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アマゾンが日本で最も利用されているインターネットサービスの一つであることは言うまでもない。
eコマース、ビッグデータ、電子書籍などのキーワードで語られることが多いため、“ITの雄” という企業イメージが強いが、アマゾンが競合他社を退けているコア・コンピタンスは、そのロジスティクスだ。
アマゾンのフルフィルメントセンターは受注後の物流を一手に担う、サービスの中枢部と言えるだろう。
そのFCの拠点拡大および業務改善の司令塔を務めてきたのが渡辺宏聡氏だ。
渡辺氏本人や、国内10カ所それぞれのFCを司るFC長の“あるべき姿”を通じて、アマゾンにおけるエグゼクティブ像を聞いた。
(聞き手は、パーソルキャリア エグゼクティブエージェント 事業責任者 木村浩明)
eコマース、ビッグデータ、電子書籍などのキーワードで語られることが多いため、“ITの雄” という企業イメージが強いが、アマゾンが競合他社を退けているコア・コンピタンスは、そのロジスティクスだ。
アマゾンのフルフィルメントセンターは受注後の物流を一手に担う、サービスの中枢部と言えるだろう。
そのFCの拠点拡大および業務改善の司令塔を務めてきたのが渡辺宏聡氏だ。
渡辺氏本人や、国内10カ所それぞれのFCを司るFC長の“あるべき姿”を通じて、アマゾンにおけるエグゼクティブ像を聞いた。
(聞き手は、パーソルキャリア エグゼクティブエージェント 事業責任者 木村浩明)
VOL.1 アマゾンへのキャリア
なぜ通販会社が製造業の自分をスカウトするのか?渡辺 宏聡(わたなべ ひろあき)氏
信州大学大学院で電気電子工学を専攻後、東レ株式会社に入社して食品包装用フィルムの製品開発と海外拠点での生産技術を担当。その後GEプラスチックスに転職してエンジニアリングプラスチックの製造マネジメントを経験。2009年、40歳のときに人材エージェントのスカウトでアマゾン ジャパンに転職し、JPオペレーションズ FC事業部 堺フルフィルメントセンターのシニアオペレーションマネージャーとしてアマゾンのキャリアをスタート。2012年にFC事業部 統括本部長に就任した。日本国内に3カ所だけだったFCをわずか4年で10カ所に拡大する中で、アマゾンの成長への貢献は計り知れない。その後2014年8月にACES事業部 統括本部長に就任し、オペレーションプロセスの改善と次世代ネットワークの設計と開発を担当している。
― 渡辺さんは2009年にアマゾンに転職されたのですね。それまではどんなキャリアでしたか?
エンジニアを目指して大学は工学部を選びました。卒業後は東レに入社して、スナック菓子の袋などに使われる食品包装用フィルムの製品開発エンジニアを5年担当し、アメリカに転勤して海外工場の生産技術と生産管理、そして研究開発に6年間携わりました。帰国後、エンジニアリングプラスチック原材料メーカーであるGEプラスチックスに転職しました。その会社では5工場からなる製造部門のマネジメントを担当しました。日系企業、外資系企業の両方、そして日本と海外で仕事をした経験は、今の仕事をする上で非常に活かされていると思います。
― アマゾンへはどんな経緯で入社されたのですか?
人材エージェントからのスカウトです。自分自身、次の活躍の場を探している時期ではありましたが、全く検討もしていない業界でしたから、「どうして通販会社が製造業の自分に声をかけてくるんだろう?」と訝しんだくらいです。検討段階で、アマゾンの物流拠点であるFCの責任者(以下、「サイトリード」)に話を聞く機会を作ってもらいました。ネットではアマゾンのオペレーションに関する情報が得られなかったから、FCの一つに足を運んで自分の目で現地を見て、アマゾンで働く方々に会って入社を決めました。
― 一般に、エグゼクティブ層の人材ですと、全くの畑違いの業界や領域への転職も多いものです。とはいえ、決断のポイントは何でしたか?
決断のポイントは二つでしたね。一つはアマゾンで働くスタッフの表情が生き生きしていたから。“やらされ仕事”の印象がなく、自らオーナーシップを持って働いていたので、良い職場だなと思いました。もう一つは、FCも工場もオペレーションの本質は同じだと感じたことですね。それまで私にとって物流は全く縁のない業界でしたが、FC内には意外と機械と人が多いなと思ったのを覚えています。これなら、エンジニアでの経験とオペレーションをやってきた経験が活かせるなと。実際入ってみて、間違いはなかったです。
― キャリアの親和性を感じられたのですね
モノづくりと高度な物流は非常に似ているんです。物流には製造のように「加工」して高い付加価値を生み出すというプロセスはありませんが、物を入荷して在庫し、お客さまのオーダーに合わせて出荷する点は同じ。ヒト・モノ・カネを活用してオペレーションをマネジメントすることと、「安全」「品質」「サービス」「生産性」「コスト」の管理方法はほぼ同じです。製造業の管理や改善のマネジメントというコアスキルは共通して使えます。
― FCについて少し教えていただけますか
アマゾンの配送センターです。FCはお客さまのニーズを満たすこと、英語で言えば“フルフィル”することが仕事なので、フルフィルメントセンターと呼んでいます。単にモノを流すだけではありませんよ(笑)。通販業界では一般に「フルフィルメント」は受注前に商品を入荷・検品して在庫をする前工程と、受注から出荷までの後工程の業務全般を指します。またお客さまからの返品処理をする工程やベンダーさまへの返品工程も含まれます。ユーザーの皆さんが商品を選び、買い物かごに入れ、 レジに進み、注文を確定しますよね。そこから商品を棚から出して箱に入れ、出荷ラベルを貼ってトラックに積み込むまでの全ての工程をFCが担当しています。ご注文の商品と納品書を合わせてパッケージし、おなじみの段ボール箱に梱包する工程は高度に機械化されていて、さながら最新鋭の組み立て工場の様相です。FC内には常時多くの商品が流れており、常に多くのお客さまとつながっていると感じられる職場です。
― 私たち利用者の目に触れない部分ですね
はい、アマゾンでは迅速な配送サービスである「お急ぎ便」を提供し、「当日配送」や「翌日配送」を実現していますが、常に「もっと速くできないか」を考えています。多くのデータを活用してシミュレーションを繰り返しながら、「もう1分でも速く」を試行錯誤しています。メーカーのように自社製品を持たないアマゾンにとっては、その「たった1分」が新製品開発に匹敵する成果、新サービスの開発と言えるでしょうか。お客さまの目に触れない部分ですが、FCはあらゆるサービスを生み出すお客さまに最も近い“最前線基地”であると自認しています。
バックナンバー
レバレッジコンサルティング株式会社 代表取締役CEO 本田直之 氏
ビジネス界のカリスマが語る「これからのビジネスパーソンに求められること」
アマゾンジャパン株式会社 ACES事業部 統括本部長 渡辺宏聡 氏
売上やコストよりも、お客さまとのお約束を守ることが最優先