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認定NPO法人かものはしプロジェクト

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「妊産婦はこうあるべき」を
少しでも和らげたい

人材紹介会社から転職して、事業会社とNPOにはたくさんの共通点があると知った

#こどもの虐待・貧困問題

認定NPO法人かものはしプロジェクトの妊産婦支援事業部に所属し、孤立しがちな妊産婦の支援に奮闘する草薙さん。本記事では、人材紹介会社からソーシャルセクターに転職した草薙 直基さんの経歴や思い、活動する上で大切にしているポイントを紹介します。

草薙 直基さんのトッププロフィールイメージ

PROFILE

草薙 直基(くさなぎ・なおき)さん

認定NPO法人かものはしプロジェクト
妊産婦支援事業部

前職

人材業界で法人営業

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世界で多様な活動を展開

草薙 直基さんのイメージ

はじめに、かものはしプロジェクトの活動について教えてください。

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草薙さん

かものはしプロジェクトは「だれもが、尊厳を大切にし大切にされている世界を育む」をミッションとして掲げ、人身売買問題や児童虐待問題を解決するための活動、妊産婦支援、児童養護施設などを出た若者への支援に取り組んでいます。

2002年にかものはしプロジェクトが設立された当時は、こどもが売られる問題が劇的に悪化していたカンボジアで事業を開始しました。こどもを売らせないために最貧困家庭への支援や孤児院支援を行い、こどもを買わせないために警察支援に着手して活動の幅を広げました。

カンボジア事業は2018年に終了し、現在はインドでの人身売買問題と日本での児童虐待問題の解決に向けて活動しています。

支援団体との連携を通じて、
孤立しがちな妊産婦を支える

草薙さんの役割について教えてください。

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草薙さん

私が所属している妊産婦支援事業部では、「妊娠期からの社会のつながりを育むことが、誰かに頼ってもよいという心の余裕を生み、孤立を防ぐことにつながるのではないか」との考えの下で、孤立しがちな妊産婦への支援を行っています。

千葉県松戸市で運営している「ふたやすみ」という居場所は、「いえ(宿泊場所)」「カフェ(日中の居場所)」「ほうもん(自宅訪問)」の3つの機能を無料で提供し、困難な環境下で奮闘している妊産婦が心身のエネルギーをリチャージしたり、自分の存在や気持ちを大切にできたりするように関わる場所です。

現場には助産師や看護師、ソーシャルワーカーなどの専門的な知見を持ったメンバーがおり、出産前後の妊産婦に伴走しながら不安や悩みを解決する役割も持っています。

妊産婦支援事業部において、私が担当しているのは妊産婦支援団体とのネットワーク構築です。他団体と連携し、政策提言などにより国の制度や社会が持つ常識や空気を柔らかくすることを目指して活動をしています。

妊産婦支援事業部のメンバー(左から2番目:草薙 直基さん)のイメージ @Tommy
妊産婦支援事業部のメンバー(左から2番目:草薙 直基さん)

チャレンジするなら20代のうちに
と考え、
ソーシャルセクターへ転職

ソーシャルセクターの活動に関心を持ったきっかけは何だったのでしょうか?

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草薙さん

私は大学生のころからソーシャルセクターでの活動に興味を持っていました。NPOに関する書籍を通じて、思いを持って活動している人々の熱量に感化されたためです。

また、大学生のときにベトナムを訪れ、格差を目の当たりにした経験もソーシャルセクターへの関心を強めました。

具体的に教えてください。

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草薙さん

当時のベトナムでは、富裕層が暮らす5階建ての豪華な建物から通りを1本挟んだところで、貧困層の人々がボロボロのテントのような環境で暮らしていたのです。

生まれる場所が違っただけで、その後の人生がまるっきり違ってしまうような構造的な格差に疑問を持ち、それが当たり前になっている社会を変えたいと考えました。

前職では人材紹介会社に所属していたと伺いました。かものはしプロジェクトへ転職のきっかけを教えてください。

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草薙さん

はい、大学卒業後は人材紹介会社に入社しました。ソーシャルセクターに興味はあったものの、当時はNPOの活動で生活を維持するのは難しいという認識を持っていたためです。

法人営業に従事して一定の充実感も得ておりましたが、ソーシャルセクターで働きたいという思いが消えず、「新しいことにチャレンジするなら20代のうちのほうが良い」と考えて、かものはしプロジェクトへの転職を決めました。

かものはしプロジェクトは、思いだけで突き進むのではなく、活動を継続するための足場をていねいに固めている団体です。そのような特徴が私の考えにフィットしました。

転職の際は、事業会社で培った経験がソーシャルセクターでどれだけ通用するか不安を持っていましたが、自分の決断は自分で正解にしていくしかないと腹をくくった記憶があります。

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NPOと事業会社には
共通点がたくさんある

かものはしプロジェクトで働き始めて感じたことを教えてください。

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草薙さん

かものはしプロジェクトに入職して最初に感じたのは、「NPOと事業会社には共通点がたくさんある」ということです。

事業会社が事業を維持するのと同様に、かものはしプロジェクトの活動にも資金が必要であり、組織を効率的に運営していくためには総務や経理、人事、広報などの各種のバックオフィス業務が必要です。事業会社からソーシャルセクターに転職するとしても、まったくの別世界に飛び込むわけではないのだと実感しました。

