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認定 NPO 法人フローレンス

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商社での事業開発
プロマネ、営業の経験を活かして
こども」を守る

兄弟でソーシャルセクターに転職

#こども・子育て支援

認定NPO法人フローレンスの「支援を広げる事業部」に兄弟で所属し、こども宅食とこども食堂の活動を通して社会課題の解決を目指す山﨑剛さんと山﨑峻さん。
本記事では、おふたりがフローレンスに転職した経緯や思い、現在の業務に前職での経験をどのように活かしているかを伺いました。

山﨑 剛さんのトッププロフィールイメージ

PROFILE

山﨑 剛 (やまさき・ごう)さん

認定NPO法人フローレンス
支援を広げる事業部 こども宅食全国普及推進担当

前職

専門商社

山﨑 峻さんのトッププロフィールイメージ

PROFILE

山﨑 峻 (やまさき・しゅん)さん

認定NPO法人フローレンス
支援を広げる事業部 保育園こども食堂普及推進担当

前職

衣料品の販売企画

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未来のこどもたちのための
活動を展開

はじめに、フローレンスの活動について教えてください。

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山﨑 剛さん(以下、「剛さん」)

認定NPO法人フローレンスは「今を生きるわたしたちとまだ見ぬこどもたちが希望と手をつないで歩める社会。さあ、心躍る未来へ。」をビジョンとして掲げ、日本のこども・子育て領域の課題解決と福祉活動を全国で展開しています。

2004年に特定非営利活動法人内閣府認証を取得し、「NPO法人フローレンス」として創業し、東京都中央区および江東区で日本で初めての共済型・自宅訪問型の病児保育事業「フローレンスの病児保育」を開始したのが私たちの活動の始まりです。

現在は、次の4つの未来を目指して、赤ちゃん縁組やこども宅食、ひとり親家庭支援や障害児・医療的ケア児家庭支援、訪問型病児保育や認可保育園事業、政策立案・政策提言やソーシャルアクションなどの幅広い取り組みを推進しています。

こどもの貧困と虐待のない日本

どんな親子も孤立しない日本

子育てがしんどくない日本

ルールと空気が変わり続ける日本

弟の山﨑 峻さん(写真左)と兄の山﨑 剛さん(右)のイメージ
弟の山﨑 峻さん(写真左)と兄の山﨑 剛さん(右)

こども宅食とこども食堂を通じて
困難を感じている家庭を支援

剛さんはどのような業務に携わっているのでしょうか?

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剛さん

私は支援を広げる事業部に所属し、こども宅食を実施する全国の団体を支援するプロジェクトに携わっています。食品会社をはじめとする各種企業と連携して取り組むプロジェクトのマネジメントや助成金申請、こども宅食のさらなる普及推進が具体的な業務です。

家庭に食品などの必需品を届ける「こども宅食」は、困難を感じている家庭と定期的な接点を創出し、つながりを構築した上で、後続の専門的な福祉支援につなげるという重要な役割を担っています。支援が必要な家庭の中には、公的な支援の存在自体を知らなかったり、支援を申請したら自治体に怒られると思い込んでいたりする家庭が存在するのです。

これらの家庭の「つらい」を見逃さず、当社は中間支援組織の立場で必要な支援を必要なタイミングで提供することを目指しています。

連携している団体は多岐にわたり、2025年7月末時点でフローレンスグループのネットワークには全国226の団体が加盟し、加盟団体の総支援世帯数は4万世帯となっています。

峻さんの業務も教えてください。

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山﨑 峻さん(以下、「峻さん」)

私は、支援を広げる事業部の保育園こども食堂普及推進チームに所属し、中間支援団体の立場で、関東でこども食堂などの食支援活動を実施する団体への助成および伴走支援に従事しています。

各自治体のリソースや感度の問題が、こども家庭庁の予算分配時の不公平に結び付かないように、こども家庭庁と自治体の間に入り、予算を円滑に分配するような役割も担っています。

兄の剛が携わっているこども宅食と、こども食堂には違いがあります。こども宅食は家庭に食品などを届け適切な支援につなげるための接点をつくっていくという活動ですが、こども食堂はこどもや保護者、地域住民に対して無料または安価で食事を提供する食堂を運営する活動です。

