ERPとは
ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業の経営資産である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を一元管理し、部門ごとの効率化、部門間の連携の円滑化によって組織全体の最適化を目指す概念です。もともとは、経営学の生産管理の手法であるMRP(Materials Requirements Planning)の考え方を一般企業に当てはめたものと言われています。MRPの生産管理の対象を経営資産である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」に拡大した考え方です。
ERPシステムとは、この概念にのっとり企業の資産を一元管理するシステムのことで、「統合基幹業務システム」と呼ばれることもあります。これまで多くの企業では、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」はそれぞれ部署や部門ごとに別々のシステムで管理されてきました。これらの情報を一つのシステムに統合し、企業経営の効率化を実現するソリューションとして誕生したのがERPシステムです。
ERPシステムは「統合型」が基本ですが、ベンダーによって特徴があります。例えば会計分野に強いシステム、人事分野に強いシステム、生産管理に強いシステムなど。得意とする業界によっても変わります。
またERPシステムには、クラウド型とオンプレミス型の2つのパターンがあります。2000年ごろからオンプレミス型のERPシステムが主流となってきましたが、近年のネットワーク環境の向上により、クラウド型のERPシステムも徐々に広がってきました。クラウド型の浸透に加え、今後はAIなどの新技術を組み込んだERPシステムの開発も進んでいくでしょう。
SAPとERPの違い
SAPとは、ERPシステムの一つであり、ドイツのSAP社が提供するパッケージ製品を指します。つまり、SAPとERPはテニスとスポーツのようなもの。SAPはERPに含まれるものであり、並列で比べるのは正しくありません。
しかし、SAPは全世界で2万社以上の企業に導入されている、知名度の高いERPシステムの一つ。ERPエンジニアとして働いている方の中には、SAPを導入した経験があるエンジニアも多いでしょう。
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転職タイプ診断を受けてみる(無料)ERPエンジニアの仕事内容
ERPエンジニアの仕事は、ERPシステムの導入です。ERPシステムの導入には大きく分けてスクラッチとパッケージの2つがあります。
スクラッチ開発は、企業個別の業務の特殊性や独自性などに合わせてゼロから開発を行います。ユーザーにとっては使いやすく、後のシステム改良にも容易に対応できますが、初期費用が高くなること、開発期間が長くなることが難点です。
一方、パッケージでは初期投資を抑えられますが、標準的な製品を導入するため、会社独自の業務に合わせたシステムを組むことはできません。このため、パッケージ製品をもとに、自社の業務に合わせて部分的に機能追加やシステム開発を行うカスタマイズが増えています。ERPエンジニアは、パッケージ製品のパラメータの設定や、企業独自の機能を追加で開発するアドオン開発などを行います。
スクラッチ開発でもアドオン開発でも、業界や企業によって独自の業務があるため、これらをシステムに組み込むためには、業界知識や業務知識が必要になるでしょう。
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転職タイプ診断を受けてみる(無料)ERPエンジニアの気になる将来性と今後
ERPシステムは開発言語や使用するツールの独自性が高いことから、汎用性が低く不安を感じるというエンジニアの方もいるかもしれません。そんなERPエンジニアの将来について考えてみましょう。
ERPエンジニアの今後のニーズ
経済産業省が2018年に発表した「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」では、企業競争力を高めるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進のためには、レガシーシステムから脱却できるかどうかが課題だとされています。
レガシーシステムを使用している企業にとって、新たなERPシステムの導入は不可欠であり、導入にはERPエンジニアが必要です。大企業ほどレガシーシステムの保有率が高く、大規模だと言われているため、今後もERPエンジニアのニーズがなくなることはないでしょう。
またERPシステムは、ほかのITサービスなどと同様に、パッケージ型からクラウド型への移行が進んでいます。ERPシステムの開発はオンプレミスからクラウドへと変化し、AR技術やAI技術などが組み込まれたERPシステムも出てきました。
ERPエンジニアはこれまでのシステム開発の知見に加えて、クラウドやAIなど最新技術に関する知識を習得すれば、活躍する場が広がるでしょう。
ERPエンジニアのキャリアストーリー
ERPエンジニアのキャリアプランとして、取り扱うERPシステムに関する知識や知見を深め、製品のスペシャリストになる道があります。また、キャリアの選択肢を広げるために、システム導入より前段階の、企業の課題に合ったシステムを提案する工程に関わることも有益です。
企業がERPシステムを導入するのは、最終的には企業経営の効率化が目的ですが、システムを導入すればそれだけで効率化できるというものでもありません。まずは既存の業務を効率化し、それと併せてシステムを導入することが最終目的の達成につながります。
企業の中長期計画や経営目標などを理解し、現場の業務内容も踏まえた上で、経営層と同じビジネス視点でシステム導入について提案できれば、コンサルタントとして活躍する道も開けるでしょう。
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転職タイプ診断を受けてみる(無料)ERPエンジニアに転職する際のポイント
最後に、他職種のITエンジニアの方がERPエンジニアへの転職を考える際に押さえておきたいポイントをご紹介します。
求められるスキル・知識
ERPエンジニアに必要なスキルとして、導入するシステムに関する専門知識は欠かせません。製品の特徴や詳細な仕様、独自の開発言語やツールの情報などは、実際に開発を行う上で最低限身につけておきたい知識です。
ほかには、基幹業務である販売、生産、人事、会計、財務などの業務知識や、業界特有の専門用語や商習慣などへの理解があれば、開発に活かせるでしょう。
また、業界や企業によっては、開発期間が長くなり関わる人員も多くなります。大規模プロジェクトになると、協力会社や派遣などさまざまな立場の人と協働することも珍しくありません。多様なメンバーで構成されるチームを束ねて、引っ張っていくことができるマネジメント能力も求められるでしょう。
求められる人物像
ERPシステムの導入は、企業にとっては大きな決断の一つです。企業の目的はIT化することだけではなく、業務の無駄を省き(効率化)、経営資産を適切に配分し、情報を一元化すること。その先には経営意思決定の迅速化によって企業の発展を目指すという企業目標があります。
ERPシステムを導入するエンジニアには、企業の経営層や事業部門の担当者と同じ目線で話ができるように、業務内容や業界知識、経営の基礎知識などを備えた広い視野が求められるでしょう。
また、企業によって業界や文化も変わります。さまざまな企業の経営者・担当者と円滑に対応できる柔軟性も必要とされるでしょう。
IT技術の進化は加速しています。常に最新技術をキャッチアップしようとする積極性も身につけるようにしましょう。
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転職タイプ診断を受けてみる(無料)遠藤 勇太(えんどう・ゆうた)
前職でフリーランスエンジニアの転職支援をしていましたので、ネット系の企業を得意としています。これまでお会いしたお客さまが、「この技術が伸ばせる企業に行きたい」という希望を強くお持ちの方が多かったため、各社のシステム環境や技術的な強みを把握しています。 また、現在は20代前半の方から40代の方まで、幅広く担当させていただいています。これまでの経験を活かし、個人の方の多様な価値観に応えながら、企業側の目線を踏まえた転職成功へのアドバイスをさせていただきます。
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