物流、流通とつながるシステムがあるため、物流や流通、小売り系のシステム経験者もアプリケーション、インフラともに需要が高いです。

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EC業界で求められるスキル

EC業界にエンジニアとして転職を目指す場合は、ECサイト構築・運用に関するスキルが求められるでしょう。具体的には次のようなものです。

エンジニアに必須 ECサイト構築に関するスキル

ECサイト構築の方法はひとつではありません。代表的な方法としては「フルスクラッチ型」「パッケージ型」「オープンソース型」「ASP型」が挙げられます。ここでは、それぞれの方法について、エンジニアに必要とされるスキルを解説していきます。

フルスクラッチ型

フルスクラッチ型は、すべての機能を自社独自の要件に従い、ゼロから構築する方法です。一般的なシステム開発と同様に「要件定義」「基本設計」「詳細設計」「プログラミング」といった工程を経ることがほとんどで、各工程を独力で遂行するスキルが求められます。また、仮に外部のベンダーを活用する場合は、「RFP(提案依頼書)」の作成や、ベンダーコントロールといったスキルも必要になるでしょう。

技術的なスキルとしては、フロントエンド部分の開発において、クライアントサイド言語(HTML、CSS、JavaScript)のスキル、「UI/UX設計」のスキルが必要です。また、バックエンド部分の開発では、サーバーサイド言語(PHP、Java、Python、Ruby)やデータベースに関するスキルなどが必要とされるでしょう。データベース構築のスキルとしては、ER図の作成スキルや、RDBMS(リレーショナルデータベースマネジメントシステム)の知識などが挙げられます。

パッケージ型

パッケージ型は、複数のソフトウェアを単一の製品としてまとめたもので、ECサイト構築・運用に必要な機能が網羅されています。フルスクラッチ型のようにゼロベースで作りこむことはせず、パッケージの機能を活用しながら独自のカスタマイズを加える、といった構築方法が主流です。

パッケージ型を扱う上では、パッケージの標準仕様やカスタマイズ方法の知識、アドオン開発に使われる言語のスキルなどが必要となるでしょう。

オープンソース型

オープンソース型は、無償で利用できるOSS(オープンソースソフトウェア)を活用して、ECサイトを構築する方法です。オープンソース型の構築では、該当するOSSの仕様に対する理解、開発に用いられている言語の知識が必要になるでしょう。例えば、日本国内でよく使用されるECのオープンソース「EC-CUBE」はPHPで開発されていることから、機能追加や改修を行う場合にはPHPのスキルが必要です。

また、オープンソースは、開発コミュニティが運営するフォーラムで随時情報交換が行われているため、こうした情報をチェックし、吸収して運用に活かす能力も大切です。

ASP型(SaaS型)

ASP型(SaaS型)は、アプリケーションベンダーが提供するECサイトをサービスとして契約し、利用する方式です。また、クラウドサービスとして提供される場合は、「SaaS型」と呼ばれることもあります。これらは構築が容易で、利用者側の初期投資が非常に小さいというメリットがあります。

ASP型(SaaS型)で必要とされるスキルは、サービスの使用に関する知識や、クラウドプラットフォームの知識です。ASP型(SaaS型)の場合、技術的なスキルはそれほど必要とされないことが多いです。

その他のスキル

小~中規模のECサイトであれば、構築後の運用も任せられることがあります。前述の技術的スキルに加えて、「マーケティング」「サイト運営」などのスキルも保持していれば、ECサイト構築・運営全般を任せられる人材として評価されるでしょう。具体的には、次のようなスキルです。

マーケティングスキル

マーケティングとは、「顧客の求める商品・サービスを、最善の方法で売る仕組みをつくるための施策全般」のことです。マーケティングで必要とされるスキルとしては、リサーチ力、分析力、企画力などが挙げられます。ECサイトを運営するにあたり、ターゲットとなる層のペルソナやニーズ、市場動向、競合他社や他店舗の情報などを集めて分析し、マーケティング施策の立案につなげていくことが求められます。