こども食堂をはじめとした、この食支援活動の目標は地域での子育ての基盤の構築であり、そのために食事のみならず、子育てについて保育士に相談できる環境などを提供しています。そして虐待などが深刻化する前に察知し、行政と連携して対処するのです。

ビジネススキルを磨き、
兄弟でフローレンスに転職

前職ではおふたりとも商社に所属していたと伺いました。フローレンスへの転職の経緯をまずは剛さんから、聞かせてください。

弟の山﨑 峻さん(写真左)と兄の山﨑 剛さん(右)のイメージ
弟の山﨑 峻さん(写真左)と兄の山﨑 剛さん(右)
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剛さん

私は大学院で国際経済学を専攻した後に専門商社に新卒で入社し、人事・総務領域の業務に従事した後、事業開発およびプロジェクトマネジメントを担う部署に異動しました。異動前の1年間は、異動先のマネジャーからマンツーマンで業務をたたき込まれた記憶があります。

一方で、ソーシャルセクターでの活動に対して強い関心があり、JICA海外協力隊としてマーシャル諸島へ渡航する予定でした。しかし、コロナ感染症の拡大により現地への渡航ができなくなり、派遣を辞退しました。そのような折に参加したソーシャルビジネスフォーラムで、フローレンスを知りました。

フローレンスの取り組みや考え方を知り、ビジネススキルを用いて社会制度の変更という根本領域から支援に取り組める点に大きな魅力を感じました。社会制度を変えるためには、さまざまな関係者を巻き込んでプロジェクトを進めなければなりません。その際に、大手の商社での経験を活かせると感じたのです。

続いて峻さんはいかがですか?

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峻さん

私も学生時代から社会課題の解決に強い関心を持っており、いずれはソーシャルセクターで働きたいと考えていました。当初は海外での支援に特に興味を持っていましたが、国内の支援に目が向くようになったきっかけが南アフリカ共和国への留学でした。

留学中に貧困層を支援するボランティア活動に従事した際、現地の富裕層と貧困層の間の圧倒的な格差を目の当たりにし大変な衝撃を受けましたが、同時に外国人である自分にできる活動は少ないと痛感したのです。

そうした中で、日本国内にも大変な思いをしている人々がいるのだと改めて考えるようになり、まずは国内で自分にできることをしようと考え、兄から紹介を受けてフローレンスに入職しました。

弟の山﨑 峻さんのイメージ
弟の山﨑 峻さん

ステークホルダーを巻き込み、
全員で目的を達成した際の
喜びは格別

フローレンスでお仕事を始めて、気づきを得られたポイントを教えてください。

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剛さん

フローレンスでこども宅食に携わるようになり、支援を必要とする家庭の実態を知ることができました。

こども宅食の支援を受けている家庭の中には、緊急性の低い支出が多いと感じられる家庭もあります。ただ実際に家庭を訪問して保護者と話をしてみると、そもそもお金の使い方の優先順位を決められないという困難を抱えているような場合があるのです。フローレンスで働き始めて、このような被支援者の実態を初めて知りました。

どのような場面でやりがいを感じるでしょうか?

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剛さん

こども宅食を推進するためには、さまざまな関係者を調整しながら、人件費や物流費などの財源を常に確保しなければなりません。財源確保はチームで泥くさく進めている業務ですが、それとは別に、私にはこども宅食団体と官公庁や大企業をつなぐという役割があります。

このようなネットワークを構築する中で、それぞれ利害の異なるステークホルダーを巻き込んでプロジェクトを推進し、関係者にこども宅食の重要性を理解していただいたときに大きな喜びを感じます。

多様なステークホルダーを巻き込むプロジェクトのマネジメントには、前職の経験が活きています。例えば、食品商社と連携して、年間50万トンの食品を支援団体に流通させるプロジェクトでは、契約に基づく商流や物流、各組織の決裁者を意識した提案や立ち回りが求められます。

また、プロジェクトを提案する際には、企業の事業規模や経営状況に関する情報を解像度高く把握した上で、具体的な提案の内容を固めなければなりません。商社で学んだ知見が、ソーシャルセクターで直接活かせたことはうれしい経験でした。

弟の山﨑 峻さん(写真左)と兄の山﨑 剛さん(右)のイメージ
弟の山﨑 峻さん(写真左)と兄の山﨑 剛さん(右)

ソーシャルセクターで働く難しさを
感じながら仲間とともに前進

峻さんはどのようなときに喜びを感じますか?