かものはしプロジェクトは、さまざまな挑戦ができる団体です。新規事業部があり、新しい活動にトライ&エラーできる環境があります。妊産婦支援事業の一環として運営しているふたやすみも2024年に始まったばかりの新しい事業です。

同じ思いを持つ人と出会い、
ネットワークを広げるために奮闘

ネットワーク構築を担当されている草薙さんは、さまざまな人と出会う場面があると思います。ソーシャルセクターで働く人の思いについて聞かせてください。

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草薙さん

活動していると、社内外のさまざまな人々と出会える機会があります。そうした中で妊産婦支援に携わる人々の中に「妊産婦が安らげる居場所をつくるだけでなく、社会の妊産婦に対するまなざしそのものをもっと温かいものにしたい」という考えが存在することに気づきました。

外部の人が家庭内の問題に口を出しにくいこともあり、孤立した妊産婦に手を差し伸べるのが難しい場合も少なくありません。このような状況を変えるために活動している人がたくさんいるのだと知ることができ、大きな励みになりました。

一方、活動の中で課題を感じる場面もあります。私たちも含めて、ソーシャルセクターに携わる人々は思いを持っていますが、現場の忙しさや資金面の問題から理想の活動を実現できない場合も多いです。

このような課題を乗り越えていくためには、各団体の活動の意義を社会に広く届け、さまざまな形で活動を支援してくれる人々とのつながりを構築していくことが必要だと考えています。

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相手の気持ちを考え、
社会に存在する
「あるべき論」を和らげたい

活動する上で大切にしていることは何でしょうか?

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草薙さん

私は、相手が大切にしているものは何かを考えながらコミュニケーションを取ることを大切にしています。

関わる人の多くは「社会をより良いものにしたい」と考えていますが、そのための手段や優先順位には違いがあります。そのような中で自分の考えを無理に押し通そうとすると対立につながることがあります。

相手の気持ちを汲み取ったコミュニケーションはさまざまな立場や役割の人と仕事をしていく上で、非常に重要だと感じます。

また、私は妊産婦支援事業部に異動する前は、資金調達担当として講演で年間100回以上登壇していましたが、その中で多くの人に出会い、たくさんの方が応援してくれて活動ができているということを実感しました。これらの経験は、かものはしプロジェクトの活動の中でも特に強い喜びを感じられる瞬間でした。

今後の展望を教えてください。

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草薙さん

今後は国内の妊産婦支援事業にさらに力を入れていきたいと考えています。社会には、さまざまな「あるべき論」が存在します。自分の経験だと、受験時代にはより良い学校に進むべきだと思い込み、法人営業の時代にはとにかく数字をつくることがあるべき姿でした。

これらの「あるべき論」は、時に人を苦しめます。一部の妊産婦は「妊娠は自己責任だから、苦しくても自分で何とかすべき」というまなざしで見られてしまうことがあります。

私は、これらの「あるべき論」を少しでも和らげることができたら良いと考えています。そのために、団体の垣根を越えたネットワークを構築し、社会にメッセージを発信していくことで、妊産婦が安心できる場所と時間を増やしていきたいです。

草薙 直基さんのイメージ
クォーテーション左のイメージ ビジネスの経験を
ぜひソーシャルセクターで活かしてほしい
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自分の中の違和感が出発点

最後に、ソーシャルセクターに興味がある方に向けてメッセージをお願いします。

草薙さん

ソーシャルセクターでの活動は、自分の中にある違和感を出発点として理想の社会について考え、それを形にする仕事だと考えています。理想の社会を実現するためには、改善しなければならないポイントが多々あります。そのために何かしたいと思う気持ちがある方は、ソーシャルセクターで意義のある活動ができると思います。

ソーシャルセクターでの活動にはビジネスと共通する要素がたくさんあります。そのため、これまでに培った知見を活かせる領域がきっと見つかるはずです。

実際に、妊産婦支援事業部は、ビジネスセクターでのバックグラウンドを持つメンバーが多数を占めています。社会に対する思いを大切にしつつ、ロジックや数字をベースに事業をつくり上げていく姿勢があるため、転職しても違和感なく溶け込めると思います。

ソーシャルセクターでの仕事は、社会に明確な足跡を残せる仕事だと考えています。自分の考えに基づいて行動し、強いやりがいと達成感を持てる瞬間がたくさんあるので、興味がある方はぜひ飛び込んでみてください。

PROFILE

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草薙 直基(くさなぎ・なおき)氏

認定NPO法人かものはしプロジェクト
妊産婦支援事業部

【略歴】
大学卒業後、人材紹介会社での法人営業に従事した後、かねてから高い関心を持っていたソーシャルセクターで働きたいと考え、かものはしプロジェクトへ転職。
現在は、妊産婦支援事業部に所属し、他の妊産婦支援団体とのネットワーク構築業務を担当。
休日は息子のサッカー観戦や読書をして過ごすことが多い。

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