また、Web上での認知拡大のために、SEOや広告運用に関するスキルが求められることもあります。SEOのスキルとしては、検索キーワードの選定やコンテンツ制作のスキル、Googleの検索アルゴリズムに対する知見などが挙げられます。さらに広告運用スキルとしては、リスティング広告やSNS広告、ディスプレイ広告など広告ごとの特性の違いや、費用対効果の計測に関するスキルなどが必要です。

サイト運営スキル

サイト運営スキルとしては、「取扱商品の把握」「商品登録や在庫調整」「実店舗との連携」「仕入れ先との調整」といったスキルがあげられます。海外から商品を仕入れるケースでは、税関での手続きなど貿易実務に関する知識も必要になるでしょう。

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EC業界に転職する前に押さえておきたいトレンド

ここ数年で、EC業界には新たなビジネストレンドが生まれています。転職を目指すにあたっては、こうしたビジネストレンドへの理解も大切です。ここでは、EC業界の新たなビジネストレンドをご紹介します。

ライブコマース

ライブコマースとは、ECサイトとライブ配信を組み合わせた販売方法です。テレビショッピングと似ていますが、ライブコマースでは、チャット等のコメント機能を介して、購入予定者と売り手がリアルタイムに会話できるという違いがあります。そのため、テキストや画像で伝えることが難しい質感や使用感などを詳しく説明できる方法として注目されています。ライブコマースは中国で広く浸透しており、日本でも今後拡大が予想されています。

オムニチャネル

オムニチャネルとは、店舗やWebサイト、カタログ、コールセンター等、複数の販売チャネルを連携し、顧客に対して包括的にアプローチする手法です。「Webサイトで買った商品を実店舗で受け取る」「実店舗にない商品をWebサイトで購入する」「商品レビューのURL先のオンラインストアで購入する」など、チャネルを横断したアプローチで顧客体験を向上させることが特徴です。

オムニチャネルでは、在庫状況や会員情報を一元管理することで、オンライン・オフラインを問わず良質な購買経験を提供します。こうした取り組みによって、既存の顧客を囲い込み、リピーターを増やして長期的な売り上げアップを目指すのです。

O2O

O2Oは、「Online to Offline」の略称で、オンラインとオフラインの連携による購買活動の促進を目的とした手法です。代表的な例としては、「スマートフォンで入手したクーポンを実店舗で提示し、割引を受ける」「SNSで指定のハッシュタグを付与した投稿を行い、実店舗で行われるキャンペーンに参加する」などが挙げられます。

D2C

製造者が消費者と直接取引する、Direct To Consumerの略です。問屋や店舗を介さないため、中間手数料が不要で、問屋や店舗の事情に左右されることなく、製造者が望む方法で商品を販売できます。また、顧客データが直接手に入るため、それらをもとに販売戦略を立てることが可能になります。

OMO

OMOは「Online Merges with Offline」の略語であり、オンラインとオフラインの顧客接点を融合し、新たな購買体験を提供して顧客体験の向上を目指す手法です。OMOの具体例としては、「スマートフォンで実店舗にある商品バーコードを読み取ると製品仕様が表示され、そのままECサイトで注文できる」といった施策が挙げられます。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

遠藤 勇太(えんどう・ゆうた)

前職でフリーランスエンジニアの転職支援をしていましたので、ネット系の企業を得意としています。これまでお会いしたお客さまが、「この技術が伸ばせる企業に行きたい」という希望を強くお持ちの方が多かったため、各社のシステム環境や技術的な強みを把握しています。 また、現在は20代前半の方から40代の方まで、幅広く担当させていただいています。これまでの経験を活かし、個人の方の多様な価値観に応えながら、企業側の目線を踏まえた転職成功へのアドバイスをさせていただきます。

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