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峻さん

私は、同じ志を持った仲間とともに仕事ができることに喜びを感じます。フローレンスの業務では、自分の行動が誰かのためになっていると実感できる機会が数多くあります。

フローレンスはこども食堂など食支援活動をする団体を支援していますが、あくまで中間支援であり、食堂などの運営に直接関わるわけではありません。私の業務は、こども食堂などを運営する団体の支援です。

このときに、前職の商社で培った営業の経験が大いに活きています。営業は自社と顧客の中間に立つ仕事であり、そこで学んだ知見や勘所は、自治体と運営団体の間に立つ現在の業務に直接活用できるのです。

ソーシャルセクターで働く難しさを感じるのは、どのような場面でしょうか?

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峻さん

私は目標を見定めて行動を一気に進める姿勢が性に合っているのですが、こども食堂を利用している家庭について知れば知るほど無力感にさいなまれる場合があります。無料または安価での食事の提供には大きな意義があると考えていますが、各家庭の根本的な問題を解決するのが難しかったり、そもそも家庭に困難をもたらしている制度や社会を変えようとすると、目標が遠くなりすぎたりするためです。

また、それぞれの家庭について、何をもって要支援の家庭だと決定するのかも難しい問題だと感じます。国や自治体による制度はありますが、どうしても主観が入ってしまう領域でもあり、判断の難しさを感じる機会が多いです。

商社の営業の場合、目標は売り上げや利益の増大というシンプルなものでしたが、ソーシャルセクターの場合、何を目標とすべきかが難しい場面があります。しかし、難しいという理由で考えを止めるわけにはいかないため、今後も適切な在り方を常に意識しながら活動を続けたいです。

他者の大切なものを想像する姿勢で
業務に向き合う

仕事をする上で、大切にしていることについて、剛さんから聞かせてください。

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剛さん

私は第一に、自分自身が心身ともに健康であることを大切にしています。自分が健康であってこそ、他者を支援する活動を長期にわたって維持できると考えているためです。また、自らの業務領域を決めずに、求められる業務があれば学びながら推進していく姿勢も大切にしています。

一方で、自分は正しいことをしているのだと思い込まず、自分だけの価値観で動かないようにしたいと考えています。さまざまなステークホルダーと対話する中で、人はそれぞれ大切にしているものが違うのだと痛感したためです。

今後はどのような活動に力を入れていきたいと考えていますか?

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剛さん

こども宅食の活動ではこども宅食推進議員連盟などを通じて国会議員と連携を行う場合もあります。またこども家庭庁など中央省庁の皆さんとも連携するケースもあります。その中で法律の立て付けや各組織の都合でうまく進まないこともあります。

その中でも各ステークホルダーの背景や組織の意思決定の論理などを可能な限り読み取り、相手を尊重して物事を進めていく幅広い視点が必要と考えます。社会には複数の課題があるので、私たちが取り組む課題だけでなく、幅広い視点を持って、活動することは非常に重要だと考えています。

プロジェクトを推進するために関係者の話をていねいに聞き、その中で全員が同じ方向を向くことができるように務めていきたいです。また、学生にもソーシャルセクターでキャリアを築いていける道筋を示したいという思いもあります。

兄の山﨑 剛さんのイメージ
兄の山﨑 剛さん

ソーシャルセクターの業務はボランティアというイメージも強いと思いますが、フローレンスは違います。給与をはじめとする待遇の面で、ソーシャルセクターに興味のある未来の世代が安心してキャリアをスタートさせられるような社会の実現を目指しています。そのためには、今以上にビジネスモデルを整える必要があると考えています。

思いや感情を大切にしながら、
自分にできる活動を広げたい

峻さんはどのようなことを大切にしながら働いていますか?

峻さん

私は、自分が必要だと思った業務は人任せにしないことを徹底しています。また、ソーシャルセクターで働く原動力として思いや感情を大切にしています。フローレンスに入社した直後の出来事ですが、医療的ケア児や障害児向けのシッターサービスの立ち上げを担当した同僚が人目もはばからずに泣いている場面を目にしました。

1つのサービスを立ち上げるためには、対象エリアの調査や財務計画から始まり、さまざまな困難を乗り越えなければなりません。それらすべての困難を乗り越える道筋を見つけた上で、経営層に提案し承認を得る必要があります。その同僚は「対象エリアには、新たなシッターサービスが必要だ」という強い思いからスタートし、さまざまな困難を乗り越えた上で立ち上げに成功して泣いていたのです。

その姿を見たときに、強い思いはソーシャルセクターの仕事をする上で非常に大切なものだと感じました。前職では同僚が泣くシーンすらなかったため、今でも鮮明に覚えています。

今後の展望もお聞かせください。

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峻さん

ソーシャルセクターで働いていると、さまざまな家庭の困難を目にします。しかし、自分一人の力ですべての困難を解決できるわけではないため、どこかで折り合いをつけなければなりません。そのような現実的な壁にぶつかりつつも、原動力となる思いを大切にしながら今後も自分にできる活動を広げていきたいです。

目下の目標は私が連携している団体にできる限り足を運ぶことです。そこで現場のスタッフの課題を把握し、業務効率化やシフトの最適化にも着手したいと考えています。

兄の山﨑 剛さん(左)と弟の山﨑 峻さん(写真右)のイメージ
兄の山﨑 剛さん(左)と弟の山﨑 峻さん(写真右)

誰かのためではなく自分のために
一歩を踏み出してほしい

最後に、ソーシャルセクターに興味がある方に向けて、剛さんからメッセージをお願いします。

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剛さん

ソーシャルセクターで働くためには、さまざまな場面で覚悟が必要です。その覚悟さえあれば、ほかの業界ではできない素晴らしい経験をすることができます。

現代の社会で、ソーシャルビジネスを経済的に成り立たせることは決して簡単ではありません。特に、1つのNPO団体でできることには限界があります。そのような中で事業会社を含めてさまざまなステークホルダーと連携し、プロジェクトの目的を達成できた瞬間は忘れられません。

誰かのためにではなく、自分のためにソーシャルセクターに飛び込んでみることをおすすめします。

続いて峻さん、お願いします。

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峻さん

ソーシャルビジネスに関心があるのであれば、迷わずに一歩を踏み出してほしいです。ビジネスの経験を活かせることも多いですが、ソーシャルセクター特有の難しさに壁を感じる場面もあります。しかし、どちらも実際に体験してみないと分からないものなので、自分の中にある思いを原動力に行動すべきだと思います。

PROFILE

山﨑 剛(やまさき・ごう)氏のイメージ

山﨑 剛(やまさき・ごう)氏

認定NPO法人フローレンス
支援を広げる事業部
こども宅食全国普及推進担当

【略歴】
大学院で国際経済学を専攻した後、専門商社で人事・総務領域の業務を担当した後、ソーシャルビジネスフォーラムでフローレンスと接点を持ったことをきっかけに、2020年に現職へ転職。
現在は支援を広げる事業部に所属し、事業開発業務および事業推進業務に従事している。
趣味はブラジリアン柔術やラグビー観戦、読書、怪談を聞くこと。

山﨑 峻(やまさき・しゅん)氏のイメージ

山﨑 峻(やまさき・しゅん)氏

認定NPO法人フローレンス
支援を広げる事業部
保育園こども食堂普及推進担当

【略歴】
専門商社での営業、衣料品の販売企画を営む企業での経験を経た後、学生時代から抱いていたソーシャルセクターで働きたいという思いに従って、2021年にフローレンスに転職。
現在は支援を広げる事業部の保育園こども食堂普及推進を担当し、こども食堂などの活動を実施する団体への助成および伴走支援の業務に従事している。
趣味はタッチラグビーやボクシング、読書。